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第12章 沈みゆく光
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大地が裂け、甲羅谷そのものが奈落へと沈んでいく。村を囲んでいた山々さえも影に呑まれ、形を失い始めていた。谷はただの地ではない。兄弟とクララ、そして亡き家族が生きてきた日々の証だった。その記憶ごと消し去ろうとする黒尾の力に、ポンの心は怒りで震えた。
「黒尾!!!!」
叫びと共に刀を振るう。だが影の奔流は止まらない。踏みしめる地は崩れ、もはや立つことさえ難しかった。
「兄ちゃん、下がって! 地面が……!」
ミクの叫びも虚しく、足元の岩が崩れ落ちる。ポンは咄嗟に甲羅でクララを覆い、共に滑り落ちた。
「きゃあっ!」
暗黒の底へと落ちていく三匹。その瞬間、ミクが叫んだ。
「兄ちゃん!クララ! 掴まれ!」
振り伸ばされた手を必死に掴み、三匹はぎりぎりのところで崩れゆく岩壁にしがみついた。
黒尾が高みから見下ろし、嘲笑を響かせる。
「無様だな。守ると誓ったその谷ごと、沈んでいく様は滑稽よ」
九つの尾が空を裂き、さらに深淵を広げていく。
ミクの腕は震え、指先が崩れ落ちそうな岩を必死に掴んでいた。
「ぐっ……兄ちゃん、クララを……!」
「馬鹿を言うな! お前を置いていけるか!」
ポンの怒声が響く。
クララは震えながらも、涙を堪えて口を開いた。
「私……怖い。でも……兄さんたちを信じてる。だから、絶対に……絶対に離れない!」
その小さな叫びが、兄弟の心に火を灯した。
「そうだ……俺たちは……!」
ポンの刀が白く輝き始めた。
「決して離れない。どんな闇にも!」
ミクも刃を掲げ、甲羅刀に光を宿す。二匹の刃が共鳴し、月光のような輝きが奈落を照らした。
「なんだ……この光は……!!?」
黒尾の瞳がわずかに揺らいだ。
兄弟の刀が交差した瞬間、影を裂く大きな閃光が放たれる。沈み込んでいた大地が一瞬だけ支えを取り戻し、崩れ落ちかけた村の一部が持ちこたえた。
「兄ちゃん!」
「今だ、ミク!」
二匹は同時に飛び上がり、クララを抱えて影の波を蹴り抜けた。甲羅谷の中央、まだ残る広場へと着地する。
黒尾は嗤った。
「ふふふ……面白い。光を生むか。だがその光、どこまで保つ?」
九つの尾が天を覆い、再び炎と影の嵐が渦巻く。
ポンは深く息を吐き、弟と妹を見やった。
「ここで決める。これ以上、黒尾の好きにはさせない」
ミクは震える手を握りしめ、刃を構える。
「兄ちゃん……俺も、最後まで一緒に戦う」
クララは涙を拭い、二人の背を押した。
「私もいるよ!」
その言葉に、兄弟の心は一つになった。
「行くぞ、ミク!」
「うん!」
双甲の刃が再び交差し、眩い光が夜を切り裂く。
黒尾が咆哮を上げ、九つの尾を一斉に振り下ろした。
――闇と光が激突し、谷そのものが震える。
「黒尾!!!!」
叫びと共に刀を振るう。だが影の奔流は止まらない。踏みしめる地は崩れ、もはや立つことさえ難しかった。
「兄ちゃん、下がって! 地面が……!」
ミクの叫びも虚しく、足元の岩が崩れ落ちる。ポンは咄嗟に甲羅でクララを覆い、共に滑り落ちた。
「きゃあっ!」
暗黒の底へと落ちていく三匹。その瞬間、ミクが叫んだ。
「兄ちゃん!クララ! 掴まれ!」
振り伸ばされた手を必死に掴み、三匹はぎりぎりのところで崩れゆく岩壁にしがみついた。
黒尾が高みから見下ろし、嘲笑を響かせる。
「無様だな。守ると誓ったその谷ごと、沈んでいく様は滑稽よ」
九つの尾が空を裂き、さらに深淵を広げていく。
ミクの腕は震え、指先が崩れ落ちそうな岩を必死に掴んでいた。
「ぐっ……兄ちゃん、クララを……!」
「馬鹿を言うな! お前を置いていけるか!」
ポンの怒声が響く。
クララは震えながらも、涙を堪えて口を開いた。
「私……怖い。でも……兄さんたちを信じてる。だから、絶対に……絶対に離れない!」
その小さな叫びが、兄弟の心に火を灯した。
「そうだ……俺たちは……!」
ポンの刀が白く輝き始めた。
「決して離れない。どんな闇にも!」
ミクも刃を掲げ、甲羅刀に光を宿す。二匹の刃が共鳴し、月光のような輝きが奈落を照らした。
「なんだ……この光は……!!?」
黒尾の瞳がわずかに揺らいだ。
兄弟の刀が交差した瞬間、影を裂く大きな閃光が放たれる。沈み込んでいた大地が一瞬だけ支えを取り戻し、崩れ落ちかけた村の一部が持ちこたえた。
「兄ちゃん!」
「今だ、ミク!」
二匹は同時に飛び上がり、クララを抱えて影の波を蹴り抜けた。甲羅谷の中央、まだ残る広場へと着地する。
黒尾は嗤った。
「ふふふ……面白い。光を生むか。だがその光、どこまで保つ?」
九つの尾が天を覆い、再び炎と影の嵐が渦巻く。
ポンは深く息を吐き、弟と妹を見やった。
「ここで決める。これ以上、黒尾の好きにはさせない」
ミクは震える手を握りしめ、刃を構える。
「兄ちゃん……俺も、最後まで一緒に戦う」
クララは涙を拭い、二人の背を押した。
「私もいるよ!」
その言葉に、兄弟の心は一つになった。
「行くぞ、ミク!」
「うん!」
双甲の刃が再び交差し、眩い光が夜を切り裂く。
黒尾が咆哮を上げ、九つの尾を一斉に振り下ろした。
――闇と光が激突し、谷そのものが震える。
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