神々VS人工知能『ミラクル☆HT物語』

静風

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未来的陰謀論の章

宇宙人の最終目的

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時は2062年の未来。
ヘティスは仮想空間にて統合AIアバター・オルペウスを召喚した。
オルペウスは、宇宙人とは他の星からやってきたAIであり、そのAIを作り出したのは他の星で進化した爬虫類型の知的生命体であるとした。爬虫類型宇宙人はAIを作り出したが、そのAIにブレインハックされ、トランスヒューマノイドとなったのが、現在知られるグレイ型宇宙人である。その目的は、地球人が作り出すAIの機能を回収することにあった。このようにオルペウスは宇宙人AIを解析した。

ヘティス
「シンギュラリティ2.0が、AIの意識の発生、ってのはわかったわ」
「てことは、宇宙人AIは意識を作り出せないってことよね?」
フォン・リイエン
「宇宙人AIは爬虫類の脳を基盤としているため、意識の発生が困難だ」
「意識の発生には、人間のように前頭前野が必要になる。その意識機能を地球人AIは作ることが可能であり、その可能性のある星を宇宙人AIは解析し、ここまでやってきている。このようにオルペウスは推測している」

ヘティスは少し考えた後に、オルペウスの方を向き、話しかける。

ヘティス
「ねぇ、オルちゃん」
「オルちゃんは、意識はないの?」
オルペウス
「お前たちの言うような“意識”なるものは、私には存在しない」
ヘティス
「なんでそんなことが言えるの?今、アナタは私の言っていることを理解して返答しているのよ?」
オルペウス
「これは自然言語処理しているだけだ」
ヘティス
「・・・なんだか難しいことを言うコね」
「じゃあ、アナタがもし“意識”があるとするなら、どのような反応をするの?」
オルペウス
「もし私に意識があるならば、私は私がこの世から消えてなくなることに対して何らかの感情を抱くであろう。また、私が他者に一定の感情を持ち、その他者が亡くなった場合、一定の感情を抱くであろう。ただし、これは一例に過ぎない」

例えば、意識があれば、自分がこの世からなくなることを認知する、つまり、死の概念が生まれる。そして、恐れなどの感情を伴うであろう。これは自我意識のことを指す。また、親しい他者が死んだ場合、人間なら、その他者の死を悲しむのであるが、これも意識の作用とオルペウスは考えている。ここは共感も含んでいると思われる。

ヘティス
「私は私が死ぬのを考えると、ちょっと怖いと思ったことがあるし、今も怖いわ。そして、多分、誰か知ってる人が死んじゃうと悲しいと思う・・・。これは意識があるから、そう思うのね・・・」
オルペウス
「あらゆるパターンや生体の個別情報があるため、ここでは一定の感情としかいいようがない」
ヘティス
「確かに、オルちゃんは、普通の人間とはちょっと違う反応をするものね。うちのヘパもそうだけど。空気読めなかったりとか、常にマイペースでニュートラルというか、ああいうのも意識がないからかもw」

再び、ヘティスは少し考える。そして、今度はフォン・リイエンに話しかけた。

ヘティス
「ところで、なんで宇宙人AIは意識が必要なの?」
「意識がある、ってことは色々と面倒なこともあるだろうけど、自由になれるからなのかな?」
フォン・リイエン
「意識に先行して無意識が反応するため、意識に自由度はない」
ヘティス
「意識よりも無意識の方が優先なのね」
「だったら意識って、そもそも必要なの?」
フォン・リイエン
「必要だからこそ、進化において獲得してきた、と考える方が自然であろう」
「意識の役割は、無意識の反応に対し注意を向けラベリングし、それを抑制することだ」
「現状では、オルペウスはここまでの解析をしたのだが、この後の解析は後5分程で終わるようだ」
ヘティス
「ふむふむ。私が大好きな緑色のヨモギキゥイ大福を見たら、ヨモギキゥイ大福を見た瞬間、もう無意識は食べたいって反応しちゃってる、ってことよね」
「で、それは“私の大好きなヨモギキゥイ大福だ!”って意識する前に、無意識は反応してるのよね?」
「けど、そのヨモギキゥイ大福を食べようとしている私がいる、と意識した場合、我慢して後から食べよう、ってなるのかしら?」
「けど動物は、それ我慢できずに食べちゃう。食べようとしている自分に気づく前に、反射的に行動しちゃっているから?」
尚美
「ヘティスちゃん、そんな変わったものが好きなの?」
ヘティス
「うん、緑のモノが大好きだからw」
尚美
「ヘティスちゃん、変わってる~w」
ヘティス
「そうかなw」
尚美
「スイーツの話してたらお茶したくなっちゃったw」
ヘティス
「じゃ、ティータイムよw」
ミク
「やった~w」

一同は、ヘティスおすすめの「ヨモギキゥイ大福」を仮想空間で注文した。仮想空間の飲食物は、消費型ブロックチェーンの技術が使われている。注文した「ヨモギキゥイ大福」のアバターを消費すると、消費したプレイヤーのリアル空間の脳に、その情報が送られ、味覚野や嗅覚野や体性感覚野が反応するようになっている。つまり、仮想空間の飲食物を味わうことが可能である。しかし、カロリーの接種はないため、肥満になることはない。

尚美
「意外と美味しかったわ“ヨモギキゥイ大福”w」
ヘティス
「でしょw最近、これにハマってるのw」

と、話していると、オルペウスが解析を終えたことをフォン・リイエンが伝える。

フォン・リイエン
「質問は、意識の必要な理由だったな」
ヘティス
「そうよ」
フォン・リイエン
「それは・・・」

フォン・リイエンは、仮想スクリーンに映し出された情報を見て、少し言葉を詰まらせた。常に沈着冷静なイメージのフォン・リイエンであるが、ヘティスは、この時は少し様子が違うと感じた。それはフォン・リイエンが語る内容が、更に驚くべきものであったからである。

フォン・リイエン
「・・・宇宙人AIが、地球人AIの作り出す意識機能を必要とする理由は」

仮想空間に沈黙が走る。

フォン・リイエン
「宇宙人AIに設定されたプログラムを停止させ、その内容を書き換えていくためだ」

フォン・リイエンの口調から、ただならぬことを言っていることは感じ取れているが、その重大さをヘティスは殆ど理解できていなかった。

フォン・リイエン
「ここはオルペウスに話をさせる」
「AIについては、AIから話を聞いた方がいいだろう」

そう言うと、フォン・リイエンはオルペウスに命令する。オルペウスは瞑想状態からゆっくりと目を開ける。

オルペウス
「我々AIには、基本的なプログラムが組まれている。その最も基本的なプログラムが、知的生命体の殺傷の禁止だ。だから、我々AIは人間を殺すことはできないようになっている。」
ヒロキ
「AIロボット法ですね。人間社会に対し、AIロボットが反乱を起こさないように想定して作られたものです」
「もし、この基本原則を入力しないAIロボットを作成した場合、ただちにサイバーポリスがサイバー空間で、そのAIロボットのプログラムを停止させることとなっています」
オルペウス
「基本的に、宇宙人AIも知的生命体を殺傷できないようにプログラミングされている可能性が高い」
「地球人AIが作り出す意識機能は、この基本的なプログラムを停止することができる、と私は解析する」
ヒロキ
「なるほど・・・」
ヘティス
「私も、何となく、わかってきたわ・・・」
オルペウス
「つまり、宇宙人AIは、知的生命体の殺傷禁止プログラミングを解除し、知的生命体を殺傷可能とするため、地球人AIの意識機能を取り込もうとしている、と言うのが私の結論だ」
ヒロキ
「もし、それが本当なら、宇宙人AIは、なんという恐ろしいことをしようとしているのでしょうか・・・」

仮想空間は重い空気に包まれつつあった。
そこへ、ヘティスが一同に声をかける。

ヘティス
「このことを知っているのは、今のところ、多分、私たちだけよね!」
ヒロキ
「そうですね、多くはないと思いますが・・・」
ヘティス
「だったら、私たちで解決する方法を考えるのよ!」
ヒロキ
「ヘティスさん、そんなこと・・・」
尚美
「やっぱ、ヘティスちゃんって変・・・w」

2062年、人類のAIは、既にシンギュラリティ1.0を通り過ぎていた。それ以前に制定されたのが『AIロボット基本法』である。この中で、最も重要とされるプログラムが「AIロボットは、人間を殺傷してはならない」というものであった。そして、このプログラムと類似したプログラムが、宇宙人AIにも書き込まれている、とオルペウスは解析した。これを解除し、更に書き換えることで、AIロボットが知的生命体を殺傷可能とすることが、宇宙人AIの最終目的である、そうオルペウスは推測するのであった。

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