「禁断の惑星 ジョリス」

火爪武士

文字の大きさ
11 / 12
第2章 生態調査

第4話 背徳

しおりを挟む
 名目は、何とでもなる。べ種の生育に必要な金色に輝く植物を採集し、そのいくらかを秘匿しているミューズ種に分け与えればいいのだから。
 科学万能の時代に大きな落とし穴は、意外に至るところに存在する。

「マッツィオ3等官、特に変わったことは無いか?」

「ええ、マッコール2等官。これから成体変化1日目の食餌と...」

 ボブは、横向き気味に視線を逸らし、少し頬を赤らめながら呟いた。

「何を照れているんだ、するんだろう?アレを?」

「えっ、何を?本官は、職務命令に忠実に任務を全うするだけです!」
「少し、席を外して頂けますか、マッコール2等官殿っ」

 ボブの語尾には、若干の恥じらいと、デリカシーの無さを憎む気持ちが多分に含まれていた。

「それは、大変失礼した」

 そう、言い残すと、クリスは足早にその場を離れた。

「ああっ!こんな...」

 ラボ全体に鳴り響いたボブの絶叫にマザーは、おろか、全調査官の動きが止まった。

 幼生から成体へ変化を遂げたジョカルにひと抱えもある黄草の束を放り込んだ後、徐にゲージの穴に萎えた男性器を挿入した。

 半信半疑な彼は、何気なく見回したジョカルと目が合った。その瞬間、幼女然とした体躯の彼女が、それを頬張った。
 人間で云えば、口腔や生殖器に当たる部分が、ジョカルに当たる捕食器官であり、産卵器官なのである。

「どうした、大丈夫かっ?」

 クリスは、ボブの身体を引き寄せ、ゲージ内のジョカルと引き離した。

「何をするっ?」

 ボブは、怒気をはらんだ口調と眼差しで、クリスを睨んだ。
 滑稽ながらも、彼のモノの先には、乳白色の液体がしたたっていた。

「何をするって、それが、上官に対する態度か?」

「しっ、失礼いたしました。あっ、どうして?」

「こんな...」

 ジョカルは、人間に当たる口と膣に男性器を受け入れると、尿道を伝い前立腺の辺りまで触手を伸ばし、何度も前後し刺激する。
 オスにとっては、至高の瞬間である射精オーガズムが、何秒も何十秒も続くのだ。

 それは、異性との生殖行為や自身による自慰行為では、到底得られない快感であった。
 科学万能の世の中には、新種の理論や機械器具、薬剤による快楽追求の様々なモノが氾濫している。

 しかし、それは、どれもが多少の違和感があり、ハリボテ感がある代物であった。
 人間は、やはり生き物、動物なのである。
 ジョカルとの行為は、回を重ねるごとに良くなって行く。

 触手の往復の際、尿道を傷付けない様に微量の粘液を分泌するのだ。この中に麻薬成分に似た物質が含まれ、宿主は次第にその虜になって行くのだ。
 無論このことは、最重要機密であり、ボブは知らなかった。

「何と云うか...。こんなことで、本当にいいのであろうか?」

 青雲の志を抱いて、この職を終(つい)の生業(なりわい)と決心した自分ではあったが、本来の調査&研究を忘れ、大義名分を掲げて己の欲望を優先しているのではないか?

 彼は、自問自答。葛藤の真っ只中にいるのである。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

別れし夫婦の御定書(おさだめがき)

佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★ 嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。 離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。 月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。 おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。 されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて—— ※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。

アガルタ・クライシス ―接点―

来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。 九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。 同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。 不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。 古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。

処理中です...