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第一章 外れスキル【レバレッジたったの1.0】
1-30 決着
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多くの毒を持つ魔物と戦った経験の豊富な上級冒険者は、様々なタイプの毒に対しても強い耐性を築き上げている。
ましてやこの先輩みたいに殺しても死にそうにないような、そんな特別な冒険者が少々の毒なんかで倒れるはずがない。
つまり、それは途轍もない威力を持った、ダンジョンの敵と見做された敵を倒すための超激烈な猛毒であり、そいつを俺みたいな新人の初級冒険者なんかが食らったらイチコロの、それはもう素晴らしい効果をもたらすだろう『偉力』があるという事だ。
俺は震えながらも思わず先輩に駆け寄ったが、彼は蒼白な表情でニヤリっと笑って、震える手の最後の力を振り絞って槍を俺に手渡した。
それは俺を襲う、奈落にも達するほどの絶望だった。
踏破者たる上級冒険者すら倒した怪物とやりあわねばならない試練、その向こうにしか俺が向かえる生への扉がないという事なのだから。
「先輩。
お、俺にあいつをやれっていうの~」
「死にたくなかったら、お前の自慢のスキルでなんとかしてみせろ。
俺は最期にあれだけの敵とやりあえて満足だった。
お前を食えなくて残念だったがな」
うーん、こんな事を言っている人が、くたばってくれるのはありがたいのだが、それよりもっと危ない奴がまだ残っている。
いっそ俺みたいな雑魚は見逃してくれないかなとか思ったのだが、どうやらそいつは無理なようだった。
「はよかかってこんかい、小僧」
そう言いたそうな感じに、彼は大人しく伏せの姿勢で『お代わり』を待っていた。
やっぱり、こいつもバトルジャンキーなのだ!
俺は仰向けに起き上がらせた先輩に、無理やりにポーションと毒消しのポイズン・ポーションを半開きになった瀬死の口に流し込むようにして飲ませると、やけくそで叫んだ。
「ちくしょう。
やりゃあいいんだろ、やりゃあ。
【マグナム・ルーレット】【神々の祝福】」
そして、俺はまだ神に見放されていなかった。
この土壇場の大ピンチの中、マグナム・ルーレットは奇跡的に六を叩き出す。
そして神々の祝福の効果なのか、奴の体が虹色に輝いていた。
そして、あの糞和朗の怪物め。
俺に向かって、遠慮のえの字もなくあの地獄の劫火のようなブレスを吐こうとして……なんと吐けなかった。
信じ難い事態に驚愕して、一瞬動きを止めた奴。
その隙を見逃さずに、俺は三十倍にブーストされた脚力を頼みに助走抜きでその場で飛び上がり、ダンジョンの天井を蹴って奴の死角から、まだ衝撃から立ち直れずに硬直しているそいつの弱点、首に槍をぶち込んだ。
三十倍にブーストされた俺の素早さは、かろうじてそれを成し遂げた。
俺は、あの先輩が最後に放った彼のスキルを【一瞬だけスキルのコピー】でパクっておいたのだ。
だがタイムラグがあるので、こいつを丸々十分は使用できない。
早期に決着をつけないと俺は確実に死ぬ。
俺は一気に決めるべく、そいつを5×6で三十倍のパワーにより、一切の遠慮なく奴の弱点と思われる首に全力で叩き込んだのだ。
俺の力も三十倍、先輩のあのなんだかよくわからないが超強力なスキルも三十倍なのだ。
派生スキル神々の祝福は奴の能力を封じ、おまけに体も弱らせてくれていたようだ。
それは強烈無比のブーストを受けた、あの先輩のスキルにより、鮮烈な光と共にまるでバターを切るかのように柔らかくその猪首を切断して、奴はそこから光る白い球を吐き出した。
それは噂に聞く魔核というものだろう。
そいつのような強大な魔物のみが持つ特別な物だ。
それは三十センチくらいありそうな、野郎の身体の割には相当でかい物だった。
そして首を落とされたので、そいつはどうやら絶命したようだったが、まだだ。
あの破天荒なほどの再生力を知る俺は、スキルの効果時間が切れてしまう前に、その魔核を遠くへ蹴り飛ばしてそいつの周りから体が再生しないように計らってから、更にスキルを叩き込んでバラバラにしていった。
奴を完全に百個以上に分解しても再生が始まらないのを確認し、俺は借り物のウルトラスキルが時間切れで消滅していくのを感じて、ようやく槍を支えに荒い息のまま膝を着いたのだった。
ましてやこの先輩みたいに殺しても死にそうにないような、そんな特別な冒険者が少々の毒なんかで倒れるはずがない。
つまり、それは途轍もない威力を持った、ダンジョンの敵と見做された敵を倒すための超激烈な猛毒であり、そいつを俺みたいな新人の初級冒険者なんかが食らったらイチコロの、それはもう素晴らしい効果をもたらすだろう『偉力』があるという事だ。
俺は震えながらも思わず先輩に駆け寄ったが、彼は蒼白な表情でニヤリっと笑って、震える手の最後の力を振り絞って槍を俺に手渡した。
それは俺を襲う、奈落にも達するほどの絶望だった。
踏破者たる上級冒険者すら倒した怪物とやりあわねばならない試練、その向こうにしか俺が向かえる生への扉がないという事なのだから。
「先輩。
お、俺にあいつをやれっていうの~」
「死にたくなかったら、お前の自慢のスキルでなんとかしてみせろ。
俺は最期にあれだけの敵とやりあえて満足だった。
お前を食えなくて残念だったがな」
うーん、こんな事を言っている人が、くたばってくれるのはありがたいのだが、それよりもっと危ない奴がまだ残っている。
いっそ俺みたいな雑魚は見逃してくれないかなとか思ったのだが、どうやらそいつは無理なようだった。
「はよかかってこんかい、小僧」
そう言いたそうな感じに、彼は大人しく伏せの姿勢で『お代わり』を待っていた。
やっぱり、こいつもバトルジャンキーなのだ!
俺は仰向けに起き上がらせた先輩に、無理やりにポーションと毒消しのポイズン・ポーションを半開きになった瀬死の口に流し込むようにして飲ませると、やけくそで叫んだ。
「ちくしょう。
やりゃあいいんだろ、やりゃあ。
【マグナム・ルーレット】【神々の祝福】」
そして、俺はまだ神に見放されていなかった。
この土壇場の大ピンチの中、マグナム・ルーレットは奇跡的に六を叩き出す。
そして神々の祝福の効果なのか、奴の体が虹色に輝いていた。
そして、あの糞和朗の怪物め。
俺に向かって、遠慮のえの字もなくあの地獄の劫火のようなブレスを吐こうとして……なんと吐けなかった。
信じ難い事態に驚愕して、一瞬動きを止めた奴。
その隙を見逃さずに、俺は三十倍にブーストされた脚力を頼みに助走抜きでその場で飛び上がり、ダンジョンの天井を蹴って奴の死角から、まだ衝撃から立ち直れずに硬直しているそいつの弱点、首に槍をぶち込んだ。
三十倍にブーストされた俺の素早さは、かろうじてそれを成し遂げた。
俺は、あの先輩が最後に放った彼のスキルを【一瞬だけスキルのコピー】でパクっておいたのだ。
だがタイムラグがあるので、こいつを丸々十分は使用できない。
早期に決着をつけないと俺は確実に死ぬ。
俺は一気に決めるべく、そいつを5×6で三十倍のパワーにより、一切の遠慮なく奴の弱点と思われる首に全力で叩き込んだのだ。
俺の力も三十倍、先輩のあのなんだかよくわからないが超強力なスキルも三十倍なのだ。
派生スキル神々の祝福は奴の能力を封じ、おまけに体も弱らせてくれていたようだ。
それは強烈無比のブーストを受けた、あの先輩のスキルにより、鮮烈な光と共にまるでバターを切るかのように柔らかくその猪首を切断して、奴はそこから光る白い球を吐き出した。
それは噂に聞く魔核というものだろう。
そいつのような強大な魔物のみが持つ特別な物だ。
それは三十センチくらいありそうな、野郎の身体の割には相当でかい物だった。
そして首を落とされたので、そいつはどうやら絶命したようだったが、まだだ。
あの破天荒なほどの再生力を知る俺は、スキルの効果時間が切れてしまう前に、その魔核を遠くへ蹴り飛ばしてそいつの周りから体が再生しないように計らってから、更にスキルを叩き込んでバラバラにしていった。
奴を完全に百個以上に分解しても再生が始まらないのを確認し、俺は借り物のウルトラスキルが時間切れで消滅していくのを感じて、ようやく槍を支えに荒い息のまま膝を着いたのだった。
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