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3章
64話 シビラ
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助け出した人質が集められている船。
その中のかなり豪華な一室に、俺はいた。
俺は少年の正面に座って、彼に話しかける。
「さて、それで少年よ。話を聞こうか」
「な、何を話せばいいんでしょうか」
「まずはそうだな。君の名前は?」
「ぼ、僕はシビラです」
「シビラ?」
「はい。シビラ・リート。リート一族の1人です」
「リート一族とは?」
「僕達は守り神様と対話し、この近辺の安全を守る一族です」
「それがどうして水賊達の力に?」
「それが……最初……」
彼の話を聞くとこういう事らしい。
まず最初に、水賊等が現れる前、守り神の様子がおかしくなった。
なので、その様子を聞きに行くために彼の母が行くことになる。
そして彼もまた、巫女の一族として一緒に行くことになった。
が、そこで問題が起きたのだ。
守り神は既におかしくなっていて、水賊達の襲撃には戦力が足りなかった。
一応護衛を連れて来てはいたけれど、多勢に無勢、あっという間に制圧されてしまった。
その際に母は守り神を使って水賊達を攻撃出来るかもしれない。
ということで殺されてしまったそうだ。
残された彼は多少の指示なら出来るし、護衛達の事を人質に取られていたので、言うことを聞かされていたということになる。
「なるほど。では……これでならもう守り神を助けることが出来るのか?」
俺がそう聞くと、彼は視線を落として首を振った。
「出来ません」
「なぜだ?」
「僕は正式な後継者ではないからです。守り神様と会話出来るのは代々女性の選ばれた者のみ。僕はあくまでサポートする事しか出来ないんです」
「だが、先ほどは指示をしていたと聞いたぞ?」
「それは、何か魔法陣の様なモノを介して出来ただけです」
「なら……」
「その魔法陣はもうありません。先日の戦闘で壊れてしまったようです」
「そうか……」
ということは俺の攻撃で壊れてしまったのだろう。
全く、そんな弱い魔法陣は張るなと言いたい。
「なので、姉が……必要なのです。どうか……どうか姉を探して下さいませんか?」
「そうは言ってもな……。確かお前の一族は襲われてほとんど生きているのか分からないのだろう?」
俺がそう言うと、彼は少し悲しそうな表情になる。
「……はい。その通りです。でも、姉なら……お姉ちゃんならきっと生きています! どうしてかは分かりません。でも……きっと生きていると思うんです!」
そう話す彼の瞳はそうなるといいと願っている様だった。
「そうか。では貴様の姉の特徴は?」
「! 探して……もらえるんですか?」
「それ以外にどんな可能性がある」
「え……あ、いや……」
「いいから話せ」
「はい! 姉の名前はメディ、メディ・リートと言います。白髪を肩口で切っていて、とても凛々しくて、かっこいい人です。他にも……」
それからシビラから姉の凄い所をたっぷりと1時間に渡って聞かされ続けた。
一応何か情報があるかと思って聞いていたけれど、正直ほとんど最初に聞いた情報から増える事は無かった。
ただまぁ、本人確認の情報はもらえたからいいのかもしれない。
「よし。では俺はそろそろ行くとする」
「え? もう行ってしまうんですか?」
「ああ、姉には早く会いたいだろう? それが出来るようにとりあえず街に行く」
「分かりました! お姉ちゃんをよろしくお願いします!」
「任せろ。ただ……『看破』」
一応このシビラと同じという事で、血の繋がり等を見抜くために彼を 『看破』で調べる。
すると、情報には<守り神の話し手>と出て来た。
ということは、これと同じ物を持っている人を探せばいいのかもしれない。
後は、普通に彼ら巫女の一族の血は少し特徴的なので、そちらの方で考えて行くとよりいいのかもしれない。
「ではな」
俺はそう言って、船から街に戻る。
******
「1週間ぶりだが……何だか綺麗になったな」
1週間ぶりの街は正直別物と言っても良かった。
今までは道にはゴミが落ちていたのに、今は綺麗だ。
歩いている人の顔には笑顔がそれなりに浮かんでいて、ケンカを吹っ掛けようとする連中はいない。
これは、水賊達を捕らえたお陰だった。
街でくだを巻いていたのは漁師達が主で、湖で漁が出来ないストレスをぶつけていたらしい。
今では少し凍っている部分はあるけれど、それ以外の部分では普通に漁ができる。
なので、今は漁に精を出していた。
「さて……そんなことはいいか。『広域探知』」
俺は魔法を使って、一応シビラと似た感覚はないのかと調べると、何かとても濃い反応が見つかった。
「嘘だろ……」
確かに巫女の血は特別なのかもしれない。
だからって、こんなすぐに見つかることがあるのだろうか?
疑いつつも、その反応がある元に向かう。
そうして辿り着いた場所は……。
『ヴェリザード娼館』と書かれた建物の中にその反応はあった。
「は……? 巫女……なんだよな? なんでこんな所から……?」
俺は意味が分からなかった。
その中のかなり豪華な一室に、俺はいた。
俺は少年の正面に座って、彼に話しかける。
「さて、それで少年よ。話を聞こうか」
「な、何を話せばいいんでしょうか」
「まずはそうだな。君の名前は?」
「ぼ、僕はシビラです」
「シビラ?」
「はい。シビラ・リート。リート一族の1人です」
「リート一族とは?」
「僕達は守り神様と対話し、この近辺の安全を守る一族です」
「それがどうして水賊達の力に?」
「それが……最初……」
彼の話を聞くとこういう事らしい。
まず最初に、水賊等が現れる前、守り神の様子がおかしくなった。
なので、その様子を聞きに行くために彼の母が行くことになる。
そして彼もまた、巫女の一族として一緒に行くことになった。
が、そこで問題が起きたのだ。
守り神は既におかしくなっていて、水賊達の襲撃には戦力が足りなかった。
一応護衛を連れて来てはいたけれど、多勢に無勢、あっという間に制圧されてしまった。
その際に母は守り神を使って水賊達を攻撃出来るかもしれない。
ということで殺されてしまったそうだ。
残された彼は多少の指示なら出来るし、護衛達の事を人質に取られていたので、言うことを聞かされていたということになる。
「なるほど。では……これでならもう守り神を助けることが出来るのか?」
俺がそう聞くと、彼は視線を落として首を振った。
「出来ません」
「なぜだ?」
「僕は正式な後継者ではないからです。守り神様と会話出来るのは代々女性の選ばれた者のみ。僕はあくまでサポートする事しか出来ないんです」
「だが、先ほどは指示をしていたと聞いたぞ?」
「それは、何か魔法陣の様なモノを介して出来ただけです」
「なら……」
「その魔法陣はもうありません。先日の戦闘で壊れてしまったようです」
「そうか……」
ということは俺の攻撃で壊れてしまったのだろう。
全く、そんな弱い魔法陣は張るなと言いたい。
「なので、姉が……必要なのです。どうか……どうか姉を探して下さいませんか?」
「そうは言ってもな……。確かお前の一族は襲われてほとんど生きているのか分からないのだろう?」
俺がそう言うと、彼は少し悲しそうな表情になる。
「……はい。その通りです。でも、姉なら……お姉ちゃんならきっと生きています! どうしてかは分かりません。でも……きっと生きていると思うんです!」
そう話す彼の瞳はそうなるといいと願っている様だった。
「そうか。では貴様の姉の特徴は?」
「! 探して……もらえるんですか?」
「それ以外にどんな可能性がある」
「え……あ、いや……」
「いいから話せ」
「はい! 姉の名前はメディ、メディ・リートと言います。白髪を肩口で切っていて、とても凛々しくて、かっこいい人です。他にも……」
それからシビラから姉の凄い所をたっぷりと1時間に渡って聞かされ続けた。
一応何か情報があるかと思って聞いていたけれど、正直ほとんど最初に聞いた情報から増える事は無かった。
ただまぁ、本人確認の情報はもらえたからいいのかもしれない。
「よし。では俺はそろそろ行くとする」
「え? もう行ってしまうんですか?」
「ああ、姉には早く会いたいだろう? それが出来るようにとりあえず街に行く」
「分かりました! お姉ちゃんをよろしくお願いします!」
「任せろ。ただ……『看破』」
一応このシビラと同じという事で、血の繋がり等を見抜くために彼を 『看破』で調べる。
すると、情報には<守り神の話し手>と出て来た。
ということは、これと同じ物を持っている人を探せばいいのかもしれない。
後は、普通に彼ら巫女の一族の血は少し特徴的なので、そちらの方で考えて行くとよりいいのかもしれない。
「ではな」
俺はそう言って、船から街に戻る。
******
「1週間ぶりだが……何だか綺麗になったな」
1週間ぶりの街は正直別物と言っても良かった。
今までは道にはゴミが落ちていたのに、今は綺麗だ。
歩いている人の顔には笑顔がそれなりに浮かんでいて、ケンカを吹っ掛けようとする連中はいない。
これは、水賊達を捕らえたお陰だった。
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今では少し凍っている部分はあるけれど、それ以外の部分では普通に漁ができる。
なので、今は漁に精を出していた。
「さて……そんなことはいいか。『広域探知』」
俺は魔法を使って、一応シビラと似た感覚はないのかと調べると、何かとても濃い反応が見つかった。
「嘘だろ……」
確かに巫女の血は特別なのかもしれない。
だからって、こんなすぐに見つかることがあるのだろうか?
疑いつつも、その反応がある元に向かう。
そうして辿り着いた場所は……。
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「は……? 巫女……なんだよな? なんでこんな所から……?」
俺は意味が分からなかった。
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