最強すぎて追放された【最強】スキル持ちの最強魔剣士、〈最強〉を目指して最強に険しい道を進み真の最強に至る

土偶の友

文字の大きさ
74 / 137
3章

74話 それぞれの成長

しおりを挟む

「それでは俺達はこれでお別れた」

 俺とリュミエールはサラスの街の出口にいた。

 時刻は朝早いが、メディ、シビラ、アントゥーラや冒険者、騎士など多くの者が見送りに来てくれている。

 最初に話しかけてくるのは、この街の代表と言えるほどになったメディだ。

「シュタル様……これを」

 彼女はそう言って、俺に金色のペンダントを差し出してくる。

「これは?」
「それはリート一族に伝わる永遠の親愛を示すものです。国王陛下の短剣を持っている貴方に意味があるかは分かりませんが。それでも、何かさせて下さい」
「そうか。ありがたくもらっておく」

 別に使うつもりはないけれど、そうでもしないと彼らの気が重たくなるだろう。
 その意味でも、もらっておく方がいいと思ったのだ。

 一応、国王の短剣も思わぬ所で使う機会があった。
 それを考えるとそんな事があってもいいんじゃないのかと思う。

「え? ああ、はい。大丈夫です」
「?」

 メディはいきなり誰かと話すようなことをいい、後ろに下がっていく。

 その代わりにシビラが前に出てきて口を開く。
 ちょっと前とは全く違っていて、大人びた顔つきになっている。

「シュタル様、リュミエール様。この度は本当にありがとうございました。貴方がたがおられたお陰でこの街は助かりました。本当に……なんとお礼を言っていいのか……」

 シビラがそう言うと、その後ろから他の者達の声も聞こえてくる。

「アンタらが来なかったらどうなっていたか!」
「この街を救えるのは貴方以外に居なかったでしょう!」
「末代まで感謝しますよ!」
「我が家の騎士として永久えいきゅうに勤めませんか!」
「流石シュタルさんですねぇ」

 多くの声援を聞いて、リュミエールがそうぼんやりとつぶやく。

「俺は最強だからな。そう思われても仕方ないことかもしれん」

 そんな事を言った後、シビラが苦笑しながら続ける。

「という訳で、我々に出来る事があれば何でも言ってください。そのペンダントもこの国の中や、友好関係のある街であれば、他国でも使えるかもしれません。好きに使ってください」
「ああ、感謝する」
「その何十倍……いえ、何百倍の感謝の気持ちを持っているので、普通に受け取って下さい」

 彼はそう笑ってアントゥーラと代わる。

「しかし……もう行ってしまうのか?」

 代わったアントゥーラはリュミエールを見ながら少し寂しそうに話す。

「ええ、本当はもっと学びたいと思っていたのですが、今はもっと優先するべきことがあるんです。あれだけお世話になったのに……申し訳ありません」
「いや……光の巫女としての使命があるのだろう。勇者はこの先のラビリスの街にいる。そこでしっかりと出会い、使命を果たしてくれ」
「……はい! お世話になりました! 師匠!」
「ああ、いつでも帰ってくるといい。ワシ等は……いつでも待っている」

 アントゥーラがそういうと、彼の後ろにいた冒険者ギルドの皆が頷いている。

「今度は俺達だけで水賊討伐をやってみせるからよ!」
「その時には最高に美味い魚をたらふく食わせてやる!」
「今度は指導もして下さいね。貴方の力は皆が必要としていますから」
「そんな事を言われてもな。分身は出来ない……やってみるか?」

 そうか。
 俺は分身したら……最強を半分にしても最強ではあったりするんじゃないのか?

 1人そんな考えをしていると、リュミエールに呼び戻される。

「シュタルさん。今はお別れの時ですから、その考えは後に」

 彼女の声に賛同するように、冒険者達も声を上げた。

「そ、そうだぜ! これは大事な別れなんだから、そっちに集中しねぇと!」
「全くだぜ! 綺麗に別れるっていうことも大事だったりするんじゃねぇのかな!」
「でも……半分だけでも居てくれるのなら……」

 最後に言っているのは、後ろに下がったと思っていたメディだった。

「ね、ねぇさん。そんなことしてシュタルさんが怪我したらどうするの。あのダンジョンに向かうんだよ!?」
「そ、そうよね……ごめんなさい。でも、守り神様も、シュタル様の為に祈りをささげておくと言っていたわ。守り神様が一族以外にそんなこと言うなんて初めてよ」
「そんなすぐに守り神の所に行って来たのか?」
「いえ、正式にこの力を継いでから、遠く離れていても話せるようになったの。守り神様も遠くから見ておられるわ」
「そうか……。今度は操られないように気をつけろ。そう言っておいてくれ」
「ええ、伝えておくわ」

 そして、俺達はもうほとんど挨拶を済ませたので、行こうとすると、最後に声をかけて来る者がいた。

「次はちゃんとベッドの上で語りましょうね?」
「……」
「あの人は……ヴェリザード娼館の女主!」
「確か……領主ですら手玉にとって金を絞り取るって噂の……」

 俺は後ろを見ると、そこにはウインクをしている『ヴェリザード娼館』の受付がいた。
 怖い話も聞こえてきた事だし、にごしておくに留める。

「ふ、考えておこう」

 俺はそう言って、リュミエールと一緒に次の街、ラビリスに向かって旅立った。



 暫くして。

「シュタルさん」
「どうした?」
「さっきの女性……どういうことですか?」
「なんの話だ?」
「娼館……の人。という事を言っておられましたよね」

 リュミエールの方をそっと見ると、彼女の満面の笑みが怖い。
 バカな、俺が恐怖を感じるなど……。

「シュタルさん」
「ん……なんだ」
「詳しく……話して下さいますよね?」
「……それはな」

 一応弁明の機会が与えられた俺は、彼女に丁寧に説明しつつ、次の街道を彼女と共に進んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命
ファンタジー
 学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。  そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。 「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」  なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。  これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー
ファンタジー
 ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。  これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。 設定 この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。 その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。

最強付与術師の成長革命 追放元パーティから魔力回収して自由に暮らします。え、勇者降ろされた? 知らんがな

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
旧題:最強付与術師の成長革命~レベルの無い世界で俺だけレベルアップ!あ、追放元パーティーから魔力回収しますね?え?勇者降ろされた?知らんがな ・成長チート特盛の追放ざまぁファンタジー! 【ファンタジー小説大賞の投票お待ちしております!】  付与術のアレンはある日「お前だけ成長が遅い」と追放されてしまう。  だが、仲間たちが成長していたのは、ほかならぬアレンのおかげだったことに、まだ誰も気づいていない。  なんとアレンの付与術は世界で唯一の《永久持続バフ》だったのだ!  《永久持続バフ》によってステータス強化付与がスタックすることに気づいたアレンは、それを利用して無限の魔力を手に入れる。  そして莫大な魔力を利用して、付与術を研究したアレンは【レベル付与】の能力に目覚める!  ステータス無限付与とレベルシステムによる最強チートの組み合わせで、アレンは無制限に強くなり、規格外の存在に成り上がる!  一方でアレンを追放したナメップは、大事な勇者就任式典でへまをして、王様に大恥をかかせてしまう大失態!  彼はアレンの能力を無能だと決めつけ、なにも努力しないで戦いを舐めきっていた。  アレンの努力が報われる一方で、ナメップはそのツケを払わされるはめになる。  アレンを追放したことによってすべてを失った元パーティは、次第に空中分解していくことになる。 カクヨムにも掲載 なろう 日間2位 月間6位 なろうブクマ6500 カクヨム3000 ★最強付与術師の成長革命~レベルの概念が無い世界で俺だけレベルが上がります。知らずに永久バフ掛けてたけど、魔力が必要になったので追放した元パーティーから回収しますね。えっ?勇者降ろされた?知らんがな…

俺が追放した役立たずスキルの無能女どもが一流冒険者になって次々と出戻りを希望してくるんだが……

立沢るうど
ファンタジー
 誰もが憧れる勇者を目指す天才冒険者『バクス』は、冒険者パーティーのメンバーである無能少女三人に愛想を尽かせ、ある日、パーティーリーダーとして追放を決意する。  一方、なぜ自分が追放されるのかを全く自覚していない彼女達は、大好きなバクスと離れたくないと訴えるも、彼にあっさりと追放されてしまう。  そんな中、バクスのパーティーへの加入を希望する三人が、入れ替わりで彼の前に現れ、その実力を見るために四人でモンスター討伐の洞窟に向かう。  その結果、バクスは三人の実力を認め、パーティーへの加入で合意。  しかし、それも長くは続かなかった。モンスター討伐を続ける日々の中、新加入三人の内の一人の少女『ディーズ』が、バクスとの冒険に不安を訴えたその翌日、なぜか三人共々、バクスの前から忽然と姿を消してしまう。  いつの間にかディーズに好意を寄せていたことに気が付いたバクス。逆に自分が追放された気分になってしまい、失意に暮れる彼の元に、追放したはずの『コミュ』が出戻り希望で再アタック(物理)。  彼女の成長を確認するため、自分の気持ちを切り替えるためにも、バクスが彼女と一緒にモンスター討伐に向かうと、彼女は短期間でとんでもない一流冒険者に成長していた……。  それを皮切りに他の二人と、かつての『仲間』も次々と出戻ってきて……。  天才冒険者の苦悩と憂鬱、そして彼を取り巻く魅力的な女の子達との笑顔の日常を描くハートフル冒険者コメディ。是非、ご一読ください!

処理中です...