DNAにセーブ&ロード 【前世は散々でしたが、他人のDNAからスキルを集めて、今度こそ女の子を幸せにしてみせます】

緋色優希

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第一章 渡り人

1-45 冒険者ギルド探検

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 とりあえず、無事に従魔証の発注は済んだようだった。ありがとう、有能な次長さん。それに比べてギルマスの奴ときた日には。

 ばあやは、しばらくここに置いていって、あれの躾に回した方が。いやいや、それだと誰がミョンデ姉を躾けるんだよ。せっかく今いい感じになってきているのにさ。よその子の躾までは知らぬ。

「じゃあ、アンソニー君。三日後くらいに、また来てくれるかな」
「わかりました。ありがとうございます、ベルムス次長」
 俺は振り向いたが、誰もいなかった。

「あれ? みんな、どこにいったの?」
「それなら、ご領主様の案内で見学に行っているわよ」

「あ、酷いや。置いていかれた~」
「あははは。あなたは大事な要件があったんでしょう。他の人は物見遊山ですもの。いらっしゃい」

 俺は美人のお姉さんと手を繋いでもらって歩いていて、ビクっとした。その様子を見て彼女は笑っている。

「やだ、私のスキル盗られちゃったのかしらね」
「あわわわ、いやつい習慣で」

 彼女も俺の様子を見ながら、くすくすと笑って言った。怒られなくてよかった。普通はスキル盗まれたら怒るよな。あのギルマスじゃあるまいし。

「どう? 私のスキルは」
「な、何故、あなたがここのギルマスでないので?」

『空間切断』
 空間上にある物体を空間ごと切る事ができる。無敵の能力ではない。適性とリソースにより威力は異なる。

『空間防御』
 空間を盾にする、もっとも強力なシールド。『空間切断』を防御する事も可能。連撃、あるいは同時に二人に攻撃されると防げない。大変リソースを食うので、他の魔法と併用できない。

 最強の盾と最強の鉾か。こんなスキルで奇襲でも食らったら人生最後の日だな。やだやだ。

「それはもう、お世話を焼かす子がいるからね。私はサブマスターよ」

「なるほど。スキルは凄いけど、盾は使い道を選ぶなあ。あいつ、狂王は堅かったけど、この『空間切断』は、これがあればティムは起きなかったかもしれないな」

「無くてよかったじゃないの」
「うん。ミョンデ姉を躾けてくれる人が来たからね」
 俺のピントのずれた返事に呆れたご様子のサブマス。

「あんた、本当におかしな子ね。そんなにスキルや魔法を集めてどうする気?」
「え? コレクションしたら面白くないですか?」

「そうか。やっぱり男の子だね」
 ちなみに生前のコレクションは、がらくた系の玩具が多かった。もう日本では全部捨てられちゃっただろうな。悲しいぜ。

 二階へ上がると、真剣な顔で『剣や鎧』のコーナーに張り付いているミョンデ姉がいた。ロイエスもそれに倣っていたが、考えている事はまったく違うと思う。

 うちの馬鹿姉の頭の中にあるのは、叔父さんが話してくれる物語に出てくる、騎士や冒険者のお話だろう。しかも、想像の中での自分の役割はお姫様とかではなくって、女冒険者なのに違いない。

 俺も見ていたが、そうたいした物はない。こんな田舎町のギルドじゃ当り前なんだけどさ。この前もらった装備はあるが、さすがにまだチビ過ぎて使うのは無理だ。

「お、用事は済んだのかい」
「ああ、うん。従魔証は三日後に取りに来てってさ」

「そうか、よかったな」
 資料室とかもあったが、そう特に覗きたくない気分だった。

 それよりも、領主様の家になら本がありそうだったので、そっちに興味があった。階下に行くと、何故かギルマスが仁王立ちで腕組みしていた。折檻は終了したようだ。尻が痛いのは痩せ我慢中?

「何?」
「なあ、小僧。冒険者資格が欲しくないか?」
 それを聞いて、俺達一行は呆れた。冒険者達は頭を振っている。

「どういうつもり?」
「いや、よく考えたら冒険者でもない奴に従魔証をというのがな」

「今更、それを言いますか!」
「グランゼル」
「ギルマス、あなたね」
 ベルムス次長もフェルミ・サブマスも呆れている。

「それ、資格を持つと何かいい事あんの?」
「いや、いい事って言われてもな」

「メリット何も無いのかよ!」
「冒険者の仕事は受けられるぞ」

「仕事なら間に合っておりますので」
「えー、そう言わないでさ。このまま帰られたら、あたしが馬鹿みたいじゃん」

「もう、しょうがないな。それでどうするんですか?」
「あたしと勝負しろ!」
 そう言って、彼女は爆乳を突き出した。やっぱりそうだったのか。そんな気がしていたんだよ。

「それが目当てか~」
 だが、うちの従者達はぐいぐいっと背中を押してくる。

「何だよ、狂王。押すなよ」
「王たる者は。戦いを挑まれたら受けなくては」
 そう来ましたか。

「よーし、それならティム軍団全員で、かかれ!」
 だが、ばあやがチッチッチという感じに人差し指を振って、俺を押し出した。この脳筋の姉ちゃんと一人で戦えってか。

「魔法やスキル攻撃はあり?」
「なし」
「おい、相手は二歳児なんだぜ。ハンデつけろよ!」
「やだ」
 なんて我儘な女だ。きっと自分が一番でないと嫌なんだな。仕方がねえ。

「獲物は?」
「素手でゴロマキ」
 このう!

 なんだ、その満面の笑顔は。幼児相手だと思って舐めやがって。もう勝った気でいやがるのだろうか。ようし、見せてやろう。俺の真の力をよ。
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