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1章
32話 救出
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僕は走る。
水浸しの草原を駆け抜け、森の中に全力疾走で入っていく。
スキルで触手を回復する事も忘れて、ただただ走ってサナの元へと急ぐ。
森に入って5分もすると、地下に続く大きな穴が見つかる。
周囲は不自然に掘り返された様な跡があり、もしかしたらさっきの人が掘り返してくれたのかもしれない。
僕は躊躇わずにその中に飛び込む。
ズダン!
5m程で底につき、奥へ続く白い道を歩いて奥の扉に向かう。
この道の壁はローバーの糸で作られているようだった。
扉を開けると、そこはリビングのようになっている。
机の上には研究資料がこれでもかと置かれ、飲み物や茶菓子も置かれていた。
部屋を見回すと扉が3つあり、左から開けていく。
寝室でこじんまりとした部屋。違う。
次は何か実験台の様な部屋だった。
真ん中には大きな台が置かれていて、周囲には血の跡がこれでもかと残っている。
グレーデンはここで実験をされていたのだろうか。
でも、ここにはいない。
僕は最後の扉を開ける。
そこには。
「サナ!」
サナがイスにぐったりとしてイスに座っていた。
彼女の意識はなく、夢の中にいるのか……はたまた死んで……。
僕は最悪の可能性を振り払い、側に駆け寄る。
「サナ!」
彼女を揺らすけれど、目を覚ます様子はない。
僕は彼女の手首を確認する。
トクン……トクン……。
安心感から僕は床に崩れ落ちる。
「良かった……サナ……本当に……良かった……」
サナは無事だった。
僕の命よりも大事な……大事なサナ。
彼女は……助かったのだ。
「ん……。兄……さん……?」
「サナ!? 大丈夫かい!? 痛い所はない!?」
サナが目を覚ます。
僕はあらん限りの声でサナに話しかける。
「もう……ちょっと声を落として……耳がキンキンするから……」
「サナ……ごめんね。何があったか覚えている?」
「何が……」
サナは思いだすかのように目を閉じる。
そして、少しずつ話し始めた。
「確か……朝、目が醒めて、学園に行く準備をしていたの。だけれど、途中人が入ってきて、それで、私を守ろうとしてくれた人もいたのだけれど……」
「だけど?」
「その人は……死んでしまったわ。そして、私は……連れていかれて……確か、兄さんと仲良くしていた人だったと思う……! そうだわ! 気を付けて兄さん!」
サナは焦ったように言って来るけれど、そこは心配していない。
僕はサナの様子を見て思いっきり抱き締める。
「きゃ! に、兄さん?」
「大丈夫……大丈夫だから……。全部……全部……」
「兄さん……」
抱きしめるけれど、左手しか残っていない所か触手だ。
抱きしめてから思いだした。
サナはそんな僕に気にした風もなく抱き締め返してくれる。
「ふふ、兄さんが抱き締めてくれるのは久しぶり」
「そうだっけ……」
「そうよ。ずっと……ずっと一緒にいたかったのに。2週間も放っておかれたのも忘れないんだからね。友達が出来たり、授業を選んでいたり……話したかったのに……」
「ごめんよ……」
「ううん。いいの。私も分かっているから。兄さんが私の為にやってくれている……って。今回も助けに来てくれた……だから兄さん、ありがとう。大好き」
「サナ……」
サナはさっきよりも力強く抱き締めて来てくれる。
その力強さを嬉しく思い、僕もサナを強く……強く抱き締め返した。
******
残された者達。
クトーがサナを救出に行き、残された者達の空気は重たい。
それどころか誰も口を開こうとしない。
水色の髪の少女は懐から笛を取り出すとそれを吹く。
ただし、それからは音は聞こえてこない。
いきなりのことにレイラもグレーデンは目線を向けるけれど、彼女は気にした風もない。
「お呼びですか」
数秒もしない内に全身真っ黒で、目元だけ覗かせた者が3人彼女の側に膝をつく。
彼女はローバーとグレーデンを指さした後一言。
「連行」
「は!」
ローバーは紐でぐるぐる巻きにされた後、引きずられる様に学園へと戻る。
そんな様子を見ていたグレーデンは渋い顔をしながら大人しく歩いてついていった。
もしも少しでも逃げるそぶりや、抵抗するそぶりを見せたら同じことになっていただろう。
「動かない」
「え? ちょっと?」
そして、彼女はレイラをお姫様の様に抱え、学園へと歩き出す。
「これは男の人にやってもらいたいんですけど?」
「変わる?」
彼女はレイラの顔と、近くにいる男を見比べている。
「いえ……流石に男なら誰でもいいという訳では……」
「そう」
彼女はそれっきり黙ってしまう。
レイラはこの気まずさをどうにかしたい。
でも、グレーデンに話かける訳にも行かず、見ず知らずの人に話かけるのも気が引ける。
だから、自分を抱えてくれている彼女に話しかけた。
勿論、学園長の繋がりで知っているからというのもあったけれど
「あ、あの。ローバー先生には仲間がいたと言っていたんですが」
「倒した」
「いつの間に」
「……」
彼女はそれっきり話さずに、黙々と歩き続けた。
「……」
「……」
レイラはもう色々と諦めて、口を閉じる。
そして、森の中を中ほどまで行った所で、教会所属の馬車に回収され学園に戻った。
水浸しの草原を駆け抜け、森の中に全力疾走で入っていく。
スキルで触手を回復する事も忘れて、ただただ走ってサナの元へと急ぐ。
森に入って5分もすると、地下に続く大きな穴が見つかる。
周囲は不自然に掘り返された様な跡があり、もしかしたらさっきの人が掘り返してくれたのかもしれない。
僕は躊躇わずにその中に飛び込む。
ズダン!
5m程で底につき、奥へ続く白い道を歩いて奥の扉に向かう。
この道の壁はローバーの糸で作られているようだった。
扉を開けると、そこはリビングのようになっている。
机の上には研究資料がこれでもかと置かれ、飲み物や茶菓子も置かれていた。
部屋を見回すと扉が3つあり、左から開けていく。
寝室でこじんまりとした部屋。違う。
次は何か実験台の様な部屋だった。
真ん中には大きな台が置かれていて、周囲には血の跡がこれでもかと残っている。
グレーデンはここで実験をされていたのだろうか。
でも、ここにはいない。
僕は最後の扉を開ける。
そこには。
「サナ!」
サナがイスにぐったりとしてイスに座っていた。
彼女の意識はなく、夢の中にいるのか……はたまた死んで……。
僕は最悪の可能性を振り払い、側に駆け寄る。
「サナ!」
彼女を揺らすけれど、目を覚ます様子はない。
僕は彼女の手首を確認する。
トクン……トクン……。
安心感から僕は床に崩れ落ちる。
「良かった……サナ……本当に……良かった……」
サナは無事だった。
僕の命よりも大事な……大事なサナ。
彼女は……助かったのだ。
「ん……。兄……さん……?」
「サナ!? 大丈夫かい!? 痛い所はない!?」
サナが目を覚ます。
僕はあらん限りの声でサナに話しかける。
「もう……ちょっと声を落として……耳がキンキンするから……」
「サナ……ごめんね。何があったか覚えている?」
「何が……」
サナは思いだすかのように目を閉じる。
そして、少しずつ話し始めた。
「確か……朝、目が醒めて、学園に行く準備をしていたの。だけれど、途中人が入ってきて、それで、私を守ろうとしてくれた人もいたのだけれど……」
「だけど?」
「その人は……死んでしまったわ。そして、私は……連れていかれて……確か、兄さんと仲良くしていた人だったと思う……! そうだわ! 気を付けて兄さん!」
サナは焦ったように言って来るけれど、そこは心配していない。
僕はサナの様子を見て思いっきり抱き締める。
「きゃ! に、兄さん?」
「大丈夫……大丈夫だから……。全部……全部……」
「兄さん……」
抱きしめるけれど、左手しか残っていない所か触手だ。
抱きしめてから思いだした。
サナはそんな僕に気にした風もなく抱き締め返してくれる。
「ふふ、兄さんが抱き締めてくれるのは久しぶり」
「そうだっけ……」
「そうよ。ずっと……ずっと一緒にいたかったのに。2週間も放っておかれたのも忘れないんだからね。友達が出来たり、授業を選んでいたり……話したかったのに……」
「ごめんよ……」
「ううん。いいの。私も分かっているから。兄さんが私の為にやってくれている……って。今回も助けに来てくれた……だから兄さん、ありがとう。大好き」
「サナ……」
サナはさっきよりも力強く抱き締めて来てくれる。
その力強さを嬉しく思い、僕もサナを強く……強く抱き締め返した。
******
残された者達。
クトーがサナを救出に行き、残された者達の空気は重たい。
それどころか誰も口を開こうとしない。
水色の髪の少女は懐から笛を取り出すとそれを吹く。
ただし、それからは音は聞こえてこない。
いきなりのことにレイラもグレーデンは目線を向けるけれど、彼女は気にした風もない。
「お呼びですか」
数秒もしない内に全身真っ黒で、目元だけ覗かせた者が3人彼女の側に膝をつく。
彼女はローバーとグレーデンを指さした後一言。
「連行」
「は!」
ローバーは紐でぐるぐる巻きにされた後、引きずられる様に学園へと戻る。
そんな様子を見ていたグレーデンは渋い顔をしながら大人しく歩いてついていった。
もしも少しでも逃げるそぶりや、抵抗するそぶりを見せたら同じことになっていただろう。
「動かない」
「え? ちょっと?」
そして、彼女はレイラをお姫様の様に抱え、学園へと歩き出す。
「これは男の人にやってもらいたいんですけど?」
「変わる?」
彼女はレイラの顔と、近くにいる男を見比べている。
「いえ……流石に男なら誰でもいいという訳では……」
「そう」
彼女はそれっきり黙ってしまう。
レイラはこの気まずさをどうにかしたい。
でも、グレーデンに話かける訳にも行かず、見ず知らずの人に話かけるのも気が引ける。
だから、自分を抱えてくれている彼女に話しかけた。
勿論、学園長の繋がりで知っているからというのもあったけれど
「あ、あの。ローバー先生には仲間がいたと言っていたんですが」
「倒した」
「いつの間に」
「……」
彼女はそれっきり話さずに、黙々と歩き続けた。
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「……」
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そして、森の中を中ほどまで行った所で、教会所属の馬車に回収され学園に戻った。
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