最強すぎて追放された【最強】スキル持ちの最強魔剣士、〈最強〉を目指して最強に険しい道を進み真の最強に至る

土偶の友

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2章

18話 ベルセルへ

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 王都のとある部屋。
 真っ暗な部屋の中で、2人の人物が会話をしていた。

「それでミリアムよ。計画は順調か?」
「順調だ。セントロの街もウリルに任せても問題ないくらいにはして来た。ここに来る途中も、この後の計画の為の種を十分にまいてきたからな」
「ほう、それはとても頼もしい。ではこちらの動きはどうしたらよい?」
「後1週間程待ってくれ、それから国境の魔族軍を軽く侵攻させろ。そうしたらここの王都は空になるだろう」
「そこを……お前がまいた種を使い攻め落とすのだな?」
「そうだ。ここもすぐに我らの領土になる。人間等と言うゴミ共が住んでいる事がおこがましい」
「その通り、こちらでも魔王の説得は任せておくがいい」
「説得? 伝えてないだけだろうが」
「ほっほっほ。何の問題がある。人間と融和を主張するなど……。先代の魔王様が聞いたらどんなに悲しむことか」
「あんな小娘には分かるまい。私達のいいように動いてもらわねばな」
「左様。ではワシは戻るとしよう」
「そちらは任せたぞ」
「ではな」

 ミリアムと話していたローブを着た男はそう言うと手に持っていた杖でトンと床を叩く。
 すると、次の瞬間には彼の真下には青白い魔法陣が浮かび上がった。

「『転移魔法ワープ』」

 ローブの男はそれだけ言うと、一瞬にして姿を消した。

「流石だな。【魔陣】の2つ名は伊達ではない……か。と、そんな事はいい。私は私でこちらのやるべきことをやらないといけないからな」

 ミリアムは真っ暗な部屋の中にある地図を見る。

 その地図の上には、王都とそれを囲むように赤いピンが刺さっていた。

「少し前にやったのでベルセルの町は問題ない。他の所の確認には行っておくか……」

 彼はそう言って、部屋から姿を消した。

******

 俺はリュミエールと一緒に王都に向かっていた。

 山間の道を登り、木々の間を通り抜けていく。

「次の町はどこでしたっけ?」
「確かベルセルの町だな。大きな山の中に作られた所で、そこから木材や石を切り出して王都に運んでいる」
「それで山の中にあるんですね」
「ああ、以前にも来たことがあるが、周囲を全て山に囲まれた町は中々に壮観そうかんだぞ」
「すっごく楽しみです!」

 リュミエールはそう言って笑顔で笑いかけてくる。

 そんな彼女に、俺は軽く笑って話す。

「それはいい。のんびり1人で観光も出来るぞ」
「え……でも、治安ってそんなにいいのですか? 正直不安なんですけど……」
「王都に近いから町の警備も十分だ。それに力の強い者達も多いから兵士の質も保証されている。盗賊もベルセルの町の兵士を恐れてほとんど出てこないくらいだ」
「なるほど……それでさっき見た向かう人達は護衛とかを雇っていないんですね」
「ああ、ここは兵士が巡回しているからな」
「そうなんですね。でも、巡回の兵士を見たことがないような……」

 リュミエールはそう言って周囲を見回す。

 確かに彼女の言う通り、ここら辺まで来たら前の時だったら巡回の兵士はいたような気がする。

「まぁ、天気もいい。のんびりと日向ひなたぼっこでもしているのだろうさ」
「そんな子供じゃないんですから……」
「兵士だって人さ。そうやって休みたくなる時はあるだろう」
「それはまぁ……そうですけど……」
「だろう? だから気にするな。というか、そんな巡回の兵士達が居なくても、俺がいる」
「それは……そうですね」

 そんな事を話しながら2人で歩いていると、立往生たちおうじょうした馬車に固まる人達がいた。

「どうする……ベルセルまで誰か行くか?」
「しかし……まだベルセルまで3時間はかかるぞ」
「でも動かせないんじゃどうにもならない」

 俺とリュミエールはお互いに目くばせをして、彼らに近付いて行く。

「どうかしたのか?」
「ん? ああ、それが馬車の車軸が折れちまってよ。町までどうするか話あってるんだ」
「修理は出来ないのか?」
「出来る奴はいるんだが、流石に折れちまってるとな。道具で持ち上げる事が出来れば直せるんだが……」

 俺はそう言われたのを聞いて、馬車を見る。
 荷物がこれでもかと載せられていて、数人で持ち上げるのは一苦労だろう。

 だが、俺にかかれば問題はない。

「俺が持ち上げよう」
「は? 持ち上げる? 何言ってるんだ? 一体どんだけ重たいと思っている?」
「ふむ」

 何か言おうかと迷ったが、そんな事をしている間に持ち上げた方が早い。

 俺は馬車の車軸が折れている所まで来ると、片手で馬車を持ち上げる。

「ほい」

 俺は馬車を持ち上げると、周囲を囲んでいた男たちの目が飛び出た。

「え? 何? え?」
「お前さん……何者だ?」
「俺か? 俺は最強の魔剣士シュタル。それを覚えて帰ってくれればいい」
「最強……なるほど。これは確かにそうかもしれないな。おい! シュタルさんが持ち上げてくれている間に急いで直せ!」
「はい!」

 彼の言葉で周囲にいた男たちが動き、テキパキと車軸を修理していく。

 俺が持っている時間は10分もなかっただろう。
 意外と腕がいいのかもしれない。

「ありがとうございます! シュタルさん!」
「降ろすぞ?」
「はい!」

 俺はゆっくりと下ろす。

「動くか?」
「やってみます!」

 御者がそう言って馬に鞭を入れると、馬車はゆっくりと動き出した。

「やった! ありがとうございます! シュタルさん! 貴方が居なかったらどうなっていたか」
「気にするな。それでは俺はこれで失礼する。行くぞ、リュミエール」
「はい」

 リュミエールはいつの間にか商人の家族なのか、夫人やその娘と楽しそうに話をしていた。

「お、お待ちください! せっかく助けて頂いたのです。一緒に町まで行きませんか? そこには我が商会もあります。もてなさせて欲しい」
「ふむ。まぁ……丁度いいだろう。リュミエールはいいか?」
「はい! 大賛成です!」

 リュミエールも一緒にいけることを喜んでいるようだ。
 ならば嫌なわけがない。

「分かった。お供しよう」
「ありがとうございます! それでは早速馬車へ……」

 ヒュン……カッ!

 商人にそう言われてすぐに、馬車に弓矢が突き刺さった。

「もう出て来たか」
「へっへっへ。良いもん沢山詰んでるじゃねか。ちょっとおいてけよ。俺達にも分け前は必要だろ」

 そう言いながら、山賊達が森から姿を現した。
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