幻想神統記ロータジア(ハナツオモイ編)

静風

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ハナツオモイの章

29.魔犬ケルベロス

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蓮也とヘティスは冥界へと下ることとなり、途中、二人の守護霊であるメルクとコノハが天界からガイドとしてやってきた。冥界の門の前には魔犬ケルベロスがおり、守護霊が言うには、通常は魔犬に対し、魔犬のお菓子を与えて通っていく。しかし、守護霊が止めるにも関わらず、蓮也は魔犬と戦うことを選択した。



メルク
「魔犬と戦うなんて前代未聞の話だよ~。天界神様たちでも、そんなことしないってのに、どうなっても知らないからね~」
コノハ
「蓮也様、どうかお考え直しください。今なら引き返すことも可能です」
蓮也
「お前たちが戦うわけではない。戦うのは俺だ。これは俺の問題だ」
コノハ
「私たちはアナタ方を守る義務があります」
蓮也
「それはお前たちの問題であり、俺の問題ではない。守ってくれと頼んだ覚えはないからな」
ヘティス
(守護霊って大変そう・・・。特に蓮也が相手だと・・・wなんかこのコたち、ちょっと可哀想だわね・・・。)



このようなことを話していると、大きな壁と門が遠くに見えた。そして、その門の下に魔犬ケルベロスが眠っている。魔犬の大きさは伏した状態で高さは5メートル程ある。

ヘティス
「何、あの大きな犬・・・。頭が三つついているし・・・」
メルク
「あ~、ついに来ちゃったよ~」
コノハ
「どうしましょう・・・」
蓮也
「どうもこうも、俺の行手を遮るのであるならば、誰であろうと、ただ戦うのみだ」

そう言って蓮也は魔犬の前へと歩み出す。
すると、魔犬が目を覚まし蓮也を睨みつけ、唸り声を上げ出す。

「ガルルルルル・・・」

魔犬が巨体を起こし、蓮也に襲いかかってくる。
蓮也は横に躱し、剣を抜き、魔犬の胴体を水平に斬る。

「キーン」

金属音が鳴り響く。

蓮也
「何?剣が効かぬだと?」
コノハ
「魔犬の胴体は、硬い特殊な筋肉で覆われております。弱点は首のみであると聞きます」
蓮也
「なるほど、それだけわかれば十分だ」

再び魔犬が蓮也に襲いかかる。

蓮也
「エンチャント・ウインド!」
「疾風波!」

蓮也が剣を一振りすると、剣から鋭い風属性のエネルギー波が放たれる。そして、魔犬の三つの首のうちの真ん中の首に命中する。

「キーン」

蓮也
「遠距離魔法攻撃では威力が足りないようだ。近接物理攻撃でいくしかないな」

今度は蓮也が魔犬へと攻めかかる。魔犬の首は高い位置にあるので、蓮也は跳躍し、真ん中の首に斬りかかろうとする。しかし、左右の頭が蓮也の方を向き、一つの口からは炎を、もう一つの口からは冷気を吐き出す。

蓮也
「マズい・・・!」

ヘティス
「プロテクション!」

ヘティスが急いで蓮也にプロテクションを張るが、プロテクションは一瞬で破壊され魔犬の攻撃をまともに受けてしまう。

蓮也
「くぅっ!」
(炎と冷気を同時に吐き出すとは・・・)

深手を負った蓮也は地面に膝をつき、倒れそうな身体を剣で支える。

蓮也
(あの二つの首が邪魔で攻撃ができそうにない・・・)
メルク
「仕方ない、やるかしかないな!」
コノハ
「その間に私は蓮也様の霊気ヒーリングをします!」

守護霊メルクは霊力によって結界を張る。

ヘティス
「プロテクションよりも大きな結界・・・」
メルク
「俺たち守護霊は魔法よりも強力な霊力を使えるのさ。魔法は思念を使うんだけど、霊力はその思念の本体のエネルギーだからね!」
ヘティス
(私の守護霊、子供っぽいと思ったけど、なかなか頼りになるじゃないw)
メルク
「だからコノハさんの霊気ヒーリングも、通常のヒーリングよりも強力なのさw」
コノハ
「今、全力で行っておりますので、もう少しお待ちを」
メルク
「蓮也さんが回復したら結界を解除するから、みんなで一斉に逃げるぞ!」

魔犬は蓮也たちを攻撃しようとするが、メルクの結界によって、その攻撃は一時的に無力化されている。

メルク
「まさかケルベロスと戦うなんて夢にも思ってなかったけど、こんなに攻撃力がヤバイとは・・・!まだかい?コノハさん」
コノハ
「ほぼ回復は完了しました!これなら逃げることは可能です!」
蓮也
「・・・俺は逃げない」
コノハ
「え・・・!」
メルク
「ちょ、ちょっとまってくれよ・・・。何言ってんだ!」
蓮也
「俺は彼女に約束した。彼女を必ず守ると。今、その約束を果たす時だ」
ヘティス
(約束・・・)
メルク
「早く逃げてくれ・・・!そろそろ結界の耐久の限界に来ている・・・!」
コノハ
「あ・・・!」

結界の一部が破壊され、そこを中心に一気に結界が崩壊していく。

魔犬の左右の首はヘティスたちを目掛けて、炎と冷気を吐き出す構えをとった。

メルク
「ああ、もうダメだ・・・!」

と、その時、再び魔犬の動きが止まった。二人の男が魔犬の動きを制している。

ヘティス
「あの人たちは・・・!?」
蓮也
「あれは・・・、兄上!デネブ将軍!」
舞也
「相変わらず無茶をしているな、蓮也」
デネブ
「ふぅ・・・、何とか間に合いましたなw」




メルク
「あの二人、ケルベロスの動きを止めるとは、何者なんだ?」
ヘティス
(蓮也のお兄さん・・・?てことは、あの人もトンデモ級なのね・・・w)

それを見た蓮也は力を一気に解放する。

蓮也
「潜在運動系・・・解放!」
「クンダリニー・・・覚醒!」



メルク
(スゴいオーラだ・・・。人間がここまでのオーラを放つなんて、この人はバケモノかよ・・・!)
蓮也
「エンチャント・ファイヤー!」

魔犬の双頭を舞也とデネブが無力化している間に蓮也は再び跳躍し、真ん中の首を狙い一閃する。

蓮也
「神伝伊耶那岐流奥義・倶利伽羅剣!」

真ん中の首は真っ二つになり、直ぐに蓮也は身を翻して魔犬の双頭も切り落とし、魔犬の巨体は地面に倒れる。

メルク
「あわわわ・・・。ケルベロスを倒す人間なんて今まで聞いたことないよ・・・。ケルベロスは神々だって恐れる存在なのに・・・」
蓮也
「俺は神の力を受け継いでいるからな」
メルク
「なんか超ヤバイこと言ってるし・・・」

蓮也の継承する神伝伊耶那岐流の継承者は神の力を引き継ぐと言う。

舞也
「久しぶりだな、蓮也。お前が無茶しているとデネブ将軍から聞いて、天界から急いで来たが、何とか間に合ったようだ」
デネブ
「蓮也様、ご無沙汰しております。ますます無茶ぶりに磨きをかけておいででw」
蓮也
「兄上・・・、デネブ将軍・・・」
「俺はあの日、駆けつけるのが遅れてしまい、多くの将兵を死なせてしまった・・・。そして、兄上やデネブ将軍・・・、エウリディーチェも・・・」



舞也
「気にすることはない。お前が生き残っていることが唯一の希望だ。サトゥルヌスを倒せるのは、超新星王の再来である蓮也、お前ただ一人だ」
蓮也
「必ずやり遂げます。その前に、やり遂げねばならぬことが・・・」
舞也
「ああ、彼女のことであろう。私たちは天界の人間なので、これ以上先へは行けないが、いつでもお前を見守っているからな」
蓮也
「兄上・・・!」

そう言うと、舞也とデネブの身体は輝きだし、再び天高くへと昇って行った。
蓮也の目が少し潤んでいた。それを見たヘティスは、蓮也にも兄弟がいて、普通の人のように兄弟愛があるのだと思った。また、蓮也が兄を見る眼差しに尊敬の念があり、それを見たヘティスは、自分の知らない蓮也がいるのだと思った。そして、エウリディーチェと蓮也がもし再開したならば、更に自分の知らない蓮也を目の当たりにすることとなり、それは蓮也が届かない存在になってしまうのではないか、ともヘティスは思うのであった。






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