幻想神統記ロータジア(パラレルストーリーズ)

静風

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列伝

アルタイル伝『アルタイルの婚姻譚』

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これは神代と言われる太古の時代の話である。
ロータジアという王国での王宮で舞踏会。
王宮では豪華な食事が振る舞われ、人々は煌びやかに着飾り、美しい音楽に合わせて踊りを楽しんだ。

そこにロータジア三将星の神槍・デネブと神弓・アルタイルが出席していた。
三将星にもう一人、大魔導師ベガがいるが、彼は舞踏会に興味がないのと魔法研究による多忙のため、出席を断っていた。
やや無骨で真面目なアルタイルも、本来は、このような華やかな舞踏会は性に合わないのであるが、臣下の義務だと思って律儀に出席していた。
その二人に比べて華やかな存在であるデネブは、舞踏会では一際輝きを放ち、そこで槍の演舞も進んで行っていた。
しかし、アルタイルは、武術を進んで見せるのは武人ではない、と思っていた。そこに、デネブのような華やかさはなかった。

泰斗王
「アルタイルよ。今日は、そなたの弓の技芸が見たい」
アルタイル
「・・・かしこまりました」



乗り気ではないが、ロータジア王である泰斗王から言われた場合、臣下としての礼を失してはいけない、そうアルタイルは考えていた。
王は余興を好んだが、舞踏会に来ている諸侯に自分の配下の強さを見せる意味もあった。
やがて燭台が用意され、部屋の端から、その燭台の蝋燭を射抜くよう王はアルタイルに命じた。

アルタイル
「では、蝋燭を倒さずに、蝋燭の火のみ消してご覧にいれましょう」
泰斗王
「おお、それは面白い!是非、見せてもらおう!」

基本、真面目なアルタイルであるが、どうせやるなら、徹底的にやりたいという職人気質のようなものもあったのかもしれない。
アルタイルが愛用の弓を持ち、ゆっくりと矢を引く。

アルタイル
「超絶技巧・疾風射!」

矢は放たれて、遠くの燭台の上にある蝋燭の上部をかすめ、その風圧によって蝋燭の炎だけを見事に消した。それを見た王は喜び、観衆は拍手喝采をアルタイルに浴びせた。アルタイルは一礼して無表情で立ち去る。

ここに一人の女性が出席していた。
名はマイア。守護神将軍・アルベルトの妹である。アルベルトは強面の巨漢であったが、妹のマイアは美しい娘であった。そのため、兄妹であることを知ると、皆、決まって驚いたような反応を示す。そして、舞踏会では王族・貴族の何名かの男性は、彼女を妻としたいと思っていたようである。

その日、マイアは体調が悪く、貧血で倒れた。すぐに近くにいたアルタイルが抱え、医務室へと彼女を連れていく。

その日の最後は、神槍デネブの槍と第一王子の舞也の剣による演舞により華やかに幕を閉じる。王国で最も美しいと言われる二人の男子の演舞を見て、女性たちは恍惚感に浸っている。第二王子の蓮也は、踊りには全く関心はないが、この演舞の時だけ、遠くから眺めている。

蓮也
(容姿の美しさなど、この武技の美しさに比べて何の価値もない。容姿の華はいずれは枯れる。しかし、本当の武技の華は年齢を重ねても尚盛んであるのだ)
(しかし、今日のアルタイルの構え、そして、射た矢の軌道は美しかった。それをわからぬ者は、蝋燭の火を吹き消したことに目を奪われる。本質の華を見ることができる者は少ないであろう)



このように蓮也は考えていた。
そして、武技を見せ物にする父泰斗王には少し嫌気をさしていた。と、言っても蓮也自身も、それを見るのは嫌いではなかった。

一月ほど経ち、再び舞踏会が開かれた。舞踏会は月に一度、夜に王都で行われる。
舞踏会は、王族・貴族・騎士・魔道士の身分のものである。アルタイルとデネブの身分は騎士であり、蓮也・舞也の二王子は王族として参加している。

蓮也はテラスで空を見上げ、舞踏会に関心がなさげな雰囲気を醸し出している。一方、アルタイルも舞踏会に関心はないが、会場の後方で、直立不動の姿勢で立っている。常に、武人としての行住坐臥の四威儀を正すかのようであった。もし、敵の襲来があっても、すぐに戦闘態勢に入れるようにである。
それを見て、グラスを片手にデネブが声をかける。



デネブ
「アルタイル将軍、こういう時くらいリラックスして楽しんではどうだい?」
アルタイル
「武人たるもの、何か遭った時に、遅れをとってはならぬ」
デネブ
「まあ、私と貴殿がいれば、隣国から一個師団が攻めて来ても大丈夫であろう」
アルタイル
「油断こそ大敵である。本当に恐るべき敵は自己の内に在ると思っておくべきだ」
デネブ
「それにしても、貴殿は何か楽しみはあるのか?酒を飲み、異性と踊り、語り合うのも人生だぞ」
アルタイル
「我にはこの弓と矢があれば十分」
デネブ
「なるほど、弓術も結構だ。貴殿の弓の腕はこのロータジア随一であることは確か。しかし、ご婦人のハートを射抜くことも、そろそろ考えられた方がよいぞ」
アルタイル
「舞也様も蓮也様も奥方様を娶っておられませぬ。どうして、臣下の私が先に妻を娶ることができようか」
デネブ
「恋愛とは、日が昇り、花が咲くが如く、自然なこと。臣下の務めは人間の事情」
「貴殿は、弓を引く時は自然なのだが、どうも、心の弓を引く時は不自然に思うのだが」

そのようなことを話していると、女性がアルタイルに声をかける。

マイア
「アルタイル様、先日はありがとうございました。あの時はお礼も言えず、申し訳ございませんでした」
アルタイル
「当然のことをしたまで」
デネブ
「おっと、それでは私はこの辺で失礼する」
アルタイル
「デネブ殿、私は貴殿の言ったことに、まだ返答しておらぬ」
デネブ
「それはまた今度だ。では」

アルタイルは律儀に、デネブの話に対して返答しようとしているが、デネブは何事もなかったかのように、早々と立ち去る。

マイア
「お話のお邪魔をしてしまって申し訳ございません」
アルタイル
「いや、気にすることはない」
マイア
「あの・・・」
アルタイル
「どうされた?」
マイア
「私と踊っていただけないでしょうか?」
アルタイル
「いや、私は・・・」

アルタイルは武は好むが踊りは好まない。それを言おうとしたら、間髪なくマイアが言う。

マイア
「私ではお嫌でしょうか?」
アルタイル
「・・・そうではないが」

女性からの誘いを断ることも失礼だと思い、アルタイルはマイアと踊ることにした。
普段、踊ることのないアルタイルの動きはぎこちなかった。弓の名手は、必ずしも踊りの名手ではない。最初は戸惑っていたアルタイルであるが、いつもの自分ではない何かを感じていた。それを横目に、デネブは微笑を浮かべ、踊りながら眺めていた。そして、その日の舞踏会も、幕は閉じた。

更に数ヶ月後である。
デネブは城の警護で宿直しており、部屋で待機していた。そこに、誰かがノックする。ここに来るのは、普段は自分の部下のみである、と思っていた。

デネブ
「よし、入れ」
「・・・ん?」
「アルタイル将軍ではないか。どうなされた?」
アルタイル
「忙しいところすまない。今、少し話はできるか?」
デネブ
「ああ、大丈夫だ。入ってくれ」
アルタイル
「すまない」
デネブ
「今、お茶を入れる」
アルタイル
「いや、お茶はいい」
デネブ
「そうか、なら、話を聴こう」
アルタイル
「・・・それが」
「その・・・」
デネブ
「・・・ん?」
「どうされた?」

と言いつつ、アルタイルは口が重たそうだったので、デネブはお茶を入れることにした。
ポットを火の魔導石の上に置くと、一瞬のうちに中の水は沸騰する。
高級なホワイトローズの茶葉でホワイトローズティーをつくる。
部屋には、ホワイトローズのよい香りが漂う。
アルタイルはお茶を口にした。少し緊張と解けるたようだ。

アルタイル
「デネブ将軍、貴殿は恋愛に詳しいと噂に聞く。そこで相談なのだが・・・」
デネブ
「・・・まぁ、そう言う噂もあるかもしれぬが」
アルタイル
「ある女性が、毎回、男性へと踊りに誘う場合、それは、その男性に好意を抱いていると見てよいのだろうか・・・?」
デネブ
「ふむふむ、なるほど」
「女性の方から毎回、男性を踊りに誘う場合はだな」
アルタイル
「・・・・・・」
デネブ
「その女性は毎回、勇気を振り絞って、その男性を誘いにやってくるのだ」
アルタイル
「・・・そうか」
デネブ
「よく聴きたまえ、アルタイル将軍。女性から誘うというのは、女性にとって相当なリスクだ。それは、はしたない女だと思われてしまうからだ。そのリスクを犯して男性を誘おうとするわけだ」
「もちろん、好意を持っているからこそ、誘うことは言うまでもない」
アルタイル
「・・・なるほど」
デネブ
「だから、女性から誘われたら、次は男性から誘うのがマナーと言うものだ」

基本的に舞踏会にはルールはなく、特にそのようなマナーはない。

アルタイル
「しかし、その相手が貴族であり、身分が違う場合は・・・」
デネブ
「よいかね、アルタイル将軍。恋に身分というものは関係ないのだよ」
アルタイル
「・・・そうか」
デネブ
「貴殿の弓はどのようなものも正確に射抜く。それは大いに結構だが、女性のハートを射止めることにも心を向けた方がいい」
アルタイル
「・・・わかった、精進することにする」
デネブ
「しかし、貴殿はベガ殿と幼なじみと聞くが、彼に相談はしたのか?」
アルタイル
「・・・そ、そんなことはせぬ!」
デネブ
「そ、そうか・・・」

巷の噂では、アルタイルはベガと男同士の恋仲ではないかと言われていた。舞踏会では、そうしたボーイズラブの噂はつきものであり、デネブもあまり噂は信じていなかったが、普段は感情を表に出さない彼の反応を見て少し戸惑った。

アルタイル
「すまぬ、声を荒げてしまい」
デネブ
「いや、気にすることはない」
アルタイル
「実は、蓮也様には少し相談してみたのだ」
デネブ
「・・・蓮也様に!?」



今度はデネブが声のトーンを上げた。普段、デネブは冷静な男であるが、この時は、アルタイルの意外な行動に少し驚いていた。
第二王子である蓮也とアルタイルは臣下の関係であることと、蓮也は元来、女性に興味を示してこなかったからである。その蓮也にアルタイルが恋の相談をしたと言うのである。
しかし、思い返してみると少しデネブは納得した。

アルタイル
「この前、少し話す機会があったもので、失礼は覚悟で、思い切って聞いてみた」
デネブ
「なるほど、女性に興味がないと思われていた蓮也様だが、最近はエウリディーチェ嬢のハートを射止めたと聞く。貴殿と蓮也様は、女性に関しては疎いところがある。ならば、確かに、蓮也様の体験や意見は参考になるやも知れぬな」
「・・・で、蓮也様は何と言われた?」
アルタイル
「好きな女性がいるなら、夜に彼女の家に進入して拐え、とおっしゃっていた」
デネブ
「なんだと!?」

再び、デネブが声を荒げる。

アルタイル
「私には、これがよい手段なのかわからない。だから、女性のことに詳しい貴殿に聞きたいと思ったのだ」
デネブ
(ううむ・・・、蓮也様はどのように恋愛をされているのだ・・・)
「と、まあ、貴殿と蓮也様は確かに似ているところもあるが、違うところもある。貴殿は、貴殿のやり方で、女子のハートを射止めることを考えられよ」
アルタイル
「わかった、そのようにする。やはり、今日は貴殿に相談できてよかった」

それから数日後。

マイア
「お父様、私はまだ結婚などしませぬ。お断りください」
アイン
「マイア、相手は名家の出で将来も有望だ。そう言わずに、一度、会ってみるのだ」

マイアとアルベルトのバラン家は貴族の名家として知られていた。
ちなみに、マイア・バランの兄であるアルベルト・バランは、その勇猛さから、貴族でもあると同時に、騎士の位も授けられていた。そして、父のアイン・バランも騎士の位を授けれた猛将であったが、既に戦士としては引退していた。このようにバラン家は、代々、勇将を排出している。そうした兄や父を見ていることから、マイアは貴族の男子よりも、勇敢な騎士の男子に心を惹かれていたのかもしれない。

マイア
「わかりました!結婚をしてもいいです!その代わりに条件がありますわ、お父様!」
アイン
「条件だと?」
マイア
「はい、条件ですわ!当家が所蔵する馬車から車輪を外し、それを台の上に固定し、一直線にして4つ並べます。その車輪の真ん中の輪穴の4つとも、一切、傷をつけずに通した方と私は結婚します!」
アイン
「・・・ふむ、よかろう。なら、もし、そのような者が現れぬ時は、父の言う通りにするのだぞ」
マイア
「結構ですわ、お父様!その通りにします!」

普段は、大人しいマイアであるが、その時は勇敢なバラン家の血が、彼女に強く言わせていたようにも思われた。父親は娘の言うことが不可能であると思い、彼女の要求を呑んでいる。そして、その車輪がバラン家の庭に用意され、その不可能に近い条件のマイアの結婚話が王族・貴族・騎士に広報され、その噂は都中に広がった。
矢を四つの輪の真ん中に通す、これを「射輪祭」という祭典として行われることとなった。
そして、しばらくして、今度はデネブがアルタイルの部屋に訪れた。

デネブ
「アルタイル将軍、この度のバラン家のマイア嬢の話を聞いたか?」
アルタイル
「ああ、聞いている」
デネブ
「で、そのとんでもない条件の祭典だが、貴殿は申し出るのか?」
アルタイル
「私のような者が申し出てよいのであろうか。条件はいいとして、彼女は私でよいのであろうか」
デネブ
「まったく、貴殿という者は、どこまで鈍いのだ」
「そのようなとんでもない条件をクリアできる男は都広しと言えども、貴殿以外にはおるまい」
「つまり、マイア嬢は暗に貴殿への思いをほのめかしているのだぞ」
アルタイル
「そういうものか」
デネブ
「だから、すぐにその射輪祭とやらに出て、マイア嬢のハートを射止めてくるのだ」
アルタイル
「わかった」

祭典の日、数名の者が参加していた。美しいマイア嬢を自分のものにしたい者、貴族との結婚を狙うもの、目的は様々である。
既に何名かが挑戦していたが、誰一人、一つの輪の穴すら通す者はいなかった。

アイン
「マイア、よ。このようなことが出来る者は、どのような射撃の名手でもおらぬ」
マイア
「いえ、お父様。きっといらっしゃるわ」

この祭典は1日限り、日が沈むまでというのが期限であった。そして、夕日が沈もうとしていた。その夕日の方角から馬の足音が聞こえ、一人の騎士が現れる。神弓騎士・アルタイルである。

マイア
「あの方なら必ず、この全ての輪の穴を全て射抜きますわ」
アイン
「なんと、王国随一の弓の名手、アルタイル将軍か」
「しかし、いくら彼が名手と言えども」
マイア
「いえ、あの方なら必ず射抜きます」

下馬し、エントリーを済ませたアルタイルは、アインとマイアに向かい軽く会釈をした後、4つの車輪の正面に立つ。その車輪の奥には的がある。
そこにアインがアルタイルに歩み寄る。

アイン
「これは、これは、アルタイル将軍。当家の祭典にご参加いただき感謝する」
「日も暮れようとししている。これでは的が殆ど見えぬ。公平を期すため、かがり火を焚かせることとするので、少しお待ちあれ」
アルタイル
「挨拶もせず、誠に勝手ながら急なる参加をお許しください」
「ただ、明かりはご無用」
「既に我が心眼はあの車輪の奥の的を捉えておりまする」

このようなやりとりがあり、アインは既にアルタイルが集中状態にあることを察し、席に戻る。アインも昔は戦場を駆け巡る優秀な将軍であったため、アルタイルの発するオーラを感じ取った。

アルタイルの射法は通常の射法と違い、歩幅が狭く撞木立ちである。足をTの字にし、前方の足を的に向け、自己の正中線と的を合わせる。そして、矢の掴み方は、親指・中指・薬指を使う。そうすることで、力みを取り、腕の中心の経絡を活性化することができるのである。これはアルタイルの師・研鸞(けんらん)からの教えである。
アルタイルは、中丹田を中心に弓矢を張り、正中線は天地を貫く。そして、自己の中心が車輪・的と一体となる瞬間を無限の微細な揺らぎの中で待つ。そして、その一瞬を捉える。

アルタイル
「超絶技巧・聖中心精密射!」

矢は放たれ、吸い込まれるかのように四つの車輪を通り、的の真ん中に命中した。
超精密な神業を目にした観客は驚きのあまり、静まりかえったが、やがてそれは拍手と歓声へと変わった。
そしてアルタイルは振り向き、マイアの方へ向かう。

マイア
「アルタイル様、当家の祭典にお越しいただき誠に感謝致します」
「あの・・・」
アルタイル
「いつも話すのは貴方の方からばかりだ。今日は私から言わせてほしい」
マイア
「も、申し訳ございません!」

再び、周りが静まり返る。

マイア
(いつも私ばかりが話していて、嫌われてしまったかしら・・・)
(アルタイル様にとって、この祭典は単なる腕試しのようなもので私のことなどきっと眼中にない・・・)

アルタイルの言葉から少し間ができたので、マイアはこのように考えていた。
そして、再びアルタイルが口を開く。

アルタイル
「貴方を我が妻としたい。今日はそのためにここへ来た」

それを聴いたマイアは喜びとハートの高鳴りが抑えられずに、アルタイルに抱きついた。アルタイルは、マイアの細い身体をやさしく受け止めた。緊張の糸が途切れたのか、喜びのためか、マイアは涙していた。おそらく、涙した理由はその両方だろう。

アルタイル
「私は寸分狂わずに的に当てたが、貴方のハートを射ることができただろうか」
マイア
「はい、それはもう、ずっと前から・・・」

このようにして二人は結ばれたのであった。

後年、マイアはアルタイルとの間に男女二人の子供を授かった。
長女が思春期の時に、マイアに聞いた。

長女
「パパって堅物でちっとも面白くないのよ。しゃべっていも何も答えてくれないことあるし。いつも仕事のことばかり考えてて、アタシに構ってくれないし」
「あんなつまんないパパをママはなんで好きになったの?」
マイア
「それはね、パパの優しさと勇気よ」
「あなたが大人になって、もし寡黙で不器用な人を好きになったらきっとわかるわ」

子供はわかったような、わからないような顔をしたが、軽くうなずいたと言う。

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