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第一章 燃え尽きた先に
1-43 天空の孤闘
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俺はテレパシーで奴に強く念じた。
「来い、ジズ」
そして宮殿から離れた場所へと、まるで大型船舶を誘導する小型船の水先案内人の如くに先導して飛びながら奴を誘った。
俺に軽く操られて、方向を変えてやってきたジズ。
これで帝都には本格的な被害は出なかったはずだ。
頃合をみて背中の上へ飛び乗ると、頭の方へと電磁走行で移動した。
「かあー、さすがにでかいなあ。
これが伝説の巨獣、魔物って奴なのか。
俺なんか蚤より小さい扱いなのかもしれんな。
こいつが1.6メートルくらいの人間サイズなら一メートルが0.8ミリ見当ってところなんだろうからなあ」
ジズの上では奴から見た米粒よりも小さいだろう俺の事を、奴は気にも留めていないようだった。
テレパシーには反応しちゃうくせにな。
いちおう、気休めの『軽い隠密』をかけてみたが、こいつは図体がでかいので、俺が上に乗ってしまっても気にもしていないようだったからあまり意味はないのかもしれない。
電荷をかけて空気の粒子を操り、凄まじい風圧と鼓膜を圧迫する気圧差のような物を排除する。
呼吸も支障がないようにした。
テレパシーで奴の飛行速度も落とさせてある。
こういうところは言う事を聞いてくれるんだけど完全撃退は出来ないようだった。
「まるで、俺がこいつを乗り回しているみたいだな。
昔、何かのアニメかマンガなんかで、小さくなった登場人物が頭に乗った犬とか野良猫を乗り回すようなシーンがなかったかな。
俺の場合は、さしずめ頭の上から宿主を操る寄生虫ってところかね」
そして頭の上から直接、そいつを誘導する。
空から見える、下に人のいない場所へ向けて。
そして試した、強力なヒュプノの直接攻撃を。
「ジズ、我が支配を受け入れるがいい、暗示支配ヒュプノ・ドミネイション!」
だが、奴は俺のヒュプノによる支配を完全に受け入れずに頭を振り上げながら奇声を上げた。
俺は衝撃に思いっきり吹き飛んでいってしまった。
一瞬空中で、旋回Gに耐えられなかった戦闘機パイロットのようにブラックアウトしてしまった。
そして無事に蘇生した。
「うわあ、耳があ。
くそ、今の衝撃と声は周囲の大気を操っていなかったらヤバかったな。
それに思いっきり頭を振りやがって。
念のために電磁バリヤーなんかも張っておいて助かった」
幸いにして、あれこれと研究していた防御力のお蔭で、なんとか無事だった。
風圧も電磁バリヤーがかなり防いでくれた。
「ようし、もう一回チャレンジ。
今度はこいつでどうだ」
俺は警戒して、奴の頭は避けて背中に舞い降りると腰の魔法剣を突き刺した。
「ヒュプノ・ドミネイション・ダイレクト。こうなりゃ直接ヒュプノをお前の体の中に流し込んでやる」
羽毛が厚くて直接肉までは刺さらなかったが、羽毛も肉体の一部なのだ。
だがゼロ距離から仕掛けられるのならいいのさ。
しかし奴は暴れ、抵抗し俺は振り落とされた。
「くそう、やっぱり手強いな。
だが、さすがにこいつを仕留め切るのは難しい。
なんとかして俺のヒュプノの支配下に置く他ないと思うのだが」
こうしている間にもテレパシーで牽制し、帝都に戻らないように精神攻撃している。
動物とは結構練習してきたのだ。
姫様と一緒に、いっぱい可愛い犬なんかをもふもふしたし。
「よし、いくらかダメージを負わせて弱らせてみるか。
下手に半端な攻撃を仕掛けて手負いになったら始末に負えないが、こうしていても仕方がない。
こいつは帝都を攻撃するように強い指令を受けているのだろう。
近くからテレパシーで指示を出せば一時的に従うが、そんな程度では、あっという間に呪縛は解ける。
せっかく人気のないここへ誘導したのだ。
ここなら落とした衝撃も帝都には届かない。
やるしかあるまい」
俺は思いっきり離れた。
奴をテレパシーで牽制しながら。
「頼むから暴れないでいてくれよ。
では行こうか。
今の俺が放てる最高レベルの電撃衝撃波を」
情け無用、遠慮なんかしていてなんとかなるようなサイズではない。
俺は射程ギリギリまで、上空二万メートル付近まで上昇した。
そう、大地に帯電させ、奴を挟んで上から電撃を撃ちおろすために。
まさに今の俺こそは『雷様』そのものだった。
あの背中に背負う雷太鼓、今度作らせてみるか。
日本で生きていたグラッセルの奴なら爆笑して作ってくれるかもしれない。
同時に虎のパンツの衣装を履かされてしまいそうだけど。
テレパシーの牽制で動けない的に向けて、それはまるで福音書に登場する、古代の『神の塔』を破壊したあの雷の如くに撃ちおろした。
なんというか、体中の穴という穴からパワーが溢れ電撃が迸ったような、そんな感覚が俺を貫く。
魔法剣に纏わせた、この俺という電気体質人間の人生で最強最大のエネルギーを放った。
むろん、自分の周りには音波も衝撃波も絶対に通さない超電磁バリヤーを張り巡らし、周囲の大気も完全にコントロールしていた。
こういう、一種の『ながら作業』が可能なように一番しっかりと練習していたのだ。
それは電磁バリヤーで大きく遮られたはずの光量でも目を焼き、その大気を焼いて加熱した事による体積の膨張が、凄まじい音響と衝撃で電磁バリヤーを撃ち、大幅に減衰されながらも押し寄せて耳を劈いた。
その巨大な柱たる電光は極太で歪な光の柱で、その全長をキロメートル単位で表される怪物を穿った。
そして雷撃は、その魔物の全身を奔り、まるで貫通したかのような趣で、それは大地へと吸い込まれていった。
この世界で有史以来もっとも激しいアースであったのではないだろうか。
ジズの体中に紫電が走り奴は落ちた。
怪物はテレパシー誘導で高度五百メートルまで下げられていたが、そのまま全身から黒い煙を噴きながら、一気に墜落していき大地に激しいキスの音を響かせた。
これまた凄まじい衝撃が大地に奔る。
ちょっとした地震並みだぜ。
あそこの上にいなくてよかった。
さしもの怪鳥も、福音書に登場する神の怒りに触れたかのように、ついに空から叩き落とされたのだった。
「来い、ジズ」
そして宮殿から離れた場所へと、まるで大型船舶を誘導する小型船の水先案内人の如くに先導して飛びながら奴を誘った。
俺に軽く操られて、方向を変えてやってきたジズ。
これで帝都には本格的な被害は出なかったはずだ。
頃合をみて背中の上へ飛び乗ると、頭の方へと電磁走行で移動した。
「かあー、さすがにでかいなあ。
これが伝説の巨獣、魔物って奴なのか。
俺なんか蚤より小さい扱いなのかもしれんな。
こいつが1.6メートルくらいの人間サイズなら一メートルが0.8ミリ見当ってところなんだろうからなあ」
ジズの上では奴から見た米粒よりも小さいだろう俺の事を、奴は気にも留めていないようだった。
テレパシーには反応しちゃうくせにな。
いちおう、気休めの『軽い隠密』をかけてみたが、こいつは図体がでかいので、俺が上に乗ってしまっても気にもしていないようだったからあまり意味はないのかもしれない。
電荷をかけて空気の粒子を操り、凄まじい風圧と鼓膜を圧迫する気圧差のような物を排除する。
呼吸も支障がないようにした。
テレパシーで奴の飛行速度も落とさせてある。
こういうところは言う事を聞いてくれるんだけど完全撃退は出来ないようだった。
「まるで、俺がこいつを乗り回しているみたいだな。
昔、何かのアニメかマンガなんかで、小さくなった登場人物が頭に乗った犬とか野良猫を乗り回すようなシーンがなかったかな。
俺の場合は、さしずめ頭の上から宿主を操る寄生虫ってところかね」
そして頭の上から直接、そいつを誘導する。
空から見える、下に人のいない場所へ向けて。
そして試した、強力なヒュプノの直接攻撃を。
「ジズ、我が支配を受け入れるがいい、暗示支配ヒュプノ・ドミネイション!」
だが、奴は俺のヒュプノによる支配を完全に受け入れずに頭を振り上げながら奇声を上げた。
俺は衝撃に思いっきり吹き飛んでいってしまった。
一瞬空中で、旋回Gに耐えられなかった戦闘機パイロットのようにブラックアウトしてしまった。
そして無事に蘇生した。
「うわあ、耳があ。
くそ、今の衝撃と声は周囲の大気を操っていなかったらヤバかったな。
それに思いっきり頭を振りやがって。
念のために電磁バリヤーなんかも張っておいて助かった」
幸いにして、あれこれと研究していた防御力のお蔭で、なんとか無事だった。
風圧も電磁バリヤーがかなり防いでくれた。
「ようし、もう一回チャレンジ。
今度はこいつでどうだ」
俺は警戒して、奴の頭は避けて背中に舞い降りると腰の魔法剣を突き刺した。
「ヒュプノ・ドミネイション・ダイレクト。こうなりゃ直接ヒュプノをお前の体の中に流し込んでやる」
羽毛が厚くて直接肉までは刺さらなかったが、羽毛も肉体の一部なのだ。
だがゼロ距離から仕掛けられるのならいいのさ。
しかし奴は暴れ、抵抗し俺は振り落とされた。
「くそう、やっぱり手強いな。
だが、さすがにこいつを仕留め切るのは難しい。
なんとかして俺のヒュプノの支配下に置く他ないと思うのだが」
こうしている間にもテレパシーで牽制し、帝都に戻らないように精神攻撃している。
動物とは結構練習してきたのだ。
姫様と一緒に、いっぱい可愛い犬なんかをもふもふしたし。
「よし、いくらかダメージを負わせて弱らせてみるか。
下手に半端な攻撃を仕掛けて手負いになったら始末に負えないが、こうしていても仕方がない。
こいつは帝都を攻撃するように強い指令を受けているのだろう。
近くからテレパシーで指示を出せば一時的に従うが、そんな程度では、あっという間に呪縛は解ける。
せっかく人気のないここへ誘導したのだ。
ここなら落とした衝撃も帝都には届かない。
やるしかあるまい」
俺は思いっきり離れた。
奴をテレパシーで牽制しながら。
「頼むから暴れないでいてくれよ。
では行こうか。
今の俺が放てる最高レベルの電撃衝撃波を」
情け無用、遠慮なんかしていてなんとかなるようなサイズではない。
俺は射程ギリギリまで、上空二万メートル付近まで上昇した。
そう、大地に帯電させ、奴を挟んで上から電撃を撃ちおろすために。
まさに今の俺こそは『雷様』そのものだった。
あの背中に背負う雷太鼓、今度作らせてみるか。
日本で生きていたグラッセルの奴なら爆笑して作ってくれるかもしれない。
同時に虎のパンツの衣装を履かされてしまいそうだけど。
テレパシーの牽制で動けない的に向けて、それはまるで福音書に登場する、古代の『神の塔』を破壊したあの雷の如くに撃ちおろした。
なんというか、体中の穴という穴からパワーが溢れ電撃が迸ったような、そんな感覚が俺を貫く。
魔法剣に纏わせた、この俺という電気体質人間の人生で最強最大のエネルギーを放った。
むろん、自分の周りには音波も衝撃波も絶対に通さない超電磁バリヤーを張り巡らし、周囲の大気も完全にコントロールしていた。
こういう、一種の『ながら作業』が可能なように一番しっかりと練習していたのだ。
それは電磁バリヤーで大きく遮られたはずの光量でも目を焼き、その大気を焼いて加熱した事による体積の膨張が、凄まじい音響と衝撃で電磁バリヤーを撃ち、大幅に減衰されながらも押し寄せて耳を劈いた。
その巨大な柱たる電光は極太で歪な光の柱で、その全長をキロメートル単位で表される怪物を穿った。
そして雷撃は、その魔物の全身を奔り、まるで貫通したかのような趣で、それは大地へと吸い込まれていった。
この世界で有史以来もっとも激しいアースであったのではないだろうか。
ジズの体中に紫電が走り奴は落ちた。
怪物はテレパシー誘導で高度五百メートルまで下げられていたが、そのまま全身から黒い煙を噴きながら、一気に墜落していき大地に激しいキスの音を響かせた。
これまた凄まじい衝撃が大地に奔る。
ちょっとした地震並みだぜ。
あそこの上にいなくてよかった。
さしもの怪鳥も、福音書に登場する神の怒りに触れたかのように、ついに空から叩き落とされたのだった。
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