優しさの雫

Simon

文字の大きさ
上 下
4 / 5

少年と母

しおりを挟む

あの店のこと考えながら
歩みを進めていると
いつの間に家に着いていた。

ふと我に返ると
母とケンカしていたことを思いだす。

あれこれ考えても仕方がない!
僕は思い切って家のドアを開けた。

「ただいま」

「おかえりー」

遠くから洗濯物を畳みながら
母が応える。

僕は母の前に立ち

「さっきはごめん。」

そう言うと母は
小さく首を横に振り

「私こそごめんね。」

母は何も悪くない
悪いのは僕なのに...

そんなことを心に思ったら
僕は思わず涙を流した。

「僕、バイトする!
そして、自分でケータイを買う!」

「無理しなくていいのよ。
ケータイは私がなんとかするから」

「いいや!自分でどうにかしたいから!」

母は少し考え込んだ。

「でも、無理はしないでね?」

僕は大きく頷き
途中だった洗濯物を畳むのを手伝った。



そういえば、今日の出来事を母に話すのを忘れていたが
今度でいいかと先延ばしにした。
しおりを挟む

処理中です...