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レイズは守る
レイズの言葉は深くそして浅い
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酒場の扉が勢いよく開かれ、ドイルが胸を張って叫んだ。
「おい! 今日はとんでもねぇお客様を連れてきたぞ!!」
その声に、酒場中の視線が一斉に入口へと向く。
そこに立っていたのは――堂々とした気配を纏う青年、レイズ。
一瞬、空気が張りつめる。だが次の瞬間、どよめきが爆発した。
「レ、レイズ様!?」「まさか本当に……!」
「二度も来てくださるなんて!!」
カウンターの奥から、店主が目を潤ませながら飛び出してくる。
「レイズ様……! まさか、また当店を選んでくださるとは……!」
やがて客たちは歓声を上げはじめた。
「この店、やっべぇぞ!!」
「今日は祝いだ! 飲め飲めぇ!!」
――その熱気は、まるで“英雄を迎える”それだった。
レイズは照れたように、しかし少し得意げに言う。
「じゃあ……カウイジュースを二つ。まずはそれを頼む」
「二つ……?」とざわつく客たち。
一つは、隣に立つリアノのためだった。
リアノは頬を赤く染め、そっと頭を下げる。
「レイズくん……ありがとう……」
そこへドイルが割り込む。
「ジュースだぁ? せっかく酒場に来たんだ、酒飲もうぜ!」
だがレイズは意地悪そうに口角を上げた。
「いや、今日は“やり直し”だ。前はちょっと散々だったしな。今度はゆっくりジュースを楽しみたい」
ドイルはバツの悪そうに頭をかき、
「……そ、そうだよな。楽しんでくれや」
しかし、すぐに気を取り直し叫んだ。
「じゃあよ! 俺たちも一緒に飲んでいいか!?」
レイズは笑顔で頷く。
「ああ、もちろんそのつもりだ」
酒場は一瞬で熱狂の渦へと変わった。
杯がぶつかり、笑いが弾ける。
そこにいる全員が、英雄レイズを中心に祝いの宴を広げていた。
マスターが盆を抱えて現れる。
「お待たせしました、カウイジュースです」
レイズは頷くと、グラスに掌をかざす。
――フリーズ。
氷の魔力が透明な結晶となって広がり、ジュースが一気に冷えていく。
レイズはそれをリアノへ。
そしてもう一つを自分の手に取った。
「じゃ……俺から」
ひと口。
「……はぁっ……くぅ……! うまいな、これは」
リアノもそっと口をつける。
「では、いただきます……」
冷たい清涼感が喉を駆け抜ける。
「っ……! ほんとうに……美味しいです! レイズくんの力って……こんなことにも使えるんですね……!」
その表情を見て、周囲の客たちが一斉に立ち上がる。
「おい!! 俺たちにもやってくれ!!」
「おれもキンキンに冷えた酒、飲んでみてぇ!!!」
ざわつく声に、レイズは苦笑しながら金貨を三枚、カウンターへ置いた。
「マスター。今日は俺が奢る。みんな、好きなだけ飲んでくれ」
そして――大樽に向けて、ゆっくりと手をかざす。
――フリーズ!!
冷気が奔り、樽全体が白く光を帯びた。
次々に冷えた酒が注がれていく。
「「「うおおおおおぉぉぉ!!!」」」
歓声、笑い声、杯の音。
酒場は一瞬で祭りの場と化し――その中心には、確かに英雄レイズが立っていた。
酒場の熱気は止まらなかった。
歌声、笑い声、杯がぶつかる高い音。
レイズは人々に囲まれ、武勇を語られ、冗談を投げられ、時に涙すら分かち合った。
――これが、異世界で俺が見たかった景色のひとつなんだな。
胸の奥でそんな想いがふと溢れる。
やがて、酔いで顔を真っ赤にしたドイルが、ぐいと身を寄せてきた。
「なぁレイズ……隣のお嬢ちゃんよ。お前、好きなのか?」
瞬間、周囲がざわつく。
そして――酔いの勢いもあってか、レイズは豪快に笑いながら答えてしまった。
「当たり前だろうが! ハハハハ!!」
「おおおおおーーっ!!」
拍手と歓声が爆発し、一斉に杯が掲げられる。
英雄の恋を祝福し、からかう声が飛び交い、宴はさらに熱を増していった。
だが――リアノだけは、その輪に入れなかった。
胸の奥で何かが跳ね上がる。
(す……好き……? 本心……? それとも……お酒のせい?)
酔った場では本音が零れる。
それを知っているからこそ、余計に心が乱れた。
「……すみません、先にお部屋に行きます」
そう言う声は、震えていて、小さくて、だけど必死だった。
リアノは顔を真っ赤にしたまま席を立つ。
レイズは陽気なまま手を振り、笑って叫ぶ。
「なんだよリアノは~! つれねぇなぁ! なぁ、おまえら!!」
その周囲からは「羨ましいぞレイズ様!」と笑い声が返ってくる。
――しかし。
自分が口にした「好き」という一言が、
リアノにどれほど深い意味を持って届いてしまったのか。
この時のレイズは、まだまったく気づいていなかった。
リアノは酒場を後にし、宿の部屋へと足を踏み入れた。
そこで――息を呑む。
「……えっ……ベッドが、一つ……?」
視線の先には、大人二人が余裕で眠れる大きなベッドが一つだけ。
その瞬間、顔が一気に真っ赤になった。
(こ、こんなの……イザベル様が知ったら……!
いえ、それ以前に……わ、私……どうしたら……)
動揺で胸が苦しくなる。
その熱を誤魔化すように、水属性魔法をそっと唱えた。
「アクアクリーン……」
清らかな水が身体を包み、汗と酒場の煙の匂いを洗い流していく。
着替えを済ませ、布団に潜り込む。
だが、少しも落ち着けなかった。
(レイズ様には……イザベル様がいるのに……
なのに……どうして私は、こんなに……)
胸の奥がじんじんと熱を持ち、
枕に顔を埋めても心臓の鼓動が早まるばかりだった。
――その頃。
「見ろぉ!! これが俺の相棒だあ!!」
酒場では、上着を脱いだレイズが――
バキバキに割れた腹筋を披露していた。
「うおおおお!!」
「すげぇ!! 岩みてぇだ!!」
どよめく村人たち。
レイズは豪快に笑い、杯を掲げ、
「はぁぁ……楽しいなぁぁ……これだよこれ!!」
満足げに呟きながら、ふらりと宿へ向かった。
廊下に転がる酔いつぶれた男たちをまたぎながら、
レイズはようやく宿の部屋へ戻ってきた。
ドアを開けると――
そこには布団に潜り、目を閉じているリアノの姿。
「……もう寝てるのか」
そう呟いて、レイズも着替えを済ませ――
何の疑いもなく布団へ滑り込んだ。
「よっこらしょ……っと」
少しおじさん臭い掛け声とともに横になる。
その瞬間――
リアノの心臓は爆発しそうなくらい跳ね上がった。
(ち、近い……!!
ど、どうしよう……どうしたら……!!)
呼吸が乱れるのを必死に抑え、
眠っているふりを続ける。
だがすぐに、レイズからは穏やかな寝息が聞こえ始めた。
「……すぅ……すぅ……」
(もう……寝ちゃったんだ……)
安堵。
それと、ほんの少しの寂しさ。
その両方が胸をかき混ぜる。
リアノはそっと胸に手を当て、
たまらず小さな声で呟いた。
「……レイズくん……」
その声は夜の闇に静かに溶け、
ふたりの距離はたった数十センチのまま――
夜は、更けていった。
「おい! 今日はとんでもねぇお客様を連れてきたぞ!!」
その声に、酒場中の視線が一斉に入口へと向く。
そこに立っていたのは――堂々とした気配を纏う青年、レイズ。
一瞬、空気が張りつめる。だが次の瞬間、どよめきが爆発した。
「レ、レイズ様!?」「まさか本当に……!」
「二度も来てくださるなんて!!」
カウンターの奥から、店主が目を潤ませながら飛び出してくる。
「レイズ様……! まさか、また当店を選んでくださるとは……!」
やがて客たちは歓声を上げはじめた。
「この店、やっべぇぞ!!」
「今日は祝いだ! 飲め飲めぇ!!」
――その熱気は、まるで“英雄を迎える”それだった。
レイズは照れたように、しかし少し得意げに言う。
「じゃあ……カウイジュースを二つ。まずはそれを頼む」
「二つ……?」とざわつく客たち。
一つは、隣に立つリアノのためだった。
リアノは頬を赤く染め、そっと頭を下げる。
「レイズくん……ありがとう……」
そこへドイルが割り込む。
「ジュースだぁ? せっかく酒場に来たんだ、酒飲もうぜ!」
だがレイズは意地悪そうに口角を上げた。
「いや、今日は“やり直し”だ。前はちょっと散々だったしな。今度はゆっくりジュースを楽しみたい」
ドイルはバツの悪そうに頭をかき、
「……そ、そうだよな。楽しんでくれや」
しかし、すぐに気を取り直し叫んだ。
「じゃあよ! 俺たちも一緒に飲んでいいか!?」
レイズは笑顔で頷く。
「ああ、もちろんそのつもりだ」
酒場は一瞬で熱狂の渦へと変わった。
杯がぶつかり、笑いが弾ける。
そこにいる全員が、英雄レイズを中心に祝いの宴を広げていた。
マスターが盆を抱えて現れる。
「お待たせしました、カウイジュースです」
レイズは頷くと、グラスに掌をかざす。
――フリーズ。
氷の魔力が透明な結晶となって広がり、ジュースが一気に冷えていく。
レイズはそれをリアノへ。
そしてもう一つを自分の手に取った。
「じゃ……俺から」
ひと口。
「……はぁっ……くぅ……! うまいな、これは」
リアノもそっと口をつける。
「では、いただきます……」
冷たい清涼感が喉を駆け抜ける。
「っ……! ほんとうに……美味しいです! レイズくんの力って……こんなことにも使えるんですね……!」
その表情を見て、周囲の客たちが一斉に立ち上がる。
「おい!! 俺たちにもやってくれ!!」
「おれもキンキンに冷えた酒、飲んでみてぇ!!!」
ざわつく声に、レイズは苦笑しながら金貨を三枚、カウンターへ置いた。
「マスター。今日は俺が奢る。みんな、好きなだけ飲んでくれ」
そして――大樽に向けて、ゆっくりと手をかざす。
――フリーズ!!
冷気が奔り、樽全体が白く光を帯びた。
次々に冷えた酒が注がれていく。
「「「うおおおおおぉぉぉ!!!」」」
歓声、笑い声、杯の音。
酒場は一瞬で祭りの場と化し――その中心には、確かに英雄レイズが立っていた。
酒場の熱気は止まらなかった。
歌声、笑い声、杯がぶつかる高い音。
レイズは人々に囲まれ、武勇を語られ、冗談を投げられ、時に涙すら分かち合った。
――これが、異世界で俺が見たかった景色のひとつなんだな。
胸の奥でそんな想いがふと溢れる。
やがて、酔いで顔を真っ赤にしたドイルが、ぐいと身を寄せてきた。
「なぁレイズ……隣のお嬢ちゃんよ。お前、好きなのか?」
瞬間、周囲がざわつく。
そして――酔いの勢いもあってか、レイズは豪快に笑いながら答えてしまった。
「当たり前だろうが! ハハハハ!!」
「おおおおおーーっ!!」
拍手と歓声が爆発し、一斉に杯が掲げられる。
英雄の恋を祝福し、からかう声が飛び交い、宴はさらに熱を増していった。
だが――リアノだけは、その輪に入れなかった。
胸の奥で何かが跳ね上がる。
(す……好き……? 本心……? それとも……お酒のせい?)
酔った場では本音が零れる。
それを知っているからこそ、余計に心が乱れた。
「……すみません、先にお部屋に行きます」
そう言う声は、震えていて、小さくて、だけど必死だった。
リアノは顔を真っ赤にしたまま席を立つ。
レイズは陽気なまま手を振り、笑って叫ぶ。
「なんだよリアノは~! つれねぇなぁ! なぁ、おまえら!!」
その周囲からは「羨ましいぞレイズ様!」と笑い声が返ってくる。
――しかし。
自分が口にした「好き」という一言が、
リアノにどれほど深い意味を持って届いてしまったのか。
この時のレイズは、まだまったく気づいていなかった。
リアノは酒場を後にし、宿の部屋へと足を踏み入れた。
そこで――息を呑む。
「……えっ……ベッドが、一つ……?」
視線の先には、大人二人が余裕で眠れる大きなベッドが一つだけ。
その瞬間、顔が一気に真っ赤になった。
(こ、こんなの……イザベル様が知ったら……!
いえ、それ以前に……わ、私……どうしたら……)
動揺で胸が苦しくなる。
その熱を誤魔化すように、水属性魔法をそっと唱えた。
「アクアクリーン……」
清らかな水が身体を包み、汗と酒場の煙の匂いを洗い流していく。
着替えを済ませ、布団に潜り込む。
だが、少しも落ち着けなかった。
(レイズ様には……イザベル様がいるのに……
なのに……どうして私は、こんなに……)
胸の奥がじんじんと熱を持ち、
枕に顔を埋めても心臓の鼓動が早まるばかりだった。
――その頃。
「見ろぉ!! これが俺の相棒だあ!!」
酒場では、上着を脱いだレイズが――
バキバキに割れた腹筋を披露していた。
「うおおおお!!」
「すげぇ!! 岩みてぇだ!!」
どよめく村人たち。
レイズは豪快に笑い、杯を掲げ、
「はぁぁ……楽しいなぁぁ……これだよこれ!!」
満足げに呟きながら、ふらりと宿へ向かった。
廊下に転がる酔いつぶれた男たちをまたぎながら、
レイズはようやく宿の部屋へ戻ってきた。
ドアを開けると――
そこには布団に潜り、目を閉じているリアノの姿。
「……もう寝てるのか」
そう呟いて、レイズも着替えを済ませ――
何の疑いもなく布団へ滑り込んだ。
「よっこらしょ……っと」
少しおじさん臭い掛け声とともに横になる。
その瞬間――
リアノの心臓は爆発しそうなくらい跳ね上がった。
(ち、近い……!!
ど、どうしよう……どうしたら……!!)
呼吸が乱れるのを必死に抑え、
眠っているふりを続ける。
だがすぐに、レイズからは穏やかな寝息が聞こえ始めた。
「……すぅ……すぅ……」
(もう……寝ちゃったんだ……)
安堵。
それと、ほんの少しの寂しさ。
その両方が胸をかき混ぜる。
リアノはそっと胸に手を当て、
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「……レイズくん……」
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