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第1章_彼奴って今...
第1話_ある男の朝
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ある朝。碧城龍朗は、ベッドの上でふと思った。起きたばかりで回らない頭が、ズキズキと痛む。彼の頭には、ある一人の女の姿が浮かんでいた。かれこれ2年間は会っていない。彼奴の顔が、朧に浮かぶ。少しぼやけている。はっきりと思い出せない。あれだけ仲良しで、幼馴染みだったのに、その顔は明細に思い出せない。今思うと、出逢ったのは3歳のときか。そんな前の事だが、何故か今も覚えている。それは、秋祭りのりんご飴売り場で。並んでいるときに、大人達の波に押し退けられる、一人の少女が居た。龍朗も、大人の波は怖かったが、その少女を助けに向かった。そうして、その手を取り、「大丈夫?」と聞くと、西洋風の小顔をこちらに向け、「助けてくれてありがとう。」と、一言。微笑みは、まさに天使のようで、一瞬にして恋に落ちた。その日から、少女とは仲良く毎日を過ごしていた。だが、長く過ごすうちに、龍朗は気づいた。こいつ、意外と下品だな。馴れてくると、接し方がガラリと変わり、最初に逢ったあの少女はもう消えていた。期待はずれの少女は、同じ小学校に通った。2クラス制の小学校だ。そして、なんの縁だか知らないが、少女とは毎回同じクラスだった。そして、小学校を卒業して、同じ中学校に進学した。1年生の時も、同じクラスだった。クラス替えのとき、ようやくその少女と違うクラスになった。ただ、その少女はその日から変わった。学校では陰キャラ、プライベートは陽キャラの、二重人格者になってしまったのである。2年のとき。また、少女と同じクラスになった。だが、少女は陰キャラのままだった。そして、その少女はある時。転校してしまった。家も遠いところに引っ越してしまった。その後、学校では、友達関係がうまくいかなかったんだよ、と囁かれた。そして、一週間も経たないうちに、その話題は風化した。その出来事が、ずっと気になっていたのは、俺だけだった。そして、中学も卒業して、私立の高校に入学した。受験勉強は、超頑張った。そして、努力が実を結び、私立の高校に進学できた。母親はとても喜んだ。話していなかったが、龍朗が2歳の時に、父親は死んだ。それから母親は、女手一つで俺を育てた。とても感謝している。高校1年生。そこが、現在地である。何故か、朝からその女のことを考えていた。ベッドの上でずっと。カーテンを開け、朝日に向かって伸びをして、時計を見た。時計の長針は、20分を指している。6時20分だ。ヤバい。遅刻だ!龍朗は、こんがりトーストを口にくわえ、学校に向かって走り出した。
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