85 / 107
レイズは守る
隠すための細工をしに
しおりを挟む
机の上で淡い光を放つメモリアルストーンを前に、レイズは静かに口を開いた。
「……ただ力を引き出すためじゃない。これは“隠す”ために必要なものがある」
ヴィルが目を細める。
「隠す……ため、ですか」
レイズは頷き、ストーンを指先で軽く叩いた。
「魔石を死属性で変換した以上、もう本来の魔石じゃない。だが、これが魔石だと悟られたら終わりだ。だから――ただの“加工品”に見せる必要がある」
そのために必要なのが、属性石とミスリルだった。
属性石は生活魔術に使われる小粒のエネルギー石。
火や氷、水や光を宿す、ごく普通の素材だ。
それを核に見立て、メモリアルストーンに組み込むことで、
「これは属性石を使っただけの装飾品だ」
と偽装できる。
さらにミスリルを薄く削り、細工として外殻に被せれば、魔道具のような外観が完成する。
魔石の正体は、完全に覆い隠せる。
「……つまり、完全なカモフラージュだ」
レイズの声は静かだが、その奥には鋭い危機感が潜んでいた。
「魔石と死属性の関係は、絶対に知られちゃいけない。
これは“ただの加工石”として扱うんだ」
ヴィルは深く頷く。
「なるほど……本質は秘匿したまま、表だけを整えるわけですね」
だがすぐに、ヴィルは深いため息をつきながら難しい顔をした。
「属性石は問題ありません。ですが――ミスリルは別です。
王国が血眼になって追い求める資源。
それをアルバードが持っていると知れれば、隠すどころか狙われます」
もっともな指摘だった。
しかしレイズの返答は迷いなく早かった。
「だから――死属性を使う」
「……また、ですか」
ヴィルは苦笑まじりに言うが、その瞳はすでに理解している。
死属性が常識の外にあることを、痛いほど思い知らされてきたからだ。
レイズは机の紙片に線を走らせながら説明した。
「ミスリルの特徴は、あの光沢だ。金属に魔力が宿ることで光を放ってる。
なら、それを死属性で“消す”。
光も、魔力も、表層ごと剥ぎ落とす」
拳を軽く握り、断言する。
「そうすれば、ただの色褪せた鉱石にしか見えない。
ミスリルだと気づく奴は、この世界に一人もいない」
ヴィルは深く息を呑んだ。
「……理屈としては理解できます。しかし、問題は変わりません。肝心のミスリルをどう手に入れるのです?」
レイズは口角をわずかに上げた。
「方法ならある」
ヴィルが怪訝に眉を寄せると、レイズは静かに告げた。
「ミスリルは“ディグル洞窟”に眠ってる。
未来では人が発掘する場所だ。
魔族ですら近寄らない強力な魔物の巣……つまり、王国の手はまったく届いていない」
ヴィルは言葉を失った。
魔族すら避ける領域――危険過ぎる。
だが同時に、死属性を扱うレイズなら成し得るかもしれないという現実が胸をざわつかせた。
ヴィルは低い声で問う。
「しかし……魔族が許すと思いますか?」
レイズは即答する。
「あぁ。今回の魔石も、もとは魔族の命だ。
だからこそ、魔族に許しを得なきゃならない」
レイズの声音には一片の迷いもない。
「俺は魔族と盟約を結んでる。対話もできる。
事実を伝え、約束を守る誓いを立てればいい。
そして――俺は嘘をつかない。それは絶対だ」
その確信に満ちた言葉に、部屋の空気が張り詰める。
残された問題はただひとつ。
「……誰を連れていくか、だな」
クリスの名が過る。
だが、彼を同行させれば戦力を示しすぎる。
イザベルの顔も浮かぶ。
しかし、父ガルシアやレイバード、王国の背景を考えると危険すぎる。
残ったのは――ひとり。
レイズの脳裏に、ふと麗らかな少女の姿が浮かぶ。
メルェ。
そして、彼女と深く結ばれていた者。
「……リアノ」
自然とその名が口をついて出た。
リアノであれば、メルェの魂に寄り添い、
魔族たちへ“真実”を語るに足る証明となる。
レイズは理解していた。
メルェを想い続けるリアノの存在こそが、魔族に最も強く届く言葉になると。
レイズは屋敷を出て、リアノを探した。
彼女はメルェの墓の前にひざまずき、静かに祈りを捧げていた。
レイズは立ち止まり、胸の奥がじんと熱くなる。
――リアノ。おまえは毎日こうして、メルェに祈っていたのか。
そっと近づき、声をかける。
「……リアノ」
リアノは肩を震わせ、振り返った。
「レイズ様!? あ、その……ここには……」
「あぁ。わかってる。メルェが眠ってる」
その言葉に、リアノの表情が柔らかく和らぐ。
「はい。メルェは……ここで眠っています」
レイズは墓へ向き直り、短く、だが強く告げた。
「メルェ。必ず……変えてやるからな」
リアノの瞳が揺れ、うるんだ光が滲む。
彼に手を伸ばしかけ――しかし、途中で引っ込めた。
「……いえ。私はもう、レイズ様の隣に立てるような存在ではありません」
俯く彼女に、レイズは優しく微笑む。
「それでだ、リアノ。おまえと二人で行きたい場所がある」
「わ、私と……二人で?」
「あぁ。怖ければ無理するな。……魔族領だ。メルェが生きていた場所へ行く」
リアノの顔が一瞬で固まる。
そこは人にとって恐怖の土地――だが同時に、メルェの故郷でもあった。
言葉を失う彼女へ、レイズは穏やかに続ける。
「俺は魔族を怖いと思ったことはない。
魔族にも心がある。約束がある。……メルェと同じ温かさがある。だから安心しろ」
――安心しろ。
そのひと言に、リアノの胸が大きく揺れる。
恩返しのために仕えていた彼へ抱いた気持ちは、もう別の色へと変わっていた。
――一緒にいたい。ただ、その想いだけで。
だが、それが許される立場ではないことも知っていた。
だからこそ、小さく息を整え、深く頷いた。
「……はい。レイズ様となら、どこへでも。リアノはお供いたします」
レイズはリアノの了承を得ると、クリス、イザベル、リアナを呼び寄せた。
「というわけで、リアノと二人でちょっくら行ってくる」
軽い調子で告げると、イザベルがじと目で睨む。
「……リアノと二人、ね? へぇ~?」
クリスは微笑を崩さずに言う。
「では、次は私と二人で出かけましょう」
(おまえとどこへ行く気だよ……)
レイズは心の中で突っ込むしかない。
リアナは素直に喜び、リアノへ向かってぱぁっと笑う。
「リアノ、すごいね! レイズ様と二人きりなんて、嬉しいでしょ?」
リアノは真っ赤になり、必死に言葉を選ぶ。
「そ、そんな……ですが……光栄です……」
――レイズだけが気づいていなかった。
彼女たちの向ける眼差しの意味に。
そして、自分が誰にどんな想いを抱いているのかにも。
レイズは続けた。
「ああ、一週間ぐらい戻らないかもしれないが、安心しろよ」
イザベルが悲鳴を上げる。
「い、一週間!? ムリ!! 絶対ムリ!!」
クリスも慌てて前に出る。
「そ、それではレイズ様に何かあったら……! 一体どこへ……」
リアナは夢見るように呟く。
「一週間……二人きり……」
リアノは慌てふためき、両手を振る。
「ち、ちがいます!! メルェの故郷にご挨拶に……!」
イザベルはさらに食いつく。
「魔族領!? リアノと二人で!?」
クリスは覚悟を決めた表情で言う。
「レイズ様、それは危険です。……私も同行します!」
「私も!」とイザベル。
「わたしも!!」とリアナが続く。
レイズは頭を抱えた。
「待て待て! リアノと二人で行くって言ってんだろ! これは――当主命令だ! 従え!」
しかし三人は一歩も退かない。
そこへ、ヴィルが現れた。
厳しい眼差しで三人を見渡し、静かに告げる。
「……レイズなら大丈夫です。
そしてリアノも、レイズが必ず守ります。
私が許可しました。――異論は?」
場の空気が一瞬で張り詰める。
クリスは即座に背筋を伸ばし、「承知しました」と答え、
リアナも慌てて頭を下げる。
ただ一人、イザベルだけが頬を膨らませた。
「な、なんでよ……」
ヴィルは静かに追い打ちを放つ。
「イザベル……お前が行きたいのは、リアノにレイズを取られると思っているからではないのか?」
「っ……ち、違う!! そんなわけないでしょ!!」
そして泣きそうな顔でレイズへ訴える。
「ね!? 違うよね!?」
だがレイズは完全に理解できず、首をかしげるばかり。
「……俺が? 取られる? リアノに? どういう意味だ?」
リアノは大慌てで両手を振る。
「しっ!! そんなつもりありません!!」
――誰もレイズの鈍感さには勝てなかった。
レイズはふてくされるように叫ぶ。
「おまえら! なんでヴィルの言うことだけ聞いて俺の言うことは聞かねぇんだよ!!」
その顔は怒っているというより、呆れと苦笑が混じっていた。
イザベルはぷいっと顔をそむけて言う。
「だって……おじい様の言葉には誰も逆らえないもん!」
クリスは淡々と告げる。
「当主命令とおっしゃられても……レイズ様は時々軽すぎます」
リアナはただ「えへへ……」と笑うばかり。
リアノだけが真剣に両手を合わせるようにして言う。
「わ、私はレイズ様のお言葉を信じております!!」
そのとき、レイズの眉がぴくりと動いた。
「軽い……つまり威厳が足りないって言いたいのか?」
ぽつりと呟き、ふいに表情を引き締める。
そして――
「――では、行ってまいる。リアノ、ついてこい!」
重々しい声で堂々と宣言し、そのまま屋敷を出ていった。
イザベルとクリスは顔を見合わせ、同時にため息をつく。
「そういうことじゃないの……レイズくんのばか」
「……そういうことではないのですよ、レイズ様」
リアナだけが頬を染め、目を輝かせて呟いた。
「……かっこいい……」
────────────────────
「……ただ力を引き出すためじゃない。これは“隠す”ために必要なものがある」
ヴィルが目を細める。
「隠す……ため、ですか」
レイズは頷き、ストーンを指先で軽く叩いた。
「魔石を死属性で変換した以上、もう本来の魔石じゃない。だが、これが魔石だと悟られたら終わりだ。だから――ただの“加工品”に見せる必要がある」
そのために必要なのが、属性石とミスリルだった。
属性石は生活魔術に使われる小粒のエネルギー石。
火や氷、水や光を宿す、ごく普通の素材だ。
それを核に見立て、メモリアルストーンに組み込むことで、
「これは属性石を使っただけの装飾品だ」
と偽装できる。
さらにミスリルを薄く削り、細工として外殻に被せれば、魔道具のような外観が完成する。
魔石の正体は、完全に覆い隠せる。
「……つまり、完全なカモフラージュだ」
レイズの声は静かだが、その奥には鋭い危機感が潜んでいた。
「魔石と死属性の関係は、絶対に知られちゃいけない。
これは“ただの加工石”として扱うんだ」
ヴィルは深く頷く。
「なるほど……本質は秘匿したまま、表だけを整えるわけですね」
だがすぐに、ヴィルは深いため息をつきながら難しい顔をした。
「属性石は問題ありません。ですが――ミスリルは別です。
王国が血眼になって追い求める資源。
それをアルバードが持っていると知れれば、隠すどころか狙われます」
もっともな指摘だった。
しかしレイズの返答は迷いなく早かった。
「だから――死属性を使う」
「……また、ですか」
ヴィルは苦笑まじりに言うが、その瞳はすでに理解している。
死属性が常識の外にあることを、痛いほど思い知らされてきたからだ。
レイズは机の紙片に線を走らせながら説明した。
「ミスリルの特徴は、あの光沢だ。金属に魔力が宿ることで光を放ってる。
なら、それを死属性で“消す”。
光も、魔力も、表層ごと剥ぎ落とす」
拳を軽く握り、断言する。
「そうすれば、ただの色褪せた鉱石にしか見えない。
ミスリルだと気づく奴は、この世界に一人もいない」
ヴィルは深く息を呑んだ。
「……理屈としては理解できます。しかし、問題は変わりません。肝心のミスリルをどう手に入れるのです?」
レイズは口角をわずかに上げた。
「方法ならある」
ヴィルが怪訝に眉を寄せると、レイズは静かに告げた。
「ミスリルは“ディグル洞窟”に眠ってる。
未来では人が発掘する場所だ。
魔族ですら近寄らない強力な魔物の巣……つまり、王国の手はまったく届いていない」
ヴィルは言葉を失った。
魔族すら避ける領域――危険過ぎる。
だが同時に、死属性を扱うレイズなら成し得るかもしれないという現実が胸をざわつかせた。
ヴィルは低い声で問う。
「しかし……魔族が許すと思いますか?」
レイズは即答する。
「あぁ。今回の魔石も、もとは魔族の命だ。
だからこそ、魔族に許しを得なきゃならない」
レイズの声音には一片の迷いもない。
「俺は魔族と盟約を結んでる。対話もできる。
事実を伝え、約束を守る誓いを立てればいい。
そして――俺は嘘をつかない。それは絶対だ」
その確信に満ちた言葉に、部屋の空気が張り詰める。
残された問題はただひとつ。
「……誰を連れていくか、だな」
クリスの名が過る。
だが、彼を同行させれば戦力を示しすぎる。
イザベルの顔も浮かぶ。
しかし、父ガルシアやレイバード、王国の背景を考えると危険すぎる。
残ったのは――ひとり。
レイズの脳裏に、ふと麗らかな少女の姿が浮かぶ。
メルェ。
そして、彼女と深く結ばれていた者。
「……リアノ」
自然とその名が口をついて出た。
リアノであれば、メルェの魂に寄り添い、
魔族たちへ“真実”を語るに足る証明となる。
レイズは理解していた。
メルェを想い続けるリアノの存在こそが、魔族に最も強く届く言葉になると。
レイズは屋敷を出て、リアノを探した。
彼女はメルェの墓の前にひざまずき、静かに祈りを捧げていた。
レイズは立ち止まり、胸の奥がじんと熱くなる。
――リアノ。おまえは毎日こうして、メルェに祈っていたのか。
そっと近づき、声をかける。
「……リアノ」
リアノは肩を震わせ、振り返った。
「レイズ様!? あ、その……ここには……」
「あぁ。わかってる。メルェが眠ってる」
その言葉に、リアノの表情が柔らかく和らぐ。
「はい。メルェは……ここで眠っています」
レイズは墓へ向き直り、短く、だが強く告げた。
「メルェ。必ず……変えてやるからな」
リアノの瞳が揺れ、うるんだ光が滲む。
彼に手を伸ばしかけ――しかし、途中で引っ込めた。
「……いえ。私はもう、レイズ様の隣に立てるような存在ではありません」
俯く彼女に、レイズは優しく微笑む。
「それでだ、リアノ。おまえと二人で行きたい場所がある」
「わ、私と……二人で?」
「あぁ。怖ければ無理するな。……魔族領だ。メルェが生きていた場所へ行く」
リアノの顔が一瞬で固まる。
そこは人にとって恐怖の土地――だが同時に、メルェの故郷でもあった。
言葉を失う彼女へ、レイズは穏やかに続ける。
「俺は魔族を怖いと思ったことはない。
魔族にも心がある。約束がある。……メルェと同じ温かさがある。だから安心しろ」
――安心しろ。
そのひと言に、リアノの胸が大きく揺れる。
恩返しのために仕えていた彼へ抱いた気持ちは、もう別の色へと変わっていた。
――一緒にいたい。ただ、その想いだけで。
だが、それが許される立場ではないことも知っていた。
だからこそ、小さく息を整え、深く頷いた。
「……はい。レイズ様となら、どこへでも。リアノはお供いたします」
レイズはリアノの了承を得ると、クリス、イザベル、リアナを呼び寄せた。
「というわけで、リアノと二人でちょっくら行ってくる」
軽い調子で告げると、イザベルがじと目で睨む。
「……リアノと二人、ね? へぇ~?」
クリスは微笑を崩さずに言う。
「では、次は私と二人で出かけましょう」
(おまえとどこへ行く気だよ……)
レイズは心の中で突っ込むしかない。
リアナは素直に喜び、リアノへ向かってぱぁっと笑う。
「リアノ、すごいね! レイズ様と二人きりなんて、嬉しいでしょ?」
リアノは真っ赤になり、必死に言葉を選ぶ。
「そ、そんな……ですが……光栄です……」
――レイズだけが気づいていなかった。
彼女たちの向ける眼差しの意味に。
そして、自分が誰にどんな想いを抱いているのかにも。
レイズは続けた。
「ああ、一週間ぐらい戻らないかもしれないが、安心しろよ」
イザベルが悲鳴を上げる。
「い、一週間!? ムリ!! 絶対ムリ!!」
クリスも慌てて前に出る。
「そ、それではレイズ様に何かあったら……! 一体どこへ……」
リアナは夢見るように呟く。
「一週間……二人きり……」
リアノは慌てふためき、両手を振る。
「ち、ちがいます!! メルェの故郷にご挨拶に……!」
イザベルはさらに食いつく。
「魔族領!? リアノと二人で!?」
クリスは覚悟を決めた表情で言う。
「レイズ様、それは危険です。……私も同行します!」
「私も!」とイザベル。
「わたしも!!」とリアナが続く。
レイズは頭を抱えた。
「待て待て! リアノと二人で行くって言ってんだろ! これは――当主命令だ! 従え!」
しかし三人は一歩も退かない。
そこへ、ヴィルが現れた。
厳しい眼差しで三人を見渡し、静かに告げる。
「……レイズなら大丈夫です。
そしてリアノも、レイズが必ず守ります。
私が許可しました。――異論は?」
場の空気が一瞬で張り詰める。
クリスは即座に背筋を伸ばし、「承知しました」と答え、
リアナも慌てて頭を下げる。
ただ一人、イザベルだけが頬を膨らませた。
「な、なんでよ……」
ヴィルは静かに追い打ちを放つ。
「イザベル……お前が行きたいのは、リアノにレイズを取られると思っているからではないのか?」
「っ……ち、違う!! そんなわけないでしょ!!」
そして泣きそうな顔でレイズへ訴える。
「ね!? 違うよね!?」
だがレイズは完全に理解できず、首をかしげるばかり。
「……俺が? 取られる? リアノに? どういう意味だ?」
リアノは大慌てで両手を振る。
「しっ!! そんなつもりありません!!」
――誰もレイズの鈍感さには勝てなかった。
レイズはふてくされるように叫ぶ。
「おまえら! なんでヴィルの言うことだけ聞いて俺の言うことは聞かねぇんだよ!!」
その顔は怒っているというより、呆れと苦笑が混じっていた。
イザベルはぷいっと顔をそむけて言う。
「だって……おじい様の言葉には誰も逆らえないもん!」
クリスは淡々と告げる。
「当主命令とおっしゃられても……レイズ様は時々軽すぎます」
リアナはただ「えへへ……」と笑うばかり。
リアノだけが真剣に両手を合わせるようにして言う。
「わ、私はレイズ様のお言葉を信じております!!」
そのとき、レイズの眉がぴくりと動いた。
「軽い……つまり威厳が足りないって言いたいのか?」
ぽつりと呟き、ふいに表情を引き締める。
そして――
「――では、行ってまいる。リアノ、ついてこい!」
重々しい声で堂々と宣言し、そのまま屋敷を出ていった。
イザベルとクリスは顔を見合わせ、同時にため息をつく。
「そういうことじゃないの……レイズくんのばか」
「……そういうことではないのですよ、レイズ様」
リアナだけが頬を染め、目を輝かせて呟いた。
「……かっこいい……」
────────────────────
5
あなたにおすすめの小説
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~
北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。
実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。
そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。
グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・
しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。
これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。
巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった
ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。
学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。
だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。
暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。
よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!?
……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい!
そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。
赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。
「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」
そう、他人事のように見送った俺だったが……。
直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。
「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」
――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる