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第一章 幸せの青い鳥?
1-42 通いの王子様
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「ああ、王太子殿下ごきげんよう。
宣言通りに毎日『通勤』ご苦労様です」
「さすがの俺も、いい加減に辟易してきたな。
お前の料理のレシピが意外と豊富で助かる」
こんなイケメン王子様が自分のところへ通い詰めてくれるのは嬉しいのだが、その理由がなあ。
会食や御茶会その他で、どうしても何かを口にしないといけない事もあるらしく、聖水も定期的に補充が必要なようだしね。
はっきり言って毎日の事だ。
不足すると困るので、追加の聖水も作っている。
ガラス瓶は王太子殿下が定期的に手配をしてくれている。
大概は解毒用なんだけど、中には違う物も減っている日もあるのが怖い。
この人、今までどうやって生き延びてきたものか。
あの第二王子は相当立場が追い詰められているものらしい。
それを成した張本人がこの私なので、いつ奴の矛先がこっちへ回ってくるかと思って内心ではヒヤヒヤしている。
私のいるのが騎士団本部や公爵家の屋敷でなかったら、今頃はもうは第二王子の下にいるかも。
むろん、強引に拉致されて。
最近は騎士団の人間が複数、私の通勤に付き添ってくれているような有様だ。
なるべくイケメンな団員をとお願いしておいたので、それも案外と幸福な時間となっているのがまだ幸い。
エリクサーはいつでも使用可能なように、襟首に一本縫い込んである。
しかも奴から見たら、にっくき兄王子が通う相手なのだ。
一応、私もそれなりの容姿を持つ若い娘なので、油断をすると自分の娘を王太子に嫁がせたい同じ第一王子派の貴族からも疎まれかねない。
もう自衛のため、いっそどこかで『第二王子暗殺用の小動物』を調達してこないともう駄目かもしれない。
そういう用途こそ、ベストは小さくて目立たず、賢くてどこにでも潜り込む能力のある鼠が最適なんだけど。
あるいは可愛い容姿でえげつない感じの小鳥とか。
ああっ、あの糞鳥の事を思い出してしまいました。
今現在進行形で、時期国王予定の王太子にたっぷりと恩を売りまくっているところなので、その対価として国家によるあの詐欺鳥の大捜索を依頼するのも一つの手ですよね。
「はい、殿下。
本日のメニューは、お肉お野菜たっぷり熱々鉄板焼きそば二人前ですよ。
焼きそば麺と紅ショウガがこの世界にあったので驚きましたよ。
なんと青海苔まであったし」
「そうか、これって異世界の食い物だったんだな。
いや美味いな」
海苔が歯にくっついてしまうといけないので、王子様は青海苔抜きにした方がよかったんだけど、私のポリシー的にそれは絶対にできない。
お茶は最近日本茶を発見したので、それをチョイスした。
日本茶というか、ただの緑茶だ。
渋い、ほうじ茶まであったし。
紅茶の原料と作物的には同じなので、稀人先輩が根性で探し当てたものと推察される。
「王太子殿下がご所望」とか適当に言っておくと、こういう物はどこからともなく集まってくる。
まあ実際、それらの逸品は王太子殿下が実際に満喫してらっしゃるのですがね。
毎日暗殺されかかっていて、結構ストレスが溜まっているようで、殿下はスイーツなんかもよく食べる。
そして、その隣で同じメニューに舌鼓を売っている例の二人組には、王太子殿下も含めてもう誰も突っ込まなくなった。
「美味しいですか、二人とも」
「もちろん!」
『サヤのご飯、サイコー』
もう、チュールなんかは御当主様が帰ってきたら、頼んで私の子にしてしまってもいいかもしれません。
今までも一人でお留守番でしたしね。
というか、もう当然のように私の傍から離れてくれないかも。
完璧に餌付けが完了していますし。
また、この子は魔物ですので、酷い怪我を治してあげたせいか異常に私に懐いているので。
それはそれで、ミス・ドリトルたる私的には大変幸福なので、まったく構わないのですがね。
そして、その日の夜の事だった。
夕食後の席で、リュールさんからとんでもない話があった。
私は、リュールさんのイケメン・フェイスが物凄く深刻な彩を見せていた事に気が付かず、まったりとお茶を啜っていた。
胃袋に血液が集まっていましたので。
「サヤ、一つ頼みがあるのだが」
「何ですー」
「実は王家では、うちの第二王子を暗殺する事になった」
ブフウっと私は思わずお茶を噴いてしまった。
すかさず私付きのメイドさんが拭いてくれる。
このアメリさんという人は、こんな話の時も人払いされていないのが怖い。
さっきの話を聞いても顔色一つ変えていないし。
この人って所作が常に半端ない。
ただの使用人には思えないのだ。
公爵家の使用人ともなると、荒事なども平気でこなすのかもしれない。
へたをすると、このイケメンが王子の身分から下る時に王家から付けられてきた護衛の可能性すらある。
あるいは元暗殺者であったような手練れの使用人とか。
この『各種高位預かり案件』である問題児の私に付けられているメイドさんの時点で、多分もう只者じゃないよね。
「それでな。
暗殺というか、まあはっきり言えば闇討ちだな。
王家ももう、彼の狼藉に目を瞑る事は出来なくなった。
今までは隣国絡みであったのもあって放置されていたが、このままでは捨て置けないところまで来ていた」
ああもう、あの王太子様が毎日弟の勤務先へ私の作るご飯を食べに来ている段階でね。
最近、リュールさんの事をあまり見ないと思っていたら、お兄さんの警護についていたのね。
「王の勅命で、明日の晩に彼を討つ事が決定した。
あの団旗が彼の運命を決定づけた。
まあ自業自得というものだが、彼もあのままではジリ貧であったので、ああせずにはいられなかったろうよ」
おっと、ここでも私なんかが、そこに至るプロセスに一枚噛んでいましたね。
本人がまったく知らないところで。
「それでどうしろと?」
「守りを固めているところを強引に討つのでな。
こちらにも相応の被害が見込まれている。
お前には支援を頼みたい。
これは国王からの正式な要請だ。
その、済まないがお前の力は父には知られてしまっていてな、さすがに私も断れない」
まあ、あの能力のせいで王太子様とべったりの毎日でしたからね。
まあ王様なら知っていますか。
「う、それはまた。
それで、私は幽閉になりますので?」
「父はそのような真似は絶対にさせぬし、兄はむしろ反対してくれるだろう。
その代わり、今回は力を貸してほしいとの事だ。
後方にいてくれればよいし、騎士団の人間もつける。
あと、チュールもつけよう」
「チュールを?」
彼は珍しく嘆息すると、件の奴の可愛らしい頭を撫でながら説明してくれた。
「これは可愛らしい見かけではあるが、別に愛玩動物ではない。
十分にお前の身を守れる戦闘力がある。
だから騎士団本部へ行く時にも母がお前につけさせていた。
ダンジョンでは義父の護衛をしていて名誉の負傷をしたのだ。
チュールは、お前にたいそう恩義を感じているから必ずお前を守るだろう。
こいつはそういう特質を持つ忠義な魔物なのだ」
チュールのチューは忠義の忠!?
「へえ、あんた本当は凄かったのねえ。
じゃあ、おやつにシュークリームをいっぱい持っていこうか!」
『プキーっ(やったー)』
「軽いな。
後方にいるとはいえ、初めて戦いの場へ赴くのだぞ。
向こうの世界ではそのような経験はあるまい。
サヤ、怖くないのか」
「あなたこそ父王の命で、半弟とはいえ実の兄弟と殺し合いに行かねばならないのだから。
このままだと、こっちにも危険が飛び火しかねない状況だったのですから、これで最後なら行きますよ。
王太子様だって、もう限界でしょう。
なんでもない素振りをしていますけど、時期国王様が私なんかに、あんなに頼っている段階でもう心が相当弱っているのに違いないです」
「そうか、すまない。
ただの外国人、いや異世界人の少女であるお前は、国王からの勅命に従う義務など何もない。
これは王国からお前への大きな借りとなる。
何かあったら父に思いっきり我儘を言っていいぞ。
お前は今までも兄をよく助けてくれたので、兄も借りに思っている」
「そんなに堂々と白紙の手形を切っちゃうと、後で高くついても知りませんからねー」
「ははは、相変わらず怖い事を言う娘だ。
構わんぞ。
それを払うのは私ではないのでな」
彼は実に晴れやかに笑った。
もうとっくに兄弟殺しの覚悟は出来ているのだ。
時期国王たる兄王子がこの裏舞台で登場する事はない。
こういう時に汚れ仕事をするのが彼の役割なのだ。
宣言通りに毎日『通勤』ご苦労様です」
「さすがの俺も、いい加減に辟易してきたな。
お前の料理のレシピが意外と豊富で助かる」
こんなイケメン王子様が自分のところへ通い詰めてくれるのは嬉しいのだが、その理由がなあ。
会食や御茶会その他で、どうしても何かを口にしないといけない事もあるらしく、聖水も定期的に補充が必要なようだしね。
はっきり言って毎日の事だ。
不足すると困るので、追加の聖水も作っている。
ガラス瓶は王太子殿下が定期的に手配をしてくれている。
大概は解毒用なんだけど、中には違う物も減っている日もあるのが怖い。
この人、今までどうやって生き延びてきたものか。
あの第二王子は相当立場が追い詰められているものらしい。
それを成した張本人がこの私なので、いつ奴の矛先がこっちへ回ってくるかと思って内心ではヒヤヒヤしている。
私のいるのが騎士団本部や公爵家の屋敷でなかったら、今頃はもうは第二王子の下にいるかも。
むろん、強引に拉致されて。
最近は騎士団の人間が複数、私の通勤に付き添ってくれているような有様だ。
なるべくイケメンな団員をとお願いしておいたので、それも案外と幸福な時間となっているのがまだ幸い。
エリクサーはいつでも使用可能なように、襟首に一本縫い込んである。
しかも奴から見たら、にっくき兄王子が通う相手なのだ。
一応、私もそれなりの容姿を持つ若い娘なので、油断をすると自分の娘を王太子に嫁がせたい同じ第一王子派の貴族からも疎まれかねない。
もう自衛のため、いっそどこかで『第二王子暗殺用の小動物』を調達してこないともう駄目かもしれない。
そういう用途こそ、ベストは小さくて目立たず、賢くてどこにでも潜り込む能力のある鼠が最適なんだけど。
あるいは可愛い容姿でえげつない感じの小鳥とか。
ああっ、あの糞鳥の事を思い出してしまいました。
今現在進行形で、時期国王予定の王太子にたっぷりと恩を売りまくっているところなので、その対価として国家によるあの詐欺鳥の大捜索を依頼するのも一つの手ですよね。
「はい、殿下。
本日のメニューは、お肉お野菜たっぷり熱々鉄板焼きそば二人前ですよ。
焼きそば麺と紅ショウガがこの世界にあったので驚きましたよ。
なんと青海苔まであったし」
「そうか、これって異世界の食い物だったんだな。
いや美味いな」
海苔が歯にくっついてしまうといけないので、王子様は青海苔抜きにした方がよかったんだけど、私のポリシー的にそれは絶対にできない。
お茶は最近日本茶を発見したので、それをチョイスした。
日本茶というか、ただの緑茶だ。
渋い、ほうじ茶まであったし。
紅茶の原料と作物的には同じなので、稀人先輩が根性で探し当てたものと推察される。
「王太子殿下がご所望」とか適当に言っておくと、こういう物はどこからともなく集まってくる。
まあ実際、それらの逸品は王太子殿下が実際に満喫してらっしゃるのですがね。
毎日暗殺されかかっていて、結構ストレスが溜まっているようで、殿下はスイーツなんかもよく食べる。
そして、その隣で同じメニューに舌鼓を売っている例の二人組には、王太子殿下も含めてもう誰も突っ込まなくなった。
「美味しいですか、二人とも」
「もちろん!」
『サヤのご飯、サイコー』
もう、チュールなんかは御当主様が帰ってきたら、頼んで私の子にしてしまってもいいかもしれません。
今までも一人でお留守番でしたしね。
というか、もう当然のように私の傍から離れてくれないかも。
完璧に餌付けが完了していますし。
また、この子は魔物ですので、酷い怪我を治してあげたせいか異常に私に懐いているので。
それはそれで、ミス・ドリトルたる私的には大変幸福なので、まったく構わないのですがね。
そして、その日の夜の事だった。
夕食後の席で、リュールさんからとんでもない話があった。
私は、リュールさんのイケメン・フェイスが物凄く深刻な彩を見せていた事に気が付かず、まったりとお茶を啜っていた。
胃袋に血液が集まっていましたので。
「サヤ、一つ頼みがあるのだが」
「何ですー」
「実は王家では、うちの第二王子を暗殺する事になった」
ブフウっと私は思わずお茶を噴いてしまった。
すかさず私付きのメイドさんが拭いてくれる。
このアメリさんという人は、こんな話の時も人払いされていないのが怖い。
さっきの話を聞いても顔色一つ変えていないし。
この人って所作が常に半端ない。
ただの使用人には思えないのだ。
公爵家の使用人ともなると、荒事なども平気でこなすのかもしれない。
へたをすると、このイケメンが王子の身分から下る時に王家から付けられてきた護衛の可能性すらある。
あるいは元暗殺者であったような手練れの使用人とか。
この『各種高位預かり案件』である問題児の私に付けられているメイドさんの時点で、多分もう只者じゃないよね。
「それでな。
暗殺というか、まあはっきり言えば闇討ちだな。
王家ももう、彼の狼藉に目を瞑る事は出来なくなった。
今までは隣国絡みであったのもあって放置されていたが、このままでは捨て置けないところまで来ていた」
ああもう、あの王太子様が毎日弟の勤務先へ私の作るご飯を食べに来ている段階でね。
最近、リュールさんの事をあまり見ないと思っていたら、お兄さんの警護についていたのね。
「王の勅命で、明日の晩に彼を討つ事が決定した。
あの団旗が彼の運命を決定づけた。
まあ自業自得というものだが、彼もあのままではジリ貧であったので、ああせずにはいられなかったろうよ」
おっと、ここでも私なんかが、そこに至るプロセスに一枚噛んでいましたね。
本人がまったく知らないところで。
「それでどうしろと?」
「守りを固めているところを強引に討つのでな。
こちらにも相応の被害が見込まれている。
お前には支援を頼みたい。
これは国王からの正式な要請だ。
その、済まないがお前の力は父には知られてしまっていてな、さすがに私も断れない」
まあ、あの能力のせいで王太子様とべったりの毎日でしたからね。
まあ王様なら知っていますか。
「う、それはまた。
それで、私は幽閉になりますので?」
「父はそのような真似は絶対にさせぬし、兄はむしろ反対してくれるだろう。
その代わり、今回は力を貸してほしいとの事だ。
後方にいてくれればよいし、騎士団の人間もつける。
あと、チュールもつけよう」
「チュールを?」
彼は珍しく嘆息すると、件の奴の可愛らしい頭を撫でながら説明してくれた。
「これは可愛らしい見かけではあるが、別に愛玩動物ではない。
十分にお前の身を守れる戦闘力がある。
だから騎士団本部へ行く時にも母がお前につけさせていた。
ダンジョンでは義父の護衛をしていて名誉の負傷をしたのだ。
チュールは、お前にたいそう恩義を感じているから必ずお前を守るだろう。
こいつはそういう特質を持つ忠義な魔物なのだ」
チュールのチューは忠義の忠!?
「へえ、あんた本当は凄かったのねえ。
じゃあ、おやつにシュークリームをいっぱい持っていこうか!」
『プキーっ(やったー)』
「軽いな。
後方にいるとはいえ、初めて戦いの場へ赴くのだぞ。
向こうの世界ではそのような経験はあるまい。
サヤ、怖くないのか」
「あなたこそ父王の命で、半弟とはいえ実の兄弟と殺し合いに行かねばならないのだから。
このままだと、こっちにも危険が飛び火しかねない状況だったのですから、これで最後なら行きますよ。
王太子様だって、もう限界でしょう。
なんでもない素振りをしていますけど、時期国王様が私なんかに、あんなに頼っている段階でもう心が相当弱っているのに違いないです」
「そうか、すまない。
ただの外国人、いや異世界人の少女であるお前は、国王からの勅命に従う義務など何もない。
これは王国からお前への大きな借りとなる。
何かあったら父に思いっきり我儘を言っていいぞ。
お前は今までも兄をよく助けてくれたので、兄も借りに思っている」
「そんなに堂々と白紙の手形を切っちゃうと、後で高くついても知りませんからねー」
「ははは、相変わらず怖い事を言う娘だ。
構わんぞ。
それを払うのは私ではないのでな」
彼は実に晴れやかに笑った。
もうとっくに兄弟殺しの覚悟は出来ているのだ。
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こういう時に汚れ仕事をするのが彼の役割なのだ。
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