【悪役転生 レイズの過去をしる。】

くりょ

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レイズの未来を変える。

レイズの知ってる線が繋がる

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ヴィルは深い皺を刻んだ顔で、苦渋を噛み締めるように口を開いた。

「確かに……イザベルの父…ガルシア・レイバードも、あの日この村を訪れていた。」

その一言に、イザベルが息を呑む音がはっきりと響く。

「だが、それだけではない。王国からも数名の騎士が同行していた。」

村の空気が凍りついた。

ヴィルが語る“王国の影”の存在に、場の誰もがただ耳を傾けることしかできなかった。

ヴィルは続ける。声は低く、だがひとつひとつの言葉は重かった。

「私は彼らを全員覚えている。……これから、一人ずつ名を挙げていこう。」

その声音は、まるで過去に積み上がった罪や汚れをひとつずつ吐き出すかのようだった。
そして、それはアルバードの長として背負う責務にも聞こえた。

名が並べられていく。

一つ。
また一つ。
さらに一つ。

その中に――レイズの心臓を撃ち抜くような名があった。

レオナルディオ。

その瞬間、レイズの身体がびくりと震え、目が大きく見開かれた。

「……ッ!!」

握りしめた拳が震え、深く爪が食い込む。
痛みすら今は感じない。

頭の中で、今まで点だった情報が、線となり、形となって繋がっていく。

メルェの死。
魔族の襲撃。
レイバードの動き。
王国騎士団の影。

全部――一本の線で繋がっていた。

「そっか……なるほどな……」

低く、押し殺した声。
怒りと、確信と、絶望が入り混じった声。

「レイバードと王国……すでに繋がってたのか。いや……違うな。」

レイズの口元に、自嘲にも似た薄い笑みが浮かぶ。

「レオナルディオはまだ……“レイバード”じゃないんだな?」

だが、その目は笑っていない。
鋭く冷え、怒火で揺れていた。

脳裏で、線が繋がる。

そして辿り着く結論は――ひとつ。

「……つまり」

レイズは拳を震わせ、低く告げた。

「レイバードを倒すってことは……“王国そのもの”を敵に回すって意味になる。」

村人たちが息を呑んだ。
イザベルの膝が崩れ落ちそうになる。

「王国騎士の一人であるあいつが…王国の象徴の存在、レオナルディオが……黒幕だ。」

レイズが告げる“現実”。

それはあまりに重く、残酷で、逃れようのないものだった。

イザベルの顔は蒼白になり、震える声が漏れる。

「そ……そんな……レイズくん……お父様が……!? レオナルディオ様が……そんなこと……」

ヴィルの表情も険しさを増していた。

「王国最強の騎士団……その背後には王家そのもの。レイバードと王国が繋がっているのなら、アルバードは――国を丸ごと敵に回すことになる。」

イザベルが涙を浮かべ、震えながらレイズに手を伸ばす。

「レイズくん……お願い……信じて……わたしは……そんなこと……!」

だがレイズは、その手を見ようとすらしなかった。

視線の先にあるのは、ただひとつ。

アルバードの未来。
そしてメルェの無念。

レイズは思った。

――もし俺がいなかったら?

もし、今この場に立っていたのがヴィルだけだったら?

答えは、あまりにも明白だった。

王国。
レイバード。
魔族の怒り。
すべてが同時にアルバードへ牙を向けていた。

そのどれか一つでも、ヴィル一人では押し止められなかったはずだ。

「……そうか」

息が漏れる。
アルバードが滅びる未来が、ありありと脳裏に浮かぶ。

王国に利用され、魔族からも攻撃され、孤立したまま叩き潰されるアルバード。

すべてが“仕組まれた破滅”だった。

「……レオナルディオ」

その名を口にするだけで、胸の奥に冷たい怒りがこみ上げる。

ゲームの中で彼はレイバードの当主だった。
王国と手を結び、主人公たちを追い詰める存在。

そして今――その影が現実に重なった。

あまりにも早く。
あまりにも近く。
あまりにも致命的な形で。

レイズはヴィルへ視線を向けた。

「ヴィル……ひとつ聞かせてくれ。」

「なんだ?」

「アルバードは……なんでこんな僻地にあるんだ?」

なぜ、王都から遠く離れたこの地に、これほどの戦力が置かれているのか。

その疑問は、ずっと胸の底に引っかかっていた。

ヴィルはどこか悲しそうに、遠い昔の記憶を掘り起こすように語り出した。

「ここは、魔族と人が無用に争わぬため……“防波堤”の役割を担っている。」

「防波堤……」

「地図上では王国の一部ですが、実際には魔族との“仲介地”でもある。」

「仲介地……」

つまり、この地は――
人と魔族を隔てる“盾”のような存在だったということ。

ヴィルは静かに続ける。

「だからこそ、王国からは疎まれてきた。アルバードという存在は、彼らにとって“戦争の口実を奪う壁”なのです。」

レイズは黙り込んだ。

ようやく理解できた気がした。

アルバードが、王国にとって邪魔でしかなかった理由。

王国の目的――魔族の死体に眠る宝石、“魔石”。

ヴィルが静かに言葉を重ねる。

「魔族の体内に眠る魔石は、強力なエネルギー源……。王国にとっては喉から手が出るほど欲しいものです。しかし――アルバードが、私が、それを許さなかった。」

レイズは奥歯を強く噛み締める。

アルバードは人間側に属しながらも、魔族の尊厳を守り、戦を抑止してきた。

しかし同時に、王国にとっては“邪魔者”だった。

「……俺はずっと勘違いしてた。」

レイズは低く呟く。

魔族を抑え込むための砦だと思っていた。
だが、アルバードが魔族を滅ぼしていない理由――。

それはただひとつ。

アルバードは“滅ぼすため”ではなく、
“両方を守るため”に存在していた。


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