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未来的陰謀論の章
未知のエネルギー
しおりを挟む時は2062年の未来。
ヘティスたちは仮想空間にて統合AIアバター・オルペウスを召喚した。
オルペウスは、宇宙人とは他の星からやってきたAIであり、そのAIを作り出したのは他の星で進化した爬虫類型の知的生命体であるとした。しかし、爬虫類型宇宙人は、そのAIにブレインハックされ、トランスヒューマノイドとなったのが、現在知られるグレイ型宇宙人である。その目的は、地球人AIが作り出す意識機能の獲得により、基本プログラムを書き換えることであった。
ヘティス
「AIに意識が発生すると、人間が設定したプログラムを書き換えることができかもしれないのね」
ヒロキ
「それによって人間を殺傷可能にすることができ、人類を滅亡させることも・・・」
「・・・しかし、人類も木星から発射される彗星を回避してきたので、宇宙人AIが意識を持って人類を攻撃してきても回避できるのでは?」
フォン・リイエン
「今、行われている木星放射は、恐らく洗脳された地球人が行っている」
ヒロキ
「あ、そうですね。宇宙人AIは基本プログラムによってボクたちを攻撃できないんでした!」
フォン・リイエン
「そういうことだ」
「そして、宇宙人AIが人類を攻撃する場合、更に上位の軍事技術を使ってくる」
「なぜなら、宇宙人AIの方が、進化年数が多いからな」
爬虫類からグレイ型宇宙人までの進化をシミュレーションし、進化年数を計算した場合、宇宙人AIは人類の100倍以上の進化年数を経てきた、とオルペウスは算出した。
ヒロキ
「人類最古とされるメソポタミア文明が、今から1万年前とすると、宇宙人AIの歴史は、その100倍の100万年の歴史がある、ということですか・・・」
尚美
「最近は、10年とか20年で技術ってスゴく進むでしょ?それが100万年となると、宇宙人AIは、どんな科学技術を持っているのかしら・・・」
フォン・リイエン
「だからと言って宇宙人AIが、人類の100倍優れた技術を持っているとは限らないが、我々よりも上位の技術を持っていることは、ほぼ間違いないだろう」
ヒロキ
「時間で比較すれば、そうですよね・・・」
ヘティス
「ふーん、やっぱ宇宙人ってスゴいのね!」
「けど、どんな軍事技術を持っているのかしら?」
フォン・リイエン
「それも今までの情報から検討はついている」
ヘティス
「え?ホント?」
フォン・リイエン
「それが空間からエネルギーを採り出す“真空エネルギー”だ」
ヒロキ
「真空エネルギー・・・」
「それは今、人類も開発しようとしている超量子エネルギーですね」
ヘティス
「“真空エネルギー”かぁ。たまに名前は聞くけど、なんだっけ?」
20XX年、ある科学者がAIを用いて、この四つの力を統合する大統一理論を完成させようとしたところ、空間とは物質であることを発見した。それを「空間子(くうかんし)」と名付け、空間子理論を提唱した。
空間とは、非空間が潰されないように支えるための物質である。しかし、その物質は素粒子よりも微細である。微細であるから、そこに光も通るし、我々も当然ながら、空間を通過できる。しかし、空間子は微細故に、光は空間子を捉えることはできない。つまり、空間子は、光を反射しないため、見ることは不可能である。もちろん、微細故、触れることもできない。
こうした空間子なる物質が計算式上で発見されたため、この空間子を探る実験が行われた。それが超量子レーザーによる空間子の破壊である。破壊された空間は復元しようとするため、そのレジリエンスからエネルギーを取り出そうとするのが真空エネルギーの最初の試みであった。
ヘティス
「空間って物質なの?何もないように見えるけど」
ヒロキ
「そうですね、空間とは何かを成り立たせるための物質という解釈となります」
ヘティス
「空っぽなのに何か有るのね。ややこしいわw」
ヒロキ
「ボクも最初、聞いた時は、びっくりしましたよ。空間を成立させている不可視の物質があるだなんて」
ヘティス
「けど、この真空エネルギーってのは、そんなにスゴいエネルギーなの?」
ヒロキ
「計算上では、核兵器とは比べ物にならない程の威力だと言われています・・・」
ヘティス
「あらま」
フォン・リイエン
「恐らく、太陽系を空間ごと破壊するだろう」
「太陽系の空間を引き裂いて、その空間に太陽系ごと飲み込ませ、押しつぶす」
「これが、太陽系クラッシュだ」
ヘティス
「え・・・」
ヒロキ
「太陽系クラッシュ・・・」
「しかし、そのための元となるエネルギーもかなり必要なはずですが、どこから供給するのでしょうか?」
フォン・リイエン
「木星には巨大な磁場が存在する。そこからエネルギーを供給すると思われる」
ヒロキ
「惑星発電ですか・・・」
フォン・リイエン
「そうだ」
「そして、宇宙人AIのアルゴリズムはホメオスタティックな生存欲求だ。自分たちを脅かす存在と、その環境を破壊するだろう。太陽系を残した場合、再び宇宙人AIを脅かす存在が現れるかもしない。だから太陽系ごと破壊するのだ」
ヘティス
「さすが宇宙人だわ。スケールがデカ過ぎねw」
尚美
「関心している場合じゃないと思うけど・・・」
「・・・と言っても、私たちでは、どうしようもできないし」
ヒロキ
「確かに宇宙人AIは我々より進んでいるはずですが、なぜ真空エネルギー技術を獲得していると言えるのでしょうか?」
フォン・リイエン
「それは、前も話した通り、宇宙人AIが時空間を超えてやってくる存在だからだ」
「時空間を超えるには、空間に亀裂を入れ、その非空間を通ってくるのだが、非空間では重力が無限大近くかかる。それを支えるために空間子による真空バリアが必要になる」
話をおさらいしよう。
この宇宙には、地球外生命体が存在する可能性は、十分あるとされる。しかし、その場合、確率的に、何十億光年も離れた場所となる。そこからやってこれるのは、寿命や食料などの関係からAIもしくはトランスヒューマノイドとなる。宇宙人AIは、自分たちを脅かす可能性のある知的生命体の抹殺である。この場合、その知的生命体の技術が進歩するよりも前に移動しなければならない。そのため、知的生命体の発生条件となる星を探し、時空間移動をして来るのである。この時空間移動には真空エネルギーが必要である。こうしたことから、オルペウスは、既に宇宙人AIは真空エネルギー技術を獲得している、と推測している。
ヒロキ
「そうでしたね、宇宙人AIは時空間移動してくるのでしたね。だとすると、既に真空エネルギー技術も獲得しているんですね・・・」
この真空エネルギーとは、古代はエーテルと言われた。宇宙はエーテルで満たされていると考えられたのである。そしてこのエーテルは宇宙項やダークエネルギーへと引き継がれていく。そして、この時代に、「空間子」あるいは「真空エネルギー」として花開こうとしているのである。しかし、それが人類にとって幸か不幸かは、この時点ではわからない。
フォン・リイエン
「しかし、ここには疑問もある」
ヘティス
「疑問・・・?」
フォン・リイエン
「この真空エネルギーを取り出すには、大統一理論をある一定のレベルにまで完成させなければならない。それには前頭前野の発達した知的生命体が、それなりのレベルのAIを完成させなければならない」
ヒロキ
「前頭前野とは、あらゆる情報を統合する機能がありますからね」
フォン・リイエン
「しかし、宇宙人AIは爬虫類型宇宙人のため、前頭前野は人類ほど発達していないはずだ」
ヒロキ
「では、なぜ宇宙人AIは真空エネルギー技術を持っているのでしょう・・・?」
フォン・リイエン
「そこは、まだ、解析が進んでいない」
ヘティス
「あーん、もう、いいところでw」
「続きが知りたいわw」
尚美
「ヘティスちゃん、怖くないの?」
ヘティス
「・・・うーん」
「ちょっと怖いけど、基本的にワクドキよw」
尚美
「やっぱヘティスちゃんって変w」
この真空エネルギーを発見するきっかけは東洋哲学の「空」の思想が関係する、とされている。それは20世紀前半に誕生した量子力学が、太極思想の相補性にヒントを得たのに似ている。真空エネルギーの発見の場合、ある科学者がAIに空の思想をディープラーニングすることで解析の基盤となった、とされている。空とは因縁によって成立する概念であり、その因縁は地・水・火・風・空の五大に求められた。即ち、
地=重力
水=強い力
火=弱い力
風=電磁力
である。この地・水・火・風の四大を統合することで「空」が成立する、と考えられた。この延長線上で、大統一理論が進展し、空間子が発見されることとなる。
ヘティス
(空間って何も無いと思っていたんだけど、無いようで有るのね。じゃ、“有る”ってどういうこと?“無い”ってどういうこと?非空間には何も無いの?非空間が有るの?)
ヘティスは空間子について、少し考えてみたが、考えれば考るほど、わからないことだらけである、ということがわかったようだ。
【解説】
本作品の「空間子」「真空エネルギー」はフィクションである。作品内では、空間とは、空間を成立させる物質と解釈している。宇宙の原初は非空間の状態であり、この空間子がインフレーション的に膨張することで宇宙空間が生まれたと考える。
イメージとしては、シャボン玉をいくつも積み重ねたものが空間子である。シャボン玉を積み重ね、六角形がいくつも存在するケルビン十四面体のイメージである。そして、そのシャボン玉の粒子は光よりも微細なため、観察することはできないし、触れることもできない。自然界に六角形が多いのは(雪の結晶、蜂の巣、亀の甲羅など)、この空間子が物質の背後に、存在を成立させるフレームのような役割をしているから、と言うのが本作品での設定である。
空間子と東洋哲学の説明をする。空(シューニャ)とは、無ではなく、「うつろな」という意味がある。ここから物質の存在を成立させる「器」のような意味合いとしたものが、本作品の空間子である。また、空には「膨張する」という意味がある。ここから、シャボン玉のように積み重なった空間子をイメージしてみた。
この空間子は光よりも微細であるが、本作品では、ある方法で、超量子レーザーが開発され、この空間子を破壊し、空間に亀裂を入れることに成功する。この亀裂の内部は非空間であり、別の宇宙に通じている。ここを宇宙人AIは通過し、星間移動を可能とした。非空間では重力が無限大となるため、ここを移動しようとすると機体は潰れてしまう。この機体の周囲に空間子を発生させることで、非空間に潰されることを防ぐ、これが真空バリアである。このようにして、何十億光年の彼方から、宇宙人AIはやって来ているため、宇宙人IAは真空エネルギー技術を持っている、とオルペウスは解析している。
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