「サボってるだろう?」と追い出された最強の龍脈衆~救ってくれた幼馴染と一緒に実力主義の帝国へ行き、実力が認められて龍騎士に~

土偶の友

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第3章 動乱

59話 再び大過の龍脈

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「パルマはいるか?」

 俺は直ぐに大過の龍脈に向かい、その前にいるボロボロの門番に話しかける。

「セレットさん! 早く中に入ってください! 大変なんです!」

 俺が行くと、門番が危機が起きたかのように言ってくる。俺は剣に手をかけて走り寄った。

「スタンピードでも起こったのか!?」
「そういう訳ではないんですが、隊長が……その……」
「?」

 門番の言葉は歯切れが悪く、言い切れない何かがある。

「取りあえず中に入ってください……。それで分かると思います」
「あ、ああ。分かった」

 俺は中に入ると、中では物凄いことになっていた。

「てめえら! 死にてえのか! さっさと動け!」
「た、隊長……。かれこれ5時間もぶっ続けで……」
「うるせぇ! 龍がそんなんで待ってくれんのか! 敵は待ってくれねえ! いいからやれ!」
「は、はいぃぃぃ」

 パルマが鬼教官になっていた。まさかそこまで? と思うほどに荒れている。その雰囲気は鬼気迫るものがあり、正直話しかけない方がいいような気がした。

 というか話かけただけで殴られそうな気がする。

 俺はそっと大過の龍脈から出ようとすると、門番に見つかり止められた。

「セレットさん! どうして帰ろうとするのですか!」
「おま! そんな大声で言ったら……」
「セレットだぁ!」
「ひ」

 後ろの方でパルマが俺の名を呼ぶ気がする。ただ、その言葉に込められた怒気が強くて振り返るに振り返れない。

「久しぶりだな……セレット?」
「そ、そうだな」
「どうしたんだ? 振り向いてくれよ」
「……」

 俺はドキドキする心臓を何とか押さえながら、振り向く。そこには、想像以上ににこやかな笑顔のパルマがいた。

「や、やぁ。パルマ。元気だったか?」
「ああ、元気だったとも。どっかの誰かさんが1か月以上も居なかったお陰でなぁ?」
「そ、それは……すまん」

 仕事で忙しかったとか言うことは出来るだろうけど、そんなことを言っても遊びに行くという約束を果たした訳ではない。

 パルマは俺がそう言うと首を横に振った。

「なんてな。セレットが悪い訳じゃないのは分かってる。色々と騎士としてやらなければならないことがあるんだろう? オレの為だけに使える訳じゃないのは知ってるからな」
「パルマ……」
「だから代わりに、オレも頼みがある」
「頼み?」
「ああ、ウテナに稽古をつけているんだろう? オレにもつけてくれないか」
「稽古を?」

 パルマは神妙そうに頷く。

「ああ、オレも強くなりたいんだ。どんなスタンピードが来ても、立ち向かえるように。父のように……」

 父の様に。そう言いながらパルマは遠い目をしている。もしかして、父との間には何かあるのかもしれない。

 でも、それは俺が聞くべきことじゃないような気がする。俺が出来るのは、彼女の手助けをすることだと思った。

「俺でよければいいぞ。夜でもいいのか? といっても毎回じゃない。昼間は仕事があるし、夜はロネ姫の仕事があったりする。だから、時々になってしまっても良ければだが」
「勿論だ。セレットが忙しいことは知っている。1回戦って貰えるだけでも感謝しかない」
「今日からは多少いけると思う。もしダメだったら誰かに頼んでここに使いを送る。それでいいか?」
「ああ、問題ない」
「良かった。それじゃあまた夜に」
「絶対だからな!」

 パルマの顔は笑顔になっていたので、これで良かったんだと思う。

 それから数日後、皇帝陛下のパーティーが開催された。

******

「これは……。俺には不釣り合いな気がするんだが……」

 俺は今、皇帝陛下の誕生日パーティーに来ていた。豪勢な食事、煌びやかな服、華のある人々。今までの俺には縁もゆかりも無かった場所に来ていて、俺はかなり緊張している。

 怖くて隅っこの2階の影になっている、人がいるのか居ないのか分からないような場所で、ウテナと一緒に話していた程だ。

「なぁウテナ。本当に俺って必要だったのか……?」
「当然だろう。今回の献上品の目玉を持って来たのはお前だ。その立役者であるお前が来ないでどうする」
「そうだけど……。緊張して……」
「最初は誰だってそうだ。何度も参加して居れば慣れる」
「ウテナはすごいな」
「端くれとはいえ貴族の出だからな。それくらいはできる」
「それにしても……似合ってるな」

 俺はウテナの衣装を褒める。いつも着ている鎧ではなく、少し落ち着いたドレス。ただ、髪はポーニーテールではなく上にあげて結っているのが違った印象を与えた。

「そ、そういうセレットも似合っている。後は胸を張れば問題はない」
「それが一番難しいんだよな……」
「と、私は姫様に呼ばれたのでな。行ってくる」

 ウテナはそう言ってつかつかと行ってしまう。

「それなら俺も……」
「今は他の貴族の子女ばかりだ。もしもお前が言ったら女に囲まれるぞ?」
「それはごめんこうむりたい」
「なら、大人しくしておくことを進める。よほどの手練れでもない限り気付くことはないだろう」
「分かった……」
「料理位なら取りに行っても問題ない。ではな」
「ああ、気を付けて……」

 ウテナはロネ姫の所にサッサと行ってしまった。この長いパーティーを料理を食べるだけで持つだろうか……。
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