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9章 ウィザリア
186話 彼の心は
***カストリオ視点***
俺様はカストリオ。
偉大なる賢者、メルクリウスの孫だ。
賢者の才能を俺様も継いでいて、魔法の才に恵まれている。
そこに現れたのがサクヤという子供だ。
俺様だって子供ではあるが、サクヤほど幼くはない。
それなのに、お爺様はサクヤの方が才能があると言う。
俺様は10にも満たないのに、50以上の魔法を使うことができる。
魔法を使った模擬戦でも、ほとんどの者に勝つこともできる。
それなのに、どうしてお爺様はあのようなことを言われるのだろうか。
努力を続けてきた。
ずっと……ずっと努力し、優秀程度では終わらせない。
世界最高の魔法使いになるために、俺様はずっとやってきた。
魔法を覚え、磨き、使いこなす。
それはお爺様のような魔法使いに、賢者になるためだからだ。
俺様が早くそうなることができれば、きっと……きっと今の状況も良くなる。
今、俺様はポロックと2人並んで夕食を食べていた。
広い部屋、壁際には執事とメイドが並び、俺達が食事を終えるのを待っている。
そんな部屋で、俺達はいつもの食事を続ける。
両親やお爺様はめったに帰ってこない。
こうやってポロックと2人きりで食べるのに慣れている。
だからこそ、俺が早く魔法を覚えて、家族の仕事を手伝えるようになりたい。
そうしたら、皆で一緒に食事を出来るような気がするんだ。
スパイ……スピアを捕らえようとしたのもそのための一環だった。
お爺様に頼まれたからというのもあるけれど、それも出来たらというくらいだったし。
それでも、俺様がスピアを捕らえられたら、お爺様も父さんも認めてくれる。
そう思っていたんだけど……。
ほとんど、俺様は何もしていなかった。
サクヤ……あいつと……あいつの従魔がほぼ全てを解決してくれた。
俺様は……何も出来なかった。
あの年齢で、俺様よりもすごい魔法を使い、俺様が得られない従魔を持っている。
どうして……どうしてあいつはあんなにも……。
「どうかしたの?」
そう声をかけてくるのは、隣で食事をしているポロック。
「何でもない」
俺はポロックの問いにそう返す。
でも、彼女は納得しない。
「そう? 絶対に何かあったって顔してるよ~」
「してない」
「してる」
「してない」
「してる」
「もう、しつこいな。なんでもないって言ってるだろ」
「そう……今日はなにしてたの?」
彼女は話を変えるようにそう聞いてくる。
俺様としても、そういうことならばと話し始めた。
「やっと禁書庫に行けたんだ! おめでとう! ずっと行きたがっていたもんね!」
「ああ、お爺様も父さんも教えてはくれなかったからな……」
「ね~確か自分で見つけるまでダメだったんだっけ?」
「ああ、今回の行き方でいいのか……とも思うが、行くなと言われていないから問題ないだろう」
「いいな~私もいきた~い」
「いや、お前は……」
俺様はそう言いながら食事を続ける。
彼女は基本的に魔法が使えない。
だから、別に行ったとしても、意味はないだろう。
「む~別にいいじゃん。私が行っても」
彼女はそう言うが、俺様としては集中して魔法の勉強をしたい。
サクヤに負けていられないからだ。
「ダメだ。俺は1人で行く」
「む~」
「……」
俺様はサクヤへの気持ちを言えず言えずに黙る。
いつものポロックならそれで納得してくれると思うのだが……。
「いいでしょ~。それとも、私がいて何か不都合なことでもあるの?」
「ないと言っているだろう。この話は終わりだ」
俺はそう言って、ポロックの話を切るようにスープを口に運ぶ。
「サクヤちゃんに恋しちゃった?」
「ごっふ! ぐふ、ごほ……な、何を言うんだ!?」
危うく噴き出しそうになるのをなんとか抑えた。
「え~だって、お兄ちゃん、気にしてたし~?」
「そ、そんなことはない」
「ほんとに~?」
「本当だ」
「私がいたら邪魔になるから来て欲しくないんじゃないの~?」
「……そんなことはない」
俺様は魔法を覚えたいだけだ。
そこに、あいつのことなんて関係ない。
確かに、あいつが使える魔法に興味がないとは言わない。
でも、人が使える魔法よりも、自分が使える魔法の方が大事だ。
従魔に関しても、お爺様は自分で知りなさいという。
決して敵対してはいけないということはわかっているが、それ以上は今の俺様ではわからない。
そう、俺様は自分のことが大事なのだ。
だから、あいつを気にするなんてことは、俺様は……俺様はしない……はず。
「じゃあ一緒に行ってもいいでしょ~? 応援してあげるからさ。2人きりになれたりするように」
「……お前がそこまで言うのなら仕方ない。だが、ちゃんとサクヤに聞くんだぞ」
「やった~!」
これはポロックのお願いを聞いてやっただけで、それ以上の意味なんてない。
そう、これはポロックのためなのだ。
俺様はカストリオ。
偉大なる賢者、メルクリウスの孫だ。
賢者の才能を俺様も継いでいて、魔法の才に恵まれている。
そこに現れたのがサクヤという子供だ。
俺様だって子供ではあるが、サクヤほど幼くはない。
それなのに、お爺様はサクヤの方が才能があると言う。
俺様は10にも満たないのに、50以上の魔法を使うことができる。
魔法を使った模擬戦でも、ほとんどの者に勝つこともできる。
それなのに、どうしてお爺様はあのようなことを言われるのだろうか。
努力を続けてきた。
ずっと……ずっと努力し、優秀程度では終わらせない。
世界最高の魔法使いになるために、俺様はずっとやってきた。
魔法を覚え、磨き、使いこなす。
それはお爺様のような魔法使いに、賢者になるためだからだ。
俺様が早くそうなることができれば、きっと……きっと今の状況も良くなる。
今、俺様はポロックと2人並んで夕食を食べていた。
広い部屋、壁際には執事とメイドが並び、俺達が食事を終えるのを待っている。
そんな部屋で、俺達はいつもの食事を続ける。
両親やお爺様はめったに帰ってこない。
こうやってポロックと2人きりで食べるのに慣れている。
だからこそ、俺が早く魔法を覚えて、家族の仕事を手伝えるようになりたい。
そうしたら、皆で一緒に食事を出来るような気がするんだ。
スパイ……スピアを捕らえようとしたのもそのための一環だった。
お爺様に頼まれたからというのもあるけれど、それも出来たらというくらいだったし。
それでも、俺様がスピアを捕らえられたら、お爺様も父さんも認めてくれる。
そう思っていたんだけど……。
ほとんど、俺様は何もしていなかった。
サクヤ……あいつと……あいつの従魔がほぼ全てを解決してくれた。
俺様は……何も出来なかった。
あの年齢で、俺様よりもすごい魔法を使い、俺様が得られない従魔を持っている。
どうして……どうしてあいつはあんなにも……。
「どうかしたの?」
そう声をかけてくるのは、隣で食事をしているポロック。
「何でもない」
俺はポロックの問いにそう返す。
でも、彼女は納得しない。
「そう? 絶対に何かあったって顔してるよ~」
「してない」
「してる」
「してない」
「してる」
「もう、しつこいな。なんでもないって言ってるだろ」
「そう……今日はなにしてたの?」
彼女は話を変えるようにそう聞いてくる。
俺様としても、そういうことならばと話し始めた。
「やっと禁書庫に行けたんだ! おめでとう! ずっと行きたがっていたもんね!」
「ああ、お爺様も父さんも教えてはくれなかったからな……」
「ね~確か自分で見つけるまでダメだったんだっけ?」
「ああ、今回の行き方でいいのか……とも思うが、行くなと言われていないから問題ないだろう」
「いいな~私もいきた~い」
「いや、お前は……」
俺様はそう言いながら食事を続ける。
彼女は基本的に魔法が使えない。
だから、別に行ったとしても、意味はないだろう。
「む~別にいいじゃん。私が行っても」
彼女はそう言うが、俺様としては集中して魔法の勉強をしたい。
サクヤに負けていられないからだ。
「ダメだ。俺は1人で行く」
「む~」
「……」
俺様はサクヤへの気持ちを言えず言えずに黙る。
いつものポロックならそれで納得してくれると思うのだが……。
「いいでしょ~。それとも、私がいて何か不都合なことでもあるの?」
「ないと言っているだろう。この話は終わりだ」
俺はそう言って、ポロックの話を切るようにスープを口に運ぶ。
「サクヤちゃんに恋しちゃった?」
「ごっふ! ぐふ、ごほ……な、何を言うんだ!?」
危うく噴き出しそうになるのをなんとか抑えた。
「え~だって、お兄ちゃん、気にしてたし~?」
「そ、そんなことはない」
「ほんとに~?」
「本当だ」
「私がいたら邪魔になるから来て欲しくないんじゃないの~?」
「……そんなことはない」
俺様は魔法を覚えたいだけだ。
そこに、あいつのことなんて関係ない。
確かに、あいつが使える魔法に興味がないとは言わない。
でも、人が使える魔法よりも、自分が使える魔法の方が大事だ。
従魔に関しても、お爺様は自分で知りなさいという。
決して敵対してはいけないということはわかっているが、それ以上は今の俺様ではわからない。
そう、俺様は自分のことが大事なのだ。
だから、あいつを気にするなんてことは、俺様は……俺様はしない……はず。
「じゃあ一緒に行ってもいいでしょ~? 応援してあげるからさ。2人きりになれたりするように」
「……お前がそこまで言うのなら仕方ない。だが、ちゃんとサクヤに聞くんだぞ」
「やった~!」
これはポロックのお願いを聞いてやっただけで、それ以上の意味なんてない。
そう、これはポロックのためなのだ。
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