「サボってるだろう?」と追い出された最強の龍脈衆~救ってくれた幼馴染と一緒に実力主義の帝国へ行き、実力が認められて龍騎士に~

土偶の友

文字の大きさ
27 / 67
第2章 姫

27話 パルマと依頼①

しおりを挟む
 次の日。

 俺はパルマと一緒に街に出てきていた。

 パルマはいつもの水色の鎧を着ていて、周囲の注目を浴びている。

「セレット」
「なんだ」
「なんでこんなことになってんだ?」
「オレが聞きたい」

 こんな会話昨日もした気がする。

「今日は外に行く必要があると聞いたんだがよ。詳しい内容はセレットに聞けって言われてんだ。何しに行くんだ?」
「ああ、それなんだが……。パルマの服を一緒に買いに行けということらしい」
「服……オレの?」
「ああ、よくわからないけど、指定された店に行けば全てやってくれるらしい」
「何でオレの服を依頼で買いに行かされんだよ。意味がわかんねぇ」
「俺に聞かれても」
「……」
「……」

 昨日の依頼も意味が分からなかったけど、今回の依頼は特に意味が分からない。

 ただの服を買いに行くなんて、どう考えても城に言われてやるようなことじゃない。

 昨日のことといい、何か考えがあるのだろうか?

「まぁいい。買い物を済ませてさっさと城に戻るぞ。訓練をしねぇと」

 そう言ってパルマは歩き出す。

 俺は彼女の背を追いかけて歩く。

「何か急いでいるのか? それなら早めに行くが……」
「そんなわけじゃねぇ……。早く戻って訓練はしたいだけなんだよ」
「そういうことか」
「どういうことだ?」
「昨日もアイシャと一緒に城下町に依頼の品をとって来い。意味の分からない依頼が来たんだよ」
「その後は?」
「普通に闘技場で楽しんで帰った」
「は?」

 パルマは足を止めてこちらをみる。

「問題無かったのか?」
「うん。依頼の品を渡した時も、楽しかったですか? っていう風に聞かれただけだった」
「なんなんだよそれは……」

 パルマがそう言って頭を抱えている。

「俺も昨日からだから分からないんだ」
「そうなのか……。まぁいい。さっさと終わらせんぞ」
「分かった」

 俺はそう返すが、きっと違う依頼を渡されるなりして違うことをすることになりそうな予感がした。

 到着した店の場所は、貴族街にある高級な服飾品店だった。

 中に入ると1組に1人店員が付き添うようになっていて、彼らは皆服装がビシッと決まっている。

 店の中にいる他の客も、かなり仕立てのいい服を着ているのを見ると、貴族の人達なのだろう。貴族街にあるから当然かもしれない。

 俺達が店に入ると早速女性の店員が近づいてくる。

「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件ですか?」
「えっと、彼女の服を見繕って欲しいんです。これを」

 俺は持っていた依頼書を渡す。店員にそれを渡せばすぐに用意してくれると書いてあったからだ。

「失礼いたします」

 店員は受け取って、一読すると動きが石になったかのように固まった。

「店員さん?」
「は!? はい。何でしょう?」
「それで、どうすればいいんだ? 自分たちで探し回った方がいいのか?」
「オレは服の良し悪しなんて分かんねえぞ」
「では色々試着してみましょう。お気に召したものがありましたらそれをお選びになられては?」
「それでいいか?」
「ああ、分かった」

 パルマは言っていたように感じ服には興味がなく、着れれば何でもいいという感じだった。ここら辺はアイシャとちょっと似てるな……。龍脈の研究以外にほとんど興味が無いとか相当近い何かを感じる。

 ただアイシャは自分の立場とかを考えて、ある程度の服装とかは気を付けていたけど。

(そう言ってもほとんど城から支給された服ばっかりだったような……)

「こちらへどうぞ」

 店員さんがそう言ってパルマの試着が始まったのだが……。

 試着室の中ではパルマと店員さんの口論になっていた。

「な! こんな薄い物着られるか! 龍に襲われたらどうすんだ!?」
「これは街中で着るものであって龍脈で着るものではありません。第一あの鎧で街を歩くのはかなり大変でしょう?」
「だけど防御力がな」
「街中では防御力は要りません。ですから大人しく着てください」
「暴漢が現れた時はどうすんだ? これだと好きにしてくれと言っているようなものじゃねえか」
「ここは帝都カイガノスですよ? 余程の小道に入って行かない限りは問題ありません」
「だけどよ」
「もう、いいから脱がせます。大人しくしていてください」
「ひゃ!」
「おお、ちょっと嫉妬してしまいたくなるくらいいい体をしていますね……」

 そんな会話が中から聞えてきて、5分後にカーテンが少しだけ開いた。

「そ、その。おかしくはないだろうか……」

 パルマはそう言っているが、彼女がカーテンから出しているのは頭だけでそれ以外の部分は全く見えない。

「なら見せてくれないか? さっきまでと全然違いが分からないんだ」
「うぅ……」

 パルマはもじもじしていてカーテンを取る気配が無い。

「パルマ様、そういう時は迷ってる時の方が困るんですよ!」

 バッ!

 店員さんが思い切りカーテンを開く。

「ああ!」

 パルマが今まで聞いたことも無いような可愛らしい声を上げて、剥ぎ取られたカーテンを見送った。

 俺は彼女の着ている服を見つめた。

「……」
「……」

 パルマは俺の視線に気付いたのか自身の服を手で出来る限り隠す。それでもどこかに隠れていくようなことはせずにもじもじしている。

 彼女の服はセパレートタイプの胸当て、というかへそ出しスタイルの上の服と、太ももの中ほどまでの長さのスカートをまとっている。

 色合いは白と水色が綺麗にコントラストがハッキリとしている。背が高く、龍脈衆として戦ってきて、引き締まったスタイルを強調されているようだ。

「似合ってるぞ。いつも鎧ばかり来ていたから分からなかったけど、スタイルがいいと似合うな」
「!? ほ、本当か?」
「ああ、とても似合っていると思う」
「そ、そうか……。あ、ありがとう……」
「やっぱりお客様もそう思われますよね! 私も彼女にはこの服が似合っているんじゃないのかと思っていたんですよ!」

 パルマの後ろから店員さんが鼻息を荒くして捲し立ててくる。

「他にも色んな服があるんですけどいかがですか? パルマ様ならきっと色々素敵に着こなせると思います!」
「そう、そうか? オレは……」

 パルマがそう言ってこちらを見てくる。どうしたのだろうか。もしかして、俺を待たせるのが申し訳ないと思っているとかかもしれない。

 彼女は龍脈衆の隊長として責任ある立場にいる。だから、龍騎士の称号を持つ俺の時間を無駄しないか。そんなことを気にしているのではないだろうか。

「パルマ」
「な、なんだ?」
「俺は待ってるから、色々試してみるといい」
「え」
「じゃあ店員さん。頼みます」
「オレはそんなつも……」
「まっかせてください! 彼氏さんが今夜襲わずにはいられないようにしてあげますから!」
「あ、俺達そういう……」
「さ! パルマ様! 見ただけで彼を悩殺出来るような素晴らしい物を選んで差し上げます!」

 俺が否定の言葉をいう前に店員さんはカーテンを閉め、試着室に入って行ってしまった。

 そして、俺はその外側で中で行なわれている狂気? 試着? を聞かせ続けられた。

「これなんてどうですか? 彼を魅惑するにはかなりいいかと」
「これのどこが服なんだ!? ただのひもじゃないのか!?」
「ちょっと刺激的過ぎると、ではもっと違った感じにして……これなんてどうですか?」
「さっきと何が違うんだ!? というかこれはどこを隠すんだ!?」
「これは最近流行の下着なんですよ。これをつければベッドで彼は貴方を襲わずにはいられません! さぁ! 一度着てみましょう!」
「待て待て待て待て! オレは服を買いに来たのであって下着までは」
「そんなことは言わずに、そんな質素な感じの子供のようなのを履いていてはいけませんよ? さ脱いでしまいましょう?」
「待て、待ってくれ。何でそんな目をしているんだ!」
「大丈夫です。私たちは服のプロですよ? これだけの素材なら最高に仕上げて見せます!」
「そこまではいい! 鎧を! オレの鎧を返してくれ!」
「それならもう城に送り返しましたよ? 諦めて着てください」
「そんな!?」

 っと、言ったような事をずっと外で聞かされていた。

 何度か外にでも行っていた方がいいんだろうか? と思って外に行こうとしたんだが、他の店員さんに彼女さんが頑張っているんです。すぐ近くで待っていてあげるべきでは? ということを言われて留まることを余儀なくされた。

 俺はそんな会話を聞かされながら試着が終わっては見てを繰り返す。

 店員さんは完全にスイッチが入ってしまい、これだ、次はこれだと次々と色んな服をパルマに着せていく。

 最初は抵抗していたパルマだったが、途中からは諦めて着せ替え人形になっていた。

「ありがとうございました~!」

 そして店員さんの素晴らしい笑みを背に、俺とパルマは店を出た。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります

しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。 納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。 ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。 そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。 竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

婚約破棄から50年後

あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王子が婚約者に婚約破棄を宣言した。王子は真に愛する女性と結ばれ、めでたしめでたし。 そして50年後、王子の孫の王子は、婚約破棄された女性の孫と婚約する事に。そこで明かされた婚約破棄の真実とは。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...