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第一章 荒神転生
1-12 目指せ冒険者
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「なんだ、その怪物は! 駄目だ、そんなものは街には入れられん」
街の入り口で、さっそくひっかかったぜ。
まあ、これを通すようじゃ門番失格だわな。しかし、こうも正々堂々と乗り込んでくる怪物も珍しかろう。しかも幼女と女騎士を背に乗せて。
「へえ、入場料でも要るのかい?」
俺はそう言って、器用に前足の指の間に上手に金貨を挟んで前に差し出した。
「でっかい狼が喋った~! お、お前は何者だ」
「俺はこういう者さ」
そう言って俺は首輪のホログラフィ機能を発動させて、お馴染みのロキの紋章を空中に浮かび上がらせた。
「うお、神ロキ様の紋章。すると、あなた様は!」
「ああ、俺はフェンリル、神ロキの息子さ。ここを通ってもいいかい?」
「あ、ちょっとお待ちを。そのままではまた騒ぎになりますので。今従魔証をご用意いたしますので、そちらの従者の方の、えー便宜上の従魔という形にしていただければと」
「ああ、別に構わないが、そっちの騎士は俺の従者ではなくて、そっちの幼女のだから。俺もその子の従魔という事にしてくれ」
「は、はあ」
「あと、これって他の街にいっても有効?」
「ああ、それはすみません。この街のみで有効なものでして。他でも有効にしたいのであれば、そこの冒険者ギルドで登録なされば。ただ」
そう言って彼は、ルナ王女をチラっと見た。まあ、冒険者登録は無理かな。
「サリー、あんたは?」
「まあ登録できん事はないのだろうが、騎士が冒険者登録というのもな」
「何かマズイのか?」
「マズイというか、受け付けてくれるものなのかどうかわからぬ。騎士は国家の紐付きだからな。基本的に王に忠誠を捧げた者なのだから。
冒険者のギルドは独立機運が高い組織なので、そういう事は煙たがられる。積極的に国や貴族の庇護を受けたがるギルドもあるが、この国では比較的そういう事は嫌がられるのではないかな。
いや、私もギルドでそのような交渉をした事はないし、考えた事もない。家を継ぎ、騎士として鍛錬し、やがては子を産み家の跡目として教育するというのが使命だったのでなあ」
「あ、そう。でも従魔証は欲しいから、一応頼んでみてくれない? もういちいち面倒でいけねえや」
「それは構わないのだが、その場合は私と一緒でないと有効ではないぞ」
「大丈夫。こんな物は何枚でも集めるから。『飼い主』は欲しいだけ登録しておくのさ。神の子相手にギルドも嫌とは言うまいて」
「お前なあ」
サリーは呆れた様子だったが、賛同してくれるようだ。
何しろ、各街で共通の従魔証がないと、この先王宮に向かうまで、ずっと揉め続ける事になるので、彼女としても従魔証はぜひとも欲しいところなのだ。
そして発行してくれた従魔証は一言で言うなら、自動車の仮運行用の『仮ナンバー』のようなものだった。
要は、あの斜めに赤線入れた奴ね。安手だが、目立つような色合いで、一目で従魔証とわかるものだ。俺のサイズに合わせてくれてあり、首の前に下げて革紐で縛るようになっている。
「うーん、こいつは安物だなあ」
「すいません、こいつは街に出入りするのに従魔証の発行を受けていない従魔が臨時でつける物でして。やはり冒険者ギルドでいただいてもらった方がいいかなと。あそこはお金を払って作ってもらう物ですので、やはり見栄えは断然違います。こいつは、使い回しているものでございますので」
俺達は丁重に見送られつつ、街へと入っていった。なるほど、ここはそこそこの賑わいなのだが、近隣の町まで少し遠そうだ。
それとここまでの街道が今一つなのは辺境のせいだな。もっと国の中心へ向かえば、少しは変わっていくのだろう。
行き交う人の服装も、なんとなく田舎くさい。皆、俺をジロジロと見ていくが、従魔証をつけて人を乗せているので、そう気にはされないようだった。俺は初めて見る街に胸を躍らせていたので、足取りも弾むようだった。
「楽しそうだね、スサノオ」
「ああ、そりゃあ初めて旅行にくる場所だからね。心も弾むのさ」
ただし、交通機関が自前の足なのだが。まあ乗客もいる事だし。観光バスとかをアポートしてやってもいいのだが、俺には運転できんし運転手の召喚もできない。それに。
「冒険者ギルドかあ、わくわくするなあ」
「好きなの? 冒険者ギルド」
「そりゃあ、もう!」
できれば俺自身が冒険者登録したいところなんだけど、そいつはきっと無理だろうな。
せめてワーウルフみたいに人型になれるといいんだが、あっちの方が狼よりも、もっと怖い容姿になってしまいそうでヤバイぜ!
街の入り口で、さっそくひっかかったぜ。
まあ、これを通すようじゃ門番失格だわな。しかし、こうも正々堂々と乗り込んでくる怪物も珍しかろう。しかも幼女と女騎士を背に乗せて。
「へえ、入場料でも要るのかい?」
俺はそう言って、器用に前足の指の間に上手に金貨を挟んで前に差し出した。
「でっかい狼が喋った~! お、お前は何者だ」
「俺はこういう者さ」
そう言って俺は首輪のホログラフィ機能を発動させて、お馴染みのロキの紋章を空中に浮かび上がらせた。
「うお、神ロキ様の紋章。すると、あなた様は!」
「ああ、俺はフェンリル、神ロキの息子さ。ここを通ってもいいかい?」
「あ、ちょっとお待ちを。そのままではまた騒ぎになりますので。今従魔証をご用意いたしますので、そちらの従者の方の、えー便宜上の従魔という形にしていただければと」
「ああ、別に構わないが、そっちの騎士は俺の従者ではなくて、そっちの幼女のだから。俺もその子の従魔という事にしてくれ」
「は、はあ」
「あと、これって他の街にいっても有効?」
「ああ、それはすみません。この街のみで有効なものでして。他でも有効にしたいのであれば、そこの冒険者ギルドで登録なされば。ただ」
そう言って彼は、ルナ王女をチラっと見た。まあ、冒険者登録は無理かな。
「サリー、あんたは?」
「まあ登録できん事はないのだろうが、騎士が冒険者登録というのもな」
「何かマズイのか?」
「マズイというか、受け付けてくれるものなのかどうかわからぬ。騎士は国家の紐付きだからな。基本的に王に忠誠を捧げた者なのだから。
冒険者のギルドは独立機運が高い組織なので、そういう事は煙たがられる。積極的に国や貴族の庇護を受けたがるギルドもあるが、この国では比較的そういう事は嫌がられるのではないかな。
いや、私もギルドでそのような交渉をした事はないし、考えた事もない。家を継ぎ、騎士として鍛錬し、やがては子を産み家の跡目として教育するというのが使命だったのでなあ」
「あ、そう。でも従魔証は欲しいから、一応頼んでみてくれない? もういちいち面倒でいけねえや」
「それは構わないのだが、その場合は私と一緒でないと有効ではないぞ」
「大丈夫。こんな物は何枚でも集めるから。『飼い主』は欲しいだけ登録しておくのさ。神の子相手にギルドも嫌とは言うまいて」
「お前なあ」
サリーは呆れた様子だったが、賛同してくれるようだ。
何しろ、各街で共通の従魔証がないと、この先王宮に向かうまで、ずっと揉め続ける事になるので、彼女としても従魔証はぜひとも欲しいところなのだ。
そして発行してくれた従魔証は一言で言うなら、自動車の仮運行用の『仮ナンバー』のようなものだった。
要は、あの斜めに赤線入れた奴ね。安手だが、目立つような色合いで、一目で従魔証とわかるものだ。俺のサイズに合わせてくれてあり、首の前に下げて革紐で縛るようになっている。
「うーん、こいつは安物だなあ」
「すいません、こいつは街に出入りするのに従魔証の発行を受けていない従魔が臨時でつける物でして。やはり冒険者ギルドでいただいてもらった方がいいかなと。あそこはお金を払って作ってもらう物ですので、やはり見栄えは断然違います。こいつは、使い回しているものでございますので」
俺達は丁重に見送られつつ、街へと入っていった。なるほど、ここはそこそこの賑わいなのだが、近隣の町まで少し遠そうだ。
それとここまでの街道が今一つなのは辺境のせいだな。もっと国の中心へ向かえば、少しは変わっていくのだろう。
行き交う人の服装も、なんとなく田舎くさい。皆、俺をジロジロと見ていくが、従魔証をつけて人を乗せているので、そう気にはされないようだった。俺は初めて見る街に胸を躍らせていたので、足取りも弾むようだった。
「楽しそうだね、スサノオ」
「ああ、そりゃあ初めて旅行にくる場所だからね。心も弾むのさ」
ただし、交通機関が自前の足なのだが。まあ乗客もいる事だし。観光バスとかをアポートしてやってもいいのだが、俺には運転できんし運転手の召喚もできない。それに。
「冒険者ギルドかあ、わくわくするなあ」
「好きなの? 冒険者ギルド」
「そりゃあ、もう!」
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