最強すぎて追放された【最強】スキル持ちの最強魔剣士、〈最強〉を目指して最強に険しい道を進み真の最強に至る

土偶の友

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4章

83話 魔陣と剛腕

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 俺達の前に急に現れた2人の魔族は、観察するように俺達を見る。

 俺はそんな2人組に声をかけた。

「お前達はなんだ?」
「ワシ等か? ワシ等はそうじゃのう。【魔陣】と言えば伝わるかのう?」
「ああ、魔王四天王の1人……だったか?」
「そうじゃそうじゃ。よく勉強しておるのう。それで、ワシ等がここにいる理由は知っておるか?」
「知らん……が。勇者と言ったな。勇者を探しているのか? 奇遇きぐうだな」
「奇遇……とな?」
「俺も探しているんだ。それで、どこにいるのか知っているか?」

 俺がそう言うと、老人は少し驚いた様に目を見開く。

 そして、口を開いた。

「勇者はそこにおるではないか。知らんのか?」
「何?」

 俺は後ろを向くと、そこには『結界魔法シールド』の上でガタガタと震えているアスタがいた。

「アスタ。お前……勇者だったのか?」
「……に、逃げよう! 早く! 急いで!」
「どうした急に」
「あいつらは魔王四天王の2人だよ! 【魔陣】だけじゃない! 【剛腕】もいるんだ!」
「ほう」

 それはいいことを聞いた。
 でも、敵から攻撃をして来ないのに攻撃をするのはよろしくない。

 なぜなら俺は魔族を知らない。
 まずは知る所から始めないといけないだろう。

 ウリルやミリアムの様な奴ばかりではないかもしれないのだ。

 俺がそんな事を考えていると、アスタは更にあせったように言う。

「そいつらはボクの仲間と……Sランク冒険者2人を瞬殺したんだ! だから、逃げないと!」
「……そうか。冒険者を殺したのか」
「ほっほっほ。当然じゃろう? 強い者が奪う。それはこの世の真理。それは全ての者に平等にもたらされる」
「おで、強い奴と戦う」
「なるほどな。お前達は2人とも人を殺しても何とも思わない質か」
「当然。魔王四天王ともなればそうなるものよ」
「……残念だ。ここでお前達を殺さねばならないとはな」

 俺は殺気を放ち、2人に重圧をかける。

「!?」
「!?」

 次の瞬間、2人は大きく飛び退り、戦闘モーションに入る。

「『魔陣構築:ゾーン』!」

 老人がそう言うと、俺の体が少しだけ重たくなる。

「それは相手を弱体化させる物か。中々だな」
「その程度ではないわ! 行け! ゴライアス!」
「おで、あいつ、殺す!」

 鉄仮面の巨体は俺に向かって突撃してくる。

 俺は奴を正面から迎え撃つ。

「死ね!」

 奴は拳を振りかぶり、俺に向かって振り下ろす。

 ズン!

「そ……そんな……」

 俺は奴の拳を手のひらを差し出して受け止める。

 ちょっとダンジョンが沈み込んだ位で、俺自身にはびくともしない。

「次は俺の番だな?」
「あぅっ!」

 ドゴォ!!!

 俺はゴライアスの腹をぶん殴り、吹き飛ばす。

 そして、奴をダンジョンの壁にめり込ませる。

「う……嘘……じゃろう?」
「嘘かどうかは貴様が決めろ。それが現実になるかどうかは知らんがな」
「なに? がっは!?」

 俺は【魔陣】の両足を蹴り折った。

 【魔陣】は地面に転がり、下から俺を見上げている。

「がっふっ……き、貴様……何を……」
「何を? 冒険者を殺しておいて貴様が殺される事を考えなかったのか?」
「そ、それは……」
「先ほど貴様が言っていたではないか。『強い者が奪う。それはこの世の真理。それは全ての者に平等にもたらされる』と。俺もその通りだと思うぞ? 強い者は奪ってもいいのだろう? 全て、そう、全てを」
「……」
「貴様の命も、貴様の財産も、貴様の大切な物全てを奪う。それも問題はないのだろう? なぜなら強い者が奪って良いから。違うか?」
「ワシに……ワシにそんなことを言って後悔せんのか? ぐぅ!?」

 俺は足だけでなく、奴の手を踏みつぶした。

「や、止めんか!」
「お前は今まで殺して来た相手の命乞いを聞いて来たのか? 来ていないだろう?」
「そ、そんなことぐあ!」

 俺はもう片方の手も踏みつぶす。

「さて、こうやっていたぶってもいいが、情報を吐いてもらう。だから生かした。ああ、不用意な事はするなよ? もしそんな事をしたらどうなるか。その身をもって味わうことになる」
「き、貴様……」

 奴は恨めしい目を向けてくるけれど、俺にはその程度の目は何も感じない。
 
 俺は奴の目を正面から見て、尋問を続けようとしたら後ろからゆらりと近付いてくる者がいた。

「ねぇ。待って」
「ん? どうした。アスタ」
「ボクにやらせて」
「何をだ?」
「ボクが……ボクがこいつらを殺す。大事な仲間だった。王都からずっと良くしてくれた。Sランク冒険者の2人も、ボクの為に必死に戦ってくれた。教え導いてくれた。そんな……そんな皆をこいつらは躊躇ためらいもなく殺したんだ。だから……だからボクにやらせて!」

 アスタは目に憎悪を宿らせて、どこからともなく出した光り輝く剣をもっていた。

 俺はそれを見て、ハッキリと言う。

「ダメだ」
「は……なんで? どうして? ボクに……ボクに恨みを晴らさせてよ」
「恨みを晴らす? ならそのままでいいのか? 俺が倒したこいつらに止めを刺して、それで満足なのか? お前は……勇者としてそれで満足出来るのか?」
「っ……それは……それは! でも、ボクは……ボクは!」

 そう言ってアスタがこちらに来た時に、奴は動いた。

「! おで、殺す!」
「っ! 危ない!」

 いつの間にかゴライアスが近付いて来ていて、その拳を俺ではなく、アスタに振り下ろす。
 それは、先ほどまでとは違う。

 俺が咄嗟とっさにアスタをかばったため、その拳は俺の頭に向かって落ちてきた。
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