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未来見学の章
未来の仮想通貨とマイニング
しおりを挟む2020年、不治の病に侵された少女・結海(ゆうみ)はヨットで世界一周をすると決めて航海に出たが、UFOのようなものに遭遇し、なぜか2062年の未来へとタイムスリップすることとなってしまった。そこで、ヘティスと結海は出会った。そして、結海はヘティスの家で同居することとなった。結海は、未来の治療を受け、健康は以前よりも数段、改善した。
夏休み、ヘティスは父の方針でビジネスの勉強をしていた。それを結海は手伝うこととなり、結海は未来の仕事の体験をするのであった。
ヘティス
「金利が下がってきてるわ!」
結海
「金利?」
ヘティス
「金融機関から借り出される利息のことよ!」
結海
「何か少し興奮しているみたいけど、それが下がるとどうなるの?」
ヘティス
「金利が下がるとグロース株が上がったり、仮想通貨が上がったりするの!」
結海
「ふーん」
「で、どうするの?」
ヘティス
「今日でロボットタクシー業は終わりよ!」
結海
「ロボットタクシーって自動運転だから、無人で走らせておけば儲かるんじゃないの?」
ヘティス
「そうね、デジタル円を稼ぐにはいいわ」
「けど、今はデジタル円よりも仮想通貨をマイニングする方が儲かるわ!」
結海
「マイニング?」
ヘティス
「“採掘”って意味ね」
「車で仮想通貨を作り出すの!」
結海
「よ、よくわかんけどけ・・・」
「仮想通貨ってのもお金よね?」
ヘティス
「そうね」
「仮想通貨は、デジタル円よりはボラテリティが高くて不安定だけど、重要な通貨の一つよ」
結海
「車でそんなことできるの?」
ヘティス
「できるわ!」
「自動運転を行うにはGPUが必要なんだけど、それを仮想通貨のマイニングに応用するの!」
結海
「車で色々とお金が稼げちゃうなんて、チョー・マジ・マンジなんだけど!」
この時代、自動車は消耗品ではなく資産を生み出すマシンとして活躍する。この資産形成と自動運転がスマートカーの役割である。
金利が上昇した場合、スマートカーは自動運転によるロボットタクシーで実質的な通常通貨であるデジタル円を稼ぐ。逆に、金利が下落した場合は、仮想通貨が上昇するため、仮想通貨をマイニングするのである。
スマートカーと仮想通貨のマイニングは相性がいい。
一つは、ヘティスが述べていたように、自動運転で使用するGPUが仮想通貨に応用できる、ということである。
もう一つは、そのマイニングにはマシンを長時間動かし続けるため、マシンを冷却する必要がある。その冷却をスマートカーに装備されているエアコンが担うのである。自動車という狭い密閉空間で、エアコンを効かせた方が効率がよいのである。
結海
「そのマイニングってのは自動ってやってくれるの?」
ヘティス
「そうよ。AIが自動ってやってくれちゃうの」
結海
「じゃあ、私たちも、もう何もしなくてもいいってことよね?w」
ヘティス
「いえ、まだよ!」
「仮想空間で稼ぐの!」
結海
「仮想空間?」
「そんなことできるの?」
ヘティス
「できるわ!」
「金利が下がって仮想通貨が上がるってことは、仮想空間に存在する全てのものの価値が上がるってことよ!」
結海
「だんだん、意味わかんなくなってきたんだけど・・・w」
ヘティス
「そのビジネスが・・・」
「メタバースよ!」
結海
「メタバース・・・」
結海は、はじめて「メタバース」と言う言葉を聞いた。
メタバースとは、2006年には既にセカンドライフなどのサービスが存在していが、本格的に始動するのはVR・AR技術やブロックチェーン技術が進歩する2021年以降を待たねばならなかった。2020年代半ば、脳の信号を読み取る技術が進歩し、仮想空間のアバターを脳の信号で操作できるようになった。しかし、完全には動かすことは不可能で、ここにはAIによる脳信号の補正が必要になる。そこで、2040年代に入ると、AIシンギュラリティにより、脳信号補正技術が進歩し、人々は仮想アバターを自己の分身として動かすことができるようになるのである。
これらの技術の進歩の途中、人間の脳を半睡眠状態にし、脳に直接、信号を送るブレイン・マシン・インターフェースが開発された。例えば、視覚野に仮想のリンゴの情報を送ると、目の前に本物のリンゴがあるように見えるのである。また、そのリンゴを触ると、マシンから体性感覚野に情報が送られるため、リンゴの感触をリアリティに感じることができるのである。そして、そのリンゴを食べるて香りや味を感じることも可能である。
こうしたことから、既に仮想空間のみで生活する住人も存在していた。
そして、このようなバーチャルリアリティの世界へと、結海は船出するのであった。
【解説】
この物語の設定であるが、仮想空間で用いられる通貨が仮想通貨である。それに対し、リアルの世界はデジタル円やデジタルドルが用いられる。
仮想通貨には半減期が存在し、仮想通貨が一定量になると、インフレを防ぐために、半減期を迎えるようになっている。
このようになっているため、金利が下がると人々は仮想空間へとマイニングをしに行くのであるが、半減期を迎えるとリアル空間へと帰るのである。
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