【 異能の転生者 】勇者への道、救世主への道、英雄への道……

異能な転生者

文字の大きさ
173 / 691

第163話 屋敷の秘密

しおりを挟む
たぶん、今の建物が立つ前にあった屋敷の一分だろうと思われる。それがわかったのは、古さが違うから。

扉がある部屋と、ここの部屋の壁を比べると、あきらかに色と古さが違いすぎる。

おれは、魔法で部屋の空間を把握できたけど、普通は壁の向こうに部屋があるなんて、わからないと思う。

だから今までも主は、ここの部屋の存在自体を知らないと考えるのが普通だと思うけど、その根拠は、埃が、積み重なっているから。

埃が、本当に数センチとは言わないが、それに匹敵するくらいあると思うから。

この部屋は窓もなく、かび臭いにおいがする。

そのため、発見されにくい。

いつの時代からあるのか、わからないが、どうやって、この部屋を残したのか、理由は不明だけど、何かの意味がある気がする。

俺が昔から感じている焦燥感。

時代は、俺を転移させて何をさせるつまりなのか?

俺は数年前から感じている焦燥感がなくなりもしないし、何かで解消される思いもないので、いらだちを感じている。

逆になくなる所か、強くなるばかりだ。

完全に入り口がない状態で閉鎖されているので現在の所有者の首長も知らない可能性がある。

たぶん、知っている人がいるとしたら、実際に建物を建てたやつだろう。

この部屋の古さから言っても、以前の所有者は、なくなっていると思う。

50年や、10年くらいの古さじゃない。
おそらく、200年以上は経っていそうな感じだ。

窓もないので、中は真っ暗だけど。

椅子やテーブルにも、ほこりがいっぱい積もっている。

外から飛んでくる虫じゃなくて、地面を掘ってくる虫の死骸なども多い。

200年くらい、古いとしたら俺が死んだ後で、戦争が終わった後の人が作ったんだろう。

かなりの年月が経っているせいで、本がボロボロになっている。

今にも崩れそうな、分解しそうな本ばかりだ。

俺は棚にある本よりも、机の上に置いてある本に注目してみた。

何か、ノートみたいだからだ。

何か書いてあるかわからないと思って、机の上でノートを広げてみると、やはり日記だ。

日記を読み進めていくと、結構、マメに日記を書いていたみたいで、魔法のことが書かれてある。

以前の人は、魔法使いみたいだけど、使うのはあまり上手じゃなかったようなことを書いてあったし、自分は研究家だとも自分で書いてある。

何の研究をしていたのかと言うと、魔法の中でも一番、難しいと言われる飛行魔法と透明魔法を研究していたようだ。

しかし今の俺は、飛行魔法は使える。

そういえば、今思い当たったんだけど、わざわざ馬車を使う必要はないんじゃないかな。

自分は、空を飛べると言うことを忘れていた。
しかも透明化の魔法も使えるから、人から見られる事は無い。

しかも今まではメンバーに隠すためにアリシア以外は飛べると言う事は知らないし、アリシアも透明になれると言う事は知らないはずだ。

最近は、いろいろなことをメンバーと共有するようになったので隠す必要はなくなった。
と言う事は……そういうことだな!

と違う考えを持っていたが、たまたま透明化の魔法と飛行魔法の研究をしていた人の部屋みたいだった。

まだ、この部屋の人物の研究を確認しなければいけないが、今はそう急ぐことがないかなと思って今日は終わりにした。

もう夜が遅くなったので、今日は、この辺までにしておこうと思う。
入り口がないため、俺の部屋まで転移した。

今日は寝ようかな、そうだ、その前にお風呂に入りに行こう。
俺は瞬間転移で、男性浴場の脱衣場に転移した。

今日は誰もいないだろ?

ということを考えながらタオルを持って、かけ湯をして、露天風呂の扉を開けようとした瞬間、誰かがいるのが分かったのでタオルで下半身を隠した。

そこにいたのは、アリシアだった。

アリシアは、真ん中のあたりにいたので、男湯の方から、来るのはクリスしかいないと思ったのか、こちらをじーっと見ていた。

危うくアリシアに見られるとこだった。

危ない危ない。

「えーっと、アリシア、入っていいかなぁ」

アリシアはぼーっと俺の方を見ているだけだったみたいなので、はっとして近くに置いていたタオルをとってきて体に巻いた。

「ク、クリス、どうぞ‥」と言ってくれたので、俺はタオルを巻いたまま湯船に入った。

今は明かりを暗くなっているので、星空と月明かりだけが2人を照らしている時間となっている。

最近は忙しくて、アリシアと全然、進歩がないけど、この屋敷に来て、違う意味で進歩ができている。

この前は偶然のラッキーからアリシアの裸を見ることができたから。

お互いが2メートル位の距離を保ちながら、湯船につかって星と月を見ている。

今日も、いい星空だ。

寒いけど、虫の音が聞こえてきて、風情がある。


「ねぇ、アリシア、少しだけ近寄ってもいい?」

「‥‥‥‥うん」

俺は、アリシアの横に移動する。

あ~なんだかドキドキする。

アリシアのすぐ横に来て、露天の壁に体を預けながら空を見る。

そして、アリシアの手を握った。

アリシアは少しだけ、びっくりしたように俺の方を見たが、何も言わずに空を見ている。

俺の手を握り返してくれた。

‥‥‥

と、そこに、賑やかな声が聞こえだした。

ソフィアとイザベラとコリンが来たようだ。

俺はアリシアに小声で帰るねと言って、転移で脱衣場に移動して、急いで洋服を着て転移で部屋に戻った。

たぶん、見つからなかったと思うけど。

びっくりしたー
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

幼馴染の勇者が一般人の僕をパーティーに入れようとするんですが

空色蜻蛉
ファンタジー
羊飼いの少年リヒトは、ある事件で勇者になってしまった幼馴染みに巻き込まれ、世界を救う旅へ……ではなく世界一周観光旅行に出発する。 「君達、僕は一般人だって何度言ったら分かるんだ?!  人間外の戦闘に巻き込まないでくれ。  魔王討伐の旅じゃなくて観光旅行なら別に良いけど……え? じゃあ観光旅行で良いって本気?」 どこまでもリヒト優先の幼馴染みと共に、人助けそっちのけで愉快な珍道中が始まる。一行のマスコット家畜メリーさんは巨大化するし、リヒト自身も秘密を抱えているがそれはそれとして。 人生は楽しまないと勿体ない!! ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

処理中です...