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最終章「月の還る場所」
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時は流れ、季節は再び巡っていた。
甲羅谷の空に、静かで穏やかな月が浮かんでいる。
かつて“呪われし月”と呼ばれたそれは、今は清く、柔らかな光で大地を照らしていた。
甲羅の丘
一面に広がるオオアマナが優しい風に揺れる。
その丘の上に、小さな墓石が置かれていた。
それは、ユエが遺していった銀色の小さな羽の飾りと共に、静かにそこにある。
「……兄ちゃん。今日の月、きれいだな」
ミクが、白い花を撫でながら呟く。
「……あぁ。あいつが見てるみたいだ」
ポンが頷く。
彼の甲羅には、新たな紋が刻まれていた――三つの印。
“月”、“甲羅”、そして“宙(そら)”。
それは、彼らが繋いだ新しい時代の証だった。
村の広場
月牙宮の崩壊から、数ヶ月が過ぎた。
地上に戻った兄弟たちは、斬月と共に甲羅谷の再建に尽力し、
夜白は自らの罪を償うべく、“月兎の里”を開き、かつての敵を、いまや友として迎え入れていた。
「……よし、儀式の準備は整ったぞ!」
広場では“月誓祭”が始まろうとしていた。
これは、かつての“呪い”を乗り越えた記憶と、新たな誓いを祝う、年に一度の祭りだ。
クララが中心で灯した月灯(げっとう)の火に、子供たちが群がる。
「姉ちゃん、今日も“ユエの話”して!」
「よしよし。今日はね――“月に昇った白兎”の物語を、してあげましょう」
クララは笑って語る。
それはかつて、本当に存在した一人の仲間のこと。
優しく、少し不器用で、それでも誰より真っ直ぐだった“あの兎”のことを。
月影の丘
夜が深まり、兄弟はそっと丘を登る。
「ミク。お前、ユエに何か言いたいことあるか?」
「んー……強いて言えば、“またな”ってことかな。
今度会うときは、もう俺たち、泣き虫じゃないって伝えたい」
ポンは笑った。
「……泣き虫でもいいさ。大事なのは、守りたいものを守れたってことだ」
二人は並び、空を見上げる。
そこには、いつかの夜と同じように、丸い月が浮かんでいた。
そしてその月の奥――かすかに、白い羽が舞った気がした。
その夜、風に乗って聞こえた声があった。
「……ミク、ポン……」
優しい、少しかすれた声。
「……ちゃんと、見てるからな。ずっと、ここで」
――風が通り過ぎ、静けさが戻る。
ポンとミクは、もう一度だけ夜空に深く、深く頭を下げた。
「ありがとう、ユエ。……またな」
そして、物語は終わらない。
新たな命が生まれ、新たな誓いが刻まれていく。
月は還った。
――皆の場所へ。
🌕 - 完 - 🌕
ご覧いただきありがとうございました。
うちの愛亀ちゃん🐢🐢のポンとミクの物語を作ってみました。
まだ子亀ちゃんで、これから続くポンとミクの亀道ライフを物語にしていこうと思います。
甲羅谷の空に、静かで穏やかな月が浮かんでいる。
かつて“呪われし月”と呼ばれたそれは、今は清く、柔らかな光で大地を照らしていた。
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それは、ユエが遺していった銀色の小さな羽の飾りと共に、静かにそこにある。
「……兄ちゃん。今日の月、きれいだな」
ミクが、白い花を撫でながら呟く。
「……あぁ。あいつが見てるみたいだ」
ポンが頷く。
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“月”、“甲羅”、そして“宙(そら)”。
それは、彼らが繋いだ新しい時代の証だった。
村の広場
月牙宮の崩壊から、数ヶ月が過ぎた。
地上に戻った兄弟たちは、斬月と共に甲羅谷の再建に尽力し、
夜白は自らの罪を償うべく、“月兎の里”を開き、かつての敵を、いまや友として迎え入れていた。
「……よし、儀式の準備は整ったぞ!」
広場では“月誓祭”が始まろうとしていた。
これは、かつての“呪い”を乗り越えた記憶と、新たな誓いを祝う、年に一度の祭りだ。
クララが中心で灯した月灯(げっとう)の火に、子供たちが群がる。
「姉ちゃん、今日も“ユエの話”して!」
「よしよし。今日はね――“月に昇った白兎”の物語を、してあげましょう」
クララは笑って語る。
それはかつて、本当に存在した一人の仲間のこと。
優しく、少し不器用で、それでも誰より真っ直ぐだった“あの兎”のことを。
月影の丘
夜が深まり、兄弟はそっと丘を登る。
「ミク。お前、ユエに何か言いたいことあるか?」
「んー……強いて言えば、“またな”ってことかな。
今度会うときは、もう俺たち、泣き虫じゃないって伝えたい」
ポンは笑った。
「……泣き虫でもいいさ。大事なのは、守りたいものを守れたってことだ」
二人は並び、空を見上げる。
そこには、いつかの夜と同じように、丸い月が浮かんでいた。
そしてその月の奥――かすかに、白い羽が舞った気がした。
その夜、風に乗って聞こえた声があった。
「……ミク、ポン……」
優しい、少しかすれた声。
「……ちゃんと、見てるからな。ずっと、ここで」
――風が通り過ぎ、静けさが戻る。
ポンとミクは、もう一度だけ夜空に深く、深く頭を下げた。
「ありがとう、ユエ。……またな」
そして、物語は終わらない。
新たな命が生まれ、新たな誓いが刻まれていく。
月は還った。
――皆の場所へ。
🌕 - 完 - 🌕
ご覧いただきありがとうございました。
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まだ子亀ちゃんで、これから続くポンとミクの亀道ライフを物語にしていこうと思います。
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