外れスキル【レバレッジたったの1.0】を進化させ、俺はエルフ聖女と無双する ―冒険者パーティ追放勇者、バージョンアップの成り上がり―

緋色優希

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第二章 バルバディア聖教国モンサラント・ダンジョン

2-81 勇者リクルの華麗な? 生活

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 そして、俺は日々宝箱捜索に精を出し、稀に出現する古代の正体不明の遺物を持ち帰ってきては街の重鎮やエルバニッシュ導師様なんかの頭を悩ませる。

 どうして俺が宝箱を開けると、そういうおかしな物体が大量に現れるものなのか、この俺本人にもさっぱりとわからない。

「姐御、昔の勇者もこうだったの?」


「うーん。
 お前のように奇天烈なスキルを持っていた奴は一人もいないからなあ。

 みんな、それなりの立派な勇者だった」


 おい、それはどういう意味なのかな?

 俺の事を勝手に勇者呼ばわりしていたのは、確かあんただったと思うのだが。

 俺なんか、ただの農民上がりの新人冒険者に過ぎないのだから。

 王様だかなんだかのくせに、このイカれた英雄姫と一緒に邪神を相手にしていたような、先輩の先祖がちょっと頭の構造とかおかしいだけなのである。

 まさにクレジネス王家だ。

 たまの休みにはリナと一緒に聖山登りをやっている。

 彼女も結構優秀なので、九十九折コースではなく、自前の足を使った『直進コース』をほどなくマスターした。

 武闘家の免許皆伝スキルによる体力ブーストもあるのだし。

 元々彼女は魔法も器用で、風魔法で高山でも楽々呼吸できるし、暖房魔法も苦も無くマスターした。

 風魔法を用いてのブースト・ジャンピング登山も鼻歌でこなすのだ。

 彼女は新魔法の習得も早く、魔法の適性も広い。

 その代わり、結構器用貧乏なのだが、大概の事は簡単にこなす。

 彼女が覚えた魔法は俺も習得させてもらえるので助かる。

 水芸や火を使った大道芸は俺達の得意技だ。
 今では聖山名物の大道芸コンビだ。

 大道芸の道具もきちんと揃えてみた。
 時折、孤児院で慰問公演として披露させていただいている。

 共生労働に励まされている冒険者達の行う宴会などでも芸を磨いているのだ。

 生まれ故郷の村へのいい土産が出来たなあ。
 娯楽なんか何にもない村なのだし。

 こいつは俺の兄弟姉妹にも是非伝えたい技だった。

 そのうちに姉夫婦にも子供が生まれるだろうし。

 いや、村にいた頃にもう生まれそうだったから、俺もとっくの昔に叔父さんになっているはずなのだった。

 のんびりと山を登って、七合目の日替わり限定ランチに並び、万年雪が眩しい頂上まで行って早春の季節の雪合戦を楽しみ、収納にバニッシュ用のお酒に使う氷雪を採集し、五合目で土産の団子をたくさん買って帰るのがデートコースだった。

 このデートコースについてこれる女性は、俺の知る限りでは他には姐御とエラヴィスにマイアの三人くらいだろう。

 さすがに、いくら美人といえどもあの三人をデートの相手に指名するのは辛い。

 姐御とエラヴィスはともかくとして、あのマイアだけは今も謎の人なのだが。

 そのうちには王都から援軍がやってくる事だろう。

 数々の異常事態が頻発したので、王国も聖都警護の軍勢を第二王子と共に派遣する事になった。

 通常は聖教国の主権を重んじて、また各国の手前もあるので、そういう事は無しにしてあるのだが、今回は聖教国からも応援を要請しているので各国も文句は言わない。

 さすがに『有事』ではないので周辺国も軍勢は送ってきていない。

 各国の視察の役人は、王都の大使館から第二王子様と一緒にやってくる模様だが。

 この街で有事というのは『邪神出現』を意味する世界の破滅に等しい事なので、今は資金の拠出と視察のみに留めるようだ。

 とりあえずは街の修繕の応援からだな。

 うちのラスターやナッパーどもに王国の兵士が頭を叩かれるような事にならないのならよいのだが。

 彼らも、そういう作業はさほど慣れていない仕事だろうからな。

 巨大な生ける建設機械のような大蜘蛛モンスパーを見て、彼らは何というものだろうか。

 姐御も今から頭が痛いようだが、あれを抜きにしての復興は考えられないと言われるくらいの素晴らしい働きぶりなので、もう開き直っているようだ。

 それに姐御ったら、こんな事を言うんだ。

「リクル、もう少しあの大蜘蛛を増やせんか。
 最近は雑魚しか捕まえてこないではないか」

 あのなあ。
 その大蜘蛛のせいで、今この聖都がこうなっているのだが。

 大体、どこにいるんだよ、あんな物が。

 とりあえず、数々の凶兆が天下のバルバディア聖教国を駆け抜けたのだが、俺達の生活にはそれほど関係ない。

 今も俺の後ろから華やかにガールフレンドから声がかかった。

「リクル、今日はどこに遊びに行く~?」


「そうだな、ちょっと遺跡の下の方まで探検にいかないか?
 
 宝箱を沸かすので手いっぱいで、下までなかなか行けないからさあ」


「賛成!」

 そして今日も俺達は平常運転で『おいた』を楽しみにするのであった。
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