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黄金戦争の章
第一次黄金戦争・守護神
しおりを挟むクシナダ率いる補給部隊によってスサノオ軍は戦闘を継続することが可能となった。
そして、スセリのエンチャント部隊によって、スサノオ軍の武器は火属性のエンチャントが行われた。疾風の機動力に、烈火の攻撃力がスサノオ軍に加わる。
スサノオ
「鋒矢の陣を敷く!」
「全軍、突撃せよ!」
真紅の具足に、武器は赤々と燃え、疾風怒涛の如くスサノオ軍が蓮也軍に襲いかかる。
赤という色は前方に突出したように見えるため、攻撃される側は恐怖心を煽られる。
それに対して蓮也はロータジア軍の兵士たちを鼓舞する。
蓮也
「数的にはこちらが有利である。戦力を中央に集中させ防御陣を敷き膠着状態に持ち込めば、後は消耗戦の愚に敵は気づき撤退するであろう」
スサノオ軍は戦力を中央に集め突撃してくる。
蓮也は敵の陣形を完璧に把握し対応する。
蓮也の用兵によって前陣はプロテクションされたディフェンダーが配置されているため、守備は鉄壁である。
敵の攻撃が集中するところに二重の防御陣が敷かれる。一列目が突破されても、二列目が防御し、その間に更にその後ろに隊列を組むというものである。これがロータジアの守護神・アルデベルドによる守護神の陣である。
ナムチ
「やはり思ったよりも敵の守備が硬いです」
スサノオ
「我が出番が来たようだな」
ナムチ
「御意」
スサノオが先頭に立ち陣頭指揮をとることで、火炎エンチャントされた騎馬突撃の威力は最大化する。それよにり、ロータジア軍第一陣一列目が一瞬で突破される。そして一列目が二列目の背後に回って対応しようとするのであるが、その前に二列目も突破されようとしているのである。これはスサノオ軍の破壊力と機動力が、想像を超える高さであるためであり、そよにりロータジア軍は対応不能に陥りつつあった。
スサノオ
「よし、敵の守備陣を突破するぞ!」
その時、スサノオ軍の前線の兵の何名かが一瞬で薙ぎ倒された。
ディフェンダー部隊長・守護神将軍アルベルトである。
アルベルト
「まてよ、バケモノ。俺が相手になってやる」
アルベルトは重厚な鋼鉄の鎧をその巨漢に纏い、大きな盾とアクス(戦斧)を持って仁王立ちし、スサノオの行手を遮る。
スサノオ
「バケモノか、褒め言葉として受け取っておこうか」
スサノオの八岐の蛇矛が馬上から繰り出される。
アルベルトは鋼鉄の盾でスサノオの強烈な一撃を受け止める。
凄まじい金属音が鳴り響き火花が散る。
アルベルトの盾はスサノオの攻撃を正確に受け止めたが、その繰り出す矛の威力で巨漢のアルベルトが後退りする。地面に線状についたアルベルトの足跡が、その威力を物語っている。
スサノオ
「ほぉ、我が矛をまともに受け止める奴がいるとは」
アルベルト
(なんという威力だ。この俺が後退するとは。そして、繰り出される攻撃の重厚さ)
スサノオ
「ならば、これはどうだ」
今度はスサノオは矛を水平に薙ぎ払う。
これを再びアルベルトは盾で受け止める。
スサノオ
「我が攻撃を受け止めたのは褒めてやろう。しかし、受けてばかりでは攻撃はできんぞ」
アルベルト
(いかん、受けるのが精一杯で反撃ができない。そして奴の重い攻撃で腕が麻痺してくる。盾の耐久もまずいな)
反対方向から矛が連続で薙ぎ払われる。
そしてアルベルトは、これをアクスで防ぐが、装備の耐久も限界に来ていた。
アルベルト
(これ以上受けに回ることは不可能。かくなる上は・・・)
スサノオ
「なんだと?」
アルベルトは右手のアクスを捨て、身を低くして突進し、矛を鷲掴みにした後、左脇に抱えた。
そしてアルベルトは、その矛を伝ってアルベルトはスサノオに近づいてゆく。
アルベルト
(武器術では分が悪い。このまま接近し徒手にて勝負をつける!)
アルベルトは接近し、スサノオの顔面目掛け、渾身のチカラを込めて殴りかかろうとする。
スサノオ
「鋼鉄のディフェンダーよ、見事だ。我に神剣草薙を抜かせるとはな」
スサノオはアルベルトの拳を紙一重でかわし、もう片方の手で神剣草薙を抜き一閃。
アルベルトの鋼鉄の鎧を切り裂き、肉をえぐる。
アルベルト
「まだ参る!」
スサノオ
「何?」
スサノオの放った剣を、アルベルトの身体で受け止める。
アルベルト
「俺は鋼鉄の鎧の下に筋肉の鎧を着ているんでな」
(この俺の命と引き換えに、この男の進軍を止める!)
アルベルトが筋肉を緊張させると、めり込んだ剣は抜けなくなる。
スサノオ
「お前もバケモノの類(たぐい)というわけか」
アルベルト
「バケモノにバケモノと言われるのは光栄だ」
「よい冥土の土産になり、我が先祖も喜ぶであろう」
スサノオ
(この男、捨身の覚悟で相打ちを狙っている。なぜ、ここまでするのだ)
アルベルト
「覚悟しろ、今、その馬上から引き摺り下ろしてやる」
(拳術がかわされたなら、今度は掴み体術に持ち込む!)
アルベルトはスサノオの巨体に手をかけようとした。
その瞬間、スサノオが、凄まじい気合を剣から放つ。
それによってアルベルトの巨体は、鮮血しながら数メートル吹き飛ばされる。
アルベルト
「ぬぅ・・・!」
スサノオ
「勝負はついた。敵ならが見事だ。降伏して俺に仕えぬか?」
アルベルト
「断る・・・!」
スサノオ
「そうか」
「もう一つ問う」
「お前は命をかけて、なぜ、そこまで戦う?」
アルベルト
「我が軍のプリンス・蓮也様のためだ・・・。我がプリンスのためなら、この命、いつ差し出しても惜しくはない・・・」
そう言ってアルベルトは地面に倒れ伏せた。
アルベルトは戦闘不能となり部下に抱えられヒーラー部隊へと後退した。
スサノオ
(国や国王、家族のためではなく、一軍の将のために命をかけると言うのか)
(確かに、後から来た軍は正規軍よりも強い。この軍を率いている者、プリンス蓮也という男に会ってみたくなったぞ)
その頃、蓮也は、戦況を見つつ、伝令から報告を受けていた。
蓮也
「何という機動力と破壊力だ」
「敵の攻撃は見抜いているのに、それに対応速度が追いつかないとは」
「そしてアルベルトがやられるとは」
「後から来たあのエンチャントによって敵軍の破壊力が上がっている」
ゼイソン
「プリースト隊はデバフをかけております。しかし、エンチャントの威力は殆ど下がっておりませぬ。つまり、相手のエンチャンターが相当優秀ということですな」
蓮也
「爺、関心している場合ではないぞ」
「あれさえなければディフェンダーとプロテクションによって受ける時間が作れるはずだ。そうすれば再び防御陣は機能する。膠着状態ができれば遠征に向かったアルタイル部隊とデネブ部隊の帰還を待てばいい」
ゼイソン
「その通りですな」
蓮也
「・・・とりあえず、爺、どうすればいい?」
ゼイソン
「モロー殿をここに呼んでくださいませ」
蓮也
「モローを?」
ゼイソン
「はい、現状では守りに徹するのみですので、モロー殿の遊撃隊は文字通り遊軍となっておりまする。そこで、私の軍師職を一旦モロー殿に預け、このゼイソン自らがアルベルト殿の替わりに前線に行き守護隊の指揮を執って参ります」
蓮也
「わかったが、策はあるのか?」
ゼイソン
「はい、ここはこの爺めにお任せあれ」
蓮也
「わかった。モローを臨時軍師とする。爺は前線に行ってくれ。ただし、本来は引退の年齢であるし、爺はこの国の至宝だ。くれぐれも無理はするな」
ゼイソン
「この老骨へのお言葉、痛み入りまする」
ロータジアでは、その実力に対して騎士の階級位が与えられる。
このゼイソンは騎士の最高位である白金騎士(プラチナナイト)の地位にある歴戦の強者であるが、現在は名誉階級とも思われている。そして、その経歴や出自は不明のところがあった。現在は、老齢のため、主に教育係や補佐役としての仕事が多い。
その最高位の白金騎士ゼイソンが最前線へと向かう。
蓮也軍の前陣のディフェンダーが突破されるとアーチャー部隊とアタッカー部隊が対峙したが、これもスサノオ軍に突破されようとしている。このファイター系の二つの陣が突破されると、後方は支援魔法部隊となるので、全軍総崩れの状態の可能性が高くなる。
伝令
「第二陣も突破される可能性あり。救援を乞う、とのことです!」
蓮也
「今、ゼイソン部隊を援軍に行かせた。踏み止どまれと伝えよ」
(たのむぞ、爺!)
そして、スサノオ軍の疾風烈火の騎馬突撃によってアーチャー・ファイターの攻撃が跳ね返され、その第二陣も突破された。残るは魔法隊のみとなり、ロータジア軍は追い詰められた。最高位の騎士・ゼイソンは、この窮地を救うことができるのであろうか。
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