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第三話 頼み事

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レオンさんからの頼みは、眠たきりになってしまった妹を救う方法、それを見付けて欲しいというものだった。
「お任せください!」
どんな探し物も千里眼さえあれば余裕も余裕!
超余裕!
「…本当に…いいのか?」
…あれ?乗り気でない?
「どうしたんですか?」
「いや…気にしないでくれ」
んん…?何やら深刻な事態っぽいぞ…?
先程からの楽しげな雰囲気が一変、重暗い雰囲気になってしまった。
「私の妹、カリンが2日前に階段から足を滑らせて頭を打ったんだ、それから目を覚まさなくてな…」
なるほど?医者には診てもらったんだろうか?
「治療術師の方に傷を治してもらったらしいんですけど、意識が戻らず眠り続けているそうです」
ミーナさんも知っている、ということはやっぱりレオンさんと友達かなんかだろうな。
「そういうことだ、ミーナの言う通り、治療術師に治せなかったような問題でな、仮にお前が何の成果も出せなくたって私は責めはしない」
んん?まるで失敗するみたいな言い方、心外だなぁ。
僕の千里眼をナメないでいただきたい!
何だって見通しちゃうもんね!
「心配無用!治せなくたって、治療の手がかりくらいなら絶対見付けてみせますから!」
自信満々に答えて、レオンさんへ親指を立てて見せる。
「…その自信はどこから来るんだか、でも、まぁ…期待してるよ」
お任せくださーい!

そんなことを話していると、いつの間にか街へと続く門の前まで到着していた。
「帰ったぞ!門を開けてくれ!」
レオンさんがそう言うと門番らしき男性がこちらへ歩いて来た。
「よっ、レオン、ミーナ!そして…誰だ?」
「彼はエド、ミーナと薬草採取をしていた際に森で出会った、街へ来たいと言うから案内したというわけだ」
ありがたい、全部説明してくれた。
「そーか、この街は初めてってことだな?俺はリックだ、歓迎するぜ」
優しそうな人で良かった、身分証とか必要って言われたらどうしようかと思った。
「ありがとうございます!」
「いいってことよ」
リックさんに門を開けてもらい、街へ入ることができた。

うわぁっ!すごい!ザ・中世ヨーロッパ!ザ・ファンタジー!そんな雰囲気をビンビン感じる街並みだ!
「じゃあ、私はこれで、レオン様!今日はありがとうございました」
「あぁ、気を付けて帰れよ、私はエドと食堂へ行く」
ミーナさんを見送って、レオンさんと街の食堂へ行くことになった。
「妹に関する詳しい話は食事をしながらしよう、森に住んでいたということは、金は無いんだろ?ちょっとぐらいなら奢ってやる」
え?今何とおっしゃいました?奢ってくれるって言いました?
いい人過ぎではありませんか?
「聖人か何かですか…?」
「ははっ、私はそんな立派な人間じゃないさ、ただ、妹のために何かしてくれるって人に頼みを聞いてくれるお礼をしたいだけだ」
やっぱり聖人じゃないか…


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