猫耳なんて、委員会?

火爪武士

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第一章 学園の秘密

第4話 校長室

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 木天蓼学園高等学校の校舎は、明治時代に建てられた石造りのモダンな建物であった。
 広い校庭を見下ろす、一部3階建ての一室が、校長室であった。

 赤い絨毯にヨーロッパ調の大きな机と椅子、何でも有名家具店に特注したものらしい?
 仰々しいフリンジの付いた臙脂色の校旗、難しそうな本が並んだ大きな書棚。値段の高そうな花びん。
 四方の壁の上部には、歴代校長の顔写真が、ずらりと並んでいた。狗尾草家の婿養子が世襲し、そろって長命なことから、思ったより数は少ない。

 端に目をやると、陽の当たる出窓で、年老いた三毛猫がまどろんでいる。高級な羅紗の座布団で、時折ボールと戯れているのだ。
 まるで、特等席の様に遠慮が無く、ごく自然に風景に溶け込んでいた。

「おばば様。ご機嫌、麗しゅうごさいます」

 そう言って、校長の明は、猫に一礼した。

 この猫の名は、タマと云う。いつも、校長室を住処にし、閉校した後の夜間の動向は、杳として知られていなかったが、一部の者だけは知っていた。
 歴代校長に愛でられ続け、いや、敬われ続けている。

 どの校長の写真にも、傍らに決まって似た様な柄の猫が写っている。
 そっくりであることから、その猫の子孫だと、学園職員は、そう信じていた。

 いつの間にか、日は暮れ、光増寺の隣りのお屋敷に舞台は、移っていた。

「グランマっ、こっちへおいで」

「みやお、おばば様に向かって、何と失礼不遜な態度をっ!」

「パパ、何を言ってるの?昔しから、みんな、グランマを大事にし過ぎるわ」

「おっほん、至極当然のことなり。お前も、ちゃんと、おばば様を敬いなさい」

「ねぇ、お祖母ちゃん。お祖父ちゃんまで、あんなことを言うのよ」

「お祖父様が、おっしゃることは、もっともでございます」

 これが、みやおの悩みの種であった。物心ついた頃から、家と学校を行き来する老猫を神格化し、非常に大切にするのだ。
 大親友のし乃にでさえ、家の恥と思い、ずっと打ち明けられずにいた。

 家族全員が、「おばば様」と崇め奉るので、
みやおは、一人勝手に「グランマ」と呼んで、うさを晴らしていた。
 この命名が、あながち間違いでなかったことを後になって知るのである。

「もう、いいっ。ご飯にして...」

「年頃の娘には、無理もないことじゃ。ましてや、自分の血に...。おっと、これは、不味かったかのう」

「いずれは、嫡子の私がきっちりと...」
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