「サボってるだろう?」と追い出された最強の龍脈衆~救ってくれた幼馴染と一緒に実力主義の帝国へ行き、実力が認められて龍騎士に~

土偶の友

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第3章 動乱

58話 ジュエルドラゴンの取り分

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 俺達は10日をかけて帝都に戻ってきた。

 道中は特に問題もなく、のほほんとした空気で居られた。

 城に帰って来て、まずはロネ姫に報告をするところからだ。

(俺が主君を持つことになるとはな……。ワルマー王国にいた時には考えもつかなかった)

 俺はアイシャと秘書と廊下を歩きながら昔を思い出す。気が付くと、ロネ姫の部屋にまで来ていた。

 コンコン

「入りなさい」
「龍騎士、セレット。入室致します」

 扉を開けて、俺は部屋の中に入る。

 中にはロネ姫がイスに座っていて、その両脇にメイドが2人。その手前にウテナとオリーブが立って待っていた。

 俺は歩いて近づき、ひざまずく。アイシャと秘書も俺の後に続く。

「ロネスティリア姫。ジュエルドラゴンの討伐に成功致しました」
「ご苦労様。早速見せて頂ける?」
「ここでは……その……。部屋がめちゃくちゃになると言いますか……」
「そう、では移動しましょう」
「あの……何時までこれ続けるんでしょうか?」

 俺は思わずに聞いてしまう。いつもと全く違った雰囲気だったから騎士の様なまねごとをしたけど、いつもの様に肩肘を張らずにいたい。

 ロネは口を尖らせて、むすっとしたように俺を見つめ返した。

「もう、セルダース様の所の2人がいるんだから、それなりにしないとダメに決まってるでしょう?」
「あー……そういう……」

 そう言われて今更ながらに思い出したけど、色々と手遅れかもしれない。

「セレットからとてもフレンドリーな姫様だと伺っていますが……。敬語等も使わない方がいいと……」
「……セレット。後で話があります」
「はい……」

 これは確実に説教コースだなとロネの様子から確信する。

「隠してもしょうがないし、サッサと行きましょう」
「畏まりました」
「よろしくお願いしますー」

 ロネがサッサと部屋を出ていくので、俺達はその後に続いていく。

 後ろの方で歩いていると、直ぐに後ろからアイシャが服を引っ張ってくる。

「ちょっとセレット」
「どうした?」
「どうしたじゃないわよ。姫様の私生活をばらしちゃダメでしょうが。折角気にしないようにしてたのに」
「す、すまん。その方が楽かと思って……」
「そうかもしれないけど、皇族には見栄って物があるの。だから、気をつけなさい」
「分かった……」

 それだけ言うと、アイシャは一つため息をつく。

「ま、セレットは話しやすいから、そうなってしまうのかもしれないわ。それはいいことよ」
「う? うん? そ、そうなのか?」
「そうよ。だから自信を持ちなさい」
「ああ、分かった」

 い、いいのか? という思いもあるけど、アイシャは優しい目をしていたから多分大丈夫なんだろう。

 俺達は無言で歩き、倉庫に到着する。

 ロネは広い場所を指して言う。

「さ、ここにジュエルドラゴンを出してくださるかしら?」
「はい」

 アイシャがそう言って前に進み、収納袋からジュエルドラゴンを取り出した。

 ズズウン!

 すさまじい地響きがして、ジュエルドラゴンの死骸が現れた。一応腐ったりしないように処理も施されて居るので、問題は無い。

「おお」
「これは……」
「素晴らしいですわね……」

 ロネはジュエルドラゴンの額にある赤く巨大で澄んでいる宝石を見つめて呟く。

「宝石にはなるべく傷つけないように狩って来たつもりだけど、それでいいのか?」
「これ以上の状態等どこにありましょうか。というか、外傷がほとんどないんですけどどうやって倒したというのですか? もしかしてまだ見せていないアーティファクトとかをお持ちですか?」

 ロネ姫は興奮した様子でジュエルドラゴンを調べ回る。

「そんなことはないよ。ただ、ジュエルドラゴンの体内は結構酷いことになってるからそこは許してくれ」
「それは勿論構いません。これだけいい物あれば十分です」

 ロネはそう言って宝石を見つめていた。

 ツンツン

 後ろからアイシャに服を引っ張られる。いいからあれについて言えということなのだろう。

「あの、少しいいでしょうか?」
「ん? どうかしたのかしら?」
「ジュエルドラゴンの素材についてなのですが、出来れば使わない部分はアイシャに渡したいのです」
「そんなこと。当然いいわ。というよりも、陛下に献上するこの宝石以外の部分は全てセレット、貴方の物として構いません」
「……いいんですか?」

 ワルマー王国にいた時だったら、倒した魔物の爪の一欠けらまでちゃんと近衛騎士団に差し出すように言われてた。それを思うとまるで天と地ほどの差だ。

「当然でしょう。むしろ、その程度のことも出来ない皇族等失笑を買う所か皇族を名乗ることすら許されない可能性すらありますよ?」

 ロネ姫は何を言っているんだと言うような顔をしている。

「セレット、ここはワルマー王国とは違うのよ」
「ああ……。ちょっと舐めていたかもしれない」
「それじゃあちょっと貰っていくわね。と言っても結構貰うことになるかもしれないけど……いい?」
「ああ、というよりも俺は要らないからな。アイシャの好きにしていいぞ」
「え!? ぜ、全部?」
「ああ、ロネ姫が献上するのはひたいの大きな赤いものですよね?」
「ええ、それ以外は貴方の好きにするといいわ」
「そういうことらしいから、アイシャが使いたいようにしてくれて構わない」
「そ、そう……」

 アイシャはどうしていいのか戸惑っているようだ。

「それじゃあウテナ、後のことはお任せします」
「畏まりました」
「わたくし達は戻るから」
「はい。ありがとうございました」
「お礼を言うのはこっちよセレット。貴方の働きに見合ったことを出来るようにするわ」
「はい。お気をつけて」
「それでは」

 ロネ姫が出ていくのに、オリーブとメイドの2人がついて行く。

 4人が出て行ってしまってから、アイシャが俺に聞いてくる。

「セレット、本当にいいの?」
「? 何がだ?」
「何って素材の話よ。これだけの素材なのよ? これだけで一生遊んで暮せるレベルにはなるのよ?」
「そんなこと言ってもな……。実は龍騎士にしてもらった時の金もまだほとんど使ってなくて……。これ以上金とかが欲しい訳じゃないんだよ」
「だからってこんな……。そうね。なら、半分は姫様に献上するといいわ」
「ロネ姫にか?」
「ええ、私は半分位あれば色々と足りそうだからそれで十分。代わりに姫様に渡すと喜ぶわよ。ね?」

 アイシャは意味深にウテナの方を見る。

 彼女はアイシャに答えるように頷く。

「そうだな、そうして貰えると資金作りが出来てロネ様も動きやすくなると思う」
「動きやすくなる?」

 なんのことだろう。運動でもするのか?

「当然裏取引や交渉をする際の資金にだ。姫様は少し前に……その、色々と金を使い過ぎてしまったらしくてな。自業自得だから仕方ないと言ってはいたんだが、それでも貰えるのであればありがたい」
「なら半分はロネ姫に献上させて貰おう。足りないならまた魔物を狩ってきてもいい」

 ジュエルドラゴンみたいに遠くに狩りに行かなくても、近場で狩ることが出来る魔物がいればすぐにでも行って資金の足しにすればいい。というか城にいるだけだと腕が鈍りそうだし頼んでみようかな。

 しかし、ウテナは余りいい顔はしてくれなかった。

「セレット、その申し出は嬉しいんだが、今はオルドア様との話がどうなるか分からない。出来ればここに居て欲しいとのことだ」
「なるほど。分かった」

 3週間近く旅に出ていたからすっかり忘れていたけど、そういえばそうだった。

「それと……大渦の龍脈には早めに行った方がいいと思うぞ?」
「え」
「私から話すことは以上だ。さ、アイシャ。どの部分が欲しいのか話してくれ」
「え、ええ。私は……」

 ウテナは俺の返事を聞きたくないと言うようにアイシャと秘書と話始める。

 この感じは急いで行かないといけないかもしれない。

 俺は一人覚悟を決めて大渦の龍脈に向かう。
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