「サボってるだろう?」と追い出された最強の龍脈衆~救ってくれた幼馴染と一緒に実力主義の帝国へ行き、実力が認められて龍騎士に~

土偶の友

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第2章 姫

41話 黒幕?

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 時は少し遡り、フードを被った男が小高い丘の木の陰からロネ姫一行の様子を伺う。

「そろそろか」

 男が言った時、ウォータードラゴンの咆哮が彼の所にも聞える。

「大分いい感じに調整は出来てるな。幾ら『閃光』と言えど相性は悪い上に、皇女を守りながらの戦いだ。勝てないだろうよ」

 彼はそう呟いて様子を見るが、意外としぶとい。『閃光』2つ名は伊達ではなく、高速移動で回避しつつ、かと言って自分から注意が外れない様にぎりぎりの速度でウォータードラゴンを翻弄している。

「流石にあのままだとやられるか?」

 心配した男は、少し危険を犯す。

「アースバインド」

 かなりの距離があるため、そして、彼自身本調子では無い為大きな魔法を放つことはできない。しかし、ぎりぎりを見計らって回避しようとしている者の足をすくうくらいのことは出来る。

 案の定、ウテナは足を止められ、その一瞬を突かれて吹き飛ばされた。

「よし、後はメスガキを消すだけだ。行け」

 そう言って手に持っている禍々しい黒い石に魔力を送る。ウォータードラゴンが馬車を吹き飛ばそうかという時に、それが何者かに止められる。

「何?」

 彼は視線を向けると、そこにはグレンゴイルに向かったはずのセレットがいた。

「奴は街に向かったはずでは……。いや、いい。今回はお手並み拝見と行こうか。Sランクの魔物とどこまで戦えるのか。いや、強化まで施されたSランクのウォータードラゴン相手にどこまでやってくれるのか。楽しみだ」

 その男は期待の視線をセレットに向ける。

 セレットは危なげなくウォータードラゴンの相手をこなしている。しかも、ブレスや突進が馬車や周囲にいる人の方に行かない様に、被害が出ない様に気も配っている。

「そこまで出来るものか? 奴は背中に目でもついているのか?」

 それからウォータードラゴンの弱点が打撃だということがバレたためか、武器がハンマーに変形した。

「武器が変形するとは真だったのか……。しかしどんな原理で……。いや、それよりもこのままではまずいか」

 そう言ったとおりにウォータードラゴンは頭をハンマーで叩かれて目を回している。

「やるしかない。アースバインド」

 彼が呟くと再びセレットの足が土で動かなくなり、その隙にウォータードラゴンがブレスで奴を弾く。そこまでは良かったのだが、そこまでだった。

 それ以降のセレットは地面に足がつかない様に、それか、ついていても、邪魔されても問題ない時でしか地面に足を降ろさなかったのだ。

 それでは彼がここから出来ることはほとんどない。

 ウォータードラゴンは奴に倒され、動かなくなる。

「ここまでやるか……。しかし、ウォータードラゴンを相手にしてそこまでとは……。どう対処するかな……」

 彼はそう言って一人で考え始めている間に、一行は負傷者の回収や、怪我人の手当を始めていた。

 彼は考える。ここで追撃をしてダメージを与えるか。それとも温存するか。

 暫し悩んだ末に温存することを決定する。

「ここで決めるような場面でもない。それに、あれだけの相手に半端な戦力ではな」

 そう言って帰る直前にセレットの方を見ると、彼はフードの男の方を凝視していた。

 男は動揺で数歩後ずさる。

「嘘だろう? どれだけ距離が開いていると思っている?」

 彼我の距離は優に数キロメートルはあり、更に気配を消す為の魔法もかけている。この状態であれば竜の巣に入ったとしても気付かれないほどだ。

 それを見破る? ありえない。そう考えて頭を振り、もう一度セレットのいる方を見ると、そこにセレットはいなかった。

「?」

 彼が魔法で視力を上げ、周囲を探すがどこにもいない。しかし、頭のどこかで警鐘がなり続ける。このままここにいると危険だと。

 彼はもしやと考近くの森に視線を降ろす。そこには、こちらをじっと凝視しながら物凄い速さで走ってくるセレットの姿があった。

「ヤバい! くっ! これは捨てていくしかないか! 解除」

 彼は一瞬右手に持っている黒い石を見つめた後に、諦めたかのように呟いだ。
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