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未来的日常の章
15.才能開花の儀式
しおりを挟む時は2057年、人間の能力はAIやVRと融合することで、飛躍的に進化を遂げていた。知識レベルでは、脳に直接、情報をダウンロードできるようになった。運動レベルでは、歴代の名選手の動きが解析され、その情報を元にヴァーチャル空間にて習得が可能となった。つまり、情報を脳にインプットすることは可能となったが、その知識を矛盾なく処理したり、組み合わせたりし、創造性は発揮するようなアウトプットにはまだ課題があった。また、運動レベルでも、運動における身体感覚は獲得できても、それをアウトプットさせるための身体作りは追いついていない。ここはロボティクスと組み合わせても再現ができていない。つまり、科学技術が進歩しても、才能の開花において、未だに人類はアナログ的な要素を必要としていた。
前回は、不思議な青年・野間頼人に朝早く呼び出されたヘティスは、蓮の中から現れた竜のような妖精、ポコーと出会った。この妖精ポコーはフラワードラゴンと言って、人間の才能を開花させる能力があるらしい。そのために、多くの修行者がこの妖精と出会うために修行したのであるが、見たものは極僅かと言われている伝説的な妖精である。
ポコー
「まあ、俺様の力でどんな才能もポコっと開くポコよ!」
ヘティス
「ホントかなぁ・・・ぜんぜんスゴそうに見えないんだけど」
ポコー
「また失礼なことをオレに言ったポコ!もう才能を開いてやらんポコ!」
このポコーという妖精だが、少しプライドが高いらしい。そこに頼人が声がけをする。
頼人
「まあ、そう言うなよ」
「ヘティスの持っている潜在性を開いてあげてほしい」
「ボクもポコーも呼び出されたってことは何か意味があると思うんだ」
ポコー
「確かにオレを呼び出したり、見たりできるのは不思議ポコねん」
ヘティス
「ねぇ、さっきから言ってる“せんざいせい”って何?」
頼人
「その人に眠っている才能を“潜在能力”って言うだろ?」
「“潜在性”ってのは、その潜在能力よりももっと深い概念なんだ」
「人間の持つ能力に加え、愛情や勇気とか、そうした徳目・霊性・精神性を含む概念が潜在性だ」
「人間の本当の能力は魂に付随してて、それを発揮するには精神性の高さが必要なんだよ」
ヘティス
「んー、なんかよくわかんない」
頼人
「まあ、頭でわかるものではないからね」
「ボクの見立てだとヘティスは、とても心が綺麗だ。しかし、ハートが開いていない。自分の感覚や感性を信じて、それを開くといい」
「ハートを解き放つんだ」
ヘティス
「ハートを解き放つ・・・」
「感覚は何となくわかるけど感性って何?」
頼人
「感性ってのは、それぞれの感じ方と思えばいい。例えば野球が好きな人もいればサッカーの好きな人もいるだろう?どちらのスポーツが好きかは感性の違いなんだ。そのスポーツの人口が多いとか、興行収入が上とかは、感性の視点からはどうでもいいんだ」
ヘティス
「そっかー、パパは鉄道マニアなんだけど、私には何が面白いのか全然わかんないのよね。とても古い時代の乗り物の“新幹線”ってのが好きみたいなの。けど、パパはパパで、そうやって好きなものを観て感性を開いているのね。そして、私がゲームが好きってのも」
頼人
「そうだね、自分が少数派であっても、それが好きだとかやり続けることが、潜在性を開花させる基礎としては大事なんだ」
「そして、このポコーは、この潜在性を開花させてくれる重要な妖精なんだ」
ヘティス
「で、どうすればいいの?」
ポコー
「ポーッコッコッコッコッコ!オレの才能開花の儀式を受けるポコよ!今日は特別大サービスだポコ!滅多に才能開花の儀式は受けれんポコよ!」
ヘティス
「なーんか、さっきから生意気なのよね!」
頼人
「まあ、そう言うなよ」
「ヘティス、ものは試しってことで、受けてごらん」
ヘティスは頼人が言うなら受けてもいいかな、と言うことでポコーの才能開花の儀式を受けることにした。
ポコー
「それでは、才能開花の儀式をはじめるポコ!」
ポコーはヘティスの周りを歩き出し、そして踊り出した。
ブーバとキキは、それを不思議そうに見つめている。
ポコー
「えっさ、ほいさ、どっこいさ!」
「えっさ、ほいさ、どっこいさ!」
ヘティス
「・・・何なの?これ?」
ポコー
「黙っているポコ!気が散るポコ!」
「えっさ、ほいさ、どっこいさ!」
「えっさ、ほいさ、どっこいさ!」
ヘティス
「こんなので本当に才能って開くの?」
「これって昔からあるドラクエってゲームの不思議な踊り?それだとMPが吸い取られちゃうわ!」
ポコー
「ポコー!気が散るって言ってるポコ!」
「えっさ、ほいさ、どっこいさ!」
「えっさ、ほいさ、どっこいさ!」
数分くらいであろうか。ポコーは踊り続けて、ヘティスは黙ってそれを見ていた。
ポコー
「はぁ、はぁ、はぁ・・・疲れたポコ」
ポコーは疲れて踊りをやめたようだ。
ヘティス
「で、これで才能が開けたの?何も変化なさそうだけど?今の踊りは何なの?」
ポコー
「ん・・・?今の踊りは才能の開花とは全く関係ないポコ」
ヘティス
「アンタ、関係ないことをやっていたの~?何なのよ~、人がせっかく付き合ってあげているのに~!」
ポコー
「今のは、オレのテンションを上げるための踊りポコ!本番はこれからポコ!」
「てか、そう簡単に才能が開花すると思ったら大間違いポコよ!」
ヘティス
「じゃ、早くやってよね~!私も忙しいのよ!今日はせっかくの休日だからショッピングとか行きたいし!」
ポコー
「まあ、そう急ぐなポコ」
ポコーは再び歩き出し、蓮の葉をちぎった。そして、その葉っぱで何かを作っている。どうやら笛らしい。そして、それを口に加えた。
ポコー
「ポー、コロロロロロ~」
今度は不思議な音楽を奏で出す。これもテンションを高めるためのものなのか。
ポコー
「できたポコ」
そう言って、今度は単音を奏で出す。
ポコー
「ピー」
「さあ、問題だ。今、吹いた音の色を言うポコ」
ヘティス
「もう、何言ってんの!音に色なんてあるわけないでしょう?音は見るものでなくて聴くものよ!」
ポコー
「いいから答えるポコ!」
頼人
「ヘティス、ポコーの言っていることは、キミたちの世界では共感覚、シナスタジアって概念なんだ」
ヘティス
「きょうかんかく?」
頼人
「共感覚ってのは複数の感覚が連合していることを言う」
ヘティス
「んー、わかんない」
頼人
「つまり、こうだ。“黄色い声”って言うだろう?確かに、声は耳で聴くものだ。けど、それを色で、つまり視覚情報で感じるんだ。それが共感覚だ」
ヘティス
「なるほど、そういう感覚わかる気がする!」
「歴史の授業で古い日本の地図を見たことがあるの。そしたらね、その名前なのか形なのかわかんないんだけど、色を感じたことあるわ。例えば、東京は黒なんだけど、関東ってなると少しピンクやオレンジの混ざった赤なの。名古屋は青で、静岡はもっと深い青。岐阜は黄緑。関西は黄色とかオレンジとか。これって何だろうなって思ったの」
頼人
「それが共感覚だ。その感覚を研ぎ澄まして、今、ポコーの吹いている蓮葉笛の音を聴いてごらん」
ポコー
「ポー、コロロロロロ~」
ヘティス
「私、小さい頃にピアノ習ってたから絶対音感があるの!今の音はドね!」
「あの頃も音が色に観えたことがあるわ」
「ドの音は赤!」
ポコー
「ポー、コロロロロロ~」
ヘティス
「この音はファ、ピンクに感じるわ!」
こうしたことを繰り返し数分が経過した。
ポコー
「なかなかいい線いってるポコ」
「・・・全部当たっているポコねん」
「ここからが本番の本番ポコ!」
ヘティス
「さっき本番だって言ってたわよ?」
ポコー
「だから本番の本番ポコ!」
ヘティス
「わかったから早く言ってよね」
ポコー
「今度はムズイポコ。覚悟するポコよ」
ヘティスの才能開花の儀式?はここからが本番のようである。
さて、それはどのような儀式なのであろうか。
本当に才能は開花するのであろうか。
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