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神器の章
皇帝蓮也1世との謁見
しおりを挟む五行英雄を超えるとも言われるロータジア史上最強の存在、それが超新星皇帝・蓮也1世である。
彼のその驚異的な強さだけでなく、そこから発する皇帝のオーラは眩いばかりであり、とても正視・正対することができないとさえ言われていた。そして、その強烈な輝きは、まさに超新星の如き存在であったとされている。
ヘティス
(蓮也のご先祖様ってことよね。つまり蓮也が2世で、今から会うのが1世ってことね。けどこの世界だと1世とは言わないかw)
(それにしても、五行英雄よりもスゴいって言う初代蓮也ってどんな人なんだろう・・・)
(さっき、応接間にいる間にスマートグラスで調べたんだけど、“超新星皇帝”って大そうな称号ね。オーラが凄すぎて正視できない程だって書いてあったけど、ちょっと大袈裟過ぎよね)
ヘティスは今から会う皇帝蓮也1世に色々と思いを巡らせた。
皇帝の間の扉がゆっくりと開く。
大理石で囲まれた大きな部屋が広がり、中央に赤いカーペットが奥の玉座に続く。
空中には浮遊石が浮かんでおり、その上に石像や植物や噴水などが配置されており、やはりみたこともないような不思議な空間が広がっている。
その赤いカーペットの両脇に衛兵がズラリと並んでおり、それが奥の玉座まで続いている。
ヘティス
(なんか武器を持っているゴツい男の人の間を通って行くのってとても怖いわ・・・)
(けど、我慢よ、ヘティス・・・!)
ヘティスは玉座から少し離れた位置まで来て、膝をつき、頭(こうべ)を垂れて待つように指示される。皇帝が玉座に座るまで頭を上げてはならないのである。
奥の方からゆっくりと歩み寄る音が聞こえて来る。するとヘティスは今まで感じたことのないような強いオーラを感じ、これが皇帝蓮也1世のオーラなのだとすぐに察知した。それは、この大広間全体の空気を緊迫させるような強烈なオーラであった。
足音が止まり、その強大なオーラの持ち主が玉座に腰掛けるのが、ヘティスには何となくわかった。
「ヘティスとやら、面(おもて)を上げい」
玉座は少し高い位置に置かれ、階段がある。その階段を辿るように視線を玉座に座る者の位置へと向ける。
桃也
「余がロータジア皇帝・此花桃也(このはなとうや)である」
ヘティス
(えっ?桃也・・・!?蓮也じゃないの?どういうこと・・・?)
(顔や姿、声は蓮也ソックリ。けど髪の毛がピンク・・・)
中性的な顔立ちだが威厳があり、肌は白く、髪は桃色であった。そして、そのサハスーラチャクラからは、眩いばかりのオーラが止め処なく放射されており、超新星皇帝の名に違わぬ程の眩さであった。
すると、胸のスマートグラスが反応し出す。スマートグラスにインストールしてある輪廻転生分析ソフトが解析結果を出したのであろう。
それを、ヘティスは答え合わせをしなくても何となくわかった。これは蓮也の前世の姿なのだと。しかし、なぜ「桃也」と言う名前なのかはわからなかった。
ヘティス
「わ、私はヘティスと言います・・・」
(この人のオーラが強烈過ぎて声が震える・・・)
桃也
「ヘティスとやら、余に何のようであるか」
ヘティス
(ど、どうしよう・・・)
(なんて言おう・・・)
「あの・・・」
桃也
「どうした、遠慮はいらぬ」
ヘティス
「・・・えっと」
強大なオーラを感じると、こうも緊張するものなのだとヘティスは身をもって感じた。
それと、何か皇帝桃也からアロマティックな香りが漂ってくる。
ヘティス
(この香りは・・・桃の香り。あの人からかな・・・)
皇帝桃也からの眩さと、クラクラするような甘い香りと、ヘティスはよくわからなくなって来たが、意識をしっかりと取り戻し、声を振り絞るように言った。
ヘティス
「・・・あの」
「・・・人払いをお願いできないでしょうか」
ヘティスは、はじめて皇帝桃也の目を見る。そして、目と目が合う。桃也の瞳は、真っ赤に燃えるような赤に見えた。
桃也
(・・・緑の瞳)
「人払い・・・か」
「・・・ふむ」
「・・・いいだろう」
と、皇帝桃也は言った。すぐに、側近と思われる者が心配そうに桃也に小声で問いかける。
桃也
「余に対する者は、この宇宙に対するものであり、既に破れている。よって、余は無敵である」
「だから、いらぬ心配はしなくてもよいのだ」
多分、もしヘティスが何かの刺客だったら、というようなことを側近が問いかけたのであろう、とヘティスは理解した。
ヘティス
(・・・なんかこの人、スゴいことを言ってるわ)
(けど、この自信満々のところは蓮也にソックリかも・・・w)
何となく蓮也っぽいところを感じた瞬間、少し緊張が解けて来た。
この皇帝桃也に謁見した者は終始、緊張しっぱなしであり、あるものは話し出すことができずに卒倒した者もいたという逸話さえある。それほどに、皇帝桃也から発するオーラは強烈であった。
急に桃也は立ち上がった。
桃也
「ヘティスとやら、ついてこい」
「奥の間で話をしようではないか」
言い方に、何処か甘い香りが漂う感じがした。
側近もついていこうとすると、蓮也が強い眼光で睨み付ける。
桃也
「これ以上先には何人(なんぴと)たりとも来ることは、この余が許さぬ!」
それまでの甘い空気が、一気に入れ替わったかのように緊張感が走る。
側近は蓮也の言葉と視線に反応し、その場で直立不動となり静止した。
ヘティス
(・・・この人、何だかよくわかんないわ)
(ついて行って大丈夫かしら・・・)
(けど、今は、ついていくしかない・・・)
(少なくとも悪い人ではないと思うし・・・)
ヘティスは、皇帝桃也が歩いていく奥の間へとついて行った。
部屋に入ると、一面、桃色のローズクォーツで壁や床が埋め尽くされていた。そして、部屋全体が、恍惚とするような桃の香りに包まれていた。部屋はさほど大きくなく、プライベート感が何となく漂っている。
そして、更に異様だったのは、ソファーがいくつもあり、そこに大勢の美女たちが居たことであった。ヘティスには、江戸時代の大奥に来たように思えた。
そして、皇帝桃也は冠とマントを取り、美女たちの中央に座った。
そして、先ほどまでの威厳のある顔つきから一変し、甘い視線をヘティスへと向け、微笑みかけてきた。
ヘティス
(な、何・・・?何なのよ・・・?)
(この人の、この尊大な感じ、自信満々な感じは蓮也そっくりなんだけど、私の知ってる蓮也は多分、異性に対してはこんなにだらしなくないわ・・・。ムカつくけど、私に“興味ない”とか言って来るし。けど、この桃也という人は何かが違う)
(・・・もしかしたら、時空間を移動する時に何か歪みが生じちゃったのかしら。そして過去が変わったとか。それか、初代蓮也とは違う時代の皇帝なのかしら・・・。しかし、時空座標はちゃんと合っているはず・・・)
ヘティスが言うように、蓮也2世は、王国時代、舞踏会でもエウリディーチェ以外は誰も女性には一切興味を示さなかった。と、すると、この皇帝桃也は別の時代の皇帝なのだろうか。それとも、時空が歪んでしまい、過去が変わってしまったのだろうか。そして、ヘティスはこの後、どうなってしまうのだろうか。
【解説】
<「アロマティックな香り」という表現について>
アロマ自体に「香り」「芳香」の意味があるので、「アロマの香り」という表現はおかしいのであるが(つまり「香りの香りがする」となるため)、ここではアロマオイルのように良い香りがするという意味で表現している。
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