【悪役転生 レイズの過去をしる。】

くりょ

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レイズは守る

リアノとレイズの二人旅

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こうして始まった、レイズとリアノの二人旅。

レイズは「皆を守る」という揺るぎない決意を胸に、まっすぐ前を見据えて歩いていた。
対してリアノは、メルェの故郷へ向かう道のりに祈りを込めながらも――こうしてレイズと並んで歩けることに、抑えきれない喜びを覚えていた。

目的は違えど、二人の間に流れる空気はどこか柔らかく、明るかった。

アルバードの敷地を抜け、街道へ出たところで、リアノがふと首をかしげる。

「……どうして馬に乗らなかったのですか?」

レイズは少し考えてから肩をすくめた。

「……乗らなかったんじゃない。乗れなかった、とは言えねぇしな。
でもさ――歩いて景色を楽しむのも、旅の醍醐味だろ?」

その言葉にリアノの胸がどくりと跳ねる。

(私と……二人で歩くことを楽しみにしてくださっている……?)

そんな小さな勘違いのような想いが、リアノの心をそっと踊らせた。

街道を進むうち、町の人々が次々と気づき、ざわつき始める。

「レイズ様だ!!」
「見ろよ! あの逞しい姿を!」

瞬く間に人だかりができ、歓声が飛ぶ。

レイズは大袈裟に胸を張り、どこか調子に乗ったように宣言した。

「うむ! 皆の者、私は使命を帯びて旅に出る! 達者でな!」

その一言が、また油を注ぐ。

「えぇぇ!? どこへ行かれるのですか!!」
「そんな……お別れみたいなことを言わないでください!」

泣き出す者まで現れ、混乱に拍車がかかる。

レイズは両手をぶんぶん振り回して叫んだ。

「だから黙れって言ってんだろ! 一週間で戻るんだよ! ほんとに道を開けろって!」

その様子を見ていたリアノは、恥ずかしさと楽しさの入り混じった表情で、そっとレイズの腕に触れた。

その一瞬を、人混みは見逃さない。

「ま、まさか……!」
「リアノさんとレイズ様が……!?」

一気にざわめきが広がり、大騒ぎになる。

「っ……!」

リアノは真っ赤になって慌てて手を離す――が、次の瞬間レイズがその手をがしっと掴み直した。

「何してる。はぐれるぞ!」

そのまま人混みを切り裂くように歩き出す。

人々は羨望と憧れ、そして噂話をまじえた視線で二人の背中を見送っていた。

人混みを抜けてもなお、レイズはリアノの手をしっかり握ったままだった。

リアノは頬を淡く染めながら、どこか楽しそうに言う。

「レイズ様……あまり悪のりしては、だめですよ?」

その声音はたしなめているはずなのに、隠しきれない喜びがにじんでいた。

レイズは彼女の横顔をちらりと見て、すまなさそうに頭をかいた。

「……あー……ほんとに、ごめん。つい調子に乗っちまった」

その優しい声音にリアノの胸がじんわり温かく染まる。

歩きながら、ふとリアノが問いかけた。

「……レイズ様。私が一緒に行くのはわかりました。
ですが……私に、何かお手伝いできることがあるのでしょうか?」

レイズは迷いなく答えた。

「あるに決まってるだろ」

リアノは目を瞬かせる。

レイズは続けた。

「リアノ。俺は氷属性しかまともに使えない。
でもおまえは――水を使えるよな」

リアノは小さく頷く。

「はい……使えます」

レイズは自然な声で、そのまま告げた。

「水と氷は相性がいい。
おまえがいてくれたら……正直、すげぇ助かるんだ」

リアノの足がぴたりと止まる。

(レイズ様の……役に立てる……?)
(私が……必要とされている……?)

胸の内がじわっと温かく満たされ、視界が滲むほど嬉しくなる。

それでも彼女は必死に声を整え、微笑んで答えた。

「……はい。レイズ様のお役に立てるのなら……リアノは何でもいたします」

その声音は柔らかく、けれど芯のある強さを秘めていた。
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