【 異能の転生者 】勇者への道、救世主への道、英雄への道……

第208話 誘拐犯8

俺たちは作戦実行の時間まで、紅茶を飲んでゆっくりしている。

そして今回、初めて、この国の王様である皇帝が、ここにいる。

王様も自分の娘が誘拐されて戦争まで起きようとした事実を忘れることができないので、自分の目で確かめたいんだろう。

7時に近づいてきたので、俺がテーブルの椅子に座って用意を始める。

始める前に、もう、ひと口、紅茶を飲む。

そうしていると、3人が同じように近づいてきた。

今回は右側にロゼッタ、左側にアレク、そして背中にはパトリシア。

そして右手には、アリシアとコリン

左手にはイザベラとソフィア

全員の準備ができたので、俺から感知魔法を展開していく。

俺の体が光り始めた。

そうするとロゼッタとアレクとパトリシアも体が光りだした。

そして同じように4人のメンバーも光に包まれる。

ここまで光に包まれるのは、初めての経験だ。

それだけ全員が力をつけてきている証拠なのかもわからない。

皇帝は俺たちが光に包まれている光景を見ながら、まぶしそうに目を細めているが、目の中には感心している趣がある。

感知魔法を展開しながら、北側と南側、東側、西側と展開していく。

それを国土全域に広げていく。

そうすると8カ所あった。

感知魔法を解除して全員に説明する。


「この国では8カ所、拉致されている子供たちがいる。拉致されている子供たちの数は203人だ。

そして誘拐犯が258人いる。」

異常に数が多すぎるので、皇帝に相談してみる。

今の話を聞いていた皇帝は驚いているが、すぐに、どうしたらいいか俺に尋ねてきた。

俺は、しばらく顎に手を当てて考えている。

「子供たちの数は203人で、誘拐犯は258人だけど、今回は8カ所だ」

「う～ん」と俺は考え込む。

アジトにいないで258人の中に入っていない誘拐犯もいるかもわからない。

1カ所に時間を消費しまうと、通報が行く場合もある。

皇帝に、「俺たちが今から1カ所ずつ子供たちを確保しつつ、誘拐犯を倒して、次に飛んで行きます、今から指し示すところに憲兵隊を派遣してもらえますか？　そして誘拐犯を入り口に倒しておきますので。あとは、よろしくと」と俺は言った。

地図にマークをしていく。

皇帝は確認しながら、すぐに宰相と話をするために出て行った。

皇帝が来るのを待って、俺たちは作戦行動を開始する。

まず1カ所目、子供たちが58人いる。誘拐犯は、42人。

いつも通り転移する前に、誘拐犯の位置を確認しながら、子供たちに結界の魔法はり、すぐに転移する。

急に現れた俺たちメンバーに対して、なすすべもなく誘拐犯たちは倒されていく。

これと同じことをあと7回、実行して、子供たち208人と誘拐犯258人を全員、倒した。

全員が、もとの部屋に戻ってきたあと、俺だけは椅子に座って目を閉じて8カ所で憲兵隊が訪れるのを確認している。

憲兵隊が現地に来ないと結界が解除ができない。

やっと、それぞれで憲兵隊が訪れたので、俺は結界を解いた。

ふ～っと一息つく。

お城の中も騒ぎになっている。

俺たちは一応、役目を終えたので今は休憩中だ。

今は紅茶とサンドイッチを食べている。

しばらくして皇帝が俺たちの部屋に入ってきた。

「よくやった」と皇帝が言ってくれた。

忙しそうにして、また出て行った。

俺たちは食事を済ませると、ベランダに出てみた。

この魔族の国も、他の国と同じように人が住んで生活をしている。

しかし、どの国でも光当たるところ、影ありと言われるように、闇に生きるやつも絶対いる。

しかし今度は子供たちがターゲットだと言うこともあり、多くの子供たちを救えたと思う。

全員の子供たちが精神的にショックを受けていなければいいが。

あとはもう一つの国だけだ。

その国はブラッドフォード大公国だ。

そこには、以前、行った事はあるが、ツテが全然ない。

俺はブラッドフォード大公国の関係者でもないから、本当はしなくてもいいんだが、子供たちのために助ける事をにした。


俺たちは皇帝に、お礼をと言われたが、急いで次の大公国に行かなければいけないと説明すると、今度、来る時までと約束して、魔族の国を後にした。