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第一章 幸せの青い鳥?
1-41 聖水化作業
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あれからベロニカさんのお代わりは、これもまた作り方をおぼえてもらった騎士団の料理長へ外注に出し、その間にドクター・ペラミスを呼んで聖水製作の準備をしてもらった。
私の回復魔法について王家で知っているのは、リュールさんから報告を受けている王太子殿下だけだ。
はっきり言って、あちこちにバレたら幽閉物のヤバイ案件だからなあ。
王太子殿下は、そのあたりの事をよくわかってくれている。
「ふう、やっと聖女業務にかかれるなあ」
「いつもすまないな」
「それは言わない約束でしょう、王子様~」
その意味がよくわからないなりに、そういうお約束的な会話にも特に突っ込まずに笑顔を返してくる、この人の技量には本当に感心する。
こういう腹芸みたいなものは、あのイケメン弟には無理そう。
あの人って平気で突っ込んでくるから、迂闊にボケると後始末が大変だ。
「さて、では始めようか。
まさかこの私が、あのうんざりするような封印案件扱いの、究極回復魔法聖水化の手伝いをする羽目になろうとはなあ」
「仕方ないでしょ、ドクター。
王太子殿下がご所望なんだから。
魔力はいっぱいあるんだから、予備もそれなりの数を作っておくわよ。
ガラス瓶はありったけ用意してね。
私の収納に仕舞っておくから」
「よろしく頼む。
費用は全額王宮へ私宛で請求してくれ。
まったく、あの不肖の半弟と来た日には困ったもんだ」
「ねえ王太子殿下。
こういうのって、いつまで続くんでしょうかねえ」
「さあなあ。
私が王位を継いだとて、あれは私の命を狙い続けるだろうしなあ」
「うわあ、さすがにウンザリしちゃいますねー」
しまいに殺されちゃいそうだな、あの第二王子。
というかそいつの方が、ただいま絶賛、兄である王太子を暗殺しようと頑張っているのだが。
基本的に王位を争う関係の兄弟は殺し合いとなるは必至。
周りが必死で担ぐからねー。
王様本人だって、酷い病気になって王様業務が出来なくなるなどの状態に陥ると『王権を守るために』家臣に殺されてしまう事さえあるのだ。
王位を継いだ者が、対抗勢力の兄弟を抹殺するのも世の中ではよくみられる現象だ。
そうしないと、相手が野心家だと自分が殺されるから。
ああ、やだやだ。
「よし、サヤ。
準備はいいぞ。
何の魔法をやる?」
「そうですね、ドクター。
まず定番のエクストラ・ヒール、こいつはまずパナシーアタイプを用意しましょう。
毒よし、また剣で斬られたり矢で射られたり、あるいは火で焼かれても大丈夫みたいな」
「なかなか物騒な話だな。
だが、そういう物って威力が落ちたりしないのか?」
「さすがは王太子殿下、ご明察。
たぶん、数分の一に性能は落ちるでしょうけど、元が凄い性能だからきっと大丈夫。
念のため、今一番懸念されている解毒の性能は落とさない、専用のポイズン・ヒール聖水は別で作りましょう」
「それで頼む」
「あと、エリクサー・エクスペリエンスも用意しましょう。
これはエリクサー相当の蘇生魔法ですから」
「あ、ああ。
お前、もう何でもありだな」
「そしてリジェネート・エクスペリエンス、持続回復魔法はどうしましょう。
敵からのダメージを常時無効化していくもので、戦闘中にかなり不死身化するものです。
十人くらいの刺客に一方的に切りつけられまくるような時に有効じゃないですかね」
「うーむ、あまり嬉しくない魔法だな」
「そこはまあ死ななければ、数で劣勢でもきっと最後には勝てます。
斬られまくりで、滅茶苦茶に痛すぎますけどね。
かなり鬼畜な魔法で、死んだ方がマシと思えるかもしれませんが、そこは王太子様なら根性で頑張って耐えましょう。
効果時間は不明ですので、使用した場合は(モルモットとして)アンケートにご協力願います」
「お前なあ。
俺がそういう状況になるのが使用の前提条件にあるんだな!
一応、そいつも貰っておこう。
お前の話を聞いていると、だんだんと心許なくなってきた」
「あと、ホーリー・エクスライト。
これは集団の全回復だそうです。
すべての身体的精神的異常を完全回復します。
味方が壊滅して全員が倒れてしまったような場合に有効かな。
これがないと、あなたにリジェネート・エクスペリエンスの出番が回るかも。
またアンデッド系の魔物に食らわせると一気に広範囲の魔物を壊滅させられますから、そういう危ない刺客が襲ってきても大丈夫!」
「結局全部要るんじゃないかー!」
「あなた、どれだけ命を狙われているんですか。
確か、毒殺だって言ってましたよね?」
「毒殺だけという保証はどこにもない。
毒殺が手っ取り早く、また有効な手段であるというだけで。
そろそろ、毒殺から次の手段に切り替わる頃かもしれん」
「今、あなたの傍にだけは絶対いたくないですね。
侍女就任の件は重ねて堅くお断り申し上げます」
「お前、冷たいな。
一応は聖女のくせに」
「勝手にそういう物扱いにしないでください。
後天性聖女は副業なんです。
というか、私は聖女のユニークスキルを持った正式な聖女じゃありませんからね。
ジョブ・チェンジした覚えはありませんよ」
「では、お前のために転職の神殿を作ってやろう」
「そんな死への一里塚、誰も要りませんよ!」
「では国家からお前を正式な聖女に認定しよう」
「それってもしかして、私まで敵からの最優先暗殺対象に指定されるコースと違いますか!?」
だが、イケメン王子との楽しいコントタイムもそこまでだった。
「おーい、サヤ。作業を始めるぞー」
「はーい」
そして、王太子殿下と一緒にドクターのラボへ移動した私は、それからほどなく数回の回復魔法を振るっただけで、都合百本ほどの王子用の小瓶と、その他で千本分を用意できたのだった。
鑑定したら見事に聖水は完成していた。
私、ドクターの言いなりでやっていただけなんですが。
聖水作りや回復魔法は練習しておいてよかった。
先に王子向けを手早く瓶詰にし、後で予備の分を詰める作業を私とドクターだけでやるのだ。
さすがにアレなので、マリエールさんも応援に呼んで、ベロニカさんにもシュークリームと引き換えに手伝わせた。
「ドクター。
今度から、瓶に詰めた物をまとめて聖水化しませんか?
聖水化よりも、後から瓶に詰める方が遥かに疲れます」
「こんな物、滅多に作るような物じゃないわよ!
大体、それだと私が一人で作業しないといけなくなるじゃないの。
他にも製造法として根本的な不都合があるから。
それと、むやみに聖水を収納から出すんじゃないわよ?」
「私自身はまず要りませんがね。
回復魔法も使っていられないような状況に陥ったら、私なんかすぐ死にますよ。
非力な、中学生の毛を多少伸ばした程度の女子高生に過ぎないのですから」
「まあそういう事ね。
では王子、御達者で」
「御飯を食べる度に解毒聖水が要りそうですね。
それの予備は多めに作ったので、無くなったらここへ取りに来てください」
「あのなあ。
毎回食事の度に一服盛られて、毎回解毒の聖水を使うくらいだったら、毎日ここで飯の食いだめをしていくわ。
それでも、どうしても腹が減るようなら、冒険者のように干し肉と堅パンでも齧るしかない」
「そうですか。
じゃあ待ってます。
では健闘を祈ります。
王太子殿下、強く生きてください」
「うーん……その言い方は。
まあいい。
むしろ、この俺が奴の方を毒殺したい気持ちでいっぱいだ。
あいつはあまりにも用心深過ぎて、毒殺するのはまず無理だけどな」
あーあ、王子様は本当に大変だなあ。
私の回復魔法について王家で知っているのは、リュールさんから報告を受けている王太子殿下だけだ。
はっきり言って、あちこちにバレたら幽閉物のヤバイ案件だからなあ。
王太子殿下は、そのあたりの事をよくわかってくれている。
「ふう、やっと聖女業務にかかれるなあ」
「いつもすまないな」
「それは言わない約束でしょう、王子様~」
その意味がよくわからないなりに、そういうお約束的な会話にも特に突っ込まずに笑顔を返してくる、この人の技量には本当に感心する。
こういう腹芸みたいなものは、あのイケメン弟には無理そう。
あの人って平気で突っ込んでくるから、迂闊にボケると後始末が大変だ。
「さて、では始めようか。
まさかこの私が、あのうんざりするような封印案件扱いの、究極回復魔法聖水化の手伝いをする羽目になろうとはなあ」
「仕方ないでしょ、ドクター。
王太子殿下がご所望なんだから。
魔力はいっぱいあるんだから、予備もそれなりの数を作っておくわよ。
ガラス瓶はありったけ用意してね。
私の収納に仕舞っておくから」
「よろしく頼む。
費用は全額王宮へ私宛で請求してくれ。
まったく、あの不肖の半弟と来た日には困ったもんだ」
「ねえ王太子殿下。
こういうのって、いつまで続くんでしょうかねえ」
「さあなあ。
私が王位を継いだとて、あれは私の命を狙い続けるだろうしなあ」
「うわあ、さすがにウンザリしちゃいますねー」
しまいに殺されちゃいそうだな、あの第二王子。
というかそいつの方が、ただいま絶賛、兄である王太子を暗殺しようと頑張っているのだが。
基本的に王位を争う関係の兄弟は殺し合いとなるは必至。
周りが必死で担ぐからねー。
王様本人だって、酷い病気になって王様業務が出来なくなるなどの状態に陥ると『王権を守るために』家臣に殺されてしまう事さえあるのだ。
王位を継いだ者が、対抗勢力の兄弟を抹殺するのも世の中ではよくみられる現象だ。
そうしないと、相手が野心家だと自分が殺されるから。
ああ、やだやだ。
「よし、サヤ。
準備はいいぞ。
何の魔法をやる?」
「そうですね、ドクター。
まず定番のエクストラ・ヒール、こいつはまずパナシーアタイプを用意しましょう。
毒よし、また剣で斬られたり矢で射られたり、あるいは火で焼かれても大丈夫みたいな」
「なかなか物騒な話だな。
だが、そういう物って威力が落ちたりしないのか?」
「さすがは王太子殿下、ご明察。
たぶん、数分の一に性能は落ちるでしょうけど、元が凄い性能だからきっと大丈夫。
念のため、今一番懸念されている解毒の性能は落とさない、専用のポイズン・ヒール聖水は別で作りましょう」
「それで頼む」
「あと、エリクサー・エクスペリエンスも用意しましょう。
これはエリクサー相当の蘇生魔法ですから」
「あ、ああ。
お前、もう何でもありだな」
「そしてリジェネート・エクスペリエンス、持続回復魔法はどうしましょう。
敵からのダメージを常時無効化していくもので、戦闘中にかなり不死身化するものです。
十人くらいの刺客に一方的に切りつけられまくるような時に有効じゃないですかね」
「うーむ、あまり嬉しくない魔法だな」
「そこはまあ死ななければ、数で劣勢でもきっと最後には勝てます。
斬られまくりで、滅茶苦茶に痛すぎますけどね。
かなり鬼畜な魔法で、死んだ方がマシと思えるかもしれませんが、そこは王太子様なら根性で頑張って耐えましょう。
効果時間は不明ですので、使用した場合は(モルモットとして)アンケートにご協力願います」
「お前なあ。
俺がそういう状況になるのが使用の前提条件にあるんだな!
一応、そいつも貰っておこう。
お前の話を聞いていると、だんだんと心許なくなってきた」
「あと、ホーリー・エクスライト。
これは集団の全回復だそうです。
すべての身体的精神的異常を完全回復します。
味方が壊滅して全員が倒れてしまったような場合に有効かな。
これがないと、あなたにリジェネート・エクスペリエンスの出番が回るかも。
またアンデッド系の魔物に食らわせると一気に広範囲の魔物を壊滅させられますから、そういう危ない刺客が襲ってきても大丈夫!」
「結局全部要るんじゃないかー!」
「あなた、どれだけ命を狙われているんですか。
確か、毒殺だって言ってましたよね?」
「毒殺だけという保証はどこにもない。
毒殺が手っ取り早く、また有効な手段であるというだけで。
そろそろ、毒殺から次の手段に切り替わる頃かもしれん」
「今、あなたの傍にだけは絶対いたくないですね。
侍女就任の件は重ねて堅くお断り申し上げます」
「お前、冷たいな。
一応は聖女のくせに」
「勝手にそういう物扱いにしないでください。
後天性聖女は副業なんです。
というか、私は聖女のユニークスキルを持った正式な聖女じゃありませんからね。
ジョブ・チェンジした覚えはありませんよ」
「では、お前のために転職の神殿を作ってやろう」
「そんな死への一里塚、誰も要りませんよ!」
「では国家からお前を正式な聖女に認定しよう」
「それってもしかして、私まで敵からの最優先暗殺対象に指定されるコースと違いますか!?」
だが、イケメン王子との楽しいコントタイムもそこまでだった。
「おーい、サヤ。作業を始めるぞー」
「はーい」
そして、王太子殿下と一緒にドクターのラボへ移動した私は、それからほどなく数回の回復魔法を振るっただけで、都合百本ほどの王子用の小瓶と、その他で千本分を用意できたのだった。
鑑定したら見事に聖水は完成していた。
私、ドクターの言いなりでやっていただけなんですが。
聖水作りや回復魔法は練習しておいてよかった。
先に王子向けを手早く瓶詰にし、後で予備の分を詰める作業を私とドクターだけでやるのだ。
さすがにアレなので、マリエールさんも応援に呼んで、ベロニカさんにもシュークリームと引き換えに手伝わせた。
「ドクター。
今度から、瓶に詰めた物をまとめて聖水化しませんか?
聖水化よりも、後から瓶に詰める方が遥かに疲れます」
「こんな物、滅多に作るような物じゃないわよ!
大体、それだと私が一人で作業しないといけなくなるじゃないの。
他にも製造法として根本的な不都合があるから。
それと、むやみに聖水を収納から出すんじゃないわよ?」
「私自身はまず要りませんがね。
回復魔法も使っていられないような状況に陥ったら、私なんかすぐ死にますよ。
非力な、中学生の毛を多少伸ばした程度の女子高生に過ぎないのですから」
「まあそういう事ね。
では王子、御達者で」
「御飯を食べる度に解毒聖水が要りそうですね。
それの予備は多めに作ったので、無くなったらここへ取りに来てください」
「あのなあ。
毎回食事の度に一服盛られて、毎回解毒の聖水を使うくらいだったら、毎日ここで飯の食いだめをしていくわ。
それでも、どうしても腹が減るようなら、冒険者のように干し肉と堅パンでも齧るしかない」
「そうですか。
じゃあ待ってます。
では健闘を祈ります。
王太子殿下、強く生きてください」
「うーん……その言い方は。
まあいい。
むしろ、この俺が奴の方を毒殺したい気持ちでいっぱいだ。
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