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14話
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立ち上がった橘が、朝陽をすっぽりと覆うように抱き寄せた。
「‥うっ‥葵‥‥葵‥‥なんで‥っ‥‥」
言葉にならない。
伝えたい事がいっぱいあるのに、話したい事、聞きたい事がいっぱいあるのに、この温もりをどれだけ待っていたか、橘の背に手を回し、絶対に離さないと力を込めた。
「‥朝陽、朝陽‥ああ‥やっと俺の声が届いた‥ごめんな‥」
何度も名を呼ばれ、胸がいっぱいになる。
コクンと頷き橘の胸に頬を寄せる。
ドクンドクンと音を立てる心臓が愛おしい。
「‥あっ‥井上さん?」
どれくらい時間が経ったのか感覚がなく、名を呼ばれ、ようやく自分が抱き締めている身体を見上げた。
そこには困った顔の橘がいて、見た瞬間、葵ではないと確信できた。
「あっ‥ごめん‥」
そう言葉にしたが、離れづらくて抱き寄せていると、さらに頭の上から声が掛かる。
「あの‥葵さんが‥怒ってますから‥そろそろ離れて下さい」
ビクビクしながら、そう言った橘に、渋々、朝陽は身体を引き剥がした。
唯一の葵との繋がりを、手放したくない気持でいっぱいだった。
「‥あの、凄く言いにくいのですが‥俺、そろそろ帰らないと‥」
その言葉に、朝陽は眉を潜め嫌な顔をする。
「‥もう、帰るのか?」
「はい、明日も学校がありますし‥今、就活で、忙しくて‥申し訳ないのですが‥」
「そうか‥」
諦めきれないのか、橘の手を取り、愛おしいものに触れる様に撫でていた。
「すみません‥手を‥あの、朝陽さん‥俺は、葵さんではないですよ‥」
真っ直ぐに目を見つめ、そう言ってくる橘に、朝陽は小さく頷いた。
「‥分かってる」
分かっていても、どうしようもないのだ‥心が揺れ動く。
「俺は帰っても、葵さんは朝陽さんの傍に、これからもずっと居ますから‥」
そう橘に言われ、朝陽はジッとその目を見ていた。
「もう、来ないのか?」
葵の声が聞きたい、葵に触れたい‥そう思うのは自然な事だった。
「‥えっ?‥いや、まぁ‥来れない事もないですけど‥俺、就活で‥」
「じゃあ、週末‥週末ならいいだろ‥?」
食い下がる朝陽に、困ったような顔をした。
「‥はい。じゃあ、土曜に‥また19時頃来ますね‥」
「うん‥待ってる‥」
名残惜しそうに、朝陽がそう呟くと、橘は朝陽の上にチラリと視線を送った。
店の入り口を出る時に、橘は振り返る。
「ビルも今日からここに居るそうです‥朝陽さんの傍に居たいようですね‥」
そう言って、柔らかく微笑むと手を上げ駅の方へ歩いて行った。
扉を閉めると、朝陽はひとり事のように何もない場所に話しかける。
「‥ビル、お前が、あの子を連れてきてくれたおかげで、こうやってまた葵と話す事が出来た。‥ありがとうな。葵、今まで、ずっと傍に居てくれたのか?気が付かなくて、ごめんな‥俺、霊感とか全然ないんだな‥もっと、聞きたい事が沢山あったのに‥‥」
口に出すと涙が零れそうになり、朝陽はギュッと唇を噛んだ。
現実と向き合いたくない朝陽は、葵がそこに居るという事だけ考える。
理由などいらない‥葵が、ここに居るのだから‥。
「また‥来週まで、頑張って働くか!」
そう言って朝陽は、残った明日の準備を始めた。
「‥うっ‥葵‥‥葵‥‥なんで‥っ‥‥」
言葉にならない。
伝えたい事がいっぱいあるのに、話したい事、聞きたい事がいっぱいあるのに、この温もりをどれだけ待っていたか、橘の背に手を回し、絶対に離さないと力を込めた。
「‥朝陽、朝陽‥ああ‥やっと俺の声が届いた‥ごめんな‥」
何度も名を呼ばれ、胸がいっぱいになる。
コクンと頷き橘の胸に頬を寄せる。
ドクンドクンと音を立てる心臓が愛おしい。
「‥あっ‥井上さん?」
どれくらい時間が経ったのか感覚がなく、名を呼ばれ、ようやく自分が抱き締めている身体を見上げた。
そこには困った顔の橘がいて、見た瞬間、葵ではないと確信できた。
「あっ‥ごめん‥」
そう言葉にしたが、離れづらくて抱き寄せていると、さらに頭の上から声が掛かる。
「あの‥葵さんが‥怒ってますから‥そろそろ離れて下さい」
ビクビクしながら、そう言った橘に、渋々、朝陽は身体を引き剥がした。
唯一の葵との繋がりを、手放したくない気持でいっぱいだった。
「‥あの、凄く言いにくいのですが‥俺、そろそろ帰らないと‥」
その言葉に、朝陽は眉を潜め嫌な顔をする。
「‥もう、帰るのか?」
「はい、明日も学校がありますし‥今、就活で、忙しくて‥申し訳ないのですが‥」
「そうか‥」
諦めきれないのか、橘の手を取り、愛おしいものに触れる様に撫でていた。
「すみません‥手を‥あの、朝陽さん‥俺は、葵さんではないですよ‥」
真っ直ぐに目を見つめ、そう言ってくる橘に、朝陽は小さく頷いた。
「‥分かってる」
分かっていても、どうしようもないのだ‥心が揺れ動く。
「俺は帰っても、葵さんは朝陽さんの傍に、これからもずっと居ますから‥」
そう橘に言われ、朝陽はジッとその目を見ていた。
「もう、来ないのか?」
葵の声が聞きたい、葵に触れたい‥そう思うのは自然な事だった。
「‥えっ?‥いや、まぁ‥来れない事もないですけど‥俺、就活で‥」
「じゃあ、週末‥週末ならいいだろ‥?」
食い下がる朝陽に、困ったような顔をした。
「‥はい。じゃあ、土曜に‥また19時頃来ますね‥」
「うん‥待ってる‥」
名残惜しそうに、朝陽がそう呟くと、橘は朝陽の上にチラリと視線を送った。
店の入り口を出る時に、橘は振り返る。
「ビルも今日からここに居るそうです‥朝陽さんの傍に居たいようですね‥」
そう言って、柔らかく微笑むと手を上げ駅の方へ歩いて行った。
扉を閉めると、朝陽はひとり事のように何もない場所に話しかける。
「‥ビル、お前が、あの子を連れてきてくれたおかげで、こうやってまた葵と話す事が出来た。‥ありがとうな。葵、今まで、ずっと傍に居てくれたのか?気が付かなくて、ごめんな‥俺、霊感とか全然ないんだな‥もっと、聞きたい事が沢山あったのに‥‥」
口に出すと涙が零れそうになり、朝陽はギュッと唇を噛んだ。
現実と向き合いたくない朝陽は、葵がそこに居るという事だけ考える。
理由などいらない‥葵が、ここに居るのだから‥。
「また‥来週まで、頑張って働くか!」
そう言って朝陽は、残った明日の準備を始めた。
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