「タコ野郎!」と学園のダンジョンの底に突き落とされた僕のスキルが覚醒し、《クラーケン》の力が使える様に ~突き落としてきた奴は許さない~

土偶の友

文字の大きさ
99 / 100
3章

99話 帰ってきた学園

しおりを挟む
 教会が用意してくれた馬車に乗って、僕たちは学園に帰ってきた。

「結構長かったね……」

 教会が用意してくれた物は乗り心地抜群、速度も出るという事で、行きよりも早く帰って来ることが出来た。
 しかも、室内もかなり広いので、荷物を広げていたりしたのだ。
 今はそれらを鞄に戻しながら話をしはじめる。

「そうね……。私。授業について行けるかしら」
「サナなら大丈夫だよ」
「そうだといいのだけど……」
「自分で走っていた位活動的なサナならきっと大丈夫だよ」
「もう! その話はやめてよ!」

 サナは僕の隣に座っていて、今はもう車いすは使っていない。
 馬車に最初に乗った時も、少し走っていきたい。
 と実際に走っていたくらいだ。

 でも、僕はそんなサナの様子をにこやかに見ていた。

 今までサナがずっと……ずっと車いすで生活しているのを見ていたのだから。
 黒蛇病であった時も、夜な夜な1人歩けるようにならないかと努力していたのも知っているからだ。

 だから、何かあったら僕が助けに入ればいいと思って放っておいたのだ。

 サナも、最初は楽しそうにしていたけれど、流石に他の人の優しい目に気が付いたのか途中からは恥ずかしそうに馬車に戻って来ていた。
 その時も「どうして止めてくれなかったのか」と問い詰められたものだ。

「まぁ……サナなら大丈夫だよ。学園での生活も……僕も教える事は出来るからね」
「本当? 絶対よ?」
「分かってるって」

 サナのためであればそれくらいお安い御用だ。
 なんなら徹夜で付きっきりで教えてもいい。

 そんな事を話しながら、僕たちは学院に戻ってきた。




 僕たちの馬車は学園に止められたのだけれど、そこには遠巻きにかなりの人だかりができていた。

「なんでこんなに人がいるんだろう」

 それに答えてくれるのはレイラだ。

「そりゃそうでしょ。この馬車。教皇専用の馬車よ? 本物が来たのか? ってきっと騒ぎになっているわ」
「え……この馬車ってそんなにも凄い物だったの?」
「知らなかったの? まぁ……普通に生活してたら使う事はないから……仕方ないかしらね」
「兄さん……私……。そんなすごい馬車に乗らずに走っていたの……?」
「サナ……。僕も一緒に走った方が良かったかもしれない」

 こんな凄い馬車に乗るなんて知っていたらもっと違った反応をしていただろうに。

「いいのよ。所詮乗り物なんだから、いいから行きましょう。学園長の所にもいかないといけないのでしょう?」
「うん。そうだね」

 事前に伝令……という訳ではないけれど、情報は送られているはずだ。
 そして、僕達は到着次第学園長の部屋に来るように……。
 ということを言われている。

「それじゃあ行こうか」

 僕は馬車から降りると、周囲の人々は水を打ったようにシン……と静まり返っている。
 ただ、その皆の瞳はじっと僕に向いている様で、流石にちょっと怖くなってしまった。

 急いでおりて早く学園長の部屋にいかなければ。
 僕は馬車からおりて、サナ達が降りてくるのを待つ。

 そう思って行こうとしたら、サナが教えてくれた。

「兄さん。大切な物を忘れているわよ」
「?」

 僕が振り返ると、そこにはサナが持った教皇から受け取った小箱があった。

 サナはそれを馬車から乗り出すように僕に渡そうとして来る。

「ごめんごめん。ありがとう」
「あ」
「あ」

 僕がサナから小箱を受け取ろうとしたら、サナがずっと座っていたからかバランスを崩して僕に向かって倒れて来たのだ。
 すぐさま彼女を受け止める。

「サナ。大丈夫? まだ歩いたりすることがなれていないんだろう? 危ない行動はしちゃいけないよ」
「兄さん……ごめんなさい。ちょっとはしゃぎ過ぎてしまったわ」

 そう言って謝ってくる彼女もまた可愛らしい。
 彼女に謝られたのならば、どんなことでも許してしまいそうだ。

「………………」

 そう思っていると、周囲からの視線が僕から離れていくことに気付く。

 さらに、レイラが馬車から降りてきて、僕を睨みつけてくる。

「クトー。流石に……あれを放置するのは良くないわよ。周囲の視線……見てみなさい」
「え?」

 僕はレイラに言われた方を見ると、そこには教皇からもらったコインが落ちていた。

 そして、周囲の人々の視線もそのコインに引き寄せられている様だった。

「あ、いっけない」

 僕はなんでもない物の様にしてそれをしまうと、急いで学園長の部屋に行こうとして……。

 周囲の人の波に飲まれてしまった。

「クトー君! もう何も言わない! とにかく家に来てくれないか!」
「何言っているの! 学園とかどうでもいいから! わたしの領地に来て頂戴! 居てくれるだけでもいいから!」
「なにを言うのですか! 彼は我が国にこそ相応しい! 是非ともわが国で国賓待遇で」
「クトー先輩! 今度僕の所でお茶会をするので是非とも来て下さい! まずは段階を踏んで」
「サナさん! 貴方は私と同じクラスよね。今度一緒に遊びに行きましょうか!」
「レイラさん! 好きです付き合ってください!」

 という感じの声が10倍以上もしてきて、僕としては何を言われているのか全く分からなくなって来てしまった。
 っていうか、僕だけでは無くてサナやレイラにも色々と声がかかっている。
 というか、直ぐ近くにいた2人共どこに行ってしまったのか……。

 かと言ってスキルで何とかすることも……流石に出来ない。
 どうするべきか……。

「【時の停止タイムストップ】」

 そう思っていると、レイラのスキルを使う声が聞こえた。

「レイラ!?」
「クトー。そこまで長時間は止められないわ。サナちゃんと急いで学園長の部屋に行くわよ」
「分かった!」
「分かりました!」

 僕とサナも効果はないようだった。
 だからか、大勢の人を躱すようにして逃げ出した。

「凄い目にあった……」
『当然よな。わらわの姿を見たのであれば、民衆はああなるのが常よ』
「クーネ……」

 いつの間にかサナの横には小さなダークネス様が浮かんでいた。

『まぁ……わらわもああやって人にすがられるのも嫌いではない。サナ。多少は答えてやるのもやさしさぞ』
「そうなんですね。分かりました」
『うむ。何かまずいことになったらわらわが守ってやるからの』
「ありがとうございます。でも、私は兄さんといられればそれでいいから……」
『……まぁ。わらわもクラーケンと一緒に居られるのは嬉しいからの。そうするが良い』
「はい」

 僕たちはそんな話をしながら学園長の部屋に向かう。

 するとレイラが。

「貴方達……私もいるっていうことを忘れないでよね……」
「分かっているよ。っていうか、さっきのスキルってもしかして……」
「ええ、時の神があたしの中にいたでしょう? だから、その力を多少は使えるようになっていたのよ」
「それは……すごいね」
「貴方達に言われたくないわ……。あたしの力は限定的だからね」
「それでも凄いよ。時を操れるなんて」

 僕にも出来ない事だからだ。
 クラーケンの持つ力は水、闇、次元の3つだからだ。

「まぁ……他の人よりはいいかもしれないけど……と到着したわよ」

 僕たちは学園長の部屋に到着し、中で待っているであろう学園長やフェリス、アルセラ達に会うために部屋をノックした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

処理中です...