【 異能の転生者 】勇者への道、救世主への道、英雄への道……

異能な転生者

文字の大きさ
392 / 691

第377話 魔法陣3

しおりを挟む
第377話 魔法陣3

幼年組のエイミーが魔法陣に詳しいなんて、俺、知らなかったよ。

幼年組と言ってもエイミーやアイリスは、人の年齢ではないので、もっと長く生きている。

見た目が幼年組と俺が思っているだけで、実際は、俺より年上だろう。

エイミーが、本当に魔法陣に詳しいことは、あとでわかることになるけど。

魔法陣を見ていたエイミーが、顔を上げて、「ご主人さま、分かりました」と言ってニコってした時には、かわいいな、と思ってしまった。

「ご主人さま、この魔法陣は、空間の魔法陣なんですが、空間の種類が違います」

「空間の種類が違う?」

「はい、そうです」

「空間に種類が違うなんてあるの?」

「はい、ありますよ、ご主人さまも薄々、気がついていたでしょう」

「うん、少しね」

「じゃないと、このカーペットを持ってきたりしませんよ」

「あっ、なるほど、それで、何がわかったの?」

「あのですね、この魔法陣はご主人さまが、今まで作っていた空間とは違うと言うことですね」

「俺の空間とは違う‥‥?‥」

「はい、空間にも次元が違う空間があるみたいです」

「もしかしたらウルフの奴は、その中にいるし、移動している?」

「はい、だと思います。
この空間は、説明が難しいんですけど、この星には存在しないんです」

「えっ、存在しない?」

「そうです」

「えっ、それって、どう言うこと?」

「この星にウルフが見えるのは、それは幻影です。つまり幻まぼろしのような感じです」

「じゃ、本体はどこにいるの?」

「ウルフがいる世界は、この星ではなく、違う世界です。
つまり神レイチェルが支配している、この星じゃなく、違う神が支配している星です」

「それを、どうやってか、分かりませんが、この世界に影響を与えています」

「もしかして、それって大変なことじゃない?」

「はい、そうです」

「多重世界と言う言い方になります」

「多重世界‥‥‥
それじゃ、多重世界なんて、どうすればいいんだろう?」

「ご主人さま、ご主人さまならできるはずですよ」

「えっ、俺ならできるって?
不可能なことを平気で言っているような気がするけど?」

「いいえ、ご主人さまなら可能なんです。
私は、魔法陣と異世界を研究していました。
これが、やっと実を結びます」と言って嬉しそう。

「やり方はあるの?」

「はい、私が、今までご主人さまを見てきて、ほとんどご主人さまは能力を使っていません」

「えっ、俺、使っているつもりだけど‥‥‥」

「いいえ、ご主人さまの能力は、こんなものじゃありませんよ」

「えっ、わかるの?」

「はい、もちろんですよ。私の得意分野ですよ。
私は、仲間の中でも、研究をするのが、専門ですからね、誰にも負けません」

「へー、そうなんだ」

「お姉ちゃんたちよりも、能力のことや魔法陣は専門ですよ」

「それは、頼もしい」

「はい、頼ってください」

「じゃ、俺の能力についてだけど、まだ、余力があるつてこと?」

「余力があるというよりも、ほとんど、使っていないじゃないですか?」

「‥‥‥ どうやれば使えるか、分かりません‥‥」と正直に言った。

「あっ、そうだったんですか?」

「うん‥‥‥」

「じゃ、聞いてくれればよかったのに」

「エイミーが、詳しいなんて今、初めて知ったから」

「あっ、そうですね」

俺が気を取り直して「エイミー先生、教えてください」と言うと

エイミーは、「もう、しょうがない生徒ですね」と乗ってきた。

「はい、先生」

「はい、なんでしょうか?」

「能力の使い方、教えてください」

「はい、それはですね、簡単なんですよ。
ご主人さまは、魔法を使う時には、どうしていますか?」

「はい、俺は、イメージするだけで使っています」

「そうでしょうね」

「それの何がいけないんですか?」

「その魔法の使い方はクリス様の個人の使い方ですよね」

「あっ、はい、そうです、今、改めて言われると、そうです」と俺は、まだ膝の上に座ったままのエイミー先生に答えた。

「はい、クリス君、君は勇者でしょ」

「はい、今は勇者の称号は、どうしてか分かりませんけど、勇者だと思います」

「神レイチェル様は、クリス様が、勇者だとおしゃいましたよ」

「はい、聞きました」

「なのに、信じていないんですね」

「俺が勇者の称号に気が付いてから、すぐに勇者の称号が消えましたからね。なんだか自分でも勇者だと思えなくて」

「それがいけないんですよ」と言いながら、エイミーは向きを変える。

つまり、俺の目の前にエイミーの顔があるわけだ。

「ご主人さまは、今でも勇者なんです。でも勇者より上の神の称号がついたから、消えたと言うよりも、勇者の称号なんか、いらなくなったと言って方が良いと思います。
神ですから、勇者よりも上でしょ」

「はい、そうです」エイミーが捲し立てながら顔を近づけてくる。

「はい、はい、エイミー、こっち座ろうか?」とアリシアが、エイミーを抱っこして自分の膝に座らせる。

「あーん、ご主人さまの膝の上がいいのに」

「それで、エイミー、先の話をして」

「ご主人さまは、もっと、堂々としていないとダメですよ。
バカな勇者よりは断然、いいですけど。
俺は勇者なんだから、俺が一番なんだ、くらいに思ってください。
そうしたら勇者の魔法力がご主人さまに自然と何もしなくても集まってきますから」

アリシアが「クリスの性格だね、昔から、私の後をついてくるような男の子だったから。俺様って感じじゃなかったから」

「うん、まぁそうだね」と言って頭をかいている。

「でも、クリスって、変わってきたよね、本当にさっきも魔法書を読んでいたりするときなんか、後ろからだけど見ていて、ドキッとするからね、みんなも、こんなクリスだから、ついてきたわけだし」

みんなが頷いている。

特にセラフィーナとシャーロットがの二人が腕を組んで頷いている。

「でもクリス、世界を救う救世主になるんだから、そろそろ、俺様もいいんじゃない?
あの時の司書長に言ってくれたように」

「ねぇ、アリシア、何があったの」とイザベラが聞いてきた。

「あの、ちょっと急ぐから、また、後でね」と俺は言ってアリシアの膝に座っているエイミーに話しかける。

エイミーは「ご主人さま、今でも、俺は勇者だ、何回か言葉で言ってください」

「俺は勇者だ、俺は勇者だ、俺は勇者だ、俺はゆ‥‥‥」

その時に異変が起きた。俺が勇者だと言うたびに自信みたいな魔力が俺の周りに渦巻いている。

「そう、それが勇者の闘気です
それをもっと魔法力の練習みたいに濃くしてください」

こんな近くにあったんだ、俺は心の奥で、『俺は勇者だ』と何回も唱えることをしていくけど、それだけじゃないような気がして、ドラゴンと戦う勇者のシーンを思い描いたり、勇者として巨大な魔物と戦うシーンを思うことにした。

なんせ、俺は今までイメージで魔法を行使したりすることをしてきた。

勇者をイメージすると言うことは、見たこともないから難しいけど、物語に出てくる伝説の勇者という勝手なイメージを作ることにした。

エイミーが「そうです、それが勇者としてのクリス様のお力の一端です」

「すごい」クリス
「圧倒される」とイザベラ

エイミーが「今までは勇者としての力を使っても、勇者の一端の力しか使っていませんでしたから。
ご主人さま、今、ご主人さまは、目の前にあるカーペットを見ても、魔法陣なんか、使わなくたって、わかるんじゃないですか?」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

湖畔の賢者

そらまめ
ファンタジー
 秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。  ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。  彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。 「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」  そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。  楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。  目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。  そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

狙って追放された創聖魔法使いは異世界を謳歌する

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーから追放される~異世界転生前の記憶が戻ったのにこのままいいように使われてたまるか!  【第15回ファンタジー小説大賞の爽快バトル賞を受賞しました】 ここは異世界エールドラド。その中の国家の1つ⋯⋯グランドダイン帝国の首都シュバルツバイン。  主人公リックはグランドダイン帝国子爵家の次男であり、回復、支援を主とする補助魔法の使い手で勇者パーティーの一員だった。  そんな中グランドダイン帝国の第二皇子で勇者のハインツに公衆の面前で宣言される。 「リック⋯⋯お前は勇者パーティーから追放する」  その言葉にリックは絶望し地面に膝を着く。 「もう2度と俺達の前に現れるな」  そう言って勇者パーティーはリックの前から去っていった。  それを見ていた周囲の人達もリックに声をかけるわけでもなく、1人2人と消えていく。  そしてこの場に誰もいなくなった時リックは⋯⋯笑っていた。 「記憶が戻った今、あんなワガママ皇子には従っていられない。俺はこれからこの異世界を謳歌するぞ」  そう⋯⋯リックは以前生きていた前世の記憶があり、女神の力で異世界転生した者だった。  これは狙って勇者パーティーから追放され、前世の記憶と女神から貰った力を使って無双するリックのドタバタハーレム物語である。 *他サイトにも掲載しています。

ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました

グミ食べたい
ファンタジー
 現実に疲れ果てた俺がたどり着いたのは、圧倒的な自由度を誇るVRMMORPG『アナザーワールド・オンライン』。  選んだ職業は、幼い頃から密かに憧れていた“料理人”。しかし戦闘とは無縁のその職業は、目立つこともなく、ゲーム内でも完全に負け組。素材を集めては料理を作るだけの、地味で退屈な日々が続いていた。  だが、ある日突然――運命は動き出す。  フレンドに誘われて参加したレベル上げの最中、突如として現れたネームドモンスター「猛き猪」。本来なら三パーティ十八人で挑むべき強敵に対し、俺たちはたった六人。しかも、頼みの綱であるアタッカーたちはログアウトし、残されたのは熊型獣人のタンク・クマサン、ヒーラーのミコトさん、そして非戦闘職の俺だけ。  「逃げろ」と言われても、仲間を見捨てるわけにはいかない。  死を覚悟し、包丁を構えたその瞬間――料理スキルがまさかの効果を発揮し、常識外のダメージがモンスターに突き刺さる。  この予想外の一撃が、俺の運命を一変させた。  孤独だった俺がギルドを立ち上げ、仲間と出会い、ひょんなことからクマサンの意外すぎる正体を知り、ついにはVチューバーとしての活動まで始めることに。  リアルでは無職、ゲームでは負け組職業。  そんな俺が、仲間と共にゲームと現実の垣根を越えて奇跡を起こしていく物語が、いま始まる。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

処理中です...