battle class

ピッティ

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──あ、あのグラサンと闘うのか
全く予想していなかったことに頭が完全にフリーズする。
改めて対面してグラサンをみるといつもよりとても大きく見え、強烈なプレッシャーが体を、心を圧迫する。
目はグラサンで見えないが強烈に睨まれているような感覚に襲われる。
チラリと拓斗の様子を伺う。
ここで拓斗がやらないと言ったらそこで終わりなのだ。
「まあ、やらないわけないか」
「あたりまえだぜ。」
「うーっす。分かってますよ。」
そのまえに、と俺は拓斗の肩を引き寄せて囁いた。
「とりあえずなにかしら作戦たてるぞ」
──やるからには本気でやるのが俺のモットーさ


5分で作戦をたて俺と拓斗はグラサンの前に戻った。
未だに頭が追い付いていない気もするが、しっかりとグラサンに向かい合って立つ。
二人でグラサンの強烈な視線、実際どこを向いているかはよく見えないが真っ向から跳ね返す。
「やっとやる気になったか。
一応ルールはハンデとして俺に一つでも傷をつけれたらお前らの勝ちだ。いつでもどっからでもかかってこい。
あと、ここでの怪我は現実には全く関係ないから遠慮なんかするなよ。」
どっしりと構えるグラサンに対して拓斗と軽く目配せして先に行かせる。
拓斗は俺よりも少し背が高く体つきも良い。足も速いがその速さはすばしっこい早さではない。その点では俺が勝っているのだ。
一歩一歩と拓斗がグラサンの前まで近づく、丁度グラサン、拓斗、俺で一直線になり拓斗の背中で俺が隠れるようになったところで俺は叫んだ。
「行くぞ!」
後ろの俺の合図で拓斗がグラサンに向かって剣を構えながら突っ込んだ。
周りから見ると拓斗が突っ込みその対処をしている間に俺が斬る、ように見える。そして向こうもそう思っているだろう。と願う。

しかし実際俺と拓斗では俺の方が早いのである。
──そう、拓斗よりも素早い俺が後ろから抜かせる程度に!
拓斗が走り出したと同時に俺も一気に加速して脇をすり抜け拓斗とグラサンの間におどりでた。
「おっ!?」
俺たちの作戦は背中に隠れていた俺が拓斗を追い越し逆に先に攻撃する。ほとんど作戦ともいえないようなものだがもとよりそこまで俺は力に自信が無い。だからこそこの方が向いている。
あとの力での勝負はまだ勝算がある拓斗に任せ出来るだけ気を引くことが俺の役目。
──あわよくばこのまま終わるという希望もあるが
そう思いながら正面ではなく真横に回り込む。
防がせることが役目のため思いっきり腹部を斬る。
──これは避けるのは無理だろ!
案の定グラサンは右足に沿うように下ろしていた自分の剣を左後ろに向けて振って迎え撃った。
俺はその剣を全力で拓斗の方へ向かわせないために抑え込む。
──これで正面はがら空きだろ!?
「おっらぁッ!」
右手の剣を戻すには間に合わない完璧なタイミングで拓斗が剣を叩きつけ…
スパァァンッ!!
一陣の風。
一拍置いて
カランカランッ!
二つの落下音。



──え…?
そこには剣を振りきったグラサンと驚きを隠せない俺たち二人。
どうなったのかは俺の目にちらりと写った。抑え込もうと力を込めた俺の剣がグラサンの剣とぶつかり一瞬も抵抗できずに、まるで包丁対野菜かのようにあっさり斬られたところを。
自分の剣でグラサンの剣をを少しの間抑えその隙に拓斗が倒すはずだった。
が、少しもなにもなく俺の剣はぶつかると一切抵抗できずに斬られそのままの勢いでグラサンは拓斗の剣さえも切り裂いた。
剣の強さはほぼ同じだと思っていた。
──そういうことは早くいってほしかったよ。
俺たちは一振りで負けたのだ。

と思っていたのだが、
この静寂を破るように先生は
「どうやら俺の負けのようだな。」
と言った。
──いや、あんた勝ってるよ。
そこで先生は自分の左足を指した。
一筋。まさに一筋だけスーツが破れていた。
「ここの傷、これは俺の負けだろうな。やるじゃないかお前ら。」
その足元には黒い剣の切っ先が転がっていた。
──切られたあと飛んでいったのか
「やったな一輝!」
「おう!」
パチパチパチパチパチパチ
どこからともなく起こる拍手。
いつのまにかクラスのみんなが俺たちの試合を見ていたようだ。
ちょっと恥ずかしいがそれ以上に、素直に嬉しい。
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