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花を貪る胡蝶は蜘蛛の網にかかる
23話
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もう、とうに忘れてしまったと思っていた過去。
とっくに記憶の隅へ追いやり、存在すら消滅したと思っていたのに、こんなにもアッサリと引き寄せてしまう。
苦し気に出てきた自分の言葉が、あまりにも悲痛な声で、神代はそんな我が身に呆れて笑った。
「‥なに笑ってんだ‥俺が‥お前に縋ってるのが‥そんなのおかしいのか‥?‥お前の事を、片時も忘れずに、今まで‥探して‥やっと見つけた俺を‥笑うのか‥?」
悲痛な声は自分だけではなかった。
その蒼の言葉に、神代が視線を向けると、今にも泣きそうな瞳は、幼い頃の寂しがり屋の、一緒に手を繋いで眠っていた頃の蒼と、まったく変わらず、その事に神代の心がズキンと痛んだ。
「‥そうじゃない‥俺は、自分が‥自分の捨てた過去に、もう振り回されるのは嫌なんだ‥だから、お前は‥もう俺の事は忘れて、自分の人生を歩め‥」
なに正義感ぶってんだ‥と心では思っていたが、これ以上、何も言えない。
蒼に逃げられたと思われてもいい。
確かに、自分は過去から逃げたのだから‥だからこそ、もう過去にも戻れない。
戻りたくない。
「‥嫌だ」
あっさりと一言で返された言葉に、神代はイラッとする。
「蒼!もう止めてくれ‥俺は、もうすべて捨てたんだ‥」
両手で頭を抱え込み、拒絶する。
「嫌だ‥俺は、認めない‥」
聞き分けのない子供の様な態度に、神代は立ち上がった。
「もう、帰ってくれ。これ以上は、話したくない!」
きっぱりとそう言うと、事務所の入り口を指さした。
ギロリと睨みつける様に見上げた蒼に、神代も負けずに視線を合わせる。
睨み合った二人の間を詰める様に、蒼が立ち上がり一歩前に出た。
無言のまま距離を詰めてくる蒼に、神代はゆっくりと後ろに下がる。
「‥帰ってくれ!」
その言葉さえも聞こえていないのか、大股で距離を詰めた蒼が神代の腕をガシッと掴んだ。
体格差が歴然としている。
180㎝以上はあるであろう身長に筋肉質な身体を持っている蒼に、体力がなく疲れ果てている小柄な神代。
抑え込まれたら、どうしようもない。
「‥放せ!‥蒼!」
「嫌だ」
蒼は、神代の腕ごと抱き締めた。
「‥っ‥蒼!」
力いっぱい抱きしめられて、息が苦しくなる。
「‥嫌だ‥響‥逃げないで‥」
抱き締めた神代の首筋に、蒼が顔を埋めてくる。
「‥響‥好きなんだよ‥俺、ずっと‥お前が‥」
耳元で囁く声が、神代の首筋に吐息が掛かり、ゾワッと背筋に冷たいものが走る。
「‥っ‥‥放せ!」
抱き締められた身体を何とか放そうと動かすが、その大きな身体は全くビクともしない。
それより、そのまま首筋に舌を這わされ舐め上げられ、ビクッと身体が固まる。
「‥‥っ‥なっ‥なにして‥‥」
そのまま耳朶まで舐められ、荒い呼吸が耳に掛かる。
抱き締められ動けない体を、カーテンが開き丸見えのベッドに押し倒し、抵抗する両手を掴み、頭の上で抑え付けられた。
その時、神代の眼鏡が吹っ飛びガシャンと音を立て床に落ちる。
蒼は片手で自身の着物の帯を解き、さらにシュルシュルと腰紐を抜くと、それを使って神代の両手を簡単に縛り上げ頭上で固定する。
「‥‥なにすんだ!!外せ!」
神代に怒りが湧いてくる。
「ダメだよ‥ジッとしてて‥」
着物の前がはだけ立ち上がった蒼は、ベッドの脇でストンと着物を足元に落とした。
その時、神代の目の前に蒼の背中と両足が見えた。
大きく引き攣る様な火傷の痕‥今もなお痛みがあるような、赤く皮膚が盛り上がる瘢痕に、神代は目を瞠る。
「‥痛く‥ないのか‥?」
思わず口から出た言葉に、神代自身も驚いた。
振りかえった蒼が笑顔になると、ベッドの上に上がってくる。
「もう、痛くないよ‥むしろ俺は‥嬉しい‥響が付けてくれたモノだから‥」
まるで勲章とでも言うように誇らしげに話す蒼は、神代の履いているスラックスと下着を剥ぎ、神代の足の間に身を置いた。
「‥止めろ‥やめてくれ‥」
神代の言葉がまったく聞こえていない様に、蒼の手は止まることなく、神代のシャツをはだけさせ身体に触れていく。
敏感で柔らかな白い肌は、蒼の欲情を誘い、ピンク色に染まった胸の突起は、小さく柔らかかったが、蒼が何度も擦り上げ、摘まみ上げると、プクッと存在感をあらわす。
「‥っ‥くっ‥‥んっ‥」
怒りと嫌悪感‥それに羞恥もあり、神代は身体を捩らせる。
首元から胸の突起まで丁寧に舐め上げている蒼が、腰紐で結んだ手首が擦れて血が滲んでいるのを見た。
「‥ジッとして‥傷付くから‥」
すると蒼は先程解いた着物の帯を手に取ると、それを抵抗する神代の右膝を縛り、ベッドの上を通し更に左膝を縛り付けた。
これで神代は完全に開脚状態で固定された。
「‥なっ‥‥なんで‥こんな事‥‥」
ギシギシと帯が引っ張られ、抵抗する膝に食い込んでいく。
固定され露になった自分の姿に、神代の唇がワナワナと震え始める。
蒼は自分の指を舐め唾液をたっぷりと付けると、それを神代の尻の間にある窄まりに充てる。
「‥ヒッ‥やめろ!‥蒼!」
蒼の顔に笑顔が張り付き、さも楽しそうに優しく触れている指が、神代の身体に恐怖を呼び覚ましていく。
とっくに記憶の隅へ追いやり、存在すら消滅したと思っていたのに、こんなにもアッサリと引き寄せてしまう。
苦し気に出てきた自分の言葉が、あまりにも悲痛な声で、神代はそんな我が身に呆れて笑った。
「‥なに笑ってんだ‥俺が‥お前に縋ってるのが‥そんなのおかしいのか‥?‥お前の事を、片時も忘れずに、今まで‥探して‥やっと見つけた俺を‥笑うのか‥?」
悲痛な声は自分だけではなかった。
その蒼の言葉に、神代が視線を向けると、今にも泣きそうな瞳は、幼い頃の寂しがり屋の、一緒に手を繋いで眠っていた頃の蒼と、まったく変わらず、その事に神代の心がズキンと痛んだ。
「‥そうじゃない‥俺は、自分が‥自分の捨てた過去に、もう振り回されるのは嫌なんだ‥だから、お前は‥もう俺の事は忘れて、自分の人生を歩め‥」
なに正義感ぶってんだ‥と心では思っていたが、これ以上、何も言えない。
蒼に逃げられたと思われてもいい。
確かに、自分は過去から逃げたのだから‥だからこそ、もう過去にも戻れない。
戻りたくない。
「‥嫌だ」
あっさりと一言で返された言葉に、神代はイラッとする。
「蒼!もう止めてくれ‥俺は、もうすべて捨てたんだ‥」
両手で頭を抱え込み、拒絶する。
「嫌だ‥俺は、認めない‥」
聞き分けのない子供の様な態度に、神代は立ち上がった。
「もう、帰ってくれ。これ以上は、話したくない!」
きっぱりとそう言うと、事務所の入り口を指さした。
ギロリと睨みつける様に見上げた蒼に、神代も負けずに視線を合わせる。
睨み合った二人の間を詰める様に、蒼が立ち上がり一歩前に出た。
無言のまま距離を詰めてくる蒼に、神代はゆっくりと後ろに下がる。
「‥帰ってくれ!」
その言葉さえも聞こえていないのか、大股で距離を詰めた蒼が神代の腕をガシッと掴んだ。
体格差が歴然としている。
180㎝以上はあるであろう身長に筋肉質な身体を持っている蒼に、体力がなく疲れ果てている小柄な神代。
抑え込まれたら、どうしようもない。
「‥放せ!‥蒼!」
「嫌だ」
蒼は、神代の腕ごと抱き締めた。
「‥っ‥蒼!」
力いっぱい抱きしめられて、息が苦しくなる。
「‥嫌だ‥響‥逃げないで‥」
抱き締めた神代の首筋に、蒼が顔を埋めてくる。
「‥響‥好きなんだよ‥俺、ずっと‥お前が‥」
耳元で囁く声が、神代の首筋に吐息が掛かり、ゾワッと背筋に冷たいものが走る。
「‥っ‥‥放せ!」
抱き締められた身体を何とか放そうと動かすが、その大きな身体は全くビクともしない。
それより、そのまま首筋に舌を這わされ舐め上げられ、ビクッと身体が固まる。
「‥‥っ‥なっ‥なにして‥‥」
そのまま耳朶まで舐められ、荒い呼吸が耳に掛かる。
抱き締められ動けない体を、カーテンが開き丸見えのベッドに押し倒し、抵抗する両手を掴み、頭の上で抑え付けられた。
その時、神代の眼鏡が吹っ飛びガシャンと音を立て床に落ちる。
蒼は片手で自身の着物の帯を解き、さらにシュルシュルと腰紐を抜くと、それを使って神代の両手を簡単に縛り上げ頭上で固定する。
「‥‥なにすんだ!!外せ!」
神代に怒りが湧いてくる。
「ダメだよ‥ジッとしてて‥」
着物の前がはだけ立ち上がった蒼は、ベッドの脇でストンと着物を足元に落とした。
その時、神代の目の前に蒼の背中と両足が見えた。
大きく引き攣る様な火傷の痕‥今もなお痛みがあるような、赤く皮膚が盛り上がる瘢痕に、神代は目を瞠る。
「‥痛く‥ないのか‥?」
思わず口から出た言葉に、神代自身も驚いた。
振りかえった蒼が笑顔になると、ベッドの上に上がってくる。
「もう、痛くないよ‥むしろ俺は‥嬉しい‥響が付けてくれたモノだから‥」
まるで勲章とでも言うように誇らしげに話す蒼は、神代の履いているスラックスと下着を剥ぎ、神代の足の間に身を置いた。
「‥止めろ‥やめてくれ‥」
神代の言葉がまったく聞こえていない様に、蒼の手は止まることなく、神代のシャツをはだけさせ身体に触れていく。
敏感で柔らかな白い肌は、蒼の欲情を誘い、ピンク色に染まった胸の突起は、小さく柔らかかったが、蒼が何度も擦り上げ、摘まみ上げると、プクッと存在感をあらわす。
「‥っ‥くっ‥‥んっ‥」
怒りと嫌悪感‥それに羞恥もあり、神代は身体を捩らせる。
首元から胸の突起まで丁寧に舐め上げている蒼が、腰紐で結んだ手首が擦れて血が滲んでいるのを見た。
「‥ジッとして‥傷付くから‥」
すると蒼は先程解いた着物の帯を手に取ると、それを抵抗する神代の右膝を縛り、ベッドの上を通し更に左膝を縛り付けた。
これで神代は完全に開脚状態で固定された。
「‥なっ‥‥なんで‥こんな事‥‥」
ギシギシと帯が引っ張られ、抵抗する膝に食い込んでいく。
固定され露になった自分の姿に、神代の唇がワナワナと震え始める。
蒼は自分の指を舐め唾液をたっぷりと付けると、それを神代の尻の間にある窄まりに充てる。
「‥ヒッ‥やめろ!‥蒼!」
蒼の顔に笑顔が張り付き、さも楽しそうに優しく触れている指が、神代の身体に恐怖を呼び覚ましていく。
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