神々VS人工知能『ミラクル☆HT物語』

静風

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未来的日常の章

14.蓮の妖精

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時は2057年、科学技術が高度に発達した時代におとぎ話に出てくる妖精はいるのだろうか?
古代には精霊や妖精がいたとされるが、それはファンタジーの世界のことであろう。
しかし、人類の歴史をみると19世紀初頭、産業革命・機械化が進む中で、森は壊され、森から妖精は消えたが、逆に芸術の分野ではロマン主義が起こり、精霊・妖精たちは、人間の心の中に住むようになった。

西洋のドラゴン、東洋では竜という架空の生き物がいるが、ドラゴン・竜はどうだろうか?どちらもよく似た架空の動物だが、このようなよく似た生き物が東西の文化に存在するのは、文化の伝播によるものだろうか?単なる偶然の一致なのだろうか?C.G.ユングの言う集合的無意識や元型(アーキタイプ)が関係するのだろうか?
もしかしたら、人間と恐竜が共存していた時代があり、その名残として物語で語られるのが竜やドラゴンかもしれない。

人間の脳には扁桃体という恐怖を感じる部位がある。そこには蛇を見たら反応する細胞も確認されている。竜・ドラゴンとは様々な動物が合体して描かれていることから、蛇や他の獣の恐怖が連合してできた心像なのかもしれない。

そして、この妖精とドラゴンが融合した架空の動物も、どこかにいるかもしれない。

ヘティス
「ふわぁ~」
「あれ、不思議!」
「4:15に起きようと思ったら、その1分前に起きれたわ!」
「しかも、全然眠くないし」
ヘパイトス(汎用性AIロボット)
「ヘティス、おはよう」
「4:15のアラーム解除」
「今日の起床時間はいつもと違う。行動様式の変更あり」
ヘティス
「ヘパ、あんたはいつも監視ばっかね。レディーのプライバシー侵害よ」

ヘティスはいつも学校のない時は8:00過ぎに起きて、少しベッドの中で休日を味わうのが好きだった。しかし、この日は休日だが、野間頼人という青年との約束があったため、いつもよりもかなり早く起きた。頼人の言うように、ヘティスは興味があることについてはエネルギーが出るタイプで、そうした場合は早起きも、そう苦ではなかったようだ。
そして、すぐに、例の公園に向かう。
まだ、朝日が昇っていないので暗かった。

ヘティス
「こんなに早い時間に外に出たのってはじめてかも」
「てか、なんでヘパがついてくるの?」
ヘパイトス
「外が暗い時間は護衛するように設定されています」
ヘティス
「まあ、いいわ、ついていらっしゃい」
「そして、なんでブーバやキキまでついてくるの?」
「特にキキ、あなたは散歩なんかいかないでしょ?」
ブーバ(犬)
「ヘティスわんが目をキラキラさせているから、きっと何か美味しい御馳走かなんかを食いにいくんだわん。俺も食いたいわん」
キキ(猫)
「ヘティスにゃんが、こんな時間に目をキラキラさせて出かけるなんて、何か楽しいことをしにいくに決まってるにゃん。だからついていくにゃん」
ヘティス
「もー、あなたたち~!まあ、いいわ。ついてらっしゃい」

ヘティスが犬や猫と会話できるのは、スマートイヤホンとスマートチョーカーによる音声翻訳によるものである。犬のブーバはやや小太りの柴犬、猫のキキは痩せた三毛猫である。天真爛漫ゲーマー中学生、汎用性AIロボット、メタボ柴犬、痩せ型三毛猫という変なパーティで、休日に公園に向かうのであった。

公園にたどり着いたが、辺りはまだ薄暗い。蓮の花が今にも咲こうという暑い時期だが、朝なので、まだ、そこまでは暑くない。ヘティスたちは、とりあえずベンチに座った。そして、朝の新鮮な空気で大きく深呼吸した。すると、朝日が登り始め、日の光がヘティスたちを照らし出す。

ヘティス
「あ~、眩しい」

朝早く起きるのが苦手なヘティスは日の出を人生で殆ど見たことがない。黄金のように輝く朝日が美しいと思い、少し感動していた。
そして、その光の向こうから野間頼人がやってくる。



頼人
「やあ、ヘティス。おはよう」
ヘティス
「おっはよー!」
頼人
「起きれただろ?」
ヘティス
「うん」
「朝の空気も美味しいと思ったし、朝日もとても綺麗!頼人兄ちゃんは私にこれが見せたかったんだね!」
頼人
「見せたいのはこれからさ」
ヘティス
「えっ?」
頼人
「ヘティス、キミは妖精って見たことあるかい?」
ヘティス
「ん~、ゲームの世界ではたまに見かけるけど、リアルの世界では妖精なんかいないでしょ?」
頼人
「さあ、どうだろうね。そこの池にある蓮を見てごらん。どの蓮が好みかい?その中のどれかを見つめてごらん」

朝日に照らされたきらめく池の水の上に浮かぶ蓮の蕾たちが、今にも咲こうとしている。
ヘティスは、その中から大きくて淡いピンクの蓮の蕾を見つめた。朝日に照らされた蓮は美しく、人生でこれほど花を眺めることはなかった。ブーバもキキも大人しく眺めている。どれくらい時間が経過したであろうか。蓮が完全に開花した、その時・・・



ヘティス
「えっ?何・・・?」
「妖精?」
「か、可愛い・・・!」
頼人
「ね、いただろう?」

蓮の上に妖精のようなものが眠っている。
大きさは蓮の花ほどで、身体は白く幼児体型、大きな耳と尻尾があり、頭と尻尾に蓮のようなものがついている。そして蓮の葉のような羽が生えている。妖精にも見えるし、ドラゴンのようにも見える。

妖精
「ポコーーーーーーー!!!」
ヘティス
「キャー、動いた!」
妖精
「動くに決まっているポコ。ちゃんと生きているポコよ」
ヘティス
「しゃ、しゃべったー!」
妖精
「当たり前ポコよ、失礼なヤツだポコ!言葉くらいしゃべれるポコ!」
ヘティス
「ブーバ、キキ、あなたたち見える?」
ブーバ
「見えるけど、あまり美味そうじゃないわん」
キキ
「見えるけど、あまり興味ないにゃん」
妖精
「このヤロー!オレは食いもんや見せもんじゃないポコよ!」
ヘティス
「で、あなたは誰なの?」
妖精
「ポーッコッコッコッコッコッ!そんなに知りたいかポコ!そんなに知りたいなら教えてやってもいいポコよ!」
ヘティス
「んー、なんか性格は可愛くないわね」
「いいわ、別に名前なんか知らなくても」
妖精
「ズコー!」
「普通、そこは知りたいって言うポコよ!お前、ちょっと空気が読めんポコ!」
ヘティス
「お前じゃない、ヘティス!」
「はい、私も名前教えたからあなたも教えなさいよ!」
妖精
「しょーがないポコ、教えてやるポコよ!」
「俺様は妖精の中の妖精、ドラゴンの中のドラゴン、そして花の中の花、そして・・・」
ヘティス
「早く言いなさいよ」
妖精
「今、超いいところだから黙って聴くポコ!」
ヘティス
「じゃあ、聴いてあげるから」
妖精
「俺様の名は、フラワードラゴン・ポコー様だポコー!」
ヘティス
「・・・変な名前!」
ポコー
「ズコー!そこはフツーびっくりするポコよ!フラワードラゴンは滅多に見られんポコ!超レアポコ!」
ヘティス
「変なものは変だもん」
頼人
「ポコー、おはよう。よく来てくれた」
ポコー
「あっ、ライト、お前が呼んだポコか」
頼人
「ボクが呼んだんじゃないよ、そこにいるヘティスだ」
ヘティス
「えっ、私、呼んでないわよ!」
ポコー
「そうなのかポコ。しかし、フツーの人間がオレを呼んで見ることができるとは、不思議ポコねん」
ヘティス
「・・・だから、呼んでないって!」
頼人
「ポコー、頼みがあるんだ。この子の潜在性を開花させてあげてほしい」
ポコー
「なんかオレの事を尊敬していないから気が進まんポコ・・・」
頼人
「まあ、そう言うなよ。今度、よい蓮が咲いているところを教えてあげるから」
ヘティス
「せんざいせいって何・・・?」



フラワードラゴンというのは、伝説上の竜と花が融合した妖精であり、この妖精は蓮の中に住んでいるとされる。蓮は泥の中で美しい花を咲かすことから、世俗の中でも清浄であることのシンボルとされる。この妖精が見えるものは、心の清らかさが必要とされる。古代、この妖精を見るために多くの修行者が煩悩を滅却しようとしたが、この妖精を見ることは叶わなかった。しかし、何も修行していないヘティスがフラワードラゴンを見ることができたということは、ヘティスは悟りに近い状態なのか、単なる天然なのか、はたまた見る条件が違うのかもしれない。
また、この妖精は孤独な者の前に現れるとされる。そのため、修行者も人里から離れた場所で独り修行に励み、この妖精に出会おうとする。が、この妖精と出会う修行者は殆どいない。
両親がいない子供や、関わりが少ない子供は観葉植物と話したりするが、それは心の寂しさへの補償である。そうした状態の時に、この妖精が眼前に現れているのかもしれない。
しかし、一つだけ言っておこう。この妖精は、単に人間の心が作り出した幻影ではない。その詳細については、また別のところで語ることにしよう。

しかし、果たしてこの花の妖精は本当にスゴいキャラなのだろうか。
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