紅と碧の恋

影樹 ねこ丸

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第2章_秘めた想い

第5話_手掛かり

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 東京。とある高校。龍朗は、その日居眠りをこいた。これには訳がある。昨夜、彼奴がどこにいるか考えていた。最有力は、北海道と青森だが、秋田は最近、移住する人が増えているらしいし、岩手は赤司家が好みそうな場所もあるんだよな。そんなことを考えていたら、深夜の2時になっていて、睡眠時間約4時間。授業中に眠りたくなるのも分かる。だが、一度休み時間になると、彼奴のことを考える。ある意味習慣だ。すごく会いたい!早く会いたい!そんな感情が溢れでてきた。その日は、帰った後に、全部の県に行ってみたらどうだろう?と思ったが、4県の、隅々まで、すれ違わず、ばったり会うなんて無理だろう。可能性はあるが、無いに等しい。龍朗はその日も、結論を出せずにいた。次の日。龍朗はサッカー部だ。一応去年はエースだった。今年も、強い学校へと進学した。1年だが、一軍の練習を受けている。俺のライバルの、戸華 勇馬(とばる ゆうま)も、同じ高校の同じ一軍だ。しかも、同世代でここら辺じゃ最強のキーパーも居る。今の1年は、最強の世代を誇っている。B戦をたまにやるが、負け無しどころか、ボロ勝ちだ。最高で、23対0だ。ちなみに、龍朗と勇馬のダブルエースストライカーに、的確なパーサーの桐十(きりと)と、足の速い龍介(りゅうすけ)と、鉄壁キーパーの、哲哉。その他にも、基本がガッチリできて、弱い学校じゃあエースになれるやつらばかりだ。全国大会を狙えるはずだ。ただ、龍朗は嬉しくはない。彼奴に会いに行っている暇がないのだ。休日も、自主練をみんなでやっている。3年のチームとも、良い戦いをできるほどに成長した。龍朗にも悩みはあるのだ。会いたいけど、サッカーも頑張りたい。クラブチームも通っているし、学校は本格的だし、チームメイトもサーかーが大好きだ。行くなら、あの日しかない。龍朗の頭には、あの日が浮かんだ。学校の創立百周年記念日だ。あの日は、クラブも部活も、自主練も無しにしようという話になっている。その日の前の日も合わせ、2日間の空きがある。その日は、約3週間後。それまでに、有紗の場所を知らなきゃいけない。鬼畜としか言いようがない。龍朗の考えで、良いのはまだ無かった。どうしても、手掛かりがほしい。もう少しわかれば、考えることだってできるのだが。何か、何かしら分かれば、手掛かりがあれば。今までで、一番脳を使ったかもしれない。脳をフル回転させて、考えを練った。だが、出てこない。その日は、有紗の友達に聞いてみることにした。すると、思いもよらぬ手掛かりを手にいれた。有紗は、前から北海道に行きたいと言っていたらしい。それと、引っ越しが関係してるかは分からないが、前手にいれた情報にドンピシャだった。これで、引っ越し先は北海道が最有力だろう。これからは、北海道の事について調べてみよう。龍朗は、帰り道に鼻歌を歌いながら帰った。一方、北海道。有紗は、まだお母さんに言い出せない状況だった。だけど、今は他の問題もある。玲子のことだ。先輩は怖くて、頑固だし、説得しようという勇気がなかった。今、有紗に必要なのは、勇気だ。お母さんに言い出す勇気、先輩や監督に立ち向かう勇気。玲子が可哀想で仕方ない。有紗が少しでも勇気を出せたら、玲子は助かるはず。なのだが、それもそれで難しい。顧問や監督までもが玲子を避けている。逆にそれを言ったところで、関係が良くなるわけではない。悪くなる可能性だってある。しかも、有紗までもがそういういじめを受けるかもしれない。だけど、玲子は本当に追い詰められている。あぁ!どうすればいいの?!誰か助けて!有紗は、誰にも届くはずのないSOSを、心のなかで叫んだ。ただ、有紗の頭の中は龍朗しかいなかった。唯一の助けだった。あぁ、早く会いたいなぁ。龍朗。
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