1 / 1
落第貴族とハズレスキル【翻訳】【一】
しおりを挟む
名門冒険者貴族ロッド家の末弟、アルフィ・ロッド。
俺は小さい頃から、神代の英雄譚が大好きだった。
神代の英雄譚――それは伝説の勇者パーティが、破滅の大魔王を討ち滅ぼす千年前の物語だ。
頼れる仲間たちと人類未踏の地を冒険し、恐るべき力を持つ魔王軍と激しい戦いを繰り広げ、旅の終わりには大魔王を討ち滅ぼし、世界に平和をもたらす。
自分もいつか、伝説の勇者のように強く立派な冒険者になりたい。
そんな夢を胸に秘め、必死に努力を続けてきたけれど……。
残念ながら俺には、冒険者としての才能がまるでなかった。
「はぁ……、何度見ても糞みてぇな太刀筋だな……。アルフィにゃ冒険者なんて無理無理。才能ねーから、やめちまえ」
「アルフィ……あなたその年になって、まだ初級魔法も使えないの? ほんと、どうしようもないグズね」
剣術の天才である兄さんと魔法の天才である姉さんから、毎日のように嫌味を浴びせられる。
それでも俺は、毎日必死に修業し続けた。
体を鍛え、剣を振るい、魔法の勉強に励んだ。
『努力はいつか報われる』――英雄譚にあった伝説の勇者の言葉を信じ、ただひたすらに頑張り続けた。
それに何より、
(俺にはまだ大逆転のチャンスが――『スキル』という可能性が残されている……っ)
十歳になった人族は、神殿で『星刻の儀』を行い、主神ルド様からスキルを授かることができる。
そこで兄さんは【剣聖】、姉さんは【賢者】という超強力なスキルを獲得し、冒険者として華々しいデビューを飾った。
たとえ俺に冒険者としての才能がなかったとしても、ルド様から戦闘用の強力なスキルを授かれれば、大逆転することができるのだ。
それから時は流れ、ついに運命の日がやってきた。
今日は俺の十回目の誕生日。
俺は父さんに――ロッド家の当主バラン・ロッドに連れられて、神殿に来ていた。
「――バラン・ロッドだ。我が不肖の倅アルフィ・ロッドに、ルド様の御慈悲を賜りたい」
「かしこまりました」
父さんは神殿に既定の洗礼料を支払い、神官様たちは星刻の儀の準備に取り掛かる。
俺はその間に祭壇の中央部へ移動し、主神ルド様を象った像の前に膝を突き、静かに目を閉じた。
荘厳な空気が漂う中、いよいよ星刻の儀が始まる。
神官様が聖歌を謡い、主神ルド様へ祈りを捧げる。
そうして儀式が完了した瞬間、魔法陣から眩い光が解き放たれ、神殿のあちこちから驚きの声があがった。
「こ、この神聖な輝きは……!? バラン殿、お喜びください! 貴方のご子息は、世界でただ一つの超強力なスキルを……『ユニークスキル』を授かろうとしております!」
「おぉ、そうか!」
神官様と父さんの興奮した声が響いた次の瞬間――世界がグラリと揺れ、視界が黒一色に染まる。
(なん、だ……これ……?)
奇妙な浮遊感が全身を包み込み、
「■■■■、■■■■■」
誰かの呼び声が、聞こえた気がした。
直後、
「痛……っ」
強烈な頭痛が走り、それと同時に視界が元に戻る。
俺は鈍痛の残る頭をさすりながら、ゆっくりと立ち上がり、周囲を軽く見回した。
……特に何かが起きた様子はない。
どうやら今のは、ちょっと重めの眩暈だったようだ。
「――わぁっはっはっはっ! よくやったぞ、アルフィ! まさか『百万人に一人』とも言われるユニークスキルを授かるとは……さすが私の息子だな!」
父さんは満面の笑みを浮かべ、俺の背中をバシンと叩く。
「は、はい……! ありがとうございます!」
やっと家族の一員として認められたような気がして、とても嬉しかった。
「さて、神官よ。うちのアルフィは、いったいどんなユニークスキルを授かったのだ? んん?」
「バラン殿、それが……なんと言いますか、その……」
「ふははっ、お前も人が悪い! そうもったいぶらず、さっさと教えてくれ!」
父さんに押し切られた神官は、その重たい口をゆっくりと開く。
「……【翻訳】スキル……でございます」
「ほ、翻訳ぅ……?」
「はい……。ルド様のお告げによれば、『汝、万の言語を解し、文化の発展に寄与する者』とのことでした」
「それはつまり……どういうことなのだ!?」
「誤解を恐れず、率直に申し上げるならば……非戦闘用の『ハズレスキル』でございます」
「……そう、か……」
興奮から落胆、落胆から失望、失望から諦観。
父さんの瞳は、昏く淀んでいった。
「……アルフィ。お前は昔から、ずっと出来の悪い子だった。それでも私は、心のどこかで信じていた。『誇り高きロッドの血から、こんな愚物が生まれてくるはずがない。きっと隠された才能があるはずだ』、と。しかし、それは間違いだったようだ。……嗚呼、お前なんて、生まれてこなければよかった……」
「そ、そんな……待ってください! このスキルだって、上手く使えば――」
「――翻訳するしか能のないゴミスキルで、どう戦うというのだ?」
「それは、その……っ」
咄嗟に言い返せなかった。
【翻訳】は、どこまでいっても翻訳するスキル。
何をどう使ったって、戦闘に活かすことはできない。
「――落第貴族アルフィ・ロッド、貴様を当家から追放する」
こうして俺は、ロッド家を追い出された。
途方に暮れたまま、行く当てもなく歩いていると――気付けば、冒険者ギルドの前に立っていた。
「クエストクリアー! おつかれさまぁー!」
「くぅ~、やっぱ仕事終わりの一杯はたまんねぇな!」
窓越しに見える中の光景は、とても眩しかった。
「あぁ……そっか。もう全部終わったんだ……」
冒険者ギルドに所属し、冒険者として活動するためには、主神ルド様より『戦闘用のスキル』を授からなくてはならない。
これは暗黙の了解ではなく、はっきりと明文化された規則だ。
つまり、俺はもう――冒険者になれない。
小さい頃からずっと抱いてきた「伝説の勇者のように強く立派な冒険者になる」という夢は、あっけなく死んでしまったのだ。
「……ははっ。俺は今まで、何をやってきたんだろうな……」
ここにきてようやく『心』が『現実』に追いつき、胸の奥がギュッと締め付けられる。
強く歯を噛み締め、無力な自分を呪っていると――冒険者ギルドの扉が開き、見知った二つの顔が出てきた。
「おっと、悪ぃ。……って、なんだ、アルフィかよ」
「あなた、こんなところで何をしているの?」
タイミングの悪いことに、兄さんと姉さんに出くわしてしまった。
しかもその後ろには、二人の所属する冒険者パーティの面々がズラリと続いている。
「そう言えばアルフィ……お前確か今日、『星刻の儀』を受けに行ったんだよな? よぉよぉ、ルド様からどんなスキルを授かったんだ?」
「どうせ碌でもない雑魚スキルに決まっているけれど……まぁいいわ。姉として、一応聞いておいてあげる」
「……」
俺は視線を伏して黙秘する。
自分の無能っぷりをこんな大衆の面前で晒したくなかったのだ。
すると――。
「おいおい……。お兄ちゃんの問い掛けに対して、無視はねぇんじゃねぇの? ……ぶち殺すぞ?」
「あなたに拒否権なんてないの。いいから、さっさと答えなさい」
兄さんは腰の刀に手を伸ばし、姉さんは右手に灼熱の炎を浮かべた。
「……っ」
大当たりの戦闘用スキル【剣聖】と【賢者】――その絶対的な力を前に、反抗などできるわけもない。
俺は悔しさと恥ずかしさを噛み締めながら、正直に答えることにした。
「……翻訳スキル、です……」
「「ほ、翻訳スキル……?」」
兄さんと姉さんは顔を見合わせ――お腹を抱えて笑い出す。
「くっ、くくく……だーっはっはっはっ! こいつは傑作だ! この馬鹿、よりにもよって『非戦闘用のハズレスキル』を引きやがった!」
「ぷっ、ふふふ……っ。アルフィは昔から、埃臭い英雄譚が好きだったものね。よかったじゃない。これで古今東西、いろいろな本が読めるわよ?」
二人の嫌味に反応して、後ろの冒険者たちはドッと嗤い出す。
「~~っ」
これでもかという嘲笑を受けた俺は、その場から逃げ出した。
「はぁはぁはぁ……ッ」
走って駆って疾って、街外れの森に辿り着く。
シンと静まり返った世界で膝を突き、独り天を仰いだ。
「……なんでだよ……」
心の声が漏れ出し、一筋の涙が零れ落ちる。
俺はこれまで、人一倍努力してきたつもりだ。
兄さんや姉さんが友達と遊んでいるときも、娯楽に耽っているときも、惰眠を貪っているときも――ずっとずっと頑張ってきた。
誰よりも体を鍛え、誰よりも剣を振り、誰よりも魔導書を読み漁った。
それなのに……どうして二人の方が強いんだ。
「どうして俺は……こんなにも弱いんだよ……ッ」
拳を握り締め、地面を殴りつけたそのとき――どこからともなく、『声』が聞こえてきた。
「●●●●、●●●●●」
それは子どものような、女性のような、小動物のような、不思議な声。
何を言っているのか、何を伝えようとしているのか、何を訴えているのか、まったくわからない。
だけどなんとなく、俺を呼んでいるような気がした。
「……誰か、いるのか?」
謎の声に導かれるようにして、森の奥へ奥へと分け入っていく。
すると――ぽっかりと開けた空き地に出た。
「な、なんだ……?」
そこは一目で『異質』とわかる空間だった。
黒い土・枯れた草・淀んだ空気――この場を構成するものが、全て等しく死んでいる。
否、死んでいるのだが、生きている。
死という過程の中で、その現象が固定されているように見えた。
不思議で不可思議な空間――その中心に漆黒の大木がそびえ立つ。
どうやら不思議な声は、この木の中から響いているようだ。
「木が呼んでいるのか……?」
恐る恐る漆黒の樹皮に触れた次の瞬間、
「……え?」
俺はいつの間にか、無人の荒野に立っていた。
枯れた大地には数多の武器が突き立てられ、無数の古書が山のように積み上げられている。
「こ、ここは……?」
周囲をキョロキョロ見回していると、
「――ここは世界の裏側。本来ならば存在しない時空の間隙。儂はこの空白を『禁書庫』と呼んでおる」
威厳に満ちた女性の声が降ってきた。
ゆっくり視線を上げると、大きな岩の上にゼリー状の青い塊。
すっぽりと両手に収まりそうなサイズ感のそれは、どこからどう見ても『最弱のモンスター』スライムなのだが……。
「す、スライムが喋った……!?」
言語を解するモンスターなんて、生まれて初めて見た。
「ふっ、中々いい反応を見せてくれるではないか」
謎のスライムは満足気に体を揺らし、ゴホンと咳払いをする。
「――儂の名はラスト。禁書庫の番をしておる者じゃ。して、お主の名は?」
「えっと……自分はアルフィ・ロッドです」
名乗られたからには、名乗り返すのが礼儀だ。
しかし、まさかスライムに自己紹介する日が来るなんて、思ってもいなかった。
「アルフィ……。そうか、アルフィか。ふっ、その名前は実に耳馴染みがよいのぅ」
ラストさんは何故か嬉しそうに微笑んだ後、真剣な眼差しをこちらへ向ける。
「――問おう。アルフィ・ロッド、お主の願いはなんじゃ?」
「願い、ですか……?」
「我が禁書庫に至る者はみな、その身に余る大望を抱いておる。儂は善いスライム故、そやつらの手助けをしておるのじゃ。――さぁ、お主の願いを聞かせてくれ」
「俺の願い……」
それは――伝説の勇者のように強く立派な冒険者になること。
だけど、この夢はもう終わってしまったんだ。
「……ふむ、何やら複雑な事情があるようじゃのう。どれ、話してみるがよい」
「……」
「こう見えて儂は、遥か悠久の時を生きておる。お主の抱えている問題にも、アドバイスの一つや二つはしてやれるはずじゃ。最悪それが解決の糸口にならずとも、誰かに悩みを打ち上げるだけで、存外に気持ちは楽になるものじゃぞ?」
「………そう、かもしれませんね」
それから俺は、これまでのことを簡単に話した。
「――なるほどのぅ。伝説の勇者に憧憬を抱き、幼少期から努力を続けてきたが、終ぞ実らず。父親から落第貴族と蔑まれ、家を追い出されたというわけか」
無言のまま、コクリと頷く。
「くっ、くくく……ッ。それはまぁなんというか、救いようのないほど無能な男じゃのぅ」
「……はい、俺は本当に駄目な男で――」
「――何を勘違いしておる? 儂が言っておるのは、アルフィのことではなく、お主の父親のことじゃぞ」
「……え?」
「ユニークスキル【翻訳】――これほど汎用性の高いものを『ハズレスキル』と見誤り、あまつさえ『金の卵』を家から追い出すとは……。あまりに滑稽過ぎて、笑い話にもならぬわ」
ラストさんはクツクツと嗤い、ゼリー状の体をぷるぷると揺らす。
「で、でも……父さんの言う通り、翻訳するだけのスキルじゃ、モンスターは倒せませんよ?」
「ふっ、『要は使いよう』というやつじゃ。――さぁ、これを持て」
ラストさんは体の一部を触手のように伸ばし、色褪せた古書を手渡してきた。
そこには、見たこともない文字がズラリと並んでいる。
「この本は……?」
「神代の魔導書じゃ。本来ならば、神魔文字の解読に百年。文法の把握に百年。魔法構成の理解に百年――都合三百年を要する。しかし、アルフィの【翻訳】スキルがあれば、即座に理解できるじゃろう?」
「は、はい……っ」
本を埋め尽くすのは、依然として未知の文字。
だけど、そこに書かれている内容は、不思議と理解することができた。
「よく覚えておくがいい。それが【翻訳】を――スキルを使う感覚じゃ」
「なるほど……」
俺は『スキルを使う』という初めての感覚を噛み締めながら、神代の魔導書を読み進めていく。
どうやらこの本は特定の魔法について記されたものではなく、魔法の教本らしい。
そして――そこに書かれてあるのは、どれも目から鱗の内容ばかりだった。
(……凄い……)
これまで学んできた現代魔法、その常識を全て塗り替えるほど強烈で革新的なものだ。
「よし、一通り目を通したな? ではそこに記されておる方法で、魔導における基礎中の基礎――『錬』をやってみるがいい」
『錬』・『構』・『展』は、魔法発動までの三段階を指す。
魔力の『錬』成・術式の『構』築・魔法の『展』開――スリーステップの頭文字を取ったものだ。
ただ……。
「すみません。俺、保有魔力が少な過ぎて、錬ができないんです……」
「保有魔力が少ないじゃと……? おいおい、見え透いた謙遜はよせ。お主のそれは、どう見ても――あぁ、なるほどのぅ……。大方、どこぞの毒親兄姉に吹き込まれたのか」
「……?」
ラストさんは納得したように頷いた後、優しい声色で語り掛けてきた。
「アルフィよ、安心するがよい。お主の体には、十分な量の魔力が宿っておる。だからほれ、その魔導書に書かれてあるやり方で、錬をやってみるのじゃ」
「……わかりました」
俺はラストさんの言葉を信じ、魔導書にあったやり方で錬を行う。
すると次の瞬間、
「……え?」
漆黒の暴風が吹き荒れ、途轍もない大魔力が禁書庫を埋め尽くした。
「ほぉ、これはこれは……随分と立派な錬ではないか!」
「あ、ありがとうございます。だけど、どうして……!?」
「アルフィの魔力は、ちと異質なのじゃ。現代の遅れた魔法理論では、お主の優れた魔力を正しく出力できん。つまり――お主が不出来なのではない。お主が劣っているのではない。お主が弱いのではない。間違っているのは、現代の低レベルな魔法理論の方じゃ」
「……っ」
体の奥底から、熱いものが込み上げてくる。
「おっと、この程度で満足してもらっては困るぞ? 【翻訳】スキルの真価は、まだまだここからじゃ」
ラストさんはそう言って、刀身も柄も鍔も――全てが漆黒の剣を取り出した。
「これは『無銘の黒剣』。その一生を剣術に捧げた、とある化物の一振じゃ。先の感覚を忘れぬうちに、この黒剣を翻訳してみるがよい」
「剣を翻訳……ですか?」
「うむ、『百聞は一見に如かず』。さぁ、疾く実行に移すのじゃ」
「は、はぁ……わかりました」
俺は言われた通り、手元の黒剣に翻訳を使ってみる。
すると次の瞬間、
(~~ッ!?)
黒剣から莫大な情報が押し寄せてきた。
血の滲むような地獄の修業・研鑽に次ぐ研鑽・恐ろしい強敵との死闘、様々な情景が目まぐるしく浮かび上がってくる。
それと同時――剣の術理が、流派の技が、珠玉の体捌きが、この体に沁み込んでいくのがわかった。
おそらくこれは、黒剣に宿った記憶。
かつてこの剣を振るっていた持ち手の経験だ。
「黒剣の記憶、しかと読めたな? では早速、その成果を見せてくれ」
「は、はい……!」
俺は翻訳を通じて得た経験を噛み締め、全力で剣を振るう。
「ハッ!」
刹那――凄まじい風切り音が轟き、三つの斬撃が空間を斬り裂いた。
「おぉ、素晴らしい太刀筋ではないか! とても落第貴族の斬撃には見えなかったぞ?」
「は、はは……っ」
思わず、乾いた笑いがこぼれる。
【翻訳】は、ただ文字を翻訳するだけのスキルじゃなかった。
武器に宿った使い手の経験を読み取り、それを俺に還元してくれるのだ。
俺の、俺だけの【翻訳】は、ユニークスキルの名に恥じない最高のスキルだった!
「――さて、アルフィよ。この禁書庫には最高の神代の魔術書と歴戦の武器がある。これらを翻訳し尽くしたとき、お主はどれほど強くなっておるかのぅ?」
「……っ」
想像しただけで、体の芯が震える。
「さぁ、神代の修業を始めようか!」
「はい!」
俺はもしかしたら――伝説の勇者のように強く立派な冒険者になれるかもしれない。
そんな希望を胸に抱きながら、禁書庫での修業を始めるのだった。
俺は小さい頃から、神代の英雄譚が大好きだった。
神代の英雄譚――それは伝説の勇者パーティが、破滅の大魔王を討ち滅ぼす千年前の物語だ。
頼れる仲間たちと人類未踏の地を冒険し、恐るべき力を持つ魔王軍と激しい戦いを繰り広げ、旅の終わりには大魔王を討ち滅ぼし、世界に平和をもたらす。
自分もいつか、伝説の勇者のように強く立派な冒険者になりたい。
そんな夢を胸に秘め、必死に努力を続けてきたけれど……。
残念ながら俺には、冒険者としての才能がまるでなかった。
「はぁ……、何度見ても糞みてぇな太刀筋だな……。アルフィにゃ冒険者なんて無理無理。才能ねーから、やめちまえ」
「アルフィ……あなたその年になって、まだ初級魔法も使えないの? ほんと、どうしようもないグズね」
剣術の天才である兄さんと魔法の天才である姉さんから、毎日のように嫌味を浴びせられる。
それでも俺は、毎日必死に修業し続けた。
体を鍛え、剣を振るい、魔法の勉強に励んだ。
『努力はいつか報われる』――英雄譚にあった伝説の勇者の言葉を信じ、ただひたすらに頑張り続けた。
それに何より、
(俺にはまだ大逆転のチャンスが――『スキル』という可能性が残されている……っ)
十歳になった人族は、神殿で『星刻の儀』を行い、主神ルド様からスキルを授かることができる。
そこで兄さんは【剣聖】、姉さんは【賢者】という超強力なスキルを獲得し、冒険者として華々しいデビューを飾った。
たとえ俺に冒険者としての才能がなかったとしても、ルド様から戦闘用の強力なスキルを授かれれば、大逆転することができるのだ。
それから時は流れ、ついに運命の日がやってきた。
今日は俺の十回目の誕生日。
俺は父さんに――ロッド家の当主バラン・ロッドに連れられて、神殿に来ていた。
「――バラン・ロッドだ。我が不肖の倅アルフィ・ロッドに、ルド様の御慈悲を賜りたい」
「かしこまりました」
父さんは神殿に既定の洗礼料を支払い、神官様たちは星刻の儀の準備に取り掛かる。
俺はその間に祭壇の中央部へ移動し、主神ルド様を象った像の前に膝を突き、静かに目を閉じた。
荘厳な空気が漂う中、いよいよ星刻の儀が始まる。
神官様が聖歌を謡い、主神ルド様へ祈りを捧げる。
そうして儀式が完了した瞬間、魔法陣から眩い光が解き放たれ、神殿のあちこちから驚きの声があがった。
「こ、この神聖な輝きは……!? バラン殿、お喜びください! 貴方のご子息は、世界でただ一つの超強力なスキルを……『ユニークスキル』を授かろうとしております!」
「おぉ、そうか!」
神官様と父さんの興奮した声が響いた次の瞬間――世界がグラリと揺れ、視界が黒一色に染まる。
(なん、だ……これ……?)
奇妙な浮遊感が全身を包み込み、
「■■■■、■■■■■」
誰かの呼び声が、聞こえた気がした。
直後、
「痛……っ」
強烈な頭痛が走り、それと同時に視界が元に戻る。
俺は鈍痛の残る頭をさすりながら、ゆっくりと立ち上がり、周囲を軽く見回した。
……特に何かが起きた様子はない。
どうやら今のは、ちょっと重めの眩暈だったようだ。
「――わぁっはっはっはっ! よくやったぞ、アルフィ! まさか『百万人に一人』とも言われるユニークスキルを授かるとは……さすが私の息子だな!」
父さんは満面の笑みを浮かべ、俺の背中をバシンと叩く。
「は、はい……! ありがとうございます!」
やっと家族の一員として認められたような気がして、とても嬉しかった。
「さて、神官よ。うちのアルフィは、いったいどんなユニークスキルを授かったのだ? んん?」
「バラン殿、それが……なんと言いますか、その……」
「ふははっ、お前も人が悪い! そうもったいぶらず、さっさと教えてくれ!」
父さんに押し切られた神官は、その重たい口をゆっくりと開く。
「……【翻訳】スキル……でございます」
「ほ、翻訳ぅ……?」
「はい……。ルド様のお告げによれば、『汝、万の言語を解し、文化の発展に寄与する者』とのことでした」
「それはつまり……どういうことなのだ!?」
「誤解を恐れず、率直に申し上げるならば……非戦闘用の『ハズレスキル』でございます」
「……そう、か……」
興奮から落胆、落胆から失望、失望から諦観。
父さんの瞳は、昏く淀んでいった。
「……アルフィ。お前は昔から、ずっと出来の悪い子だった。それでも私は、心のどこかで信じていた。『誇り高きロッドの血から、こんな愚物が生まれてくるはずがない。きっと隠された才能があるはずだ』、と。しかし、それは間違いだったようだ。……嗚呼、お前なんて、生まれてこなければよかった……」
「そ、そんな……待ってください! このスキルだって、上手く使えば――」
「――翻訳するしか能のないゴミスキルで、どう戦うというのだ?」
「それは、その……っ」
咄嗟に言い返せなかった。
【翻訳】は、どこまでいっても翻訳するスキル。
何をどう使ったって、戦闘に活かすことはできない。
「――落第貴族アルフィ・ロッド、貴様を当家から追放する」
こうして俺は、ロッド家を追い出された。
途方に暮れたまま、行く当てもなく歩いていると――気付けば、冒険者ギルドの前に立っていた。
「クエストクリアー! おつかれさまぁー!」
「くぅ~、やっぱ仕事終わりの一杯はたまんねぇな!」
窓越しに見える中の光景は、とても眩しかった。
「あぁ……そっか。もう全部終わったんだ……」
冒険者ギルドに所属し、冒険者として活動するためには、主神ルド様より『戦闘用のスキル』を授からなくてはならない。
これは暗黙の了解ではなく、はっきりと明文化された規則だ。
つまり、俺はもう――冒険者になれない。
小さい頃からずっと抱いてきた「伝説の勇者のように強く立派な冒険者になる」という夢は、あっけなく死んでしまったのだ。
「……ははっ。俺は今まで、何をやってきたんだろうな……」
ここにきてようやく『心』が『現実』に追いつき、胸の奥がギュッと締め付けられる。
強く歯を噛み締め、無力な自分を呪っていると――冒険者ギルドの扉が開き、見知った二つの顔が出てきた。
「おっと、悪ぃ。……って、なんだ、アルフィかよ」
「あなた、こんなところで何をしているの?」
タイミングの悪いことに、兄さんと姉さんに出くわしてしまった。
しかもその後ろには、二人の所属する冒険者パーティの面々がズラリと続いている。
「そう言えばアルフィ……お前確か今日、『星刻の儀』を受けに行ったんだよな? よぉよぉ、ルド様からどんなスキルを授かったんだ?」
「どうせ碌でもない雑魚スキルに決まっているけれど……まぁいいわ。姉として、一応聞いておいてあげる」
「……」
俺は視線を伏して黙秘する。
自分の無能っぷりをこんな大衆の面前で晒したくなかったのだ。
すると――。
「おいおい……。お兄ちゃんの問い掛けに対して、無視はねぇんじゃねぇの? ……ぶち殺すぞ?」
「あなたに拒否権なんてないの。いいから、さっさと答えなさい」
兄さんは腰の刀に手を伸ばし、姉さんは右手に灼熱の炎を浮かべた。
「……っ」
大当たりの戦闘用スキル【剣聖】と【賢者】――その絶対的な力を前に、反抗などできるわけもない。
俺は悔しさと恥ずかしさを噛み締めながら、正直に答えることにした。
「……翻訳スキル、です……」
「「ほ、翻訳スキル……?」」
兄さんと姉さんは顔を見合わせ――お腹を抱えて笑い出す。
「くっ、くくく……だーっはっはっはっ! こいつは傑作だ! この馬鹿、よりにもよって『非戦闘用のハズレスキル』を引きやがった!」
「ぷっ、ふふふ……っ。アルフィは昔から、埃臭い英雄譚が好きだったものね。よかったじゃない。これで古今東西、いろいろな本が読めるわよ?」
二人の嫌味に反応して、後ろの冒険者たちはドッと嗤い出す。
「~~っ」
これでもかという嘲笑を受けた俺は、その場から逃げ出した。
「はぁはぁはぁ……ッ」
走って駆って疾って、街外れの森に辿り着く。
シンと静まり返った世界で膝を突き、独り天を仰いだ。
「……なんでだよ……」
心の声が漏れ出し、一筋の涙が零れ落ちる。
俺はこれまで、人一倍努力してきたつもりだ。
兄さんや姉さんが友達と遊んでいるときも、娯楽に耽っているときも、惰眠を貪っているときも――ずっとずっと頑張ってきた。
誰よりも体を鍛え、誰よりも剣を振り、誰よりも魔導書を読み漁った。
それなのに……どうして二人の方が強いんだ。
「どうして俺は……こんなにも弱いんだよ……ッ」
拳を握り締め、地面を殴りつけたそのとき――どこからともなく、『声』が聞こえてきた。
「●●●●、●●●●●」
それは子どものような、女性のような、小動物のような、不思議な声。
何を言っているのか、何を伝えようとしているのか、何を訴えているのか、まったくわからない。
だけどなんとなく、俺を呼んでいるような気がした。
「……誰か、いるのか?」
謎の声に導かれるようにして、森の奥へ奥へと分け入っていく。
すると――ぽっかりと開けた空き地に出た。
「な、なんだ……?」
そこは一目で『異質』とわかる空間だった。
黒い土・枯れた草・淀んだ空気――この場を構成するものが、全て等しく死んでいる。
否、死んでいるのだが、生きている。
死という過程の中で、その現象が固定されているように見えた。
不思議で不可思議な空間――その中心に漆黒の大木がそびえ立つ。
どうやら不思議な声は、この木の中から響いているようだ。
「木が呼んでいるのか……?」
恐る恐る漆黒の樹皮に触れた次の瞬間、
「……え?」
俺はいつの間にか、無人の荒野に立っていた。
枯れた大地には数多の武器が突き立てられ、無数の古書が山のように積み上げられている。
「こ、ここは……?」
周囲をキョロキョロ見回していると、
「――ここは世界の裏側。本来ならば存在しない時空の間隙。儂はこの空白を『禁書庫』と呼んでおる」
威厳に満ちた女性の声が降ってきた。
ゆっくり視線を上げると、大きな岩の上にゼリー状の青い塊。
すっぽりと両手に収まりそうなサイズ感のそれは、どこからどう見ても『最弱のモンスター』スライムなのだが……。
「す、スライムが喋った……!?」
言語を解するモンスターなんて、生まれて初めて見た。
「ふっ、中々いい反応を見せてくれるではないか」
謎のスライムは満足気に体を揺らし、ゴホンと咳払いをする。
「――儂の名はラスト。禁書庫の番をしておる者じゃ。して、お主の名は?」
「えっと……自分はアルフィ・ロッドです」
名乗られたからには、名乗り返すのが礼儀だ。
しかし、まさかスライムに自己紹介する日が来るなんて、思ってもいなかった。
「アルフィ……。そうか、アルフィか。ふっ、その名前は実に耳馴染みがよいのぅ」
ラストさんは何故か嬉しそうに微笑んだ後、真剣な眼差しをこちらへ向ける。
「――問おう。アルフィ・ロッド、お主の願いはなんじゃ?」
「願い、ですか……?」
「我が禁書庫に至る者はみな、その身に余る大望を抱いておる。儂は善いスライム故、そやつらの手助けをしておるのじゃ。――さぁ、お主の願いを聞かせてくれ」
「俺の願い……」
それは――伝説の勇者のように強く立派な冒険者になること。
だけど、この夢はもう終わってしまったんだ。
「……ふむ、何やら複雑な事情があるようじゃのう。どれ、話してみるがよい」
「……」
「こう見えて儂は、遥か悠久の時を生きておる。お主の抱えている問題にも、アドバイスの一つや二つはしてやれるはずじゃ。最悪それが解決の糸口にならずとも、誰かに悩みを打ち上げるだけで、存外に気持ちは楽になるものじゃぞ?」
「………そう、かもしれませんね」
それから俺は、これまでのことを簡単に話した。
「――なるほどのぅ。伝説の勇者に憧憬を抱き、幼少期から努力を続けてきたが、終ぞ実らず。父親から落第貴族と蔑まれ、家を追い出されたというわけか」
無言のまま、コクリと頷く。
「くっ、くくく……ッ。それはまぁなんというか、救いようのないほど無能な男じゃのぅ」
「……はい、俺は本当に駄目な男で――」
「――何を勘違いしておる? 儂が言っておるのは、アルフィのことではなく、お主の父親のことじゃぞ」
「……え?」
「ユニークスキル【翻訳】――これほど汎用性の高いものを『ハズレスキル』と見誤り、あまつさえ『金の卵』を家から追い出すとは……。あまりに滑稽過ぎて、笑い話にもならぬわ」
ラストさんはクツクツと嗤い、ゼリー状の体をぷるぷると揺らす。
「で、でも……父さんの言う通り、翻訳するだけのスキルじゃ、モンスターは倒せませんよ?」
「ふっ、『要は使いよう』というやつじゃ。――さぁ、これを持て」
ラストさんは体の一部を触手のように伸ばし、色褪せた古書を手渡してきた。
そこには、見たこともない文字がズラリと並んでいる。
「この本は……?」
「神代の魔導書じゃ。本来ならば、神魔文字の解読に百年。文法の把握に百年。魔法構成の理解に百年――都合三百年を要する。しかし、アルフィの【翻訳】スキルがあれば、即座に理解できるじゃろう?」
「は、はい……っ」
本を埋め尽くすのは、依然として未知の文字。
だけど、そこに書かれている内容は、不思議と理解することができた。
「よく覚えておくがいい。それが【翻訳】を――スキルを使う感覚じゃ」
「なるほど……」
俺は『スキルを使う』という初めての感覚を噛み締めながら、神代の魔導書を読み進めていく。
どうやらこの本は特定の魔法について記されたものではなく、魔法の教本らしい。
そして――そこに書かれてあるのは、どれも目から鱗の内容ばかりだった。
(……凄い……)
これまで学んできた現代魔法、その常識を全て塗り替えるほど強烈で革新的なものだ。
「よし、一通り目を通したな? ではそこに記されておる方法で、魔導における基礎中の基礎――『錬』をやってみるがいい」
『錬』・『構』・『展』は、魔法発動までの三段階を指す。
魔力の『錬』成・術式の『構』築・魔法の『展』開――スリーステップの頭文字を取ったものだ。
ただ……。
「すみません。俺、保有魔力が少な過ぎて、錬ができないんです……」
「保有魔力が少ないじゃと……? おいおい、見え透いた謙遜はよせ。お主のそれは、どう見ても――あぁ、なるほどのぅ……。大方、どこぞの毒親兄姉に吹き込まれたのか」
「……?」
ラストさんは納得したように頷いた後、優しい声色で語り掛けてきた。
「アルフィよ、安心するがよい。お主の体には、十分な量の魔力が宿っておる。だからほれ、その魔導書に書かれてあるやり方で、錬をやってみるのじゃ」
「……わかりました」
俺はラストさんの言葉を信じ、魔導書にあったやり方で錬を行う。
すると次の瞬間、
「……え?」
漆黒の暴風が吹き荒れ、途轍もない大魔力が禁書庫を埋め尽くした。
「ほぉ、これはこれは……随分と立派な錬ではないか!」
「あ、ありがとうございます。だけど、どうして……!?」
「アルフィの魔力は、ちと異質なのじゃ。現代の遅れた魔法理論では、お主の優れた魔力を正しく出力できん。つまり――お主が不出来なのではない。お主が劣っているのではない。お主が弱いのではない。間違っているのは、現代の低レベルな魔法理論の方じゃ」
「……っ」
体の奥底から、熱いものが込み上げてくる。
「おっと、この程度で満足してもらっては困るぞ? 【翻訳】スキルの真価は、まだまだここからじゃ」
ラストさんはそう言って、刀身も柄も鍔も――全てが漆黒の剣を取り出した。
「これは『無銘の黒剣』。その一生を剣術に捧げた、とある化物の一振じゃ。先の感覚を忘れぬうちに、この黒剣を翻訳してみるがよい」
「剣を翻訳……ですか?」
「うむ、『百聞は一見に如かず』。さぁ、疾く実行に移すのじゃ」
「は、はぁ……わかりました」
俺は言われた通り、手元の黒剣に翻訳を使ってみる。
すると次の瞬間、
(~~ッ!?)
黒剣から莫大な情報が押し寄せてきた。
血の滲むような地獄の修業・研鑽に次ぐ研鑽・恐ろしい強敵との死闘、様々な情景が目まぐるしく浮かび上がってくる。
それと同時――剣の術理が、流派の技が、珠玉の体捌きが、この体に沁み込んでいくのがわかった。
おそらくこれは、黒剣に宿った記憶。
かつてこの剣を振るっていた持ち手の経験だ。
「黒剣の記憶、しかと読めたな? では早速、その成果を見せてくれ」
「は、はい……!」
俺は翻訳を通じて得た経験を噛み締め、全力で剣を振るう。
「ハッ!」
刹那――凄まじい風切り音が轟き、三つの斬撃が空間を斬り裂いた。
「おぉ、素晴らしい太刀筋ではないか! とても落第貴族の斬撃には見えなかったぞ?」
「は、はは……っ」
思わず、乾いた笑いがこぼれる。
【翻訳】は、ただ文字を翻訳するだけのスキルじゃなかった。
武器に宿った使い手の経験を読み取り、それを俺に還元してくれるのだ。
俺の、俺だけの【翻訳】は、ユニークスキルの名に恥じない最高のスキルだった!
「――さて、アルフィよ。この禁書庫には最高の神代の魔術書と歴戦の武器がある。これらを翻訳し尽くしたとき、お主はどれほど強くなっておるかのぅ?」
「……っ」
想像しただけで、体の芯が震える。
「さぁ、神代の修業を始めようか!」
「はい!」
俺はもしかしたら――伝説の勇者のように強く立派な冒険者になれるかもしれない。
そんな希望を胸に抱きながら、禁書庫での修業を始めるのだった。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです
ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」
宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。
聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。
しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。
冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ
天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。
彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。
「お前はもういらない」
ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。
だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。
――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。
一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。
生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!?
彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。
そして、レインはまだ知らない。
夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、
「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」
「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」
と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。
そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。
理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。
王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー!
HOT男性49位(2025年9月3日0時47分)
→37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)
追放された『修理職人』、辺境の店が国宝級の聖地になる~万物を新品以上に直せるので、今さら戻ってこいと言われても予約で一杯です
たまごころ
ファンタジー
「攻撃力が皆無の生産職は、魔王戦では足手まといだ」
勇者パーティで武器や防具の管理をしていたルークは、ダンジョン攻略の最終局面を前に追放されてしまう。
しかし、勇者たちは知らなかった。伝説の聖剣も、鉄壁の鎧も、ルークのスキル『修復』によるメンテナンスがあったからこそ、性能を維持できていたことを。
一方、最果ての村にたどり着いたルークは、ボロボロの小屋を直して、小さな「修理屋」を開店する。
彼の『修復』スキルは、単に物を直すだけではない。錆びた剣は名刀に、古びたポーションは最高級エリクサーに、品質すらも「新品以上」に進化させる規格外の力だったのだ。
引退した老剣士の愛剣を蘇らせ、村の井戸を枯れない泉に直し、ついにはお忍びで来た王女様の不治の病まで『修理』してしまい――?
ルークの店には、今日も世界中から依頼が殺到する。
「えっ、勇者たちが新品の剣をすぐに折ってしまって困ってる? 知りませんが、とりあえず最後尾に並んでいただけますか?」
これは、職人少年が辺境の村を世界一の都へと変えていく、ほのぼの逆転サクセスストーリー。
「男のくせに料理なんて」と笑われたけど、今やギルドの胃袋を支えてます。
柊
ファンタジー
「顔も頭も平凡で何の役にも立たない」とグリュメ家を追放されたボルダン。
辿り着いたのはギルド食堂。そこで今まで培った料理の腕を発揮し……。
※複数のサイトに投稿しています。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
凄く楽しかったです!是非続きをお願いします^ - ^