外れスキル【レバレッジたったの1.0】を進化させ、俺はエルフ聖女と無双する ―冒険者パーティ追放勇者、バージョンアップの成り上がり―

緋色優希

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第一章 外れスキル【レバレッジたったの1.0】

1-79 ドラゴンスレイヤー×21(ソロ)

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「この糞ドラゴンのお蔭で酷い目に遭ったな。
 もう、一匹残らずぶっ殺す。
 俺が一人で戦うんだから、ドラゴンは全部俺がもらうからな~」

 そして俺はさっきのドラゴンが大人しく蹲っているところへ駆けて、首に何度も斬りつけてのたうつ奴の首を落とした。

 いや固かったな。
 先輩なら、あのスキルを纏わせた素手の一撃で叩き落として、「ドラゴンって、意外と柔らかいな」とか言うのかね。

 それから、そのまま遅滞なく聖都の街を駆けた。

 そして人のいなそうな広場っぽい感じの場所で、中央にあった少し高台になった石造りの建物の上に、壁のとっかっかりを適当に梯子して駆け登り、その広めの平屋根に飛び乗った。

「おーい、蜥蜴どもー。
 俺は、勇者リクルはここだああ」

 姐御に教わった、魔力を乗せた声によるヘイトコントロールの、いきなり実戦における実践だ。

 仲間をやられて怒り狂った蜥蜴どもは、わらわらと一気に集まってきた。

「うひょー、こりゃまたいっぱいいるな。
 なあ、姐御達も来てくれてもいいのよ」

 だが、振り返っても彼らは一向にやってくる気配すらない。

「あいつら本当にスパルタだよな。
 もういい加減にしてほしいもんだが」

 そして、数えてみたら全部で二十一匹いた。
 ドラゴンのバーゲンセールか。

 小さい奴で十五メートル、大きい奴で三十メートルっていうところか。

 さっきの奴はドラゴンとしては中型クラスくらいのサイズなのか。

 とにかく数を集めてブーストして一気に片付けないと、ルーレットの六が出るとクールタイムが厳しいからな。

 そして、俺にはこの局面で多分六が出せるはずだ。

「かかってこい!
 俺が勇者リクルだあ~」

 俺は連中が数を頼みに全員集まるまで待機していたので、思わずほくそ笑んだ。

 さあて、今からは勇者の時間だ。

「【マグナム・ルーレット】、そして【神々の祝福】【祈りの力×x】【スキル封印】【冒険者金融】」

 そしてサイコロの目は六。
 俺の身体は眩しく白い聖光に耀き、奴らの方は虹色の光に包まれた。

 そして、奴らは一斉にブレスを吐こうとして、火を噴けなくて驚愕していた。

 スキル・ドラゴンブレスは厳重に封印してやったからな。

 冒険者金融は姐御の力を借りて魔力を増幅してやったのだ。

 俺が放つスキルに魔力自体は不要なのだが、パクったベースとなる魔法やスキルなんかをあらかじめ姐御の規格外の魔力を使って底上げしておけるのだ。

「はっはあ、いつか見たような光景だなあ。
 じゃあ、お返しするぜ。

 さきほど【一瞬だけスキルのコピー】でパクっておいた、お前らの特技をよ。

 聖女の魔力による補正付きのドラゴンブレスに、更にレバレッジ10.0×サイコロ六倍×攻撃力補正二倍で百二十倍ブーストをかけた奴でなあ」

 そして、奴らはスキル・ドラゴンブレスを封じられ、無防備な的と化していた。

 もちろん、奴らは一頭残らず『虹色の光』を纏っていた。

 莫大な信仰の力を乗せた、その渾身の送り火。
 それこそはまさに聖なる地獄の劫火だった。

 舐め回すように丁寧に焼かれたすべてのドラゴン達は焼けた骸と化し、瞬く間に俺は勝利した。

 運よくバーベキューから逃れ、そのまま逃げようとした奴も捕捉し、ブーストした上に絞り込んだスーパー・ドラゴンブレスの狙撃で撃ち落とした。

 時間内なら何度でも連発して撃てるのが俺のスキルのいいところ。

 その代わりに時間切れになったら、ルーレットの出目が六の場合は一時間もの地獄のクールタイムが待っている。

「ちぇっ、あれだけいたら11. 0までバージョンアップするかと思ったのに、10.8どまりだったか。

 まあ全部倒せたんだからいいかな。
 あれで死んでいない奴がいたら事だから、止めを刺して回るとするか」

 俺はまだブスブスと半ば燃えているドラゴンの首を落として回った。
 百二十倍ブーストの力で魔法の槍を振るい、叩き落としまくった。

 切れ味もアップされている付与武器は、世界で最高の鍛冶師によって整備されたばかりだったので苦も無くドラゴンの骸の首を残らず落とした。

 ドラゴンどもは一頭残らず、俺の鬼畜な威力のブレスで全部きっちりと死んでいた。

 生きて抵抗している奴らと違い、焼かれて力なく屍を晒す者の首は容易く落ちた。

 そして、いつの間にかやってきていた先輩から声がかかる。

「やあ、君がまた美味しくなったみたいだね。
 それも俺との特訓のお蔭かなあ」

「なんだ、先輩。
 いたんなら少しくらい手伝えよ。
 せめてスキルを寄越すとかさ」

 だが彼はチッチッチと人差し指を振ると、また例の狂気を目に宿し、妖しい顔で俺を見ながら嗤う。

「だって、そんな事をしたら君が美味しくならないだろう。
 でもまだ俺が割合と楽に殺せちゃうかなー。
 ああ、獲物が一番美味しいところの見定めが実に難しいなあ」

「ちっ、今のうちに言ってろよ、先輩。
 そのうちに一気に追い越してやるからよ」

「それくらいの活きのいい獲物じゃないと食べ応えがないじゃないか。
 楽しみしているから絶対に期待を裏切らないでおくれよ」

 こ、この糞ったれ落胤が。
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