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未来見学の章
自動運転とロボットタクシー
しおりを挟む2020年、不治の病に侵された少女・結海(ゆうみ)はヨットで世界一周をすると決めて航海に出たが、UFOのようなものに遭遇し、なぜか2062年の未来へとタイムスリップすることとなってしまった。そこで、ヘティスと結海は出会った。そして、結海はヘティスの家で同居することとなった。そして結海は、未来の治療を受け、健康は以前よりも数段、改善した。
ヘティス
「さあてと、うみみんが健康になった、ってことで、今日から仕事よ!」
結海
「仕事って・・・、へティも学校に行ってないの?」
ヘティス
「今は夏休み!稼ぎどきよw」
結海
「へー、そうなんだ。どんなバイトするの?」
ヘティス
「バイトじゃないわ!ビジネスよ!」
結海
「びじねすぅ・・・?」
「へティは、私と同じ17歳でしょ?」
ヘティス
「今の時代、中学生だって億り人がいるわw」
結海
「“おくりびと”って億単位を稼ぐ人よね?中学生が?」
ヘティス
「そうよ」
結海
「マジ・マンジー!」
ヘティス
「若いうちにビジネスリテラシーあげていかないと、大人になってからじゃ遅いわw」
結海
「そーいうもんなのぉ?」
ヘティス
「そーいうものよw」
「私のパパが、色々なビジネスをしているから、それを私がスタッフとしてお手伝いしてるのw」
「パパとしては、教育の一環として、って言ってたわw」
「けど、もう子供じゃないってことを見せてやるの!」
結海
「へティもへティだけど、へティのパピーも、相当変わってるわねw」
ヘティス
「そうかなぁ」
「けど、変わり者と言えば変わり者よね、研究者だからw」
ヘティスの父親は、海外出張や宇宙出張のために、現在、家にいない。彼のビジネスはAIがほぼ自動的に行っており、そこに対してヘティスが手伝うこともある。
結海
「じゃ、仕事って何するの?」
ヘティス
「タクシーよw」
結海
「え?タクシーって、私、運転できないし、免許もないし~、チョー無理なんだけど~!」
ヘティス
「ん?免許?」
結海
「運転免許がないと道路で運転しちゃダメでしょ?」
ヘティス
「それって昔の話でしょ?」
「免許なんて、ないわよ?」
結海
「え~!」
「免許ないのぉぉぉぉ!!」
ヘティス
「うん、ないわよ」
「だって、自動運転だから、運転するのはAIよ」
「人間が手動運転するよりもAIの自動運転の方が安全だし」
結海
(そうだった。私、未来に来ちゃってたんだ・・・)
21世紀の前半まで、自動車とは贅沢品であった。自動車は使用すると中古と認識されるため、価値は低下し、減価償却していく。しかし、自動運転技術によりロボットタクシーが登場することで、自動車は贅沢品ではなく、投資の対象となり、AIスマートカーは資産として認識されるようになっていった。
ヘティス
「私たちが車に乗らない時間帯ってあるじゃない。その時にお客さんから予約が入れば、
車は自動運転でロボットタクシーになるのよw」
結海
「そうなんだw」
「てことは、何もしなくてもロボットタクシーでお金が稼げちゃうわけ?」
ヘティス
「そういうことよw」
結海
「もうマジ・マンジよ!w」
ヘティス
「お客さんを探しに自動運転で、無人のまま出ていくこともあるけど、私はエネルギーの無駄遣いだと思うから、それはしないの。けど、そうやって顧客を探す業者もあるわw」
結海
「無人のタクシーが夜道を走ってたら、私のいた時代は幽霊タクシーって言われちゃうわw」
ヘティス
「へー、ロボットタクシーは、昔の人からみたら幽霊タクシーに見えるのねwおもしろーいw」
結海
「ちょっと・・・、面白ろがられるのは気分が悪いわw」
ヘティス
「まあ、まあ、休憩時間に美味しいお茶を入れてあげるからw」
結海
「ホント?w」
ヘティス
「うんw」
「と、いうことで、これw」
ヘティスは結海にスマートグラスを渡した。
ヘティス
「タクシーの様子は、このスマートグラスに映し出されるから」
結海
「このメガネをかければいいのね」
ヘティス
「あとは、自分の部屋でお仕事してくれればいいわw」
結海
「自動運転なら、私は運転しなくてもいいんでしょ?」
ヘティス
「うん、運転はしなくていいの。するのは会話よ?」
結海
「会話が仕事?」
ヘティス
「そうよ。お客さんとコミュニケーションするのが、私たち人間のお仕事。作業はAI。会話は人間よ。得意・不得意なところってあるでしょ?」
結海
「そっかー、ロボットタクシーは会話できないのねw」
ヘティス
「AIチャットボットがついているから、会話はできるけど、機械的な会話なの」
「理路整然というか・・・」
結海
「じゃ、どんな会話をすればいいの?」
ヘティス
「あまり難しく考えないでね。お客さんとうみみんが楽しいと思える会話をすればいいのw」
結海
「まあ、会話くらいはできるけど・・・」
(未来の人と話が合うかどうかが問題よね・・・)
ヘティス
「うちはホワイト企業を目指しているから、仕事はたなるべく楽しくしてもらうわw」
結海
「会話は嫌いじゃないけどぉ・・・」
ヘティス
「言葉使いは気を付けてねwうみみんは変なギャル語使うからw」
結海
「わかってるわよ、そんなくらいw仕事に関してはチョー・マジメなんだからぁ」
ヘティス
(その“チョー”ってのが・・・wまあ、いいわwモニタリングしてるからw)
「一応、最初は私がモニタリングしてるから。もしトラブルがあれば、私がサポート入るからねw」
結海
「うん、わかったわw」
ヘティスは結海に、基本的なスマートグラスの使い方を教え、結海は自室で待機した。
しばらくすると、結海のスマートグラスが反応した。画面にクライアントが乗車したとのアナウンスが表示される。
結海
(あ、お客さんだ・・・。まずは、挨拶と・・・)
「こんにちは~!どちらにいきましょうか?」
顧客は年配の女性であった。その女性客は結海に行き先を伝えると、それをAIが聞き取り、自動運転が開始される。
結海
(あら、本当に勝手に動き出して、目的地に向かうのね・・・)
(チョー・ベンリなんだけど・・・w)
女性客
「今日は暑いねぇ」
結海
(あ、何か返事しなきゃw)
「ホント、そうよね~、もう、チョー・暑いんだけど~」
「てゆーか~」
「チョー・ムシっとする~」
「ってカンジ~!」
女性客
「あら、まあ。若いのに、昔流行ったギャル語を使いこなせるの?」
結海
(あ、しまった・・・!いつもの癖で・・・w)
「えーと、本日は、大変お暑いでございますわね!オホホ!」
女性客
「いいのよ、気軽に話して。あなたにとって普通に会話してくれれわいいの」
結海
「そ、そうですか!じゃ、チョー・フツーに話します!」
10分くらいすると、顧客は若い頃の苦労話をしてきた。
結海
「え~、チョー・ひっどーい!」
「そんなのチョベリバでチョベリブよねぇ」
「もう、そんなのマジ・マンジよ~!」
女性客
「あら、懐かしい言葉を使うのね。あなたと話していると若い頃に戻った感じがするわ・・・」
「もしかしたら、私が知っているギャル語よりも古い言葉を使っているかも」
結海
「そ、そうですか・・・w」
女性客
「私は2003年生まれなのでわかるのよ。あの頃は、アナタが話すようなギャル語があって、消えかけて行った時期でもあったわ・・・」
「とても、懐かしいわ・・・」
「けど、よく覚えたわねw若いのにw」
結海
「あ・・・、はい・・・w」
(2003年生まれって、私と同い年じゃないのぉ・・・w)
(歳が大分離れた同年代と話すなんて、もう、マジ・マンジな気分だわ・・・w)
この様子をヘティスはモニタリングしている。
ヘティス
「うみみんは、どんな会話しているのかしら?」
「ちょっと音声をオンにしてと・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・マジ・マンジ・・・って言ってるし・・・。どういう接客してんのよ・・・w」
「まあ、いいわ。エンゲージメントが低く出たら注意ね!」
ロボットタクシーの映像や音声は記録される。これは犯罪を防ぐためであり、社会的なコンセンサスがとられている。もう一つはエンゲージメント調査の同意である。これに同意すると料金が割引となるため、ほとんどの人は同意する。
エンゲージメント調査とは、顧客の表情や声のトーンの記録から、そのタクシーサービスの満足度を点数化するものである。その点数の高さとリピート率は相関するため、AIエンゲージメント調査はマーケティングによって重要とされる。
ヘティス
「で、あの女性客のエンゲージメントは、と・・・」
「・・・え?」
「すっごく高い点数なんだけど、なんで?」
「とりあえず、AIはうみみんの接客に対して高評価をつけているわ・・・。てか、私よりも高いスコアだし・・・、どういうことなのよぉw」
「けど、まだ一回だけだし、まぐれかもだし、統計的に見ていかないとわかんないわ!」
次に、再び、予約が入る。
結海
「あ、今度は男性の外人さんだ・・・。どうしよう・・・、まったく英語とか話せないし、英語じゃない外人さんかもしれないし・・・」
結海
(とりあえず、わかる範囲でやってみるわ・・・!)
「はーい、はわゆー!はうどぅゆどぅー!まいねーむいず・・・」
外国人男性
「えーと、A-5地区まで言ってください」
結海
(あれ、日本語だ・・・)
(ん?少し英語も聴こえるけど・・・。あ、そうだ。へティが言ってたわ。AIがすぐに翻訳してくれるから、同時通訳できるんだっていうことを・・・)
「A-5地区ですね!イェッサー!」
外国人男性
「いやー、今日はとても暑いですね~」
結海
(日本語で大丈夫よね・・・?とりあえず、会話しなきゃ)
「はーい、今日はべりー、べりー、ちょーほっとね!」
外国人男性
「あはは、キミはとてもキュートなのに、面白い言葉を使うね!」
結海
「そ、そうですか?さんきゅーべりーまっちょ!」
外国人男性
「あっはっは・・・!」
「あ、笑ってごめん」
「けど、とても一所懸命さを感じるからいいね」
結海
「ありがとうございマッスル!」
結海は、言葉遣いはおかしかったが、精一杯会話をした。その態度や気持ちが顧客に伝わったため、好感が持たれた。
一方、ヘティスの方は、自家用車は一台しかないため、もう一台ロボットタクシーをリースし、それで接客を行う。ヘティスも精一杯、業務をこなした。そうこうしていると、あっという間に時間は過ぎ去り、業務が終了となった。そして、ヘティスは結海の部屋へ行った。
ヘティス
「うみみん、おつかれさま!どうだった?」
結海
「うん、ちゃんと話せたよぉwまあまあ慣れたしぃ~」
「てゆーか」
「私、この仕事、チョー向いてるかもぉw」
ヘティス
「あはは・・・、それはよかったわねw」
(コテコテのギャル語ね・・・)
結海
「一つしつもーん!最後に終了した後に、英語と数字が出るんだけど、これはなに~?」
ヘティス
「あ、言い忘れててごめんねw」
「それは“エンゲージメント”って言って、顧客の表情や音声からAIが判断して、顧客の満足度を示すの」
結海
「へぇー、チョースゴいシステムねw」
ヘティス
「で、合計点や平均点も出せるのよw」
結海
「で、私の点数どうだった?」
ヘティス
「うん、とっても高いわ・・・。はじめてとは思えないくらいなの」
結海
「あー、よかったwちょっと時代が違うから、チョーヤバイかもー!って思いながら話してたわw」
「まあ、わりと~、私~、ひょーじゅんご?に近いし~」
「てゆーか~」
「チョー・ひょーじゅん語だしぃ~」
ヘティス
「・・・そ、そうかなw」
「それはいいとして、よい点数につながったエンゲージメント分析もできるから、今から分析してあげるw」
ロボットタクシー内での会話の音声は、全てテキスト化され、クラウドに保存される。その保存されたビッグデータ解析によって、エンゲージメントが高くなるキーワードが抜き出される。つまり、そのキーワードを次も使っていけば、顧客のリピート率も高くなるのである。
ヘティス
「てわけで、どんなキーワードがいいのか分析するの。もう分析結果は出てるわw」
結海
「へー、何を聞いても全部、チョースゴいわw」
ヘティス
「えーと、エンゲージメントの高いキーワードは~」
「なにこれ・・・」
結海
「どうしたの?」
ヘティス
「“マジ・マンジ”“チョー○○”“てゆーか”“ってかんじ~?”・・・」
「全部、ギャル語じゃないのよ・・・w」
結海
「でしょ?イケてるでしょ?w」
ヘティス
「イケてる・・・w」
「・・・わね」
結海
「でしょ、でしょw」
ヘティス
「特に、年配の方々にエンゲージメントが高かったようね」
「AIは“年配の顧客へのエンゲージメントが高いのは、古くて懐かしい死語を何のためらいもなく使うことにある”“それがレトロでノスタルジックな気分にさせ、エンゲージメントにつながった”と解析しているわw」
結海
「・・・なによ、それ」
「死語とか、レトロとか、ノスタルジックとか・・・」
ヘティス
「まあ、まあwAIは褒めてるんだからw」
結海
「チョー失礼w」
「サイアクーw」
AIが人間の仕事を奪うと言われることがある。しかし、人間にしかできないこともある。それは予測不能な不完全な会話なのかもしれない。AIが自然言語処理によって、完璧な会話を習得し、そのチャットボットが完全な会話をした場合、その対極にある不完全な会話は意外な価値を持つのかもしれない。
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