外れスキル【レバレッジたったの1.0】を進化させ、俺はエルフ聖女と無双する ―冒険者パーティ追放勇者、バージョンアップの成り上がり―

緋色優希

文字の大きさ
21 / 169
第一章 外れスキル【レバレッジたったの1.0】

1-21 四階層のザマア

しおりを挟む
 連中から巻き上げた現在の所持金が金貨百二十枚を超えた。

 俺は手持ちの金貨を全部払ってこの槍を入手したので、持っている金貨は全部奴らから召し上げたものだ。

 これ、本当に貰っちゃっていいのかな。
 まあ、襲ってきた剽盗ひょうとう共から逆に奪い取った物だしなあ。

 こういう物は大概の場合、正当に取得を認められる。
 俺が自分から進んで略奪した訳じゃあないし、まあいいか。

 連中だって、中級冒険者チームで襲撃したのに初心者一名を相手に返り討ちに遭ったなんていったら格好がつかないだろうし、絶対に人には言えまい。

 そしてブーツの上から装着する足を守る防具と、下層魔物の堅い革及び、強くて軽い特殊な防具用の金属で出来た丈夫な籠手が手に入った。

 俺は、さっそくそいつを装着して具合を確かめる。

 幸いな事にそれは簡易なサイズ調整機能付きの汎用サイズで、俺が使用しても簡単な調整でぴったりと装着できた。

 そして、二階層でも上の階層と同様の騒動が巻き起こった。

 ここでは中級冒険者が五組、そしてバージョン3・8へのスキル上昇のおまけ付きで追加の金貨が百枚ほど手に入り、合計で金貨は二百二十枚になった。

 この階層の魔物コボルトが、俺達の激しい戦闘の巻き添えを食って、キイキイ言って猿のように逃げ惑っていた。

 あれは、さすがに気の毒という他はないが、俺の進路を塞いだ奴らは遠慮なくブーツの先で蹴散らした。

 ここで革のヘルムを入手して装着する。
 戦えば戦うほど俺の防具が充実し、更に戦闘力も上がっていく。

 こうなりゃあ、とことんやってやろうじゃないか。

 お互いに負けたら何もかも奪われて、すってんてんになる鬼ルールの鬼ごっこだ。

 こいつはもう運否天賦のゴミ同士の底辺勝負……あのサイコロだけは絶対に使っちゃいけねえシーンだな。

 そして、三階層でもまた五組が襲ってきて、バージョン3.9になった。

 あと一息でバージョン4.0だなあ。
 また何かいいスキルが手に入るだろうか。

 こいつらは先んじてこの階層までやってきている手練れのせいなのか、結構金持ちだった。

 金貨二百枚を戦果に追加っと。
 これで金貨の合計は四百三十枚か。

 ずっしり重いので俺の動きが鈍りそうなほどだが、さすがにこれだけは捨てないぜ。

 おまけに今度はミスリルの長剣をもう一本追加できた。
 今まで使っていた鋼の剣は予備武装として背中に背負う。

 今回入手したミスリル剣の重さや重心を確認したが、そう違和感はないのでよかった。

 むしろ鋼よりも軽いため斬撃の速度は増す。
 そして当然よく斬れる。

 これがミスリルのいいところだ。
 少々乱暴に扱っても壊れないし。

 もっとも、甘く見ていると後で整備費に泣く羽目になるのだが。

 うん、今日も悪くない稼ぎだ。
 って、そうじゃないだろう。

 ここまでの三階層だけで中級冒険者十六パーティから襲撃を受けたんだぞ。
 どいつもこいつも、ふざけやがってー!

 だが、ここまで来る間に俺はある事をやっていたのだ。

 そして後ろから、気絶から復活して自分達の方が装備も金も剥ぎ取られていた事に気がついた、追い剥ぎ稼業中の冒険者連中は必死な形相で追いかけてきていた。

 何しろ全財産を奪われたからな。
 この手の怪しげな奴に限って、協会に金を預けていたりはしないものだ。

 各種の悪事が露見して、被害者への賠償用に、協会へ預けていた金を没収されたりすると嫌だからな。

 他の組織も信用していないらしいし。

 ここが一番面倒な部分なのだが、さすがにダンジョンの中で縛っておくと魔物にやられる奴なんかもいるので、後で問題になるといけないので気絶させて転がしておくだけだ。

 残りの奴らも後で起き上がってきたら、もう後には引けないので絶対に死に物狂いで追いかけてくるだろう。

 その人数がなんといっても問題なのだ。
 まったくもって面倒な事だが、降りかかる火の粉は払わせてもらうぜ。

「これでやっと一息つけるな」

 俺はオークのいる五階層に入ってから装備の確認をした。
 ここはまた広めの洞窟タイプだ。

 割と広めのホールなんかもあるので、パーティでの戦闘はそういう場所で行う事が多い。

 こういった地理を把握しておくのは冒険者にとって基本だ。

 今いるここは五階層に下りてすぐのエントランスホールで、比較的警戒はしやすい場所だった。

 通常、四階層の魔物はここへはやってこないのだ。
 五階層へ初めて来たパーティなんかは、ここがお試しゾーンになる。

 四階層は特殊な階層なので、さすがにあそこでの待ち伏せはなかった。

 この五階層にも敵がいそうだよな。

 ここまでの戦利品は金貨四百三十枚と、ミスリルの長剣が一本にミスリルのショートソードが一本、そしてミスリルの短剣が一本あった。

 魔石多数に高価な上級のポーションが二十本に毒消しのポイズン・ポーションが三十本と。

 おお、連中から奪っておいた背嚢一つが、魔石やアイテムでほぼいっぱいだぜ!

 そしてここで俺はニヤリっと笑った。
 アイテムの中に『毒虫除け』が八十個ほどある。

 これは一つ残らず全部奪っておいたのだ。
 毒消しポーションと合わせて。これが俺の企んでいた策だった。

 上階から聞こえてきた悲鳴に俺は思わずほくそ笑んだ。

「ざまあ。
 欲の皮をつっぱらせたからそうなるんだ。

 四回層、猛毒蜂のゾーンに突っ込む前に毒虫除けや毒消しのチェックを忘れるとは、新人にも劣る馬鹿どもめ。

 連中も相当頭に来ているから、そうなっているだろうなとは思っていたのだが、これまた案の定だ」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

掘鑿王(くっさくおう)~ボクしか知らない隠しダンジョンでSSRアイテムばかり掘り出し大金持ち~

テツみン
ファンタジー
『掘削士』エリオットは、ダンジョンの鉱脈から鉱石を掘り出すのが仕事。 しかし、非戦闘職の彼は冒険者仲間から不遇な扱いを受けていた。 ある日、ダンジョンに入ると天災級モンスター、イフリートに遭遇。エリオットは仲間が逃げ出すための囮(おとり)にされてしまう。 「生きて帰るんだ――妹が待つ家へ!」 彼は岩の割れ目につるはしを打ち込み、崩落を誘発させ―― 目が覚めると未知の洞窟にいた。 貴重な鉱脈ばかりに興奮するエリオットだったが、特に不思議な形をしたクリスタルが気になり、それを掘り出す。 その中から現れたモノは…… 「えっ? 女の子???」 これは、不遇な扱いを受けていた少年が大陸一の大富豪へと成り上がっていく――そんな物語である。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

(更新終了) 採集家少女は採集家の地位を向上させたい ~公開予定のない無双動画でバズりましたが、好都合なのでこのまま配信を続けます~

にがりの少なかった豆腐
ファンタジー
突然世界中にダンジョンが現れた。 人々はその存在に恐怖を覚えながらも、その未知なる存在に夢を馳せた。 それからおよそ20年。 ダンジョンという存在は完全にとは言わないものの、早い速度で世界に馴染んでいった。 ダンジョンに関する法律が生まれ、企業が生まれ、ダンジョンを探索することを生業にする者も多く生まれた。 そんな中、ダンジョンの中で獲れる素材を集めることを生業として生活する少女の存在があった。 ダンジョンにかかわる職業の中で花形なのは探求者(シーカー)。ダンジョンの最奥を目指し、日々ダンジョンに住まうモンスターと戦いを繰り広げている存在だ。 次点は、技術者(メイカー)。ダンジョンから持ち出された素材を使い、新たな道具や生活に使える便利なものを作り出す存在。 そして一番目立たない存在である、採集者(コレクター)。 ダンジョンに存在する素材を拾い集め、時にはモンスターから採取する存在。正直、見た目が地味で功績としても目立たない存在のため、あまり日の目を見ない。しかし、ダンジョン探索には欠かせない縁の下の力持ち的存在。 採集者はなくてはならない存在ではある。しかし、探求者のように表立てって輝かしい功績が生まれるのは珍しく、技術者のように人々に影響のある仕事でもない。そんな採集者はあまりいいイメージを持たれることはなかった。 しかし、少女はそんな状況を不満に思いつつも、己の気の赴くままにダンジョンの素材を集め続ける。 そんな感じで活動していた少女だったが、ギルドからの依頼で不穏な動きをしている探求者とダンジョンに潜ることに。 そして何かあったときに証拠になるように事前に非公開設定でこっそりと動画を撮り始めて。 しかし、その配信をする際に設定を失敗していて、通常公開になっていた。 そんなこともつゆ知らず、悪質探求者たちにモンスターを擦り付けられてしまう。 本来であれば絶望的な状況なのだが、少女は動揺することもあせるようなこともなく迫りくるモンスターと対峙した。 そうして始まった少女による蹂躙劇。 明らかに見た目の年齢に見合わない解体技術に阿鼻叫喚のコメントと、ただの作り物だと断定しアンチ化したコメント、純粋に好意的なコメントであふれかえる配信画面。 こうして少女によって、世間の採取家の認識が塗り替えられていく、ような、ないような…… ※カクヨムにて先行公開しています。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

処理中です...