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序章
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4月の上旬。
東京都。未来川。
私立の 未来川高校 にも春が訪れ始めた。
桜が咲き乱れ、草花も一斉に芽を吹いた。
この季節。出会いと別れの季節。
未来川高校はこの日、新入生が入学してくる。
入学式。
新入生は600人ほどだ。
2年生、3年生は、この日ほど無くなってほしいと思った日は無いだろう。
それはそうだ。新一年は言わずと知れた 《狂気の世代》
簡単に言うと、頭のおかしい奴らの集まり だということだ。
入学式は騒々しいものとなった。
柄の悪い奴や、異常に静かな奴や、ふざけた奴や、いかにもムードメーカーな奴など、とにかくブッ飛んだ奴が勢揃いした。
なかでも騒がせたのは、新入生挨拶の時。
真面目そうで無表情の 九条 界人(くじょう かいと)だ。
「新入生代表の九条界人だ。この場の殆どが知っているだろうが、この代は言わずと知れた《狂気の世代》。
そんなこともあって、この未来川高校にもバカな奴らが集まった。それも結構トップクラスのバカだ。
ちなみに俺も上の方にいる。新入生の殆どがバカだから、先輩方も気を付けておくといいだろう。
何でミラカワ(未来川)高に集まったかって言うと、軽そうな高校だからだろう。何をするにもやりやすそうだと思われてるからだ。先生方も気を付けておくといいだろう。
俺はミラカワ高をそんな学校から、がらりと変えようかと思って来た。先輩も先生も協力してくれるな?
具体的にどうかと言うと、《改革》をしようと思ってる。そこで改革部を創部する。興味をもったら説明会に来ると良い。
バッサリ言えば、このミラカワ高を良い学校にするぞ、っていう部だ。生徒会とはまた違った活動を主にする。
話を戻すと新入生の代表として、勢いには自信のある新入生をどうぞよろしく!優しいであろう先輩と、生徒想いであろう先生への挨拶を綴じます。
改革部で待ってる。新入生代表 九条界人。」
この態度と言葉づかいは、さすが狂気の世代のトップクラスだな、と思わせる。
恐らく知っている人は知っている。
中学の頃に伝説を生んだ 九条界人
仙臣中学校。一年の九条が生んだ伝説。
それは 先輩倒し である。
一年の九条はさっき見たらわかるだろうが、その態度と言葉づかい。
すぐさま目をつけられ、先輩にシメに来られた。のだが
「こんにちは。二人はシメに来たんだな。俺の態度が気に食わなかったのだろう。それは分かった。言わなくて良い。
ところで気に食わない奴をシメて何になる?気が済む?自己中心的な考えと言うことか。なるほど。自己中心的な考えはやめろ、というのは小学生で習ったはずなのだが?二人は小学生ではなにも学ばなかったと?小学校からやり直した方がいいのではないか?
それと暴力もダメというのも習わなかったか?中学生よりよっぽど小学生の方が大人なんだな。先輩達から学んだよ。
そんでまた言葉で負かされて、気に食わないから虐めまがいなことをするのだろう?本当にバカなんだな。目をつけられる?それがどうしたんだよ。友達なんて親友以外は作らない俺が、虐め程度で倒れると思うか?まぁ好きにすると良い。
忠告しておくが、暴力をしたって敵うか分からんぞ。格闘術は一応自信ありだからな。集団で来てみろ。俺はいつも証拠を残せるものを持ち歩いている。集団でタコってみろ。証拠と一緒に通報できる。それもさせないのはできない。あまりバラしすぎると対処されるかもしれないからやめておこう。そして先輩が俺に歯向かってはいけない一番の理由を教えてやろう。俺の父親は警視庁のお偉いさんだからだよ。まぁ最近はサツも簡単に手は出せないらしいけど、ニュース沙汰にはなるだろうね。ある意味。“東京都の高校の虐め問題 警視庁は厳重手配”ってね。聞いておくが、サツを相手にする覚悟があるのか?軽い気持ちで虐めとか、今の社会は汚れきってるね。
まぁまとめると、小学生以下のおバカ達が、サツを相手にする覚悟があって、証拠を潰すことができて、格闘術自信ありの俺に相手ができて、虐めも全く効かない奴にどう潰すのか分かっていれば、俺に勝てるって訳だ。異論はあるか?ないな?もう俺の意見は終わりだ。さぁかかってこい。」
これを聞いた先輩二人は、とてつもない苛立ちとムカつきを覚えたが、虐めるには不条理な相手だった。仕方なく引き下がるしかなかった。
その噂が流れ、もはやここら辺では九条の相手は居なかった。例え先輩でも。
それで九条の生んだ伝説は、未来川高校にもバッチシ届いていた。先輩達も憂鬱な気分だった。鬱陶しい一年が入ってきて、うかうかしていると年下に圧倒されてしまう。年上としては耐えがたい苦痛だろう。が九条は全く気にしない。
こうして入学式が終わった。長ーく感じた入学式だった。
ところで九条君が言った 《改革部》 とはどのようなものなのだろう?皆は興味を持ったのだろうか?
そもそも聞いたこと無いのだが、改革部って。まぁ名前からして文化部で間違いないと思うが、生徒会とはまた違った活動と言っていた。でも生徒会と目指す位置は同じだ。何なのだろう?
色々な疑問が飛び交い、興味が湧いてしまった。行こうかな?
あ、あと自己紹介遅れたけど、俺は 榊戸 壱(ささきど はじめ)。狂気の世代ではあるが、そこまでバカじゃない。普通の部類に入る。俺の友達も紹介しておこう。普通仲間の 小曽木 碼亜(こそぎ めあ)と同じく 田沼 呉克(たぬま ごうこく)だ。
普通だけど、普通じゃないのが1つある。
名前だ。碼亜とか呉克とか、何でそうなったの?っていう名前だ。
話を戻すと、ある意味、九条君には尊敬に値するものがある。
勇気だったり、心だったり、前向きだったり。ヤバイ奴ではあるけど、仲良くはなれなそうだけど、尊敬できる。
一方、先輩は、
「何だ?あの生意気なやつ。今すぐ捻り潰してやる!」
「やめときな。九条は格闘術はなかなかの腕らしいし、いつも音声のレコーダー、スマホのビデオ みたいな証拠を録れる状況にある。虐めなんて全く効かないし、あいつを黙らすのは至難の技だ。言葉を巧みに操り、先輩だってやられるって噂だ。しかも、九条の後ろには警察が控えてる。九条の父親は、警視庁の捜査一課の課長 九条 翼(くじょう たすく)らしい。迂闊に手を出すと、親バカパパがサツを引き連れてくるぜ。」
こうして先輩は結局高校でも、九条に倒されることになった。
でも先輩達は全員、九条に不満を持っていた。
一方、新入生は、
「あれが噂の九条界人だ!先輩や先生にもあの態度。かっけぇなぁ。」
「ちょいと改革部の説明会に行ってみるか?
もしくは入部しちゃう?」
と、興味津々、界人をカッコいいという始末。
さすが狂気の世代。普通な奴でも、思考回路は異常だ。
一方、先生は、
「あの九条とかいう生徒。厳重注意ですね。」
「生徒指導しますか?」
「いや、狂気の世代はあれぐらいのが、ゴロゴロ居る。
生徒指導には、先生が足りなさすぎる。」
と、対応に困っていた。なんせ狂気の世代だ。
すると、
「あの世代は、壊滅の時世の子供世代やろ?大変やで。壊滅の時世の時も、先生がストレスで自殺した事件もあったんや。あんたらも、気を付けぇ。」
そう言ったのは、用務員の 鷲見田 光枝(すみだ みつえ)だ。新米教師の頃、壊滅の時世を経験し、今では定年退職をして、高校の用務員をしている。どこか悲しげな表情で語ったが、まだ深入りはしないでおこう。
そして、大本の九条はというと、
「新入生代表挨拶で言った通り、俺は改革部を創る。次の月曜日に説明会をする予定なんだが、どこか空いている部室とかないすか?」
先生に、肝心の部室の事について、取り込み中だ。
「B棟の三階の、一番右側か、同じくB棟の四階の、一番左側。が良いじゃないかな?」
と言われた。一番右側か、左側。どっちから見るかというと、階段を上ってきて右か左か。Bの三、四階だったら、一年の半分の教室がある。その位置や場所、クラスごとの要注意人物は把握している(入学式前日に夜に侵入して、掲示板を見た)。その点から考えて、三階の右側にしよう。
「じゃあ、三階の右側で。」
この瞬間。多くの人の運命に革命をもたらす出来事が、一瞬にして行われた。これから未来川高校の運命を綴っていく。
東京都。未来川。
私立の 未来川高校 にも春が訪れ始めた。
桜が咲き乱れ、草花も一斉に芽を吹いた。
この季節。出会いと別れの季節。
未来川高校はこの日、新入生が入学してくる。
入学式。
新入生は600人ほどだ。
2年生、3年生は、この日ほど無くなってほしいと思った日は無いだろう。
それはそうだ。新一年は言わずと知れた 《狂気の世代》
簡単に言うと、頭のおかしい奴らの集まり だということだ。
入学式は騒々しいものとなった。
柄の悪い奴や、異常に静かな奴や、ふざけた奴や、いかにもムードメーカーな奴など、とにかくブッ飛んだ奴が勢揃いした。
なかでも騒がせたのは、新入生挨拶の時。
真面目そうで無表情の 九条 界人(くじょう かいと)だ。
「新入生代表の九条界人だ。この場の殆どが知っているだろうが、この代は言わずと知れた《狂気の世代》。
そんなこともあって、この未来川高校にもバカな奴らが集まった。それも結構トップクラスのバカだ。
ちなみに俺も上の方にいる。新入生の殆どがバカだから、先輩方も気を付けておくといいだろう。
何でミラカワ(未来川)高に集まったかって言うと、軽そうな高校だからだろう。何をするにもやりやすそうだと思われてるからだ。先生方も気を付けておくといいだろう。
俺はミラカワ高をそんな学校から、がらりと変えようかと思って来た。先輩も先生も協力してくれるな?
具体的にどうかと言うと、《改革》をしようと思ってる。そこで改革部を創部する。興味をもったら説明会に来ると良い。
バッサリ言えば、このミラカワ高を良い学校にするぞ、っていう部だ。生徒会とはまた違った活動を主にする。
話を戻すと新入生の代表として、勢いには自信のある新入生をどうぞよろしく!優しいであろう先輩と、生徒想いであろう先生への挨拶を綴じます。
改革部で待ってる。新入生代表 九条界人。」
この態度と言葉づかいは、さすが狂気の世代のトップクラスだな、と思わせる。
恐らく知っている人は知っている。
中学の頃に伝説を生んだ 九条界人
仙臣中学校。一年の九条が生んだ伝説。
それは 先輩倒し である。
一年の九条はさっき見たらわかるだろうが、その態度と言葉づかい。
すぐさま目をつけられ、先輩にシメに来られた。のだが
「こんにちは。二人はシメに来たんだな。俺の態度が気に食わなかったのだろう。それは分かった。言わなくて良い。
ところで気に食わない奴をシメて何になる?気が済む?自己中心的な考えと言うことか。なるほど。自己中心的な考えはやめろ、というのは小学生で習ったはずなのだが?二人は小学生ではなにも学ばなかったと?小学校からやり直した方がいいのではないか?
それと暴力もダメというのも習わなかったか?中学生よりよっぽど小学生の方が大人なんだな。先輩達から学んだよ。
そんでまた言葉で負かされて、気に食わないから虐めまがいなことをするのだろう?本当にバカなんだな。目をつけられる?それがどうしたんだよ。友達なんて親友以外は作らない俺が、虐め程度で倒れると思うか?まぁ好きにすると良い。
忠告しておくが、暴力をしたって敵うか分からんぞ。格闘術は一応自信ありだからな。集団で来てみろ。俺はいつも証拠を残せるものを持ち歩いている。集団でタコってみろ。証拠と一緒に通報できる。それもさせないのはできない。あまりバラしすぎると対処されるかもしれないからやめておこう。そして先輩が俺に歯向かってはいけない一番の理由を教えてやろう。俺の父親は警視庁のお偉いさんだからだよ。まぁ最近はサツも簡単に手は出せないらしいけど、ニュース沙汰にはなるだろうね。ある意味。“東京都の高校の虐め問題 警視庁は厳重手配”ってね。聞いておくが、サツを相手にする覚悟があるのか?軽い気持ちで虐めとか、今の社会は汚れきってるね。
まぁまとめると、小学生以下のおバカ達が、サツを相手にする覚悟があって、証拠を潰すことができて、格闘術自信ありの俺に相手ができて、虐めも全く効かない奴にどう潰すのか分かっていれば、俺に勝てるって訳だ。異論はあるか?ないな?もう俺の意見は終わりだ。さぁかかってこい。」
これを聞いた先輩二人は、とてつもない苛立ちとムカつきを覚えたが、虐めるには不条理な相手だった。仕方なく引き下がるしかなかった。
その噂が流れ、もはやここら辺では九条の相手は居なかった。例え先輩でも。
それで九条の生んだ伝説は、未来川高校にもバッチシ届いていた。先輩達も憂鬱な気分だった。鬱陶しい一年が入ってきて、うかうかしていると年下に圧倒されてしまう。年上としては耐えがたい苦痛だろう。が九条は全く気にしない。
こうして入学式が終わった。長ーく感じた入学式だった。
ところで九条君が言った 《改革部》 とはどのようなものなのだろう?皆は興味を持ったのだろうか?
そもそも聞いたこと無いのだが、改革部って。まぁ名前からして文化部で間違いないと思うが、生徒会とはまた違った活動と言っていた。でも生徒会と目指す位置は同じだ。何なのだろう?
色々な疑問が飛び交い、興味が湧いてしまった。行こうかな?
あ、あと自己紹介遅れたけど、俺は 榊戸 壱(ささきど はじめ)。狂気の世代ではあるが、そこまでバカじゃない。普通の部類に入る。俺の友達も紹介しておこう。普通仲間の 小曽木 碼亜(こそぎ めあ)と同じく 田沼 呉克(たぬま ごうこく)だ。
普通だけど、普通じゃないのが1つある。
名前だ。碼亜とか呉克とか、何でそうなったの?っていう名前だ。
話を戻すと、ある意味、九条君には尊敬に値するものがある。
勇気だったり、心だったり、前向きだったり。ヤバイ奴ではあるけど、仲良くはなれなそうだけど、尊敬できる。
一方、先輩は、
「何だ?あの生意気なやつ。今すぐ捻り潰してやる!」
「やめときな。九条は格闘術はなかなかの腕らしいし、いつも音声のレコーダー、スマホのビデオ みたいな証拠を録れる状況にある。虐めなんて全く効かないし、あいつを黙らすのは至難の技だ。言葉を巧みに操り、先輩だってやられるって噂だ。しかも、九条の後ろには警察が控えてる。九条の父親は、警視庁の捜査一課の課長 九条 翼(くじょう たすく)らしい。迂闊に手を出すと、親バカパパがサツを引き連れてくるぜ。」
こうして先輩は結局高校でも、九条に倒されることになった。
でも先輩達は全員、九条に不満を持っていた。
一方、新入生は、
「あれが噂の九条界人だ!先輩や先生にもあの態度。かっけぇなぁ。」
「ちょいと改革部の説明会に行ってみるか?
もしくは入部しちゃう?」
と、興味津々、界人をカッコいいという始末。
さすが狂気の世代。普通な奴でも、思考回路は異常だ。
一方、先生は、
「あの九条とかいう生徒。厳重注意ですね。」
「生徒指導しますか?」
「いや、狂気の世代はあれぐらいのが、ゴロゴロ居る。
生徒指導には、先生が足りなさすぎる。」
と、対応に困っていた。なんせ狂気の世代だ。
すると、
「あの世代は、壊滅の時世の子供世代やろ?大変やで。壊滅の時世の時も、先生がストレスで自殺した事件もあったんや。あんたらも、気を付けぇ。」
そう言ったのは、用務員の 鷲見田 光枝(すみだ みつえ)だ。新米教師の頃、壊滅の時世を経験し、今では定年退職をして、高校の用務員をしている。どこか悲しげな表情で語ったが、まだ深入りはしないでおこう。
そして、大本の九条はというと、
「新入生代表挨拶で言った通り、俺は改革部を創る。次の月曜日に説明会をする予定なんだが、どこか空いている部室とかないすか?」
先生に、肝心の部室の事について、取り込み中だ。
「B棟の三階の、一番右側か、同じくB棟の四階の、一番左側。が良いじゃないかな?」
と言われた。一番右側か、左側。どっちから見るかというと、階段を上ってきて右か左か。Bの三、四階だったら、一年の半分の教室がある。その位置や場所、クラスごとの要注意人物は把握している(入学式前日に夜に侵入して、掲示板を見た)。その点から考えて、三階の右側にしよう。
「じゃあ、三階の右側で。」
この瞬間。多くの人の運命に革命をもたらす出来事が、一瞬にして行われた。これから未来川高校の運命を綴っていく。
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